駐車場など窃盗団の作戦本部を監視せよ!! 日本では犯罪が起きると、犯罪者の病んだ心に注目が集まり、その要因を探ったり、邪悪な心を治したり する方法が考えられる。しかし、それだけで犯罪を防ぐことはできない。 欧米の最新の研究で有効だとわかってきたのが、 「犯罪が起こる場所」に注目するというものだ。実は、 犯罪のほとんどは、「入りやすい場所」と「見えにくい場所」という」2つの条件が満たされた場所で起き ている。奈良女児誘拐殺人事件(2004年)も、連れ去り現場となった幹線道路は車を使う犯罪者にとっ て入りやすい場所であり、人通りが少ないため見えにくい場所だった。 このような場所を減らして犯罪を実行する機会を潰せば、犯罪者の心は治せなくても犯罪を防げる。欧米 ではこうした視点で犯罪対策に取り組み、効果を上げている。 一方の日本は防犯意識が低いままで主にアジアからの外国人窃盗団の格好のターゲットになっている。 いくらよいキーパーでも、ディフェンダーがダメだと点をとられやすくなるのと同じで、自宅だけではなく 街全体で防犯に取り組む多重防衛体制を敷くことが重要だ。 しかし、多くの自治体は防犯対策のノウハウがなく、やっていたとしても効果が低い。たとえば巡回 パトロールだが、住宅への出入りの瞬間さえ見られなければ、窃盗犯はすれ違っても涼しい顔で通り過ぎて いく。パトロール隊も、彼らが窃盗犯だと気づくことはない。 窃盗団はまずターゲットとするエリアに近い空き地や駐車場などを作戦本部に仕立てて集合する。そして 周囲を散策しながら入りやすく見つかりにくい家を探し、再び本部に戻って作戦の詳細を詰めた後、実行に 移すというのが典型的な行動パターンだ。 こうした作戦本部になりやすそうな場所に監視カメラを置く、もしくはパトロール隊を長時間滞在させると、 彼らはプレッシャーを感じて窃盗を断念する可能性が高い。このように特定の場所を徹底マークすることを ホットスポットパトロールと呼び、巡回パトロールよりも有効だといわれている。 犯罪の温床となりやすい公園の設計も日本と欧米では根本的に違う。欧米では子どもゾーンと大人ゾーン がはっきり分けられている。子どもゾーンには植木がなく外から見えやすい。ここに保護者以外の大人が 入ると不自然に思われ、周囲の人の目にも留まりやすい。 一方、日本の公園は植木で囲まれて外から見えにくく、子どもと大人が混在している。あの宮崎勤は公園 のベンチに座って子どもに声をかけるタイミングをじっと図っていたようだ。ただ、もし長時間座っている 姿を見られたとしても不自然には思われなかっただろう。 地図で危険な場所を洗い出せ!! 危険な場所を事前に把握するのに有効なのは「地域安全マップ」を作成することだ。大人だけではなく、 小学生や中高生も一緒に地元を歩きながら、周囲から見えにくい場所などを洗い出して、手作りの地図に 書き込んでいく。そうすれば子どもは自然と危険な場所に近寄らないようになる。完成した地図を街の 掲示板に張り出しておくのもよいだろう。 防犯対策で評価できるのは 神奈川県藤沢市だ。公立の小・中学校に、校門から受付まで地面にラインを引いている。もし このラインから外れて校内をうろついていれば、すぐに不審者だとばれてしまう仕掛け。 アイデア1つで簡単に防犯対策ができる一例といえる。
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