日鉄鉱業は、かつて釜石鉱山(岩手県釜石市)で鉄鉱石や銅鉱石などを採掘していました。 約 150 年もの長きに亘り掘り進められた坑道の総延長は 1,000km 以上。 南北8km・東西4km の範囲に海抜 150ML から 980ML までいくつもの階層に分かれた坑 道が、まるで巨大な蟻の巣のように広がっています。 現在、これらは貴重な地下空間として企業や研究機関など各方面に利用されて いますが、それは全体のほんの一部に過ぎません。 今回アイディアを募集する空洞は、枯松沢隧道(かれまつざわずいどう)です。 南北5km 以上に亘り一直線に延びるこの隧道は、1993 年の大規模採掘終了 とともに一旦その役目を終えましたが、このたび新たな使命を求めることとなりました。 みなさんからどんなアイディアが寄せられるのか。 今からとても楽しみでなりません。 日鉄鉱業株式会社 1.募集概要 当社の所有する枯松沢隧道(岩手県釜石市)は、標高 320m に位置し、南北水平に延びる トンネルであり、その直線の長さが5Km を超える非常に大規模なものです。また、すべての 区間が地中であるため、年間を通じて平均気温 12℃~13℃前後で推移し、かつ安定した湿度 に保たれています。 このような環境は全国的にもとても珍しく、また貴重な地下空洞であることから、企業や研 究機関など、皆様に各種実験場や事業活動の場としてお役立ていただきたく、広く利用アイデ ィアを募集します。 2.釜石鉱山の歴史 江戸時代から始まり、明治・大正・昭和と日本の製鉄の発展とともに歩んできた釜石鉱山。 良質な鉄鉱石を産出する釜石鉱山は、「鉄の町」釜石を、そして日本の製鉄を百年以上に亘 り支えてまいりました。 盛岡藩士大島高任が大橋に洋式高炉を築造し、鉄鉱石を原料として出銑に成功す 1857 年 る(これを記念して 12 月1日は鉄の記念日となっている)。これを契機に大橋 (安政 4 年) に3座、橋野に3座、佐比内に2座、栗林及び砂子渡に各1座、計 10 座の高炉 群が幕末に築造され、我が国近代製鉄業の礎となった。 1874 年 (明治 7 年) 1876 年 (明治 9 年) 1939 年 (昭和 14 年) 1952 年 (昭和 27 年) 1979 年 (昭和 54 年) 1989 年 (平成元年) 1992 年 (平成 4 年) 1993 年 (平成 5 年) 明治政府により官営製鉄所となる。(後、1883 年に官営製鉄所閉鎖) 鉱山と釜石市を結ぶため、日本で 3 番目となる鉄道、釜石鉄道が起工される。 日本製鐵(株)より分離独立して日鉄鉱業(株)が創立。 同年 5 月、日鉄鉱業(株)釜石鉱業所となる。 銅の選鉱場が作られ、鉄・銅併産体制が確立する。 釜石鉱業所が日鉄鉱業(株)100%出資の釜石鉱山(株)に引き継がれる。 鉱泉水(仙人秘水)の製造を開始する。 銅鉱石の採掘を終了する。 大規模な鉄鉱石の採掘を終了する。 新鉱山・鉱泉水・地下空洞跡地利用の事業を展開。現在に至る。 (現在でも年間約 100 トンの採掘を行なっています。 ) 3.枯松沢隧道の概要 釜石鉱山で発生するズリ(尾鉱)を枯松沢堆積場まで運搬するため、選鉱場側(大橋)と堆 積場側(枯松沢)を結んだ隧道で、1973 年 11 月に掘削が開始され、1975 年5月に完工、 1977 年に供用開始されたものです。 この隧道は南北に 5,178m の長さを誇り、隧道の高さは最高部で約9m、最低部は約3m、 横幅は最大約9mで平均約3mです。 なお、2014 年8月、隧道内に残置していたベルトコンベア等の機械類の撤去が完了いたし ましたため、隧道の有効活用の幅はさらに広がることとなりました。 (注)本件隧道は、現在、鉱山保安法の適用を受けるものではありません。 4.釜石鉱山での地下空洞活用事例 ・鉱泉水製造 ・音響実験 ・照明実験 ・水力発電 ・しいたけ栽培 ・酒貯蔵試験 ・弾性波研究 ・地震観測 ・岩盤亀裂試験 ・地下水利研究 など 音響実験施設 水力発電施設 鉱泉水製造施設 5.アイディア窓口(お問い合わせ先) 日鉄鉱業株式会社 総務部 枯松沢隧道利用窓口(担当:笹原) (住 所)〒100-8377 東京都千代田区丸の内二丁目3番2号 郵船ビル6階 (電 話)03-3284-0516 (FAX)03-3216-8284 (E-mail)[email protected] 以 上 釜石市位置図 枯松沢隧道位置図
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