防犯のまちづくりマニュアル-まちの防犯診断に役立ちます

平成17年4月
みんなで防犯
埼 玉 県 警 察 本 部
防犯のまちづくり推進室
索
引
【はじめに】
提案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
<防犯診断・話し合いによる
問題解決型の防犯のまちづくり>・・1
<期待できる効果?>・・・・・・・・・・・・・1
【作業手順】
§1 まちを歩いて、まちの防犯診断を行う・・・・・・2
<観察のポイント>・・・・・・・・・・・・・・2
<注意事項>・・・・・・・・・・・・・・・・・3
§2 診断結果を踏まえて、防犯対策を話し合う・・・・3
<話し合いの進め方>・・・・・・・・・・・・・3
<対策の取りまとめ表の記載例>・・・・・・・・5
<事前の準備要領>・・・・・・・・・・・・・・6
<日程表の記載例>・・・・・・・・・・・・・・7
【おわりに】
できることから取り組んでみませんか・・・・・・・・8
<先ずは、最初の一歩>・・・・・・・・・・・・8
<地域安全マップをつくってみませんか>・・・・8
<活動事例>・・・・・・・・・・・・・・・・・9
<地域安全マップの記載例>・・・・・・・・・・10
【 は
じ
め
に 】
〔はじめに〕
犯罪を未然に防止するためには、どのようなところで犯罪が起
こりやすいのかを知り、犯罪が起こりやすい状況(犯罪の機会)を
取り除くという対策を考える必要があります。
このような対策を進める一つの方法として、みんなでまちを歩
いて、地域のどのようなところに防犯上の問題があるのかを点検
し、その改善策をみんなで話し合い、解決を図るという取り組み
を進めてみませんか。
提
案
<防犯診断・話し合いによる問題解決型の防犯のまちづくり>
実際にまちを歩いて、まちの防犯診断を行う
(P2∼)
防犯診断に基づいて、みんなで改善策を話し合う
できることから取り組む
(P3∼)
(P8∼)
診断結果をみんなに知らせて、情報を共有する
みんなで問題点の改善に取り組む
< 期 待 で き る 効 果 >
犯罪が起こりやすい場所を知ることができる
防犯診断に参加すると危険回避能力が身に付く
地域の良好なコミュニティが形成される
みんなで行動することで、地域に対する愛着心が育つ
「防犯のまちづくり」が着実に前進する
問題を意識し、話し合うことで、防犯のまちづくりが
進む
−1−
【 作
業
手
順 】
§1 まちを歩いて、まちの防犯診断を行う
1
数班に分かれ、まちを歩く(パトロールする)
班長を決める、できれば防犯腕章等を着装する。
2
防犯上、改善した方が良いと思う所を観察する
下表のポイントに基づいてまちを観察し、気になるこ
とをメモし、必要に応じて撮影する。
< 観
察
の
ポ
イ
ン
ト >
「犯
人」に なったつもりで
やり易い、見つからない、逃げやすい。
「被害者」になったつもりで
不安、逃げられない、助けを求められない。
犯罪が起こりやすい場所
助けを求められる場所
(管理が行き届いていない所)
(手助けをしてくれる・人目がある所)
暗い、見通しが悪い
警察署・交番、消防署
照明がない(不十分)
建物や高い塀に囲まれ
郵便局、病院
ている。
木枝が伸びている。
子ども110番の家
汚い
ポイ捨て・落書き・張
コンビニエンスストア
り紙
無関心
ガソリンスタンド
放置自転車・路上駐車
出入り自由な空き地、
理容店
空き屋
など
その他(心配・不安)
少年の溜まり場
など
−2−
< 注
意
事
項 >
まちの観察に気を取られて、怪我や事故のないように!
班全体の動きを見て引率する人を置くと、より安全!
受傷事故防止
トラブル防止
周囲の状況に注意する
挨拶を励行する
交通車両(自動車・オー
無断で立ち入らない
土地、建物、車両等
トバイ・自転車等)
地形、配置物(段差、突
無断で撮影しない
家の中、人の顔、車両ナ
起物等)
出入口や道路上に立ち止
ンバー等(プライバシーの侵害
まらない
に注意)
夜間の場合は、反射材を
身に付け、懐中電灯を持つ
人の嫌がることを聞き出さ
ない、他人に話さない
被害体験、人の名誉を傷
つけるようなこと。
§2 診断結果を踏まえて、防犯対策を話し合う
1
班ごとに話し合う
2
全体で話し合う
< 話 し 合 い の 進 め 方 >
簡潔な発言に心掛ける
ことさら批判したり、責任追及しない
自由、活発かつ建設的な話し合いをする
アイディアを出し合う・・・・・・次につなげる
−3−
1
班ごとに話し合う
(地図を囲んで、問題点と改善策を整理する)
① 問題点と改善策(対策)を付箋に記載する
参加者が場所ごとの問題点と改善策を付箋に記載する。
問題点、改善策とも1枚に1項目だけ記載する。
②
記載した付箋を問題の場所ごとに整理する
みんなで、話し合いながら、地図上の問題の場所付近に
問題点と改善策を整理しながら仮貼りする。
<問題点の付箋の整理例>
〇〇公園<改善策の付箋の整理例>
<Aさんの意見>
・ 植栽で見通しが悪く、子どもが連
れ去られても気がつかない。
<Aさんの意見>
・ 市役所に枝の剪定をお願いする。
<Bさんの意見>
・ 落書き消し隊を結成する。
<Bさんの意見>
・ 落書きがひどい。タバコの吸殻が
多い。近所の人は、夜暴走族が集ま
って騒々しいと話している。
<Cさんの意見>
・ 空き家への出入りが自由。
子どもの溜まり場になっているよ
うだ。
③
<Bさんの意見>
・ 近所の人に通報をお願いして、警
察に補導してもらう。
<Fさんの意見>
・ 空き家の持ち主を市役所に調べて
もらい、自由に出入りできないよう
に連絡をとってもらう。
地域で取り組むべき対策についてまとめる
優先度の高いものを絞り込む。
2 全体で話し合う(地域の防犯対策を話し合う)
① 各班が問題点と改善策を発表する
区域の主な問題点と具体策を簡潔に発表する。
② 地域全体で取り組むべき主な対策について話し合う
地域で優先して改善すべき具体策について話し合う。
結果を表にまとめると今後の取組みに有効活用できる
−4−
< 対策の取りまとめ表の記載例 >
問題の
場 所
地域 地点
問
改善策(対策)
題
何
見通しが悪い
子どもの誘拐が
心配。
・ 管理者が剪定する。
早
急
民
アドプト制度の構築
・ 管理者等に提案する。
市役所
見守り隊や落書き消し
空き家の管理が
要準備
要準備
隊の結成
・
子どもの溜まり
場になっている。
いつ
剪定する。
場となっている。
〇〇 〇〇
地域 公園
市役所
・ 管理者と話し合い住民が 住
書きで汚い。
悪い
誰が
植込みの剪定
ごみ、吸殻、落
暴走族の溜まり
を
とりあえず、清掃活動
住
民
早
急
を行う。
・
火事が心配。
ボランティア登録制度
〇〇〇
要準備
警
察
早
急
住
民
早
急
を構築する。
街頭補導を強化
・
警察のパトロールを強
化してもらう。
・
警察への通報を付近住
民に依頼する
・
少年非行防止ボランテ
〇〇、
ィア、PTA、学校の先
〇〇〇
要準備
生にも巡回してもらう。
・
空き家の所有者に連絡
〇〇〇
早
急
・・・
・・・
して、改善してもらう。
〇〇 〇〇
地域 道路
※
暗い。・・・・
・・・・・・
・・
アドプト制度とは
市民が、身近な道路や公園などの一定区画を自分の養子のように愛情と責任を持っ
て面倒を見る制度で、道路や公園の管理者である自治体と市民ボランティア等がパー
トナーとなって美化活動を行なっている例があります。
−5−
< 事
1
前
の
準
備
要
領 >
防犯診断の地域・区域を決める
①
防犯診断の地域を決める
犯罪の発生状況や、住民の不安感に対する声などを考慮する。
1時間∼1時間半内でゆっくり歩ける範囲とする。
②
防犯診断地域を数カ所(2∼3)の防犯診断区域に分ける
数区域に分け、防犯診断の順路を決める。
③
スタッフは、できれば、事前に実地踏査する
防犯診断地域を安全に案内できるように下見する。
2
実施日を選定し、会議室を確保する
①
天気予報を参考にして実施日を決める
雨が強いと視界が悪く、危険度が高まる。
②
会議室を確保する
防犯診断地域に近いところを選定する。
参加人員を考慮して選定する(各班が地図を広げて話し合いができる)
地図を掲示できるホワイトボードのある会議室を選ぶ。
3
参加者を募集する
①
防犯診断地域の自治会やPTA等に呼びかける
②
行政機関(自治体、警察)等にも呼びかける
市町村の防犯、コミュニティ、道路・公園等の担当や警察署の生活安全課に
も事前に相談する。
4
資器材、資料を用意する
①
防犯診断を行う地域の地図(住宅地図や町内会の地図)
検討会や発表会で使うもの(大きめのもの)。
②
メモ用紙型付箋紙(のり付けできるもの、○色1セット×○班)
問題点、改善策を付箋に記載して整理するためのもの。
③
サインペン(参加人員分)
問題点、改善策を付箋や地図に記載するためのもの。
④
カメラ(×○班)
ポラロイドカメラがあると地図に貼り付けて発表できる。
パソコン等を用意できればデジタルカメラでもよい。
後の取組みに備えて資料化する。
⑤
防犯腕章
防犯パトロールにもなり、活動をアピールできる。
5
日程表や防犯診断の経路を示した地図を用意する
−6−
< 日 程 表 の 記 載 例 >
平成17年〇月〇日( )
〇〇会「まちの防犯診断」日程表
集合(集合場所:〇〇公民館)
13:00
受付は12:30から
13:05∼
13:10∼
開会(〇〇〇〇)
説
明
班編成、実施要領・注意事項
防犯診断(現地調査)
順路
13:30∼
別添地図参照
1班、2班はA地区から診断
3班、4班はB地区から診断
15:00∼
16:00∼
17:00∼
17:15
班別の話し合い
問題点と改善策の整理・検討
班別の発表会と全体の話し合い
閉
会
②
ボールペン
【準備する物】
① メモ用紙
まちの観察で、各自が気づいたことをメモするため。
② ・・・・・・・
【注意事項】
①
受傷事故防止・・・・・・・
②
トラブル防止・・・・・・・・・
−7−
【 お わ り に 】
できることから取り組んでみませんか
< 先 ず は、最 初 の 一 歩! >
どんな問題を改善して、どんな地域にしたいですか
それには、どのような活動が必要でしょうか
誰が動き、誰が協力する必要があるのでしょうか
代替え策はないのでしょうか
問題は複雑かもしれません
でも、できることから始めてみませんか
個人でできることは
地域でできることは
行政機関に提案・要望することは
<地域安全マップをつくってみませんか>
∼地域のみなさんにまちの状況を知らせる∼
① 大型の模造紙に道路や建物を描く
(又は、白地図を用いる)
<活用策Ⅰ>
地域安全マップ ② 地図に写真や記号を用いて、危険や不安を感じる場
所を記す
を用いて発表会
③ 住民のみなさんを招待して発表会を開く
① 地域安全マップの配布用を作製する
<活用策Ⅱ> ② 地域に周知する
自治会で回覧する(各戸に配布する)
地域安全マップ
を配布
ホームページに搭載する
自治体や警察にも提出する
<注意>
プライバシーに関することは地図に記載しない
−8−
< 活 動 事 例 >
活 動 内 容
問 題 点 と 解 決 策
人が集まらない、続かない
活動日を事前に示し、集まれる人で
・
固定+その日都合の良い人
パトロールに参加できない方を理解する
・
裏で支える仕事(チラシづくり、手作り腕章)
等パトロール以外を分担できる方も多い
パトロール等
ライフスタイルに合わせて行う
・
散歩・ジョギング、犬の散歩
初めてなので、要領が分からない
警察署に相談し、110番通報の要領等
の指導を受ける(マニュアルも提供しても
らう)
あいさつを返してくれない、盛りあがらない
事前に地域の多くの方に知らせる
・
あいさつ運動
自治会回覧、インターネット・・・。
最初はグループで行う、口コミで広める
・
ユニホーム、たすき、腕章等を身につけ統一行
動で
・
違法広告の
除却活動
散歩友達を集めてみんなで始める
はがしてよいのかどうか、処分してよいのか
どうか心配
市町村に相談して、住民参加による除却
作業の制度化を相談する
<その他の取組み事例>
見守りボランティア:通学時間帯の子どもたちの見守り
環境美化活動:落書き消しやゴミ清掃
一戸一灯運動:夜間、各戸で玄関灯や門柱灯火を点灯
−9−
< 地 域 安 全 マ ッ プ の 記 載 例 >
薬 屋
110番
110番
110番
〇〇小学校
郵 便
至
〇
〇
駅
GS
スタンド
110番
空
き
家
ガードレールに
スプレーで落書
タバコの吸殻や空
き缶が散乱
○○公園
周囲の植栽の枝が伸び
すぎて公園内が見えな
い。
00マンシ
ョン
<凡例>
ひったくりが多い。
人家が少ない
街灯がなく夜は暗い
少年のたまり場
落書き箇所
110番
子ども110番の家
〇〇銀行
※必要に応じてポイントを記号化
至〇〇駅
−10−