銀座地区ビル建て替えとテナント立退き

○○ビル 建替計画タイムスケジュール表
A社
ビル管理診断
B社
建替え通知
立
退
き
交
渉
建替え通知
立
退
き
交
渉
建替え通知
立
退
き
交
渉
建替え通知
立
退
き
交
渉
建替え通知
立
退
き
交
渉
建替え通知
立
退
き
交
渉
ビル管理診断
C社
明け渡し交渉
明け渡し実施
D社
ビル管理診断
テナント交渉
E社
明け渡し交渉
明け渡し実施
F社
ビル管理診断
G社
ビル管理診断
H社
設
ビル管理診断
計
企 画 設 計
資生堂
建替工事
行政対応
テナント退居
退居
退居
基本方針
・当事者の自主的な話し合いの下で立退料を支払うことにより、訴訟をすることなしに円滑な明け渡しを実現する。
一番大事な基本方針は、「誠実な話し合いを実施」することである。
重要ポイント
1.現在、債務不履行状態にあるB社とD社については、契約解除手続きを優先するものとし、手続きに必要な相当期間は、建替えの話は伏せる。
2.11月から1月までの3ヶ月間は、新しいビル管理体制構築のための診断期間とする。
各テナント企業からの、ビル管理体制や建物不具合のヒヤリングに努める。
3.4月1日より、ビル全体の統一されたビル管理体制を実現する。そのための諸準備を2月と3月で終了する。
4.テナントに対する建替え通知は、4月以降とし、以後立退き交渉を実施していく。
テ ナ ン ト 退 居
○○ビル 立退料の基本的考察について
・一般的な賃貸借契約は、賃貸借契約に定めた契約期間が満了しても、賃貸人が賃借人に対し一
方的に立退きを求めることはできない。
・借地・借家法により、賃貸人が賃借人の立退きを求めるには、「自ら使用することを必要とす
る場合その他正当な事由ある場合」が要件となる。
従って、交渉次第では、立退き不能のケースもありうる。
・正当事由の有無は、賃貸人側の事情だけで判断されるのではなく、賃貸人・賃借人双方の一切
の事情を比較考量して判断される。
・法律上、制度化されていない立退料は、実務上の紛争早期解決に役立つ利害調整手段として、
あるいは法律上の不十分な正当事由を補完・補強する有力な手段として、実務と判例を通じて
定着してきたものである。
・貸室の明け渡しを求めるには、立退料の支払いも含めた誠実な話し合いを積み重ねることが必
要となる。
立退料とは、賃借人が賃借物件から立退く場合に被ることになる不利益を金銭等に見積り補償
するものである。
内容は、以下の三種類となり、対応範囲は個別ケースによりわかれる。
(1)立退きにより賃借人が支払う移転費用の補償
①引越費用(梱包、運送、保険、分解取付調整、住所変更諸届、移転通知費用等)
②移転先ビル確保に要する費用(敷金、保証金、仲介料等)
③賃料差額増加分
(2)立退きにより賃借人が事実上失う利益の補償(営業権)
①新規営業開始までの休業期間中損失
②移転先で従前営業と比較して同一内容設備で同一営業を開始するための費用
③新規営業による減収分の補償等
(3)立退きにより消滅する利用権の補償(借家権)
・原則として立退料の金額に相場は存在しない。
最終的には、個別案件の事情を総合的に斟酌して判断されることになる。
・立退き事例が積み重なるにつれ、アパート退居の際の賃料6ヶ月分補償や土地建物収用・都市
再開発等の公的収用における2年間補償は、貸ビルにおける立退き手法として、主流の地位を
失い、馴染まないものとなっている。
・現在、貸ビルにおける立退料算出方法は、以下の方法が主流であり、個別案件の状況により使
いわけているのが実情である。
・なお、最近の傾向として、当該企業の経常利益3年分という考え方も台頭しつつある。
<主要な立退料算出方法>
(1)借家権価格方式
借地権価格の30%乃至40%を借家権価格として捉え、結局、更地価格の16%乃至
24%程度、平均で2割の金額を立退料の価格とする。
銀座の場合は、銀座プレミアムを考慮し3割の金額を想定する必要がある。
(2)過去の支払い家賃総額方式
今まで支払い済み家賃のすべてを合計した金額を立退料とする。
(3)当該企業の経常利益3年分方式
新規出店時の内装・什器備品の減価償却に通常5年間程度を要することから交渉議論が
出発し、バランスの良い経常利益3年分を立退料とする。
但し、この方式は当該企業の業績に大きく左右される。
○○ビル
・19○○年(昭和○○年)竣工の旧耐震ビルである。
・銀座のメイン通りであるA通りとB通りに面している。
・不効率設計建物である。
・エレベーターと階段は、特に配置が悪い。
・現状の1階区画では、高賃料実現は難しい。
最新銀座動向
・古いビルの建て替えが各所で進行しており、マロニエ通りと中央通りが特に顕著。
・三越、松坂屋、和光の大規模商業集積の新築・増築が進行中。
・坪当り1億円以上の不動産売買(銀座東芝ビル、ティファニー銀座ビル、不二家銀二ビル、
ジュエリータワーTASAKI他)が実施された。
・ブランド集積が中央通りに進行中。
・最近の銀座における人動線の影響もあり、銀座三丁目・四丁目の評価が著しく高騰している。