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SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE 2011 年 8 月 17 日号ハイライト
遺伝子発現特性で古い薬剤に新しい用途を与える
遺伝子発現特性(Gene Signatures)で古い薬剤に新しい用途を与える
Gene Signatures Give Old Drugs a New Purpose
潰瘍とてんかん発作の治療に使用されていた薬剤を、肺癌と炎症性腸疾患の治療に転用でき
ることが、2件の新しい研究で示唆された。新しい1つの薬剤を市場に出すには平均15年間、
8億ドルがかかると推定されている。既に承認されている薬剤の転用は、開発者がFDAやそ
の他の規制当局から要求される厳格な安全性試験をバイパスして、薬剤を研究室から医師の
診察室で使えるようにするために必要な時間と経費を節約できることを意味する。これまで、
薬剤の新しい用途の発見は偶然生じることが多かった。例えば、過剰な育毛が副作用である
ことが明らかになった胸痛薬minoxidilは、現在ではRogaineなどの商品名で主に育毛用に使
用されている。もともと高血圧と胸痛の治療のために開発されたバイアグラについても同じ
ことが言える。今回、Atul Butteらは、公的に入手できる分子データに基づくコンピュータ
を用いた方法で、古い薬剤の新しい用途を発見した。この研究でButteらは、「正反対のも
の同士は引き合う」というアイデアに基づき、薬剤を特定の疾患にマッチさせる技術を開発
した。特定の薬剤がいくつかの遺伝子をオンしいくつかの遺伝子をオフすることを明らかに
し、これがある疾患でこれらの遺伝子に生じていることのほぼ逆であることが分かれば、特
定の薬剤がこの疾患の治療に有用な可能性があるという仮説を立てたのである。研究チーム
は、薬剤と疾患(疾患100種類、薬剤164種類)の可能な全ての組み合わせの遺伝子発現特性
の類似性スコアを作成した。結果は+1(発現特性が完全に相関)から-1(発現特性が完全
に反対)までの範囲であった。類似性スコアが-1であれば、この薬剤がこの疾患を有効に
治療できる可能性があると予測された。研究者らは次に、研究室でこれらのいくつかの疾患
/薬剤の予測を検証した。肺癌と戦えることが予測された抗潰瘍薬シメチジンは、マウスの
腫瘍細胞を阻害した。炎症性腸疾患を改善することが予測された抗てんかん薬トピラマート
は、ラット炎症性腸疾患モデルの結腸組織の損傷を軽減した。この結果は、これらの2つの
薬剤が肺癌と炎症性腸疾患(どちらもよりよい治療が必要とされている)の治療に転用でき
そうなことを示している。しかしButteらは、本来別の目的を意図した薬剤を用いて、何ら
かの疾患を患者が勝手に治療するのは良い考えではないことを強調している。データはまだ
予備的であり、これらの転用薬剤のヒトでの有効性を証明するには臨床試験が必要である。
関連したPerspectiveでは、薬剤転用のためのコンピュータを用いたアプローチの歴史、およ
びこれらの2件の試験で古い薬剤の新しい用途を発見するための過去の方法がどのように改
善されたかについて議論する。
Article 1: “Computational Repositioning of the Anticonvulsant Topiramate for Inflammatory Bowel
Disease” by J.T. Dudley; M. Sirota; M. Shenoy; R. Pai; S. Roedder; A.P. Chiang; A.A. Morgan; M.
Sarwal; P.J. Pasricha; A.J. Butte of Stanford University School of Medicine and Lucile Packard
Children’s Hospital.
Article 2: “Discovery and Preclinical Validation of Drug Indications Using Compendia of Public
Gene Expression Data” by M. Sirota; J.T. Dudley; J. Kim; A.P. Chiang; A.A. Morgan; A. SweetCordero; J. Sage; A.J. Butte Butte of Stanford University School of Medicine and Lucile Packard
Children’s Hospital.