IFA 国際美術協会ニュース 126 VOL18 INTERNATIONAL FINE ARTS ASSOCIATION 食って、描いて、映画観て 会長 福岡 茂 油 彩 画 の 本 質 映画が好きで殆ど毎日テレビで観ている。 最近はヨーロッパ、中国、韓国の映画がよく放映さ れているので見る機会も多い。 いつも思うのは映画の小道具に使われる絵画のこと である。アメリカやヨーロッパの映画ではその時代 を象徴するような作品が小道具として採用され、ド ラマを盛り上げている。その国の人々にとって絵画 は心のよりどころであり、日常生活に不可欠な要素 である所以であろう。日本の伝統的な住まいは床の 間に飾られる水墨画、書画のように、やはり洋画は 場違いの感がする。 このような話事態古い概念であるが、その後住まい の洋風化?が進むにつれ、洋画も普及しはじめたが 伝統的な和風建築には本来的に馴染まない。住まい の道具として位置づけられた油彩画で代表された洋 画は独自の商品として一人歩きせざるを得なくなり、 殆ど生活の道具にならず、日本ではその場所を見失 った。もちろん作品の質が問われることが言うまで もないが、一般論としてヨーロッパやアメリカほど 住まいにおける位置づけは高くはない。 この議論はあらゆる芸術作品に共通して言えること だが、およそ芸術作品はすでに一定の専門的評価を 経て、限られた場所で鑑賞されるようになったのが 現実であろう。 春 季 展 で 思 う こ と さて、今回の春季展を観てつくづく思った。改めて 私たちの存在理由である。殆どのプロ作家は一定の 学業と平行して作家としてその後研鑽を積んでいる。 そして職業として成立させた。それと比べて私たち は趣味の延長上の世界から脱皮できなかったという のが本音であり、私も当事者の一人であることを自 認している。別の言い方をすると生業として成立さ せることできなかったということだけのである。元 来プロの作家としてその技力が生い立ちの中で見つ けられても、絵を描いで生活することはごく限られ た人であろう。純文学を志向して、その後、大多数 の読み手をもつ大衆小説家として生業をたてざるを 得なかった人たちの類である。 絵はその作品の好嫌で評価される極めて歴然とした 世界である。従ってその理由が後からついて来るこ ともある。ムンクの絵が史上最高値で売られたのも、 ゴッホやゴーギャンが売れなかったのも時代の好嫌 感覚が尺度であろう。抽象絵画は一握りのマニアッ クな人たちの世界であると言えば言い過ぎの感もあ るが、日本語と漢字の国民性から一部の趣味人に同 調できない。私も抽象絵画は好きだがやはり少数派 である。 やはり好嫌尺度できる。私も行きつ戻りつの世界が 続いているが悩みがつきない。 今年の写真は好きな作品が多かった。全先生の作品、 木下先生の作品に感動させられたが、作品に費やし た時間、技力を考えると、諸氏の人間力に頭が下が る。 書道も今年は見事であった。書に表れた豊かな精神 性に敬服する。金原先生の努力が実った作品展であ ったと思う。 保苅先生のキラリと光る作品を熱心に観ていた初老 の観客が印象的だった。 末筆になるが下川先生は最も期待できる若手の作家 であることを印象づけた IFA 春季展でもあった。 浅 野 前 会 長 夫 人 春 季 展 に ご 来 館 IFA 春季展に神戸垂水ご在住の浅野前会長夫人綾子 さまがご令息様とお出で下さいました。IFA の健在を たいへん喜ばれておりましたが、いつまでもお元気 でご健康にいっそうのご留意をお祈りいたします。 皆 さ ま の ご 投 稿 お 待 ち し て い ま す 。 会報にみなさまの投稿をお待ちしております。 同時に今年の本展ぜひ新たな作家を歓迎しておりま すので皆さまのご紹介をお願いします。募集要項は 事務局まで 文化交流展から親善を学ぶ 写真部門 全 成林 2012 年度 IFA 春季展は、神戸市にて開催。IFA 国際 美術協会の 里帰り展 になった。 協会創設者、浅野進太郎先生が、国際都市・神戸に 1978 年 8 月、愛好者に呼び掛け協会を設立し早や 34 年の昔になった。 国際化時代到来の当時、先生は国際親善を視野に芸 術活動指導なさった。親善とは何かを問うに 親善 はある日突然出来るものではない。自他の相互理 解があって友好が芽生えそこに本当に親善が生まれ るものと思う。更に国際ともなれば民族・国家固有 の文化や歴史があり、殊に韓国と日本には重い歴史 認識が伴っています。周知の通り両国には地理的に も歴史的にも深いかかわりが古代からありました。 私は 21 世紀の今日でもその関わりの中に親善とは何 かを文化交流展から教わり学びます。 日本列島の北方に位置する山形県最上川上流に戸沢 村があります。村民たちは 1996 年、 「日韓友好の村」 を内外に宣言し、巨額を投じ 12 世紀高麗王朝様式の 3 棟からなる高麗館を開設しました。「今なぜ高麗」 なのか、悠久の時を刻む最上川の流れには日本文化 の原型をなすルーツがそこにあったからでした。 今を去ること 1300 年前(西暦 700 年頃)奈良朝時代、 朝鮮半島北の国高句麗から多くの渡来人が文化を携 え最上川を登り、関東地方一帯にこの高麗郡や新羅 郡を設置し開拓統治したことが 日本書紀 に記さ れています。埼玉県日高市の高麗神社や西武線の高 麗駅には史跡が今も現存されています。 彼らの渡来はその土地の民に睦まじく迎えられ、友 好が芽生え子孫が繁栄しました。このような歴史の 真実を隠蔽することなく教え伝えることは偏見のな い社会をもたらすものかと思います。 一方日本列島の南、現在の近畿地方一帯では百済文 化が深くかかわっています。4世紀末から5世紀に 掛けて多くの百済人が渡来しました。中でも王仁博 士は千字の漢文や論語、儒教を携え当時文字がなか った日本に伝授しました漢字は日本の国字となり、 そこから素晴らしい日本のカナ文字が生まれました。 これも 日本書紀 や 古事記 に記されています。 百済寺や百済神社などの史跡が現存しています。更 に日本国民にはあまり知らされていませんが、百済 王国家と日本国天皇家は血縁関係であったことです。 このことは今の平成天皇がお認めになり自ら直接言 及されています。このような両国過去の歴史を鑑み 古代から深い親善関係があったことを知ることは今 をそしてこれからの友好関係に前向き示晙を与える ことではないかと思われます。 21 世紀新しい時代、韓国は現代先進国の仲間として 世界に飛躍しており互いに過去の不幸な時代に囚わ れず新しい国際認識の共生者として最も近い友好な 隣国でありたいと思います。 私は在日の一人として庶民レベルでの 日韓自然写 真家協会 を1992年、創設し毎年双方の国で交 流展を開催しました。5年前からは、IFA 国際美術協 会・写真部がその責務を担っています。私はこの親 善活動を今後とも継承していくつもりです。 2012 年 IFA 春季展 4 月 25 日(水) 29 日(日) 今回の春季展は、写真部の全 成林先生の紹介で原田の森ギャラリー(兵庫県立美術館)東館2Fで4月25日(水) ∼4月29日(日)まで開催しました。広々とした空間にゆったりと展示することが出来て、質の高い展覧会とな りました。 多くの方々に観覧して頂き、ありがとうございました。 出品者名 絵画 福岡 茂 堀 正幸 伊藤義明 森本康弘 白井成典 服部晴子 楠本美智子 下川まち子 西谷もとこ 工芸 下川まち子 保苅文雄 書道 金原芳山 西田光碩 宮澤泰峰 山口泰堂 山口真希 大谷英之 岡信吾 内山俊之 佐藤綾香 写真 全 成林 湯川圭晴 佐野弘 森口 林 宇野吉朗 岩間益人 木下重則 山下 毅 平田三郎 会場写真 会場写真は、ホームページにも掲載しております。そちらもご覧下さい。 http://www17.plala.or.jp/ifa/index_j0.htm 会員動向 日韓絵画交流展 会場 ソンナム(城南)アートセンター 大ホール 大韓民国京畿道城南市盆唐区野塔洞757 会期 2012年5月25日(金)∼5月31日(木) 日本から50名の作家が参加されたそうです。IFA国際美術協会からは、福岡 茂先生と伊藤 義明先生 が出品されました。 事務局からのお知らせ 2 0 1 2 IFA展 ( 第 34回 IFA国 際 美 術 協 会 展 ) 会 場 大 阪 市 立 美 術 館 地 下 展 覧 会 室 会 期 2 0 1 2 年 8 月 2 8 日 ( 火 ) ∼ 9 月 2 日 ( 日 ) 搬 入 2 0 1 2 年 8 月 2 5 日 ( 土 ) AM8:30∼ AM9:30 *本展まで3ヶ月を切りました、会員の皆様には2点以上出品して下さいますようお願いします。 IFA 国際美術協会・事務局 IFA 国際美術協会 〒553−0002 大阪市福島区鷺洲 4−3−23−1201 電話 Fax 06-6454-0590
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