弁護士、法科大学院で中国法を学ぶ 内 山 宙 私が中国法に興味を持ったのは、顧問先の企業が中国に進出するという話を聞いたこと がきっかけでした。このようなケースでは、中国法を専門としている事務所に紹介するこ とが多かったかと思いますが、反面、費用もそれなりにかかってしまうという話も聞いて おりました。静岡県内の企業へのアンケートでも、中国とのビジネスについて関心が高い ので、何とか地元でニーズに応えられるようにできないかと考えておりました。 そうしたところ、平成23年後半になって、静岡県弁護士会が浙江省の弁護士会と友好 協定を結ぶ計画があると聞き、その話の中で、静岡大学法科大学院には中国法の講義があ ると知りました。そこで、伝手を頼って、聴講できることになりましたが、静岡県弁護士 会が浙江省律師協会と友好協定を結んだことをきっかけにして、最終的には、平成 24 年度 で、8名の弁護士が聴講することになりました。 中国企業法の講義では、中国独自の文化的背景、共産主義の中で発展した法制度と中国 伝統の法制度の関わり、日中の法制度の比較等を学びますが、大学で初めて法律に触れた ときのような新鮮な刺激を受けています。例えば、不動産の二重売買の事例で、第三者が 保護される場合について、日中の違いが議論になりました。このような場合に、聴講して いる弁護士から出る質問は、日本法との比較や実務経験から出てくるもので、実務家と一 緒に学ぶことは、学生にとっても刺激になっているのではないかと思います。 このように弁護士になってから再び法科大学院で学ぶことは、実は司法制度改革におい て、司法試験に合格した後の司法修習の期間が短くなる分、法科大学院でも継続教育を受 けていくという形で考えられていたものです。静岡県弁護士会でも、平成23年の総会決 議で、静岡大学に法科大学院があることは、静岡県の学生が法曹を目指すために必要だと いうだけでなく、継続教育を担う機関としても重要であると指摘しています。また、ます ます重要性を増していく県内企業の中国ビジネスを支えるインフラとして、この静岡大学 法科大学院の中国法講義は大きな役割を担っており、弁護士だけでなく、企業法務の担当 者の方にも聴講していただければと思います。 今年の講義が終わっても、聴講生で中国法の研究会を作って継続的に勉強したり、浙江 省の弁護士会と交流したりして、迅速に依頼者の要望に応えられる弁護士になっていきた いと考えています。
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