いわて技術フォーラム 報告 - R-NAC

いわて技術フォーラム 報告
日 時
場 所
出席者
(五十音順)
発表者と
その話題
報告者
平成 16 年 11 月 19 日(金) 18:30 ∼ 20:30
プラザおでって 特別会議室
出口 清悦(R)
、 伊藤 尚、 加藤 修、 上平 幸雄、 駿河 弘美、
高橋 潤吉、 保 憲一 :計 7 名
上平 幸雄 氏 (電気電子部門)
最近の配電自動化システムの話題 − 災害時の断線事故とその検出方法 −
駿河 弘美
発表者の上平氏は、大崎電気工業㈱で配電線の自動化システムの開発に従事されている。
生活に欠かすことのできない電気が、停電も無く安定的に届けられるためには、配電線の自動化
は不可欠であり、そのシステムの最近の開発動向について発表された。以下はその概要。
1 電力供給について
・ 電気の流れは、発電所 → 送電線 → 変電所 → 配電線 → 需要家 となっている。
・ 日本は諸外国に比べ年間停電時間が大変短く、世界一の電力品質といえる。
2 配電自動化システムについて
・ 配電自動化システムは、配電線事故による停電区間を極小化するもので、20 年以上前から導
入されている。
・ 配電線事故は短絡事故と地絡事故でその大半を占めるが、断線事故も稀にある。
・ 配電線事故の原因には、機器の劣化のほかに落雷、台風に伴う飛来物による断線などがある。
・ これまでのシステムでは、断線事故は検出されないため事故が発生しても電気が送り続けら
れ、切れた電線に触れた人が死傷する事故が発生している。
(別資料で 3 件の断線による感電
死傷事故例が報告された。
)
・ 現在、断線検出システムの開発が行われている。
・ 断線事故の検出には大きく分けて、電源側で行う方法と負荷側で行う方法があり、後者の方
がコスト的には割高であるが断線区間の判定が容易で、システムとして有望である。
・ 断線検出システムは、既存のシステムとも協調が可能であり効果が期待できる。
3 最近の配電自動化の話題
・ 東京電力では、断線事故と微地絡事故を監視するシステムの実証試験に入った。
・ 断線対策技術検討ワーキンググループが、電力中央研究所やメーカを中心に結成され、断線
事故による感電死傷事故対策への取り組みが行われている。
4 その他
・ 原因が特定できないまま事故が復旧してしまう「おばけ」と呼ばれる現象、誘導電動機が接
続された回路では電線が切断しても電圧が発生する現象など、電気特有の現象についても話題
提供があった。
・ 発表者の上平氏から、切れた電線には絶対に触れず、電力会社等に連絡するようアドバイス
があった。
・ スイッチ、開閉器、遮断機の違いや単相三線式と三相の違いなど、日頃疑問に思っているこ
とについての意見交換も行われた。
配電線自動化の技術開発が、公衆の安全を確保するとともに、停電の無い高品質の電力の供給に
寄与していることを認識した研修会であった。
いわて技術フォーラム