急速に進展する「ハラール」対応について

第118号
ぐんぎん Business Report
(平成27年 2月 4日)
ぐんぎん経営倶楽部事務局
群馬県前橋市元総社町194
TEL:027-254-7315
急速に進展する「ハラール」対応について
今回の「ぐんぎん Business Report」は、「急速に進展する『ハラール』対応について」をお届けします。現在、ムスリム(イスラ
ム教徒)人口は約16億人を超え、世界人口の4分の1を占めると言われています。特に、近年の経済成長が著しいインドネシア
やマレーシアは、ムスリム人口が多く、成長する巨大な消費市場として期待が高まっています。
また、ムスリム人口の多い東南アジアからの訪日旅行客も年々増加しており、2020年の東京オリンピックに向けて、更なる
増勢が期待されます。中小企業にとって、「ハラール」対応を進めることは、大きなビジネスチャンスの創出につながると言え
そうです。
1.「ハラール」とは
「ハラール」とは、イスラムの教え(シャリーア法とイスラム原理)で許された、「健全な商品や活動」のこと
の全般を意味します。「ハラール」の反対は「ハラーム」と呼ばれ、これらムスリムにとっては有害な物、中毒性
のある物を意味しており、ムスリムは、「ハラール品」であると正式に認められるもの以外の食べ物、 飲み物など
は避けなければなりません。
「ハラール」は、こうした安全な生活を示すためのガイドラインであり、イスラム教徒にとっては無くてはなら
ない規準となっています。 しかし「ハラール」と「ハラーム」をはっきりと区別することは非常に複雑で難しく、
基準も国ごとに異なっており、また、「ハラール」は食品だけでなく、化粧品や医薬品、介護用品、金融など様々
なサービスにも適用されています。
国は昨年、農林水産省の輸出戦略実行委員会の中に「ハラール部会」を設置し、イスラム市場への食品輸出や訪
日するムスリムの囲い込みを強化する戦略を打ち出しました。こうした流れを受け、企業も「ハラール認証」を取
得するなど、ムスリムを有望な新規市場として経営戦略を進める動きが加速しています。
2.シャリーア(イスラム法)による、「ハラール」・「ハラーム」の一例
食品に
関す る
ハラ ー ム
食べて は
いけな い
とされて
いる動物
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全て の製造工程で「ハ ラーム」な ものから分離され ていな いもの、毒性、健康に害のあ る もの、泥酔性のあ る もの。
ナ ジ ス(不浄な もの)を含んだものや、ナ ジス に触れ た機具を使用して 製造され たもの。
豚および豚派生品(豚肉、ラード、添加物等)、血液、お酒(みり ん、料理酒含)。
「ハ ラール 」食品であ っても、貯蔵や輸送で「ハ ラーム」食品と混載され 、穢れ たもの。
「ハ ラーム」な もので穢れ た後も、清められ て いな い食器や調理器具を用いたもの。
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「ハ ラール 」に食肉処理され て いな い牛肉や鶏肉等の動物。
重度ナ ジス の動物(犬、豚とそれ にまつわる もの)や、ナ ジ スを餌として 与え られ た「ハ ラール 」な 動物。
牙を持ち 、その牙で獲物を獲る 動物(トラ、クマ、ゾウ 、ネコ 、サル 等)や、捕食動物(タカ 、フクロウ 等)。
害虫、毒性をもつ動物・昆虫(ネズ ミ、ゴキ ブリ、サソリ、ヘビ、ハ チ 等)や、類似を含む不快な もの(ノミ、シ ラミ等)。
(毒性があ る ものは 「ハ ラーム」であ る が、調理の際にそれ らを取り 除いたものは 「ハ ラール 」(フグ 等))
・ 水陸両用の動物(ワ ニ、カ メ、カ エル 等)や、その他イス ラム法で食べて は いけな いとされ る 動物(ロバ 、ラバ 等)。
※単に禁止されている食材(ハラーム食品)を含まなければよいと言うものではなく、生産・加工・物流・保管など、食材の
サプライチェーン全体が「ハラール」であることが求められている。
3.国内各業界の「ハラール」対応の動きについて
○ 「ハ ラ ー ル 」認証の 取得
○ 礼拝 ス ペー ス の設 置
各国が定めた 、「ハ ラール 」に関 わる 認証(食品、医 薬品、化粧品等 )を取 得する 対 応。
ホ テ ル 、空港、百貨店 等において 、礼拝ス ペース を確保す る 対応。
○ 分別 保管、分 別輸送
○ イ ス ラ ム 金融
販売店での「ハ ラール 」以 外食品の分 別陳列、輸送トラッ クでの分別 輸送の対応 。
メガバ ンク等で、イス ラム金融(※)導 入の対応。
※イスラム法では、利子を取って金銭を貸すことが禁止されている。(イスラム金融は、利子を取らずに、売買や利潤分配・
配当等の形で、利子相当の支払いを行う)
4.まとめ
イスラム市場は、成長が見込まれる有望市場ですが、進出に必要な「ハラール」認証の取得は、決してハードル
の高いものではありません。しかしながら、「ハラール」認証を取得するためには、イスラム市場へ進出する明確
な経営戦略を打ち出し、自社の「強み」「弱み」を踏まえた事業計画の策定が望まれます。
群馬銀行では、一般社団法人ハラル・ジャパン協会、群馬県等との共催により、「ハラル対応セミナー」を以下の要項で開催
しますので、ご関心のある企業様は、是非ともご参加ください!
日 時 :平成27年3月19日(木) 13:30~17:30
場 所 :前橋商工会議所会館 3階「リリィ」
参加費 :無料
申込先 :群馬銀行 市場国際部 海外取引支援室(027-254-7105) 担当:上田・矢口
資料出所:農林水産省、一般財団法人自治体国際化協会、一般社団法人ハラル・ジャパン協会
本件に関する相談、詳細に関するお問合せ先:群馬銀行 法人部(岡安)027-254-9314
以上
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