断熱性・保温性 / グラスウール

技術資料
〈
断熱性・保温性 ﹀
断熱性・保温性
◉ 繊維径と熱伝導率
密度が同じであっても、繊維径によって熱伝導率は変わります。通常
のグラスウールは繊維径が7ミクロン程度ですが、
高性能グラスウールは
4ミクロン程度です。
[グラスウールの熱特性]
グラスウールは、
細いガラスの繊維の間に多くの動かない空気を含み、
これにより優れた断熱性能があります。
熱伝導率
(W/m・K)
0.05
熱伝導率(W/m・K)
◉ 平面の保温・保冷
平らな面を貫通して定常的に熱が流れる場合は、
次の式によって
“貫
流熱量”、
“必要な保温厚さ”、
“表面温度”等を知ることができます。
θo−θs θo−θr θo−θr
q= ───
=α
(θs−θr)
x = ───
1 x = ───
R
─
─ +─
α
λ
λ
◉ 密度と熱伝導率
密度が増すにしたがいグラスウール中の空気が細分化されるので、
熱伝導率は、小さくなります。
密度10∼20kg/㎥では、低下率が大きく、
それ以上では低下率が
小さくなります。
さらに高密度になると、
ガラス繊維の占める割合が
大きくなり、
やや熱伝導率が大きくなります。
θo :GWの内側の温度
θs :GWの外側の表面温度
θr :GWの外側の気温
x :GWの厚さ
0.05
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
繊維径
(μm)
10
11
12
13
14
(℃)
(℃)
(℃)
(m)
15 16
…………………………………………
(2)
3. GWの外側の表面温度:θ(℃)
s
0.03
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
グラスウールの密度(kg/m3)
……………………………………………
(3)
-
(4)
λθ=λ0 +βθ ……………………………………………
0.07
10K
0.06
16K
熱伝導率
(W/m・K)
q
─ +θr
θs= α
(W/m・K)
4. GWの熱伝導率:λθ
◉ 温度と熱伝導率
θo+θs θo+θr
(5)
θ= ─── ≒ ─── ……………………………………
2
2
θsがわからないときはθsの代わりにθrを用いて計算し、
θsを算出後、
再確認する。
20K
0.05
24K
32K
40K
48K
64K・80K・96K
0.04
Q1:内部温度100℃、
外気温度20℃のとき、
平板をマグボード32K50mm
で保温した時の貫流熱量と表面温度は、
どのようになるか?
100+20
A1:
(4)
(5)
式より θ=────=60
2
0.03
0
10
20
30
40
50
60
70
平均温度
(℃)
呼び厚さによる密度
kg/㎥
熱伝導率
W/m・K
10
16
20
24
32
0.043+0.000315θ
0.037+0.000281θ
0.035+0.000233θ
0.033+0.000216θ
0.032+0.000199θ
呼び厚さによる密度
kg/㎥
熱伝導率
W/m・K
40
48
64、80、96
0.031+0.000183θ
0.031+0.000166θ
0.031+0.000150θ
A2:保冷の場合は保冷材の外表面で結露しない程度以上の保冷
厚さが必要である。
30℃の飽和水蒸気は4.2467kPaとなり
(P.106参照)、
この値を
飽和水蒸気とする温度=露点温度は27.2℃。従って保冷表面の
温度が27.2℃以上となる様な保冷厚さが必要である。
−20+27.2
(4)
(5)
式より θ=─────=3.6
2
(W/m・K)
λ3.6=0.033+0.000216×3.6 =0.034
(2)
式より
0.034 −20−27.2
x =───× ─────=0.072
(m)
8
27.2−30
厚さ72mmは保冷材の表面で結露しないぎりぎりの厚さであるから、
安全側をみて厚さ75mm以上を選択すればよい。
2. 必要な保温厚さ:(
x m)
〔 表面温度θsを設定する場合〕
λ θo−θs
x= ─
───
α・θ
s−θr
平均温度 25℃
0.04
………
(1)
λ :GWの熱伝導率
(W/m・K)
α :GWの表面熱伝逹率
(W/㎡・K)
(保温の場合 α=12、保冷の場合 α=8を使います)
R :GWを含むパネル等の熱抵抗
(㎡・K/W)
0.04
0.03
相対湿度85%のとき24kg/㎥のGWを使って
Q2:外気温度θr=30℃、
内部温度θo=−20℃の平面を保冷するのに必要な保冷厚さは
どれだけか?
1. 貫流熱量
(熱損失量、侵入熱量)
:q
(W/㎡)
密度
16kg/m3の例
平均温度 25℃
0.06
[保温・保冷計算]
λ60=0.032+0.000199×60
=0.044
(W/m・K)
100−20
(W/㎡)
貫流熱量q(W/㎡)
は、
(1)式より q =──────=65.6
1
0.05
─+───
12 0.044
65.6
表面温度θsは、
(3)
式より θs=──+20=25.5
(℃)
12
この場合の貫流熱量
(侵入熱量)
を求め、
表面温度を再確認せよ。
Q3:
(1)
式より
A3:
−20−30
q = ────── =21.5 (W/㎡)
1
0.075
─+───
8
0.034
−21.5
(℃)
(3)
式より θs=───+30=27.3
8
表面温度27.3℃ならθr=30℃、相対湿度85%では表面結露は
起らない。
ただし、
GWの内部はそれ以下の低温となるので、
外部の
湿気が侵入すると内部結露を起こすことになる。
内部結露を防ぐた
めには、
保冷材の表面に必ずアルミ箔やポリエチレンシートなどの
防湿層を設けなければならない。
技術資料
〈
断熱性・保温性 ﹀
[パイプの保温・保冷]
相対湿度85%のとき、
内部温度θo=−20℃の
Q5:外気温度θr=30℃、
冷媒管1B=25A(d o=0.034m)
に、PCを被覆して、表面結露を
防止するための保冷厚さはどれだけか?
パイプの場合は、次の計算式によります。
1. 貫流熱量
(熱損失量、侵入熱量)
:q
(W/m)
(θo−θr)
2πλ
(θo−θs ) θo−θr
π
q= ────────= ────── = ───
R
1
1
d1
d1
──+──×ℓn ─
ℓn ─
d0
d0
αd 1 2λ
……
(6)
よってθs=27.2℃とし、保温材の熱伝導率λを求める。
2. 保温保冷の厚さ:x(m)
d 1 2λ(θo−θs)
d 1ℓn ─=─・────
(7)
d 0 α (θs−θr) …………………………………
d 1−d 0
x=───
2
A5:30℃の飽和水蒸気は31.824mmHg。相対湿度85%のときは、
31.824×0.85=27.050mmHgとなり、
この値を飽和水蒸気圧とする
温度=露点温度は27.2℃。従って保冷表面の温度が27.2℃以上
となる様な保冷厚さが必要である。
(−20+27.2)
/2
λ=0.031+0.000166×
=0.0316
(W/m・K)
とすれば
q
θs=───+θr
παd 1
…………………………………………(9)
π:円周率=3.14
(m)
d1 :保温外径
d0 :配管外径
(保温筒内径)
(m)
λ:PCの熱伝導率
(W/m・K)
……………………………(10)
λθ¯ =0.031+0.000166θ̄
ℓn :自然対数 ℓnd=2.3log10d
熱伝導率
(W/m・K)
0.06
マグパイプカバー熱伝導率
3.14×(−20−30)
=────────────────
1
1
0.114
─────+─────×ℓn ───
8×0.114
2×0.0316
0.034
0.26
0.02
0.24
0
50
温度
(℃)
100
150
槽内に静止している温度θ℃の流体をh時間経過後にθ’
℃に保温
するのに必要なGWの厚さは、次の式によります。
d
d ℓn と保温・保冷厚さの関係
d
1
(W/m・K)
λ60=0.031+0.000166×60=0.041
貫流熱量q
(W/m)
は、
(6)
式より
3.14×(100−20)
q =───────────────=36.3(W/m)
1
1
0.194
─────+────×ℓn ───
12×0.194 2×0.041
0.114
表面温度θsは、
(9)
式より
36.3
θs= ──────── +20=25.0(℃)
3.14×12×0.194
125
150
200
0.20
250
300
0.18
d1
d0
100+20
θ=────=60
2
100
0.16
0.14
(0.133)
0.12
0.10
0.08
0.06
0.04
20
(1)
必要な熱抵抗値
1
−3.6A・h
R=────×─────
C・W
−θr
θ’
ℓn───
θ−θr
(2)
GWの厚さ
1
x=λ
(R−─)
α
A : 槽の表面積
(㎡)
h : 経過時間
(h)
d1ℓn
A4:
(4)
(5)
式より
10 15 20 25 32 40 50 65
80
0.22
Q4: 内部温度100℃、
外気温度20℃のとき、
鋼管をマグPC100A40で
保温した時の貫流熱量と表面温度は、
どのようになるか?
輸送管入口における温度
(℃)
輸送管出口における温度
(℃)
輸送管の距離(m)
輸送管1m当りの熱抵抗値
(㎡・K/W)
流体の比熱
(kJ/kg・K)
流体の流量
(kg/h)
◉ 静止流体(槽内)の温度変化
0
0.03
0.01
-50
θ :
θ’:
L :
R :
C :
W:
(θo−θr)
π×
q= ────────
1
1
d1
──+──×ℓn ─
d0
αd 1
2λ
1
L
CWR
d1−d0
x=────
2
下記関係図より該当するtを求める。
t =39mm よって25A40mm以上を使用する。
この場合の放散熱量を求めると
0.04
1
−3.6L
R=────×─────
C・W
−θr
θ’
ℓn───
θ−θr
2πλR
2λ
d1=d0×e − ──
α
=−7.76(W/m)
0.05
(1)
必要な熱抵抗値
−θr
θ’
───=e
θ−θr
2×0.0316×(−20−27.2)
=────────────
8×(27.2−30)
=0.133
3. 保温保冷後のPCの表面温度:θ(℃)
s
輸送管入口における温度θ℃の流体が、距離Lmを流下した後の、
出口温度をθ’
℃に保温するのに必要なPCの厚さは、
次の式によります。
(2)PCの厚さ
d 1 2λ(θo−θs)
d 1ℓn─=─・────
d 0 α (θs−θr)
………………………………………………
(8)
◉ 輸送管の温度変化
30
40
50
保温厚さ
(mm)
60
70
80
技術資料
〈吸
音﹀
◉ 飽和水蒸気による結露温度の求め方
下記の表を使用して結露温度(露点)が求められます。
〈例〉
外気温度θr=30℃、相対湿度85%の時、結露を起こす温度は?
表から30℃の時の飽和水蒸気圧は、4.2467(kPa)
相対湿度85%だから
4.2467×0.85=3.6097(kPa)←この条件の時の水蒸気圧
結露を起こす温度は 3.6097 の値を表の内から読みとれます。
表では、27.0 ℃→ 3.5679 kPa、27.5 ℃→ 3.6740 kPaですので、
結露を起こす温度は27.0∼27.5℃であることがわかります。
結露を起こす温度を計算で求めると、
27.5−27.0
──────── = 4.713 ℃/kPa
3.6740−3.5679
結露を起こす温度
=4.713 ℃/kPa×(3.6097 kPa−3.5679 kPa)+27℃
=27.2℃となります。
水の飽和蒸気圧の表
温度
(℃)
0.0
0.5
温度
(℃)
0.0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
0.6113
0.6571
0.7060
0.7581
0.8136
0.8726
0.9354
1.0021
1.0730
1.1483
1.2282
1.3130
1.4029
1.4981
1.5990
1.7058
1.8188
1.9383
2.0647
2.1982
2.3393
2.4882
2.6453
2.8110
2.9857
0.6338
0.6812
0.7317
0.7854
0.8427
0.9035
0.9683
1.0371
1.1101
1.1877
1.2700
1.3573
1.4498
1.5478
1.6516
1.7615
1.8777
2.0006
2.1306
2.2678
2.4127
2.5657
2.7270
2.8972
3.0765
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
3.1698
3.3637
3.5679
3.7829
4.0090
4.2467
4.4967
4.7593
5.0351
5.3247
5.6287
5.9475
6.2819
6.6324
6.9997
7.3845
7.7874
8.2091
8.6503
9.1119
9.5944
10.0989
10.6259
11.1764
11.7513
(kPa)
0.5
3.2655
3.4645
3.6740
3.8945
4.1264
4.3702
4.6264
4.8955
5.1782
5.4749
5.7862
6.1127
6.4551
6.8139
7.1899
7.5836
7.9958
8.4272
8.8785
9.3505
9.8439
10.3595
10.8982
11.4608
12.0481
℃
27.5
27.2
27.0
3.5679 3.6097 3.6740 (kPa)