第 四 回 天 神 祭 短 歌 大 賞 ・ 短 歌 ウ ィ ー ク 賞 入 選 作 品 第四回

たこやきは小さな玉でできている玉の中身
玉が今はじけます︵西村湯呑︶
みはまほうの味だ︵上田俊輔︶
夕暮れのひとつひとつが提灯に閉じ込めら
道端のおばちゃんいつもハイテンションい
れているような夜︵木下龍也︶
きなり人に話しかけてる︵石川春樹︶
提灯の灯りがにじむ水面にもビブラートす
もひとつせえもひとつしたら目にも見よ龍
大川の花火を見ようと外へいく家にかくれ
る﹁ワッショイショイ﹂︵溝口
敬子︶
が乱舞の天神祭︵宮本史一︶
て何も見えない︵村松朋彦︶
お祭りが終わる
真白き狐の面はずすあな
手を引いて煌めく夜の波を縫う
小柄な君
たこやきを毎日食べてるわけではないおし
たに初めて逢える︵飯田彩乃︶
とはぐれぬように︵綿津見︶
いれの中にたこやきき︵芦田貴洋︶
帰り道を急ぐその日のおしまいに夜の代わ
お祭りのはてを探してふたり手をつないだ
阪神戦テレビをつけてみたけれどあっまち
りのお祭りが来る︵牛隆佑︶
ままでどこまでも行く︵ひらかや友里︶
がえた今日デーゲーム︵藤本和希︶
一枚の夕暮れを着る母親の裾を小さな手は
コンビニの前でラムネを売っていて今年は
お茶の間でいつもみんなを笑わせる合い言
離さない︵木下龍也︶
それがお祭りでした︵実山咲千花︶
葉は﹁なんでやねん﹂︵鹿島未由︶
留守電に残る花火を聞くたびに耳の奥から
夏祭りわたしの誕生プレゼントに屋台のひ
夕方を通りすぎてく夏の風
笑顔あふれる
よみがえる夏︵空木アヅ︶
よこせがみし日を思う︵朝羽いむ︶
おおさかの町︵松本美憂︶
宵宮へつづく参道手をひかれ祭囃子はふい
天神祭
浴衣姿に動く胸
時が流れて気付
一
般
部
門
入
選
テ作
ー品
マ
﹁
祭
﹂
﹁はぐれなや﹂ってうちは子どもか宵宮の
天神さんで手ぇ握られて︵龍翔︶
に色めく︵香村かな︶
く初恋︵高久あい︶
すくわれし金魚たちはどこへゆくみな幸福
夕暮れの質屋にライカ見ておれば昭和通り
7月の夜空に浮ぶ満開の花火に見とれるあ
になりますやうに︵石塚 あかり︶
に祭り稽古の音︵六月朔日
光︶
つい夏の日︵木内望愛︶
はつ夏の祭囃子の練習の太鼓の音が熱を帶
八軒家浜に行き交う船渡御の手締めにゆれ
毎年の天神祭り楽しみで三日前にはゆかた
びゆく︵佐藤博之︶
る川面の灯り︵島田栄治︶
を選ぶ︵中南彩夏︶
くちびるにさつと構へる横笛に竹のにほひ
お祭りの輪を抜け出してスーパーでいつも
大阪の海はにぎわいよごれてるつった魚を
のする祭なり︵清水良郎︶
通りの買い物をする︵実山咲千花︶
食べる気しない︵敷野寛明︶
人波にわれに手を振るきみのゐて祭囃子の
寄せる波また返しては寄る人の海を知らな
太陽の塔は顔が三つある一つを見るとどれ
終はらない夏︵太田宣子︶
い塩焼きの鮎︵葛紗︶
かかくれる︵廣田歩実︶
石段のてっぺんに立ち神さんとぼんやり光
からん、って下駄をならした
ゆっくりと
おおさかと節がひらひらおどってる まある
る祭り見下ろす︵紫陽花︶
歩いてほしいとは言えなくて︵逢︶
いたこやき心もまあるく︵齊藤理英華︶
浴衣着てくればよかったあんず飴さしだす
いま君も花火の匂い残る髪ほどいて天井眺
おおさかで心踊るは道端の店何を買おうか
いつもの指がやさしい︵こゆり︶
めていますか︵安藤
久恵︶
何食べようか︵阿部百花︶
しあわせ
むらくも
群衆の叢雲に立つ龍をどり天突くほどに昇
名物はたこ焼きイカ焼きお好み焼き炭水化
りゆきたり︵島田栄治︶
物あぁ太りそう︵坂元美咲︶
目をつむる君を見たのは初めてでまた手を
おっちゃんが﹁あほあほ﹂連呼おばちゃんが﹁あ
合わす神さまのまえ︵飯田和馬︶
帰り道背に負ぶさりて眠る子の夢まで続く
祭り囃子は︵紫陽花︶
子
ど
も
部
門
テ入
ー選
マ作
﹁品
大
阪
﹂
第四回天神祭短歌大賞・短歌ウィーク賞入選作品
冬の日のぬくもりぎゅっと詰めこんだ三尺
んたそれしか言うことないんか﹂
︵口野紋歌︶
浴衣着て屋台を回るやっぱりか毎年恒例ゲ
タの痛み︵中西恵︶
車止め交差点に踊り出づ神輿半纏﹁若﹂の
おばちゃんのカバンの中はアメちゃんだ種
大阪のたこ焼きやっぱり絶品で食べられる
字の舞う︵藤井
泰子︶
類の数は年の数かな︵岡林翼︶
なら千キロでも行く︵北川真衣︶
夜の香が誘うあなたの胸中に引き寄せられ
引っこしは命かけてもしたくない何でか知
チリチリと鈴鳴りながら傘を持ち今年も躍
てうちわを落とす︵こゆり︶
らん岸和田が好き︵福島悠人︶
る笑顔で﹁そーれ!﹂︵勝田舞︶
残像の美しい夜目を閉じたあとの花火のほ
おおさかの都会と違ってその音に足を早め
おおさかでたこやき探し夏の暮れからす渡
うが大きい︵鈴木晴香︶
る盆の朝焼け︵中村実恵︶
りし人の影なり︵阿部翼︶
ああ娘しろき素足のそのままに天神橋をカ
校舎からいつも見えてるハルカスのてっぺ
知らん人でも笑っておはようさん
みんな
ラコロゆきぬ︵草野浩一︶
んのぼってとおく見たいな︵ささきみう︶
笑顔でええおおさか︵加藤由佳︶
ギャルみこし見つめる夫の笑顔さえなぜか
大川はきたないけれどみんながね気を使っ
あの塔はどっちが顔や思うのは自分だけか
許せる天神祭︵木内 美由紀︶
たらきれいになるよ︵戸嶋将太︶
と不思議ながめる︵高垣麻奈美︶
お母さんちょっと教えてほしいんだこれの
おおさかの出店に入る帰省かなきらりと光
初めての金魚すくいや夏光りとなりで歩く
着方と男子について︵中牧正太︶
る目尻の涙︵山口紗弥加︶
祭りが一つ︵桑山沙也香︶
人混みが苦手な君を誘えずに今年も山田と
堺市にすごく大きい鍵の穴その大きさにみ
船の上きれいな花火が大はく力いまにも私
買うりんごあめ︵都季︶
なが驚く︵井上結加里︶
にふってきそうだ︵峰松恭子︶
車窓から花火が見えて5秒後にそのふもと
ポイ捨てで天神祭が汚れてく天神さんも顔
お好み焼き焼き方うるさい大阪人
混ぜ方
からメールが届く︵岡野大嗣︶
を曇らす︵山本慎人︶
焼き方いちいちうるさい︵余頃心︶
見上げれば夜鷹が空を飛んでいる呼ぶ笛の
大阪の夜空にひかった大輪の花火は心には
花火みて小さな影がジャンプするおおさか
音も聞こえぬふりで︵橋爪朝寿︶
なを咲かせる︵山中麻由美︶
旅行に喜び跳ねる︵落合里穂︶
お祭りが終わっても好き
この胸に太鼓の
たこ焼きは冬がおいしいお好みも冬がおす
母の焼くお好み焼きの香りしてまちきれへ
音がまだ続いてる︵百田きりん︶
すめぼくは冬生まれ︵福島悠人︶
んと深呼吸する︵高瀬瑛樹︶
こっそりと渡されしメモに﹁はぐれたら天
おおさかの川に預けた我が罪の悔やむ思い
通天閣ビリケンさんの足さわりこれから
満宮の大門で﹂とあり︵船戸
幾代︶
は今なお眠る︵石井純玲︶
ずっといいことたくさん︵中野智美︶
この身をも一つの船と思うとき祭囃子に沸
木の葉舞うしらずしらずに時が立ち虹のか
新世界いつもは車で通るけど歩いてみると
き立つ光︵星乃咲月︶
かりしおおさかは二時︵柏村翔︶
いつもと違う︵森太陽︶
お囃子が静寂ののち轟けり君が差しだす手
おねえさんよびかけてみるトラガラのふり
今年こそ天神祭の花火を見ようでも高層ビ
に触れたとき︵姉野もね︶
むくかおはおばちゃんだ︵渡邉千菜︶
ルで全くみえず︵三宅千里︶
来年も共に花火を見れるよう祈り続けたあ
商店街長さは日本一だけどにぎやかさは世
生駒山夕涼みに行く夏休み地球にやさしい
の日を想う︵光永 由美︶
界一︵星山衣舞︶
自然のクーラー︵小松莉理子︶
真夜中の冷蔵庫にはりんご飴ひとくちかじ
大阪はみんな陽気でやさしくて感謝の気持
日本一展望台から大阪の未来が見えるあべ
ればお囃子が鳴る︵リオ︶
ちわすれまへんで︵藤木優成︶
のハルカス︵川邉みなみ︶
まだきっと終わりじゃないよ
もういちど
行かないが気持ちが高ぶる祭の日
終わる
花火は上がる︵そしたら言える︶
︵西村湯呑︶
と何が虚しい気持ち︵岩倉雅治︶
つま