115号 - 株式会社窪治組

人の和通信 ( 窪治 115号 )
残念なことですが今年も「暑い夏」がやって来てしまいました。
『猛暑』とか『熱中症』という言葉を聞くだけで、ますます体感温度が上がってきそ
うです。
右の図は今年の7月14日の気温の分布です。35℃を超える
赤紫の場所の何と多いこと。一体この先どうなるのでしょう。
下記の表は過去の最高気温のベスト5です。
順位
1
2
3
4
5
都道府県
地点
高知県
埼玉県
岐阜県
山形県
山梨県
江川崎
熊谷
多治見
山形
甲府
℃
41.0
40.9
40.9
40.8
40.7
起日
2013年8月12日
2007年8月16日
2007年8月16日
1933年7月25日
2013年8月10日
今年、記録を更新するのも夢では無さそうです。一体全体この暑い日、寝苦しい夜は
いつまで続くのやら・・・そこで少しでも涼しく眠れるような話しを探してみましょう。
昨年大ヒットした「アナと雪の女王」はその名前を聞いただけでも涼しそうです。同
じディズニーの作品には「白雪姫」「シンデレラ」「眠れる森の美女」「リトルマーメイ
ド(人魚姫)
」
「美女と野獣」
「アラジン(と魔法のランプ)」といった古典的童話を題材
とした物語も多く、ディズニーランドの人気と相まって、子どもたち(特に女の子)に
は物語に登場する愛らしいプリンセスが永遠のアイドルになっています。
最近ではストーリーとしても、もともとの童話よりディズニーのものが定番として定
着しています。しかし出典をひも解いてみるとそのストーリーはかなり異なっていたり
するのです・・・特に結末が・・・。
童話というものには「創作」もありますが「昔話や伝説」などをまとめた物も多いよ
うです。「昔話や伝説」は、もともと口承で語り継がれてきたものですから、似たよう
な物語が多く存在するのも不思議ではありません。
「シャルル・ペロー」や「グリム兄弟」はそういった話
しを『童話』として多く書き残しています。
面白い事に彼らは同じ物語を書き残していたりするので
す。
・・・
『シンデレラ』
・・・
『あかずきん』
・・・そしてチ
ャイコフスキーのバレエでも有名な『眠れる森の美女』を
「シャルル・ペロー」は同じ題名で、また「グリム兄弟」
は『いばら姫』として残しています。
有名な話ではありますが、簡単にあらすじを・・・
(ディズニー版で)
後継ぎのいないある王国に待望の王女が誕生しました。その王女の誕生の宴に招待さ
れなった妖精(悪い魔女)は王女に『16歳の誕生日までに糸車で指を刺して死ぬ』とい
う呪いをかけます。招待された妖精たちには呪いを解くことは出来ませんでしたが、な
んとか『死ではなく長い眠り』に。そして『真の恋人からのキスにより目覚める』と変
えられました。国王は国中の糸車をすべて焼き払いました。また魔女から守るため王女
は森の中で密かに良い妖精たちの手で育てられ成長していきました。成長した王女はそ
の森で一人の若者(王子)と出会い恋に落ちるのです。しかし魔女の策略で呪い通り王
女は16歳の誕生日の祝いの日に糸車で指を刺して眠りについてしまうのです。事の次第
を知った若者(王子)は魔女と戦い、見事魔女を倒し目覚めた王女とめでたく結ばれ
る・・・とまあこのような話しになっています。(グリム版もここで終わります)
・・・しかしまだ続きがあるのです・・・
王子と王女は二人の子どもにも恵まれ、幸せに暮らしていました。ある日王子が遠い
国に出かけます。すると王子の母が本性を現します。それが何と人食い鬼。そして二人
の孫(王子の子どもたち)を食べようとするのです。料理長は二人の子どもを匿い、子
ヤギを魔女に食べさせ誤魔化します。すると今度は子どもたちの母である王女を食べた
がります。王女も匿おうとした料理長だったのですが、子どもたちが生きている事がば
れてしまいます。そこで人食い鬼は大なべに湯を沸かし「三人とも茹でて食べよう」と
していたところに王子が戻ってきます。王子に追い詰められて人食い鬼は進退極まり、
自ら釜茹でになり死んでしまいます。その後王子と王女は子どもたちと幸せに暮らした
という話しです。
とまあ最終的にはハッピーエンドではあるものの
* 魔女と戦い王女を救った『典型的な王子様』の母が人食い鬼である
* 母の人食い鬼は孫や嫁を食べて(殺して)王子(息子)を奪い返そうとする
* 王子は家族を守るためとはいえ実の母を殺してしまう
あまり後味の良い話しではありません。少しは気持ちが涼しくなったかもしれません
が、安眠をもたらしてはくれませんでしたね。
昔話には王家が登場する話しが沢山あります。それはいつの世にも権力争いのためな
ら手段を選ばない、また庶民を尻目に好き勝手に贅沢三昧。そういう上流階級の人たち
への皮肉が込められていたのではないでしょうか。そういう庶民の気持ちを
表しているからこそ長い間語り継がれてきたのでしょう。
政治舞台の権力闘争はもううんざりですが、
この覇権争いでしたら誰も異論は唱えないでしょう。
夏将軍(熱中将軍)を早く倒して実権を握ってください。
・・秋ちゃん!・・・期待しています。
窪目 修一
編集後記
童話では無いのですが、
『小さい白いにわとり』の話が好きです。
小さい白いにわとりが、こむぎのたねをもってきて、みんなにむかって言
いました。だれがたねをまきますか。ぶたはいやだと言いました。いぬも
いやだと言いました。ねこもいやだと言いました。小さい白いにわとりは、
ひとりでたねをまきました。
・・・麦を刈って、粉に挽いて、粉をこねて・・・
小さい白いにわとりが、みんなにむかって言いました。だれがパンにやき
ますか。ぶたはいやだと言いました。いぬもいやだと言いました。ねこも
いやだと言いました。小さい白いにわとりは、ひとりでパンをやきました。
そして・・・・
小さい白いにわとりが、みんなにむかって言いました。だれがパンをたべ
ますか。ぶたはたべると言いました。いぬもたべると言いました。ねこも
たべると言いました。
もちろん私も「たべる」っていいます。そして一口食べて「バターある?」
って・・・「小さい白いにわとり」にはとてもなれない私です・・・
渡邉由美子
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