保 釈 請 求 書 2011年10月26日 東京地方裁判所刑事第10部 被 御中 告 人 大 高 正 二 上記の者に対する公務執行妨害・傷害被告事件(平成23年刑(わ)第2949 号)について、下記の理由により保釈の許可を請求する。 第1 1 上記弁護人弁護士 萩 尾 健 太 同 大 口 昭 彦 同 長 川 直 彦 同 河 村 健 夫 谷 請求の理由 はじめに 本件事件は、大高氏が東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎の第二南門を施 錠しようとした裁判所職員に暴行を加えて職務を妨害するとともに、加療一週 間の傷害を負わせた、として起訴された事案である。 既に検察官立証は終了し、弁護人立証に入った段階である。 -1- 2 権利保釈(刑事訴訟法89条) (1)権利保釈の除外自由には該当しない ⑴ 公務執行妨害罪及び傷害罪の観念的競合の法定刑は懲役10年以下の懲役 刑であるから(刑法95条1項、204条、54条1項)、そもそも権利保 釈の除外事由である刑事訴訟法89条1号に該当する場合ではない。 ⑵ 次に、大高氏には前科があるものの、名誉棄損罪の法定刑は懲役3年以下 の懲役刑であるから、89条2号に該当する場合でもない。 ⑶ さらに、大高氏は、常習として長期3年以上の懲役または禁錮にあたる罪 を犯したことはないから、89条3号に該当する場合でもない。起訴猶予と された行為はあるが、本件同様にでっち上げであって起訴されれば無罪とな ったと思われるから、それらを常習性の根拠とすることも不当である。 ⑷ また、前記のように検察官立証が終了しているので、隠滅しようにも隠滅 すべき証拠はない。よって、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由は認 められないから、89条4号に該当する場合でもない。この点については、 後に詳論する。 ⑸ 「被害者」や「目撃者」とされる裁判所職員の証人尋問も既に終了している。 よって、それらの裁判所職員の身体もしくは財産に害を加え又はこれらの者 を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由は認められないから、8 9条5号に該当する場合でもない。万が一、心配であれば、裁判所が大高氏 の行動について合理的な条件を課せばよいのである。 (6) 同様に、大高氏は第1回公判で自らの住所・氏名を述べ、その内容と起訴 状の記載は一致しているので、89条6号に該当する場合でもない。 (2)大高氏は無実故に罪障隠滅はなしえない ⑴ 防犯カメラの動画分析から明らかになったこと -2- そもそも本件事件は「犯行時刻」が12時23分ころとして起訴され、● ●証人と橋本証人とも、口を揃えて本件事件の「犯行時刻」を12時23分 と証言した(●●証人は自らの証言の正確性を強調したいためであろうが、 自ら時計で確かめたとまで証言した。)。起訴状には「23分ころ」とある ので、念のために前後15秒を付け加え、22分45秒から24分15秒ま で、検察官が開示した防犯カメラの動画を分析したところ、重大な事実が判 明した(添付資料:動画をプリントアウトした静止画参照)。 ア まず、23分20秒3コマ目で、南京錠が施錠されているのが見える。 ●●証人と橋本証人は、南京錠がいつかけられたのか、はっきり証言しな かったが(●●46頁、橋本25頁)、●●証人が暴行を受けたと称する のは、どんなに遅くとも南京錠が施錠されるのと同時かそれより前のはず であるから、本件暴行は23分20秒3コマ目よりも前であると言える。 そこで、それより前について見ると、22分45秒では、大勢の職員が 門扉のところに詰めている。中山の証言によれば、中山が、職員らに、裁 判所庁舎内へ撤退するように言い、職員らが動きだした後に●●証人が施 錠に取りかかったとのことであるから、これよりも後の時点であることが 明らかである。 イ 職員らが庁舎の方へ振り向いて帰り出すのは22分59秒である。その 後は、職員らがただ庁舎内へ帰って行くだけで、橋本証人が証言したよう な、職員らが門の方へ「一斉に振り向いて戻ってきた」という場面は存在 しない。 ウ 23分12秒2コマ目から、帰って来る職員らの間から大高氏の顔が見 える。大高氏は、門扉最上部の横棒のすぐ後にあごが見える位置にいるよ うである。この時点で、門扉に顔を接近させていたのであろう。 23分13秒2コマ目で、その様子がはっきり分かる。同秒3コマ目で は、大高氏の右腕が門扉最上部横棒に乗っているように見える。そして、 -3- 同秒1コマ目から、帰ってきた職員の一人が振り返っている。同秒2コマ 目では、さらにもう一人の職員が大高氏の動きに注目して顔を大高氏の方 に向けている。 職員らが「振り向いた」と言えるシーンは23分においてここだけであ る。 確かに、この23分12秒以降で、大高氏は顔を門扉に接近させ、腕を エ 門扉に載せ、その動きに反応した職員が振り向いたのであろう。 しかし、それは、橋本証人が証言した「門の上部に上半身を乗り出す」 (橋本13頁)、という状況とは全く異なる。前述のように、あくまで門 扉最上部の横棒よりも大高氏の顔は後に映っているのである。 裁判所職員らや捜査側は、この時点の大高氏の些細な動きを、大高氏が 暴行をなしたように歪曲して、「本件暴行」を捏造したものと言わざるを 得ない。 その証拠に、一旦は振り向いた職員らも、たいしたことはないな、とい う感じですぐに向き直り、庁舎内に入って行っているのである。 オ 検察官の冒頭陳述や橋本証言等によれば、大高氏は「門扉の上辺に上半 身を乗せて被害者の頭上に身を乗り出し」腕を振り上げて2回殴打した、 とされている。そのような行為が存在したのであれば、画像に写っていな いはずは絶対にないが、そのような場面は一切存在していない。 ⑵ 大高氏の無実のため隠滅すべき罪証はない 以上の通り、12時22分45秒から24分15秒までのビデオを解析し た限りは、起訴状に記載されたシーンはなく、大高氏は無実であるから、隠 滅すべき罪証は存在せず、89条4号が問題になる場合でもないのである。 (3)小括 よって、権利保釈の除外要件は全くないといわなければならない。 -4- 3 裁量保釈(刑事訴訟法90条) 大高氏には、数十年前の交通事故と思われる業務上過失傷害の前課調書があ るほか、最近は前科が1個あるに過ぎない。これは、大高氏がこれまでいかに 真面目に社会で生きてきたかの何よりもの「証」である。 大高氏は、2010年11月26日に行った保釈請求の際に、罪証隠滅を行 う意思はない、保釈条件を遵守する等を骨子とした誓約書を提出し、保釈に関 する裁判所の意向に従う旨約束している。これまでの公判からも明らかなよう に、大高氏は起訴状記載の事実を行ったことはなく、検察官の起訴事実を正面 から受け止め、堂々と争っているから、保釈により社会復帰したところで、自 己に不利益となるような「小細工」をする可能性は全くない。 よって、仮に権利保釈にあたらないとしても、まさに裁量保釈の要件である 「適当と認めるとき」に該当する。 第2 身柄引受人 住 所 東京都墨田区堤通2丁目3番1-1208号 東白髭第一マンション 第3 氏 名 大高和代 関 係 妻 制限住所 東京都墨田区堤通2丁目3番1-1208号 東白髭第一マンション 以上 -5- -6-
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