薬剤師が考える「薬剤師と薬局」の理想像と患者ニーズの比較 田村宏平

薬剤師が考える「薬剤師と薬局」の理想像と患者ニーズの比較
田村宏平 1), 今村陽子 1), 大道寺重明 1), 高澤絵里子 1), 高野貴幸 1),
津野真斗 1), 山口裕貴 1), 渡邊智香 1), 後藤邦彦 1), 関口知行 1), 小林 範博 1)
1) 株式会社ダイチク
【目的】患者からの薬剤師に対するニーズを把握することは重要であり、薬剤
師自身が考えている理想の薬剤師像と患者ニーズとに差異が生じれば、患者が
満足する服薬支援を行うことは困難である。そこで本研究では、患者と薬剤師
の双方に意識調査を行い、その結果から服薬支援を充実させることを目的とし
た。
【方法】当社 37 店舗に平成 25 年 8 月 6 日~8 月 13 日の期間で来局された患者
に、
「薬剤師に求める能力」や「薬局に求めるもの」に関するアンケート調査を
実施した。また、当社薬剤師に対しても「理想とする薬剤師に求める能力」や
「理想とする薬局に求めるもの」についてアンケート調査を実施した。
【結果】来局患者 695 名と薬剤師 154 名から回答を得た。
「薬剤師に求める能力」
については、患者、薬剤師ともに“親切、気配りのある薬剤師”(患者 26.7%、
薬剤師 30.7%)、
“知識が豊富な薬剤師”
(患者 24.9%、薬剤師 30.5%)、
“話をよ
く聞いてくれる薬剤師”(患者 22.3%、薬剤師 26.7%)の順に回答が多かった。
「薬局に求めるもの」については、患者、薬剤師ともに“待ち時間が短い”
“病
院から近い”の順に多く、年代に比例して病院から近いことを重要視する傾向
があった。
【考察】
「薬剤師に求める能力」に関する患者ニーズと薬剤師自身の理想像の間
に大きな違いはなく、患者は薬剤師に気配りや傾聴の姿勢を求めており、薬剤
師も患者ニーズを自覚していることが分かった。一方、
「薬局に求めるもの」と
しては、薬剤師、患者ともに待ち時間の短縮を最も重視していた。したがって、
患者との対話を短縮することなく待ち時間を短縮することが必要であり、処方
せん受付時の先確認や時間がかかる患者への声掛けや待ち時間のアナウンスを
行うことで体感待ち時間を短縮するとともに、調剤業務作業の適正化や効率化
により実質待ち時間も短縮することが重要と考えられる。
(第 8 回日本薬局学会(2014 年 11 月, 広島)にて発表)