講義資料 - 慶應義塾大学 商学部

2010年度(財)経済広報センター寄附講座
慶應義塾大学商学部
リスク管理と企業経営
事例を踏まえて影響と問題点を探る
2010年6月29日
東京証券取引所自主規制法人
売買審査部 東証COMLEC
東証コンプライアン
スのキャラクター
本資料は,作成日現在のインサイダー取引規制についての解説を目的とするものです。
Copyright © 2010 Tokyo Stock Exchange Regulation. All rights reserved
「こんぷらくん」
1
本日の講義内容
Ⅰ.
Ⅱ
Ⅱ.
Ⅲ.
Ⅳ.
Ⅴ
Ⅴ.
Ⅵ.
Ⅶ.
Ⅷ.
インサイダー取引規制の概要
実際のインサイダ 取引事例
実際のインサイダー取引事例
インサイダー取引による企業等への影響
企業等でのインサイダー取引防止対策
社内管理の問題点
各企業等のジレンマ
各企業等のジレン
今後の社内管理の方向性
イ
インサイダー取引以外の不公正取引
イダ
外
2
Ⅰ. インサイダー取引規制の概要
<ある日の某新聞見出し>
「○○社社員△△、インサイダー取引容疑で逮捕!」
「当局は○○社を家宅捜索」
「○○社元社員△△、インサイダー取引で有罪判決」
<逮捕・摘発された社員△△の今後・・・>


懲役・罰金などの刑罰や課徴金対象
懲役
罰金などの刑罰や課徴金対象
勤務先は懲戒解雇
<社員の勤務先○○社への影響は・・・ >


実名報道によるイメージダウン、社会的批判の対象
株価・業績・信用などへの実質的な影響
3
特効薬の開発情報を知ったコンプラ製薬会社
の執行役員のインサイダー取引
の執行役員のインサイダ
取引
「この情報が公表されればコンプラ製薬の株価は上がるか
ら 公表前に株価が安いうちに買 て儲けよう!」
ら、公表前に株価が安いうちに買って儲けよう!」
誰が?
どのような
会社情報を
知って?
特効薬製品化情報を
知った執行役員の買
付け
どういうタイミ
ングで売買
すると?
安く買っておいた
から大儲け!
執行役員の売付け
株価急騰!
株価
会社による特効薬
製品化の公表
4
誰が売買すると?
その1 会社関係者とは?
会社関係者
上場会社等の
アルバイトも!
会社関係者の具体例
① 上場会社等の 役員等
役員、社員、契約社員、パートタイマー、
役員
社員 契約社員 パートタイマー
アルバイト、派遣社員など
② 上場会社等の帳簿閲覧権
を有する者
総株主の議決権の3%以上を有する株
主
③ 上場会社等に対して法令に
基づく権限を有する者
許認可の権限等を有する公務員など
④ 上場会社等と契約を締結して
いる者又は締結交渉中の者
取引先、融資銀行、顧問弁護士・公認
会計士など
⑤ 同一法人の他の役員等
(②と④が法人の場合)
取引先企業などの担当者から伝達され
た同僚・上司
会社関係者でなくなったあと1年以内は会社関係者と
会社関係者でなくな
たあと1年以内は会社関係者と
同じ立場で規制を受ける
5
誰が売買すると?
上場会社に勤める家族
上場会社
勤める家族
から聞いた情報でも・・
その2 情報受領者とは?
会社関係者から情報を聞いた人も規制の対象?
会社関係者 ら直接情報伝達を受け 人
会社関係者から直接情報伝達を受けた人は?
第一次情報受領者
として規制対象です
皆さんが会社関係者である家族、知人、
皆さ
が会社 係者 あ 家族 知
友人から情報を聞いていた場合も規制の
対象となります
6
どのような会社情報を
知って売買すると?
重要事実とは?
決定事実
こういう情報を知ってい
ますか?
発生事実
・株式の発行、分割、交換等
株式の発行、分割、交換等
・自己株式の取得・処分
・災害起因損害又は業務遂行
災害起 損害 は業務遂行
過程で生じた損害
・業務提携、合併等
業務提携 合併等
・資源の発見
決算情報
ほか
ほか
バスケット条項
・業績予想・配当予想の大幅 投資判断に著しい影響を及ぼす
な修正
も
もの→
(判例)巨額架空売上げ・薬品
副作用・製品の検査数値改竄など
株価へ重大な影響を与えると予想される会社情報を知って
いたら売買は要注意!
7
どういうタイミング
で売買すると?
重要事実を知って
いたらいつまで
規制される?
「公表」とは?
① 2つ以上の報道機関に公開してから12時間経過
する と( 時間
すること(12時間ルール)
)
② 証券取引所のHPに重要事実が掲載されること
③ 重要事実に係る事項が記載された有価証券
報告書等が公衆縦覧に供されること
8
インサイダー取引規制違反の罰則等
ダ
規制違
罰則等
法令違反行為として処罰・課徴金の対象です!

5年以下の懲役、500万円以下の罰金
年
役、
罰

法人の業務、財産に関する場合(会社保有株の売買)
→ 法人に対して5億円以下の罰金
法人に対し 億円以下の罰金

「財産」の没収・・・没収できないときはその価額を追徴
買付代金200万円→(株価急騰)→売付代金300万円
利益は100万円だが、没収されるのは300万円!
(行政上の措置)

課徴金・・・利益相当額を納付
課徴金
利益相当額を納付
→平成20年12月から金額水準見直し(強化)ほか
9
Ⅱ. 実際のインサイダー取引事例
① 2006年12月25日東京地裁判決
上場会社5社の株式分割情報が法定公告に掲載されること
上場会社5社の株式分割情報が法定公告に掲載される
と
を
知った新聞社社員が5社による情報公表前に買い付けた
法定公告掲載先
情報ル ト
情報ルート
上場会社
(5社)
新聞社/広告局
株式分割
社員
判決内容
・懲役 2年6か月(執行猶予4年)
・罰金 600万円
・追徴金 1億1674万円
当局公表資料・報道資料
等より作成
10
② 2008年1月23日秋田地裁判決
上場会社18社(印刷会社の顧客)から受注した取締役会決議通知の
印刷業務を通じて株式分割情報を知った印刷会社社員が18社による
情報公表前に買い付け 併せて親族に情報を伝達して親族も買い付けた
情報公表前に買い付け、併せて親族に情報を伝達して親族も買い付けた
情報ルート
上場会社
(18社)
株式分割
印刷業務依頼先
印刷会社
原稿校正
作業
社員
伝達
親族4名
判決内容
・懲役 1年6か月~ 2年6か月(いずれも執行猶予4年)
・罰金 200万円~ 300万円
・追徴金
追徴金 9億4500万円(総額)
当局公表資料・報道資料
より作成
11
③ 2008年3月19日課徴金納付命令(金融庁)
記者が取材したA社とB社の資本業務提携情報を知った職員3名
が、両社による情報公表前に両社株を買い付けた
放 送 局
情報
情報ルート
ト
上場会社A社
取材
資本業務
提携
上場会社B社
記者
デスク
局
内
情
報
端
末
職員①
職員②
職員③
放送局からは職員氏名発表・懲戒解雇
課徴金額
職員①
職員②
職員③
A社株 2500株買付け 7万円、B社株 3150株の買付け 19万円
B社株
社株 33000株の買付け
株の買付け 17万円
万円
当局公表資料・報道資料
B社株 1000株の買付け 6万円
より作成
12
④ 2008年4月9日課徴金納付命令(金融庁)
監査先企業の業績予想下方修正情報を知った公認会計士が、
監査先企業の業績予想下方修正情報を知
た公認会計士が
監査先の情報公表前に当該株式を売り付けた
情報ルート
契約締結先
上場会社
業績予想
下方修正
監査法人
公認会計士
・金融庁から業務停止
1年6ヶ月(実名公表)
・日本公認会計士協会
から会員権停止1年
監査法人発表
・ 当局からの発表内容を追認
・ 関係者への謝罪、再発防止・社内処分の表明
課徴金額
公認会計士
261株の売付け 134万円
当局公表資料・報道資料
当局公表資料
報道資料
ほかより作成
13
⑤ 2008年12月25日東京地裁判決
上場会社4社(証券会社の顧客)の株式交換・完全子会社化等の情報を
上場会社4社(証券会社の顧客)の株式交換
完全子会社化等の情報を
知った証券会社社員とその友人が、情報公表前に当該上場会社株を
買い付けた
情報ルート
業務依頼先
上場会社
(4社)
株式交換・
完全子会社化
等
証券会社
伝達
社員
友人
友人の弟
社員の所属部のルールでは株式売買を全面禁止
判決内容
・懲役
(両名)2年6か月(いずれも執行猶予4年)
・罰金
金
(社員)100万円、(友人)300万円
・追徴金 (両名連帯して)635万円、(友人)4909万円
逮捕されたが
起訴猶予
当局公表資料・報道資料
当局公表資料
報道資料
より作成
14
⑥2009年8月20日課徴金納付命令(金融庁)
銀行員からA社経営陣による企業買収情報・公開買付け情報を
聞いた銀行OBが、情報公表前にA社株式を買い付けた
情報ルート
情報共有
契約締結先
上場会社A社
銀行
買収 公開買付け
買収・公開買付け
銀行員
A社経営陣
A社の買収・
A社の買収
公開買付け
課徴金額
伝達
情報受領者
(元銀行員)
伝達
情報受領者(元銀行員)
3000株の買付け 71万円
当局公表資料・報道資料より作成
15
⑦2010年1月13日課徴金納付命令(金融庁)
D社による上場会社A社への公開買付け情報と自社による上場会社B社と
C社への公開買付け情報を知った社員からこれらを聞いた親族が各社の
情報公表前にA~C社株式を買い付けた
公開買付けの応募に関する合意に係る契約
公開買付けの応募
関する合意 係る契約
情報ル ト
情報ルート
上場会社A社
D社
A社への
公開買付け
課徴金額
公
開
買
付
け
上場会社B社
上場会社C社
公
開
買
付
け
E社
D社によるA社
への公開買付け
B社C社への
公開買付け
社員
情報受領者(親族) 合計25000株の買付け 752万円
伝
達
情報受領者
(親族)
当局公表資料・報道資料
当局公表資料
報道資料
より作成
16
⑧2007年5月29日課徴金納付命令(金融庁)
上場会社A社(役員)は 自社の配当予想値の修正を行うことを職務上
上場会社A社(役員)は、自社の配当予想値の修正を行うことを職務上
知って、その公表前に自己株式取得のための買付けを行っていた。
2006/2/23
取締役会決議
2006/2/9
配当予想値
の修正検討
重要事実
決定
/公表
インサイダー取引!
自己株式取得
自
株式取得
の買付け
課徴金額
2006/2/10~2/22
役員(法人) 合計79000株の買付け 3044万円
17
Ⅲ. インサイダー取引による企業等への影響
役職員個人のインサイダー取引でも勤務先が
響
いろいろな悪影響を被ります
1.社会的批判
(1)勤務先企業等の特性に対する批判・・・マスコミ、金融
機関、公認会計士、広告代理店、印刷会社ほか
・ 職務上、一般投資者に比べて上場会社に関する情報
職務上
般投資者に比べ 上場会社に関する情報
(重要事実)を入手しやすい業務
・ インサイダー取引には特段の注意を払うべき立場で
インサイダ 取引には特段の注意を払う き立場で
の取引
・ 情報管理の実態や勤務者の意識への批判
・ 業界全体への批判にもつながるおそれ
業界全体 の批判にもつながるおそれ
18
(2)勤務先上場会社に対する批判
・ 重要事実に非常に近い立場にいる者のインサイダー
重要事実に非常に近い立場にいる者のインサイダ
取引
・ 役職の重要性・特殊性との関係・・・監査役、取締役、
重要事実案件担当者など よるイ サイダ 取引
重要事実案件担当者などによるインサイダー取引
・ インサイダー取引防止のための社内管理が機能して
いたか
(3)情報管理に対する批判(上場会社以外でも)
・ 自社・取引先の重要事実が漏洩して悪用される
・ 厳重に管理すべき重要事実が私的な会話・メールか
ら漏洩(悪意 意識なし)
ら漏洩(悪意・意識なし)
・ 業務上の必要から重要事実を伝えた取引先によるイ
ンサイダー取引
19
2.業績面
(1)顧客からの取引中止
・ 顧客の内部ルールで一定期間取引を禁ずるケース
・ 風評
(2)顧客への説明対応
・ 事実関係・対応策の説明、取引継続依頼
(3)営業自粛
・ 未然防止体制構築まで自主的に営業自粛
(4)多額の課徴金支払い(法人)
20
3.人事面
(1)トップ引責辞任
・ 企業の社会的な位置づけが社会的批判の大きさへ
企業 社会的な位置 け 社会的批判 大きさ
・ 社内士気低下
・ 業務への影響
(2)役員等の処分
・ 管理・経営責任
( )実行者
(3)実行者への懲戒処分、損害賠償請求
処分、損害賠償請
21
4.当局正式発表に伴う対応
(1)情報開示、記者会見
・ 事実関係及び当面の対応策の説明
事実関係及び当面 対応策 説明
・ 謝罪表明
((2)調査委員会等の活動
)調査委員会等 活動
・ 弁護士や社外取締役などがメンバーで発足
・ 事件発生経緯・原因の究明、社内管理改善策の提案
事件発生経緯・原因の究明 社内管理改善策の提案
など
当局正式発表前に報道された場合などは、前倒しで
対応するケースもあります
対応するケ
スもあります
22
ある上場会社の開示内容(2008年11月4日)







当局発表内容の追認、謝罪
社内規程 の売買禁止期間中、定められた事前手続を
社内規程上の売買禁止期間中、定められた事前手続を
経ない売付けだった
懲戒解雇処分
本件の悪質性 当社信頼へのダメ ジを考慮して損害
本件の悪質性・当社信頼へのダメージを考慮して損害
賠償請求の方針
内部者取引防止制度を理解していた元従業員が一個
人として故意に関係法令・社内制度等に違反した極め
て属人的で悪質な法令違反行為
社内教育の見直し・徹底
社内教育の見直し
徹底
株式売買は会社による実態調査活動にも限界があるた
め、今後は外部機関との連携を密にして制度を有効に
機能させる取組みを強化する
23
5.再発防止策の策定
(1)インサイダー取引防止管理体制の見直し
・ 内部規則改正
・ 事前チェック体制確立
事前チ ク体制確立
(2)情報管理体制の見直し
・ 抜本的な社内情報の流れ是正
・ 必要に応じてシステム対応など
(3)教育・研修の実施
・ インサイダー取引防止の意識作り
インサイダ 取引防止の意識作り
・ インサイダー取引知識の啓蒙
24
6. 株主関係(上場会社の役職員によるインサイ
ダ 取引の場合)
ダー取引の場合)
(1)株価下落
・ 株主資産の価値減少
・ 株主の不満
・ 株式売却
(2)株主総会質問
・ 経営責任追及
(3)株主代表訴訟
・ 不十分な社内管理が原因でインサイダー取引が発
生したとの責任追及を受けるおそれ
25
7. インサイダー取引への過剰な懸念
(1)正当な自己株式取得を躊躇(上場会社自身の買付け)
(2)役職員売買の管理厳格化
8 所属業界への影響
8.
所属業界 の影響
(1)業界全体・同業他社イメ ジへの影響
(1)業界全体・同業他社イメージへの影響
(2)業界としての対応策構築
9.その他
26
Ⅳ. 企業等でのインサイダー取引防止対策
各社はインサイダー取引のリスク回避
のために社内管理でどのように対応して
いるでしょうか?
第二回 全国上場会社 内部者取引管理アンケート
-調査報告書-(2009年8月)から
調査報告書 (2009年8月)から
東証HP
HOME>自主規制法人>不公正取引を未然に防止するために>
全国上場会社内部者取引管理アンケ ト
全国上場会社内部者取引管理アンケート
27
1.インサイダー取引管理規程策定
(1)明文でインサイダー取引防止に関するルールを制定
(2)対象者の範囲、対象情報及びその管理方法、自社株
び
式売買の手続きなどを規則化
0
管理規程の有無
25
50
内部者取引管理規程あり(情報管 ①
理 売買管理の手続あり)
理、売買管理の手続あり)
内部者取引管理規程あり(情報管 ②
理、売買管理の手続なし)
75
100
88.3
6.6
調査報告書 問1
内部者取引管理規程は特に定め ③ 2.8
ていない
その他
④ 2.3
不明 0.1
n=3,066
28
2.情報管理体制
(1)社内での重要事実発生・検討状況を把握する必要
( )自社だけでなく他社の重要事実把握が必要なケ
(2)自社だけでなく他社の重要事実把握が必要なケース
社内の情報管理体制
0
社内で一元的に情報管理する
部署(責任者)が行う
①
複数の情報管理部署を置いて
行う
②
現場に近いそれぞれの部署ご
とに行う
③
その他
④
25
50
75
100
73.7
13.0
10.0
調査報告書 問5
問
2.5
不明 0.8
08
n=3,066
3 066
29
取引先の情報管理方法
(自社・他社情報)
0
取引先と守秘義務契約を締結し
ている
①
自社において取引先の株売買を
禁止又は自粛する
②
関係の深い部署(担当者)のみ、
取引先の株売買を禁止又は自粛
③
取引先に伝えた情報が重要事実
であることを示し 注意を促す
であることを示し、注意を促す
④
取引先に自社の株売買を禁止又
は自粛させる
⑤
その他
⑥
25
50
75
68.9
27.7
1555
.5
50.8
5.8
調査報告書 問11
不
明 1.4
6.5
n=3,066
30
3.自社株式の売買手続・・・会社による一定程度の事前関与
がチェック機能と牽制効果をもたらす
役員売買の管理手続類型
0
25
50
事前に許可した場合に限り自社
株式等の売買を認める「許可型」 ①
67.9
事前に予定する売買の内容を届
②
出させる「事前届出型」
さ
「事前
1887
.7
売買の実行後にその状況を役職 ③ 1.2
員に把握させる「事後届出型」
4.5
売買を一切認めない「禁止型」
④
上場会社自身は役職員等の自
上場会社自身は役職員等
自
社株売買に一切関知しない
⑤ 1.5
その他
⑥
不
明 0.9
75
調査報告書 問14
(役員)
553
.3
n=3,066
31
4.社内啓発・・・社内ルールの周知、インサイダー取引理解
0
啓発活動の方法
社内掲示板に規程等を掲載
①
メール、社内刊行物等で定期的に周知
②
社内の担当部署(責任者)による研修
③
外部の専門家を招聘して社内研修
④
eラーニング研修
⑤
インサイダー取引解説本を配布
⑥
社内の担当者が外部研修に参加
⑦
社長の年頭挨拶、朝礼などで注意喚起
⑧
自社株売買等疑問に対する専門窓口
⑨
特に行っていない
⑩
その他
⑪
25
50
75
100
73.9
20.0
31.4
16.3
調査報告書 問21
10.0
31.4
40.0
13.5
35.1
2.8
不明 0.3
6.9
n=3,066
32
Ⅴ. 社内管理の問題点









社内管理
改善点
調査報告書
問30より抄録
重要事実か否かの判断が難しく、管理のタイミングが遅くなりがち。
一元的に情報管理責任者に情報が集まる仕組み作り。
情報管理や売買管理に関する具体的手続が明示的に規定されて
いない。
自社株売買に係る事前届出の実効性の確保(届出漏れの有無)。
事前届出と実際の売買との比較手段が十分でない(株主名簿での
確認のみ)。
売買管理の運用が過度に保守的になり易い。
関係会社の役職員や派遣社員等に対する教育・啓発の不足。
関係会社の役職員や派遣社員等に対する教育・啓発の不足
役員・社員間や部署間の内部者取引に対する認識度合いに温度
差がある。
社内教育が形骸化するおそれがある
社内教育が形骸化するおそれがある。
33
Ⅵ. 各企業等のジレンマ
1.インサイダー取引発生のリスクと過剰規制



インサイダー取引の発生
インサイダ
取引の発生
は企業にとって致命傷
社内管理強化によるイン
サイダー取引の未然防止
は至上命題
部署・役職を問わず一律
ず
的な厳しい規制が必要


役職員の財産形成や
資金需要のために行
なわれる適切な自社
わ
社
株式売買のニーズ
同様に上場会社によ
る自己株式取得の必
要性
過剰規制にならないレベルでの社内管理の
線引きの難しさ
34
2.故意犯・確信犯と社内管理の限界

適切な社内管理
によってインサイ
ダー取引の未然
防止を図る


悪意をもった故意犯・
確信犯は会社への届
出は行なわない
他人名義売買などで
の隠蔽工作
①不必要な情報伝達を行なわない
②必ず発覚して刑事罰 課徴金の対象となり
②必ず発覚して刑事罰・課徴金の対象となり、
本人が職を失うだけでなく、勤務先への影響も
計り知れないことを認識させる
35
3.情報共有と漏洩・インサイダー取引

情報共有によって
社内の風通しをよ
風
くして業務に活用
する


役職員に情報管理の
意識がない
情報漏洩(意図的/無
意識問わず)とインサ
イダー取引の危険性
①過度な情報共有体制の検証
②情報管理体制の不備/意識の欠如とインサ
イダー取引は表裏一体
36
Ⅶ. 今後の社内管理の方向性



重要事実に接する可能性に応じたメリハ
重要事実に接する可能性に応じた
リ
リをつけた社内管理
企業レベルでの情報管理体制の構築と
個人レベルでの情報管理意識の育成
社内のインサイダー取引に対する意識・
理解・啓発
37
Ⅷ.インサイダー取引以外の不公正取引
法令違反行為がありますのでご注意!
1 相場操縦的行為
1.相場操縦的行為
A社株式を高値で売り抜
けるために株価を引き上
げてやる!



これ以上株価が落ちな
いように相場を固定し
てやる!
買付けの意思がないのに大量の高値の買付注文を発
買付け
意思がな
に大量 高値 買付注文を発
注して他の投資者に誤解させて高値注文を誘引し、そ
のあとで当初の注文を取り消す見せ玉(みせぎょく)
直前値段を上回る(下回る)価格で連続して売買して株
価を引き上げる(引き下げる)買上がり・売崩し
株価を一定水準に保つために大量の買付(売付)注文
を発注する安定操作取引 ほか
38
2.風説の流布
A社株式を高
値で売り抜け
たいわ・・・

A社から画期的な新製品が発売されて
売上げ倍増するという嘘の情報をネッ
トの掲示板に書き込めば、それを見た
人たちの買付注文が集まって株価が
上がるのよ!
自分の売買を有利に行なうため、相場を変動させる目的
で虚偽または合理的根拠のない情報(風説)を流すこと
罰則


相場操縦的行為、風説の流布のいずれも
10年以下の懲役、1000万円以下の罰金
これらの行為によって得た財産の没収・追徴
これらの行為によって得た財産の没収
追徴
課徴金制度 利益相当額を国庫へ納付
39
番外編
スペシャル
東証はどうやってインサイダー取引
を調査しているのですか?
上場会社に照会
証券会社に照会
→重要事実の検討経緯 →売買委託者(顧客)
重要事実に関与した
の氏名・住所・職業
の氏名
住所 職業
→重要事実に関与した
関係者リスト
など
分析
会社関係者の取引の有無を確認
必ず発覚します!他人名義でも1株でも!
40