疼痛管理 ポケットマニュアル

●オピオイド開始時の説明
オピオイド・鎮痛補助薬使用によ
る疼痛管理、その他、緩和ケアに
関することでご不明な点がありま
したら、緩和ケアセンターへご連
絡下さい。
緩和ケアセンター
内 線:6223
緩和センター医師PHS
070-6952-0833
緩和ケア専従看護師PHS
070-6952-3491
①痛み止めを使用する重要性を理解してもらう
②麻薬への不安や疑問を解消する
③副作用とその予防法を説明する
④痛みの程度を伝える必要性と方法を理解して
もらう
⑤定時に使用する必要性を説明する
⑥「他に何か疑問や不安なことはありませんか?」
と問う
ⅰ)1Aを10倍希釈し1回1mlを静注する
ⅱ)呼吸数10回/分未満のままであれば、
更に1ml(0.02mg)投与し、10回/分を
維持する
ⅲ)意識レベルが過量投与前のレベルに
回復した時点でオピオイドを再開する。
場合によってはオピオイドスイッチ
ングを行う。
第2段階
(中程度までの痛み)
第3段階
(中程度以上の痛み)
⑤鎮痛補助薬の適応はないか
⑥腎・肝機能の確認(副作用が増強する)
⑦痛みの評価(共通スケールで評価する)
強オピオイド
弱オピオイド
秋田大学医学部附属病院
緩和ケアセンター
平成28年3月 第8版発行
コデイン
トラマドール
モルヒネ
フェンタニル
オキシコドン
タペンタドール
非オピオイド(NSAIDs,アセトアミノフェン)± 鎮痛補助薬
第2段階から少量の強オピオイドを使用しても良い
神経障害性疼痛では、障害された神経の支配領域
に、知覚異常を生じるのが特徴である。
スケールをつけることが目的ではありま
せん。一つの手段として、どれだけQOLが
改善したかを評価しましょう。
特 徴
ロブ®
180mg
分3
重度の肝障害では効果が減弱する
300∼600mg
分2∼3
ナイキサン®
腫瘍熱に有効
400mg
分2
COX−2選択阻害剤
モービック®
10∼15mg
分1
COX−2選択阻害剤
1日1回
カロナール®細粒
カロナール®錠
アセトアミノフェン原末
1500mg ∼4000mg
分3∼4
胃腸障害、腎障害を起こさない。
消炎作用はない、肝障害に注意。
ボンフェナック®
25∼50mg
1日1∼2回
効果はNSAIDsの中で最も強力
ロピオン®
1回50mg
1日2∼4回
アセリオ®
1回300∼1000mg
4∼6時間ごと
適 応
商品名
リリカ®
神経障害性疼痛
・電気が走るような
・鋭い
・刺すような
フィルターで使用不可
1日4000mgまで
神経障害性疼痛
・しびれたような
・締め付けられるような
75∼600mg
分2
1回75mg
分1から開始
テグレトール®
100∼200mg 100∼600mg
分1(就寝前)
分1∼3
ガバペン®
100∼300mgを 100∼2400mg
就寝時あるいは分3
分2∼3
トリプタノール®
サインバルタ®
・つっぱるような
開始量(1日量) 維持量(1日量)
10mg
分1(就寝前) 20∼60mg
分1
20mg
分1(朝食後)
神経障害性疼痛
・しびれたような
メキシチール®
・締め付けられるような
150∼300mg 150∼450mg
分3
分3
・つっぱるような
当院で使用されてい るオピオイド製剤
投与経路
製品名
規格
投与間隔
Tmax
モルペス®細粒
10mg/包
12時間 or 8時間
2∼4時間
2∼4
7∼9
8∼12
10mg
4時間
30∼60分
1
2∼3
4∼5
―
―
―
―
―
8時間
1∼2時間
1∼2
4∼6
6∼10
オプソ®内服液
モルヒネ
●オピオイドの増量
☝オピオイドによる有効限界はない
☆増量幅の目安
前日のレスキュー薬の合計量を参考に、定期投
与量の30∼50%を増量。
☆増量間隔の目安
・持続静注・持続皮下注:24時間
・徐放性製剤:48時間
・フェンタニル貼付剤:72時間
☝経口モルヒネ換算で1日投与量が60mgを超
える場合には、緩和ケアセンターへご相談く
ださい
☆デュロテップMT®パッチ、フェントス®テープ
は先行オピオイドの使用が原則です
鎮痛補助薬 使用量の目安(一部)
分類
ハイペン®
経口
ナロキソン注投与方法
●WHOの3段階除痛ラダー
第1段階
(軽度までの痛み)
☝同成分の速放性製剤を使用 ☝上記以外の方法については緩和ケアセンター
へご相談ください
☆経口投与におけるレスキュー量
一日投与量の原則1/6量(10∼20%相当)
☆持続注射におけるレスキュー量
一日投与量の1/24量(=1時間量)
☆デュロテップMT ® パッチ、フェントス ® テー
プに対するレスキュー量
☞裏面を参照
☆アブストラル®について
定期投与量にかかわらず低用量から開始し、
有効な用量まで増量する。
☞裏面を参照
常用量
抗不整脈薬
①NSAIDsは中止せずそのまま継続する
②一日の使用量は適切な量が処方されているか
③レスキューは処方されているか
④副作用対策はできているか
便 秘:センナリド、ピコスルファートナトリウ
ム、マグミット、酸化マグネシウムなど
嘔気・嘔吐:ル ー ラ ン 、 エ リ ー テ ン 、ト ラ ベ ル
ミ ン 、ジ プ レ キ サ など(錐体外路症状に注意)
眠 気:数日で耐性形成されるが、状況によりオ
ピオイド減量または、オピオイドスイッチングを
考慮。
呼吸抑制:呼吸数10回/分以下で注意
呼吸数8回/分以下でナロキソン注投与や疼痛の
程度に合わせたオピオイド減量を十分に考慮。
製品名
抗うつ薬
皮膚領域における感覚神経の分布
がん疼痛で使用される NSAIDs等(一部)
抗痙攣薬
①痛みの部位、強さ、性質
→デルマトーム(右図)を活用することも有効である
②痛みの持続時間、パターン
③疼痛緩和因子、増強因子はあるか
④必要な検査をし、結果を判定する
⑤日常生活への影響はないか
⑥痛みについて患者、家族の認識
⑦心理的、社会的、スピリチュアルな側面
⑧患者の痛みの訴えを信じる
●レスキュー使用量
注 射
●オピオイド使用時の留意点
坐薬
●デルマトーム
経 口 薬
疼痛管理
ポケットマニュアル
●痛みのアセスメント
静注・皮下注
モルヒネ塩酸塩注
直腸内
アンペック®坐薬
オキシコンチン®錠
10mg/1ml
50mg/5ml
10mg
5mg
20mg
40mg
効果判定(時間) 半減期(時間)
作用時間
12時間
2∼3時間
2∼4
6∼9
12
オキノーム®散
2.5mg
5mg
4 or 6時間
100∼200分
100∼200分
4.5∼6
4∼6
オキファスト®注
10mg/1ml
50mg/5ml
―
―
―
―
―
2.1mg
72時間
45時間
24
17
72
フェントス®テープ
1mg
2mg
8mg
24時間
―
―
―
24
静注・皮下注
フェンタニル注
0.1mg/2ml
―
―
―
―
―
舌下
アブストラル®舌下錠
100μg
―
30∼60分
30分
―
1∼2
タペンタドール
経口
タペンタ®錠
50mg
12時間
5時間
5∼6
5
12
コデイン
経口
コデインリン酸塩散
100mg/g
4 or 6時間
1時間
1
3.5
4∼6
トラマドール
経口
トラマール®OD錠
25mg
4 or 6時間
1∼2時間
1∼2
4∼6
4∼6
経口
オキシコドン
静注・皮下注
デュロテップMT®パッチ
経皮
フェンタニル
反復貼付によりデュロテップMT®パッチとほぼ同様の薬物動態となる。
※フェントス®テープは、
換算表・レスキュー 使用量の目安
持続静注・皮下注
フェンタニル0.6mg
2
デュロテップMT®パッチ
4.2mg/3d
フェントス®テープ
2mg/d
経口トラマドール
300mg
1
0
3
経 口 薬
(1日量)
オキシコ
ンチン®
モルヒネ
貼付剤
注射薬(持続)
(1日量)
タペンタ
モルヒネ
オキファスト®
(72時間毎) (24時間毎)
デュロテップ フェントス®
フェン タニル®
MT®パッチ
テープ
経口薬
オプソ®
坐 薬
オキノーム®
アンペック®
20mg
∼
30mg
50mg
∼
100mg
10mg
∼
15mg
10mg
∼
15mg
∼ 0.3 mg
20mg
∼
60mg
30mg
∼
90mg
100mg
∼
300mg
15mg
∼
45mg
15mg
∼
45mg
0.3 mg
∼ 0.9 mg
4.2mg
60mg
∼
100mg
90mg
∼
150mg
300mg
∼
500mg
45mg
∼
75mg
45mg
∼
75mg
0.9 mg
∼ 1.5 mg
8.4mg
4mg
20mg
10mg
∼
15mg
100mg
∼
140mg
150mg
∼
210mg
75mg
∼
100mg
75mg
∼
100mg
1.5 mg
∼ 2 mg
12.6mg
6mg
30mg
15mg
∼
20mg
140mg
∼
180mg
210mg
∼
270mg
100mg
∼
140mg
100mg
∼
140mg
2 mg
∼ 2.7 mg
16.8mg
〔アブストラル®舌下錠投与量設定の基本フォロー〕
開始時の投与量100μg
3
7
30分後の痛みの有無
持続静注
オキシコドン30mg
10
最悪な痛み
経口オキシコドン
40mg
9
5
経口タペンタドール
200mg
8
4
痛みが残存
次回の突出痛には
同じ投与量を使用
次回の突出痛には
一段階増量を検討
同一用量を追加投与
1mg
2.1mg
2mg
5mg
5mg
10mg
5mg
∼
10mg
40mg
8mg
1)経口薬(12時間徐放性製剤)
→デュロテップMT®パッチ、フェントス®テープ
・パッチ/テープ貼付と同時に経口薬1回分投与
20mg
∼
25mg
10mg
・初回投与量:100μg
・1回の上限量:800μg
・使用回数:1日4回以下の使用にとどめ、それ以上に
なるときは定期薬の増量を検討
・追加投与:投与後30分以降も痛みが残存する場合は
同一用量を追加投与
追加投与
経口薬
パッチ
テープ
⇒次回の突出痛には
一段階増量を検討
30分以降
12時間
↑
注射薬開始
↑
貼付開始
除去
パッチ ↓
テープ
6時間
注射薬
追加投与
2)デュロテップMT®パッチ → 経口薬
フェントス®テープ
(12時間徐放性製剤)
・パッチ/テープ除去6∼12時間後に経口薬内服開始
パッチ
テープ
除去
↓
6∼12時間
経口薬
6時間
↑
注射薬
予定量の半量
から開始
↑
注射薬
予定量の全量
へ変更
↑
内服開始
※内服開始までの間に疼痛が増強するようであれば
レスキューで対応する。
3.
注射薬からの切り替え
1)注射薬 → 経口薬(12時間徐放性製剤)
・注射薬中止と同時に経口薬開始
注射薬
経口薬
2時間以上
追加投与
経口薬
内服(※次回より内服中止)
↓
注射薬
1)デュロテップMT ®パッチ → 注射薬
フェントス®テープ
①パッチ/テープ除去6時間後→注射薬半量から開始
②パッチ/テープ除去12時間後→注射薬全量へ変更
・投与間隔:前回投与から2時間以上あける(追加投与
から2時間ではない)
30分以降
内服(※次回より内服中止)
↓
2)経口薬(12時間徐放性製剤)→ 注射薬
・経口薬内服12時間後に注射薬開始
2.
デュロテップMT®パッチ、フェントス®テー プからの切り替え
20mg
〔アブストラル®舌下錠投与方法〕
30分以降
鎮痛効果の向上や副作用の軽減などを目的とし、 現在使用しているオピオイドから他のオピオイ
ドに切り替える方法 ☝投与量の換算は左表 を参照
1.
経口薬からの切り替え
2.5mg
10mg
∼
20mg
痛みが消失
●オピオイドスイッチング
レスキュー
(1回量)
10mg
●簡易換算表
6
持続静注・持続皮下注
モルヒネ20∼30mg
経口モルヒネ
60mg
5
2
坐剤
(直腸内)
モルヒネ40mg
4
1
NRS
(Numerical Rating Scale:数値的評価スケール)
0
痛みなし
フェイススケール
MEMO
注射薬中止
↓
↑
内服開始
2)注射薬 → デュロテップMT®パッチ
フェントス®テープ
①パッチ/テープ貼付6時間後→注射薬半量へ減量
②パッチ/テープ貼付12時間後→注射薬中止
注射薬
注射薬
半量へ減量 注射薬中止
↓ 6時間 ↓
6時間
パッチ
テープ
↑
貼付開始