酸化還元反応 ――金属の還元を実験で確認する―― 浜田志津子 Some experiments on oxidation and reduction of metal Shizuko Hamada 指導内容 1.酸化とは酸素と化合すること。 金属原子が酸素と化合することを酸化といい、酸化物から金属の単体になる ことを還元という。 2.酸化・還元とイオン 酸化物中では金属元素は陽イオンの状態である。すなわち、金属原子は、酸 化されるときに電子を失っている。酸化物だけではなく、金属元素は化合物中 では陽イオンになっている。 そこで、酸化されやすい金属は、イオンになりやすい元素であり、酸化され にくい金属はイオンになりにくい元素である。イオンになりやすい金属は化合 物になりやすいと言える。 代表的な金属を水溶液中でのイオンになりやすさの順に並べたものをイオン 化列といい、次のようになる。水素も陽イオンになるので、比較のために入れ てある。 K、 Ca、 Na、 Mg 、 Al、 Zn、 Fe、 Ni、 Sn、 Pb、( H2)、 Cu、 Hg、 Ag、 Pt、 Au イオンになりにくいものほど、その酸化物から単体を取り出しやすい。 実験1 酸化銀を熱分解する 2 Ag 2 O → 4 Ag + O 2 銀が化合していた酸素を失っているので、銀は還元されている。 使用器具・薬品 酸化銀、試験管、スタンド、ゴム栓付き気体誘導管、三脚、アルコールラン プ、集気瓶、集気瓶のふた、水槽、マッチ、マッチストライカー、燃え差し入 れ、線香、ブザー、電池、導線 操作 1.黒い酸化銀には、電流が流れないことを調べる。 (金属の性質はない) 2.加熱する試験管をスタンドにセットし、アルコールランプ、三脚の位置を きめる。 3.発生する気体(酸素)を水上置換で集気瓶に集める準備をする。 4.酸化銀をアルミ箔の船に乗せ、試験管に入れる。 (生徒に確認させながら、指導者と一緒に行う) 5.試験管にゴム栓付き気体誘導管をつけ、アルコールランプに火をつける。 発生した気体は、水上置換で集気瓶に集める。 6.黒い酸化銀が全部白くなり、気体が発生しなくなるまで加熱する。 火を消す前に、気体誘導管(ストロー)を水から出すこと。 7.火のついた線香を集気瓶の気体に入れて、酸素であることを確認する。 8.加熱した試験管が熱くないことを確認してから、試験管をはずし中のもの を取り出し、電流が流れることを調べる。 ( 固 め る と 、 銀 色 の 金 属 光 沢 が 見 ら れ る 。) 実験2 銀 鏡 反 応 ( 硝 酸 銀 水 溶 液 か ら 銀 を 取 り 出 す 。) AgNO3 水 溶 液 の Ag + が 銀 Ag に な る 変 化 も 、銀 の 化 合 物 か ら 銀 が で き る の で やはり還元である「 。 還 元 さ れ る と き は 電 子 を 受 け 取 る 」と 考 え 方 を 拡 大 す る と 、 酸素を失う場合もこの中に含まれる。 2 [Ag(NH 3 ) 2 ]OH + R- CHO → 2 Ag + RCOONH4 + H 2 O + 3 NH 3 使用器具・薬品 硝酸銀水溶液、ブドウ糖水溶液、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、 試 験 管 、試 験 管 立 て 、注 射 器 形 ピ ペ ッ ト 、2 0 0 m L ビ ー カ ー 、ビ ー カ ー 立 て 、 感光器 操作 1 . 硝 酸 銀 水 溶 液 を 試 験 管 に 入 れ 、 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 を 1 ・2 滴 加 え る 。 2 .ピ ペ ッ ト で ア ン モ ニ ア 水 を 2 m L 取 り 、0.5m L 加 え て 良 く 振 り 混 ぜ る 。沈 殿 が 消 え な い と き は 、 さ ら に 0.5m L 加 え て 繰 り 返 す 。 沈 殿 が 消 え た と こ ろ で 加 え る の を や め る 。( で き た も の を ト レ ン ス 試 薬 と い う ) 3.ビーカーにお湯を入れ、ビーカー立てに置く。 4.ブドウ糖液をトレンス試薬に加えて軽く振り混ぜ、すぐにビーカーのお湯 につけ、しばらく静置する。 5.試験管の様子を感光器で調べる。試験管の中の液を捨てても、感光器での 観察は同じことから、光を遮る固体が試験管壁についていることが分かる。
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