ポーランド大使館 ズウォティをユーロに替えるためには、法的変更 だけでなく、現金交換、財政・行政制度の変更、物 価換算プロセスのモニタリングなどに関する技術 ポーランドのユーロ導入ロードマップ 他のEU加盟国との経済成長の格差縮小を志向する 的・組織的な一連の準備が必要となります。 上記の条件と、 「ビッグバン」シナリオを基にした ポーランドは、経済の一貫した安定成長を促すため、 ユーロ流通をめぐる前提、そしてこれまでの実践を ユーロという欧州単一通貨圏への参加を経済政策の 考慮したうえで、ポーランドのユーロ導入に向けた 戦略的目標に掲げました。ユーロ導入は、為替リス 準備は以下のとおり4段階に分けられます。 クをなくし、取引経費を削減、外国貿易を伸長させ ・第1段階:ズウォティがERMⅡに組み込まれるま るなど、ポーランドにとって戦略的に有利に働きま で(2008年11月∼2009年6月) 。 す。同時に、直接投資の流入を増大させ、ポーラン ・第2段階:ズウォティがERMⅡに組み込まれたと ド企業にとっては巨大EU資本市場へのアクセスがよ きから、ECOFINによるユーロ参加国としての認 り容易になるでしょう。また、ユーロ導入は、ポー 定まで(2009年6月∼2011年6月) 。 ランドがEUの経済と意思決定構造にこれまで以上に 参加することを意味します。 マーストリヒト条約にのっとり、ポーランドがユ ・第3段階:ECOFINによるユーロ参加国としての 認定から、ユーロ圏に加わるときまで(2011年) 。 ・第4段階:ユーロの流通への導入とズウォティの ーロを導入するためには、経済収斂基準を満たし、 流通からの回収(2012年1月1日) 。 またその他の形式的条件をクリアしなくてはなりま 詳細は、駐日ポーランド共和国大使館のWebサイ せん。経済収斂基準はユーロ圏の国々の安定的・非 ト(www.tokio.polemb.net)にて2008年10月にポ インフラ的経済成長のための条件を確保するために ーランド財務省が発表した財務省参考資料(和文・ 定められました。それらを満たすことは、ポーラン 英文) 「ポーランドのユーロ導入ロードマップ」をご ド経済がユーロ圏参加に不可欠な成熟度に達したこ 覧いただくか、駐日ポーランド共和国大使館経済部 とを証明するはずです。ポーランド政府は、2011年 (TEL:03-5794-7020、E-mail:ekonomia1@ にこの経済収斂基準を満たし、2012年1月1日のユ poland.or.jp)へお問い合わせください。 ーロ導入を目標としています。 現在ポーランドは、4つの経済収斂基準のうち、 物価、財政、金利の3つの基準は満たしています。 クリアしていないのは、為替安定基準ですが、それ は、ポーランドの通貨であるズウォティが欧州為替 相場メカニズム(ERMⅡ)に加わっていないためで す。また、EUに関する条約108条・109条の例外規 定、欧州中央銀行制度(ESCB)と欧州中央銀行 (ECB)議定書によって定められた加盟国の国内法と の整合性を保証するという面でのすべての要求を満 たすには至っていません。 ポーランドがユーロを導入するためには、国内法 に一連の変更を加えることが必須条件ですが、それ は一方ではマーストリヒト条約の批准、ならびに ESCB・ECB議定書に対する国内規制の整合性を保 証するうえで有効であり、他方ではズウォティから ユーロへの転換プロセスの法的枠組みをつくるうえ でも有効でしょう。 2009.1 1
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