国際石油開発帝石株式会社 代表取締役社長 北村 俊昭様 2012年11日1日 イラクの石油利権略奪の中止を求める要請書 イラク平和テレビ局 inJapan 代表 森文洋 100 万人以上の犠牲を出したイラク戦争から 9 年半が経過しましたが、イラク国民の 40%が 1 日 1 ドル 以下の生活を強いられ、未だに水も電気もほとんど通らない過酷な状況となっています。この原因は約 8 兆円のイラクの国家収入の 90%以上を占める石油収入が外国資本と腐敗したマリキ政権によって奪われ、 国民生活には全く還元されない事態となっているからです。さらにマリキ政権は生活改善を求める市民への 軍事弾圧を強め、無実の人々を大量に逮捕し 3 ヶ月で 1000 人もの死刑を強行するなどしています。 この腐敗国家を生み出し、支えているのはアメリカ、イギリス、日本などのイラク戦争参戦国家と、石油利 権の獲得を狙ってマリキ政権の腐敗と市民弾圧を支え続ける日米欧中露などの世界のグローバル資本です。 貴INPEXはルクオイル・オーバーシーズ社とブロック 10 鉱区を落札しました。イラクでは外国資本 とマリキ腐敗政権との石油事業契約に大多数の国民が反対しており、この契約はイラク国民の合意は得られ ていません。また日本政府は自衛隊を派兵し、多国籍軍の一員として軍事占領した結果 100 万人以上の犠牲 者を出したことについてなんら謝罪も補償も行っていません。それどころか自衛隊の派兵された南部サマワ 近くでこのように石油利権を獲得することはまさに石油のための戦争であったことの証拠です。 イラク戦争への反省のないまま、イラク国民の合意も得ず石油利権を略奪することは許されません。またイ ラク政府は石油労働組合を認めず、労働者への逮捕・弾圧を繰り返しています。貴INPEXは社会的責任 ある企業として、イラク国民から不当に石油利益を奪う契約を即時破棄してください。石油労働者への人権 侵害を行う政府との契約を即時破棄してください。そして日本政府にイラク戦争の責任と謝罪をもとめイラ ク政府の市民弾圧に抗議するよう要請してください。 近い将来、イラク国民が真に納得できる形での契約をするために現時点での契約を今すぐ破棄する様強く求 めます。 ■質問 ①イラクと日本国民にブロック10鉱区の契約内容を公表してください。 ②「石油ガス法案」がイラク国民の反対で成立していないなか、契約の法的裏づけはなにか? ④2011年4月17日にマイサン石油会社の労働者25人をイラク政府が逮捕した事実を把握しているか?2012年 1月11日、石油労働組合のリーダーたちに「騒乱を先導した」と不当な処分が行われていることについて見 解を述べてください(補足資料参照) ⑤ガラフ油田(石油資源開発株式会社が関わっている)の労働者に対して、ディカール州内の石油省事務所 が労働者の死傷事故の調査を妨害している事実について見解を述べてください。(補足資料参照) ■要請項目 1 イラク政府とブロック 10 鉱区の契約を破棄すること。 2 日本政府に対してイラク戦争検証委員会の設置を要求すること 3 イラク政府に石油労働組合への弾圧を即時中止するよう要請すること 〒540-0004 大阪市中央区玉造 2 丁目 26-70 ニエモンビル 1 階 TEL/FAX 06-7493 -0230 イラク平和テレビ局 inJapan 補足資料 1)マイサン石油会社労働者の不当逮捕 2011年4月17日に企業の腐敗に反対して平和的にデモをしていた南部イラクのマイサン石油会社の 25人の労働者を逮捕した。 デモの開催は事前に許可を得ていたにもかかわらず、石油省の調査によって 7人の労働者が戒告処分、他の18人が警告処分となった。25人全員がこれ以上活動するともっと大きい 処分が適用される、と通告された。2011年12月13日に会社から個人に送られた手紙は、根本的には そのような活動に関わり続ければ労働者の生活は危うくなるぞ、と述べているものであった。 ・アブドゥル・カリーム・アブドゥル・サダ[アブ・ワッタン]全イラク労働組合労働者評議会連合(G FTUWCI)バスラ支部副議長は、2012年1月11日に、第1129号調査委員会から出された勧告 に従って戒告と賃金6ヶ月分のボーナスの差し止めを受けた。 イラク石油組合連合のハッサン・ジュマー・アワド委員長は3年間の降格を受け、IFOUの南部石油労 組執行委員でIFOU中央委員のアデル・アブードは同じ調査委員会の勧告に基づいて多岐にわたって書か れた戒告を受け取った。全員が「騒乱を扇動した」と非難されたのである。 原文:http://www.labourstartcampaigns.net/show_campaign.cgi?c=1390 2)JAPEXも関わっているガラフ油田の労働者の死亡事故について 「ビヨンド・ザ・ヘッドライン」2012年6月26日から イラク石油レポート ガラフ油田の労働者に対して、ディカール州内の石油省事務所が労働者が死傷することとなった事故の調査 を妨害していると伝えられている。 ナシリヤ: ディカール州当局者は、州内にある石油省事務所がガラフ油田であったとされる労働者の死亡についての調 査を妨害したと主張している。 ディカール州の労働社会問題局ハイダール・カーディム調査官は、3人の 石油労働者の死と他の負傷の申し立てについての調査ができなかったと語った。 「ディカール州内の油田担当の政府当局が、労働社会問題局の調査委員会が油田の中でのイラク人労働者 の死や負傷についての調査をするためにガラフ油田に入るのを禁止したのは3回目です。」とカーディムは 声明の中で言った。 彼は、ディカール州が州内の油田担当の政府当局が労働条件の調査を妨害しているこ とで告訴をすると語った。 通常は、石油関係の調査はどれも中央政府によって石油省が責任を持っておこなわれてきたのである。 「全ての(影響を受けた)労働者は、油田の内部で臨時雇用で雇われている。 」とカーディムは言った。 外国の石油企業とイラク石油省は常勤雇用者よりも受け取る賃金が少なく、受ける訓練も少ない臨時雇用 か契約雇用の労働者に依存しているのではないか、という懸念が続いている。 ガラフ油田はマレイシアのペトロナスによって2010年に調印された技術開発サービス契約によって 操業されている。JAPEX[石油資源開発株式会社。経済産業省が株式の34%を保有]がこの事業の下 位のパートナーである。この油田は日量23万バレル(bpd)を生産する予定である。
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