7・26記念集会で、ベントゥーラ副議長は何を話したのか? 7月26日、モンカダ兵営・カルロス・マヌエル・デ・セスペデス兵営襲撃58周年記念式典 が、シエゴ・デ・アビラで開催されました。式典は、ラウル・カストロ国家評議会議長が 主宰しましたが、演説は、昨年と同じようにマチャド・ベントゥーラ副議長が行いました。 式典はコンパクトなもので、ベントゥーラ副議長の演 説は、30分程度の短いものでした。 まず、演説の主要な点を下記に紹介しましょう。 「刷新の成果はあったが、可能な目標からは程遠いも のであった。 国の指導部は、引き続き、経済計画の達成と食料生産を優先している。国際市場価格が上 昇しているという重大な問題があるからである。 政令第259号による国有地の未利用地の使用権の供与は進展したが、 また少なからずのところで生産の成果があげられてきているが、い ろいろな制約により全面的には進んでいない。未だ、未利用地や低 利用地の面積すべてを報告していない企業や生産機関があるし、土 地の引き渡しの事務が遅れている。他方、すでに土地を受け取った が、耕作を開始していないものもいる。また、農業関係諸機関、全 国小農協会(ANAP)による支援や指導が不十分という問題もある。 経済効率の向上、組織化、系統的な指導、社会的労働における不規律、会計の欠陥、資源 の低利用、惰性、怠惰、図式主義を生み出す官僚主義的行動、社会主義とは無関係の馬鹿 げた諸措置を廃止するという問題では、各労働者、行政幹 部の努力が不十分である。 数日以内に中央委員会総会を開催し、党大会に続いて問題 を討議する。 大会は、経済の分析を行ったが、来年1月の全国会議では、 党運営の方法、方式の変更を提起し、キューバ革命の組織 された前衛の役割、社会と国家の最高指導勢力の役割を明確にし、堅固にし、また党内民 主主義を強化し、社会で起きている変化と変革に適宜、一貫した作業を行うことができる ようにしなければならない。われわれの政治組織において、経済の非国営部門に対する偏 見をなくさなければならない。 政治指導者、行政の幹部は、話しをする前に、注意して他人の意見に傾聴しなければなら ない。会議だけでなく、同志と個人的に話しているときもそうである。だれも絶対的な真 実の持ち主ではないのである」。 今回の7・26記念集会で何が注目されるでしょうか。海外のメディアの中には、ラウルが 演説を行わなかったことにいろいろな推測をする記事がありますが、党中央委員会総会が、 8月1日開会の国会前に開催されること、国会での演説をラウルが重視していることから、 記念集会での演説を国家評議会副議長のベントゥーラに任務分担したものと考えられま す。今回の国会は、党大会で決定された経済・社会政 策路線を国会の場で審議して、党の政策路線でなく、 国民の政策路線とするという重要な課題を担ってお り、国会でのラウルの演説は非常に重要なものとなる はずです。7・26記念集会は、重要な革命の記念日で すが、1週間後に開かれる国会を名実ともに国民の審 議・立法機関とするために、国会での演説に重点を置きたいというラウルの考えがあるよ うに思われます。 また、記念式典自体は、コンパクトで短時間に終了しました。実際の生産活動に重点を置 き、政治的な集会に過度の時間と労力を割かないという、ラウルの考え方を反映したもの となりました。 共産党の中央委員会総会は、規約では、年1回以上開催されることになっていますが(48条)、 2009年の7月31日の第6期第7回中央委員会総会以降開催されていません。第6回大会の閉 会演説で、ラウル党第一書記は、中央委員会総会を今後少なくとも年2回開催すると述べ ましたが、それが実行されるものです。ここには、党運営が正常化されつつあることが伺 われます。 演説では、ベントゥーラ副議長は、改革が望んでいるような速度では進行していないこと、 官僚主義が経済改革の進展の障害となっていること、古くからの問題を決定的に解決しな ければならないこと、経済において市場に対する偏見があり、これを克服しなければなら ないことを指摘していることが注目されます。 (2011年7月27日、新藤通弘)
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