平成 24 年度外務大臣表彰 受賞者の言葉:精神科医 太田博昭氏 10 月 25 日、在仏日本国大使公邸においてフランスにおける「平成 24 年度 外務大臣表彰」の授与が 3 名、1 団体に行われましたが、今般、受賞者の一人 である太田博昭精神科医より受賞に対する言葉を頂きましたので、下の通り掲 載致します。 太田博昭精神科医略歴 太田博昭精神科医は仏渡航後、サンタンヌ国立病院精神科内に邦人専門の精神 科外来を設置した他、パリ市内に「邦人医療相談室」を開設。また、日本人会 においても精神衛生面でのアドバイスを会報に掲載するなど、海外邦人のメン タルヘルス対策に貢献してきた。 在仏日本国大使館は 1991 年より太田精神科医との間に顧問医契約を締結。以 降今日まで当地で発生する精神障害者の案件に対し大使館領事部と連携し邦 人保護・支援活動を行ってきている。 受賞の言葉 日仏の皆様、本日は御来場ありがとうございます。よくよく考えてみれば、 精神科や精神医療の受賞というのは楽しい内容ではありません。むしろ日々、 悲惨で深刻な出来事を扱っているわけですから。病気の自覚のない人を強制入 院させ、結局は強制帰国させるケースが後を絶ちません。 最近の傾向として、日本の家族から見離された事例や、家族からの協力が得 られない事例が増えています。このため私たちは大変な苦労をするのですが、 この30年、日本大使館、特に領事部と連携して対処してきました。このよう な仕事を通じて痛感するのは、邦人のメンタルトラブルに対する在仏日本大使 館領事部の懇切な対応です。恐らく世界中でも一番懇切な対応をしていると思 います。同様なケースに対してアメリカやドイツなど他国の大使館の対応はど のようかフランス側のスタッフに尋ねると、異口同音に「彼らは何もしない、 我関せずの態度がふつうだ」と言っています。 また、本日の受賞で忘れてならないのが、パリのサンタンヌ病院の存在です。 邦人のメンタルトラブルの入院は大半がサンタンヌ病院で扱われます。この病 院の医長の先生方やスタッフの受け入れと協力に私たちがどれほど助けられ ているかは測り知れません。私は本日の受賞をサンタンヌ病院の皆さんと分か ち合いたいと思います。御清聴ありがとうございました。
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