粘性土の残留強度を精度良く計測する! リングせん断試験 地すべりと残留強度 過去に活動した履歴のある地すべりのすべり面強度は残留強度に達しているといわれてい ます。よって,このような地すべりの安定度を評価する際には,すべり面粘土の残留強度を 精度良く計測することが求められます。 残留強度とリングせん断 土の残留強度とは,ある土がせん断を受けた際に,せん断抵抗がピーク値を越え,漸次低 下して究極的な定常せん断状態に達したときの強度をいいます。この残留強度に達するには 大きなせん断変位が必要とされており,残留強度の計測には数あるせん断試験の中でも唯一 せん断変位を無限にとることができるリングせん断試験が最も適しています。 リングせん断試験と残留強度の概念図 試験事例 リングせん断試験には 0.425mm ふるいを通過させ粗粒分を取り除いた調整試料を用いま す。ある地すべり地から乱して採取したすべり面粘土試料を粒度調整します。そして,円柱 状試料を作製して予圧密を行った後,試料を試験機に装填してドーナツ型にくり抜きます。 円柱状試料の作成 試験機に装填し,ドーナツ型にくり抜く 国土防災技術株式会社 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3-18-5 青葉ビル 試験事例(つづき) 供試体に作用させる垂直応力を一定に保ったまません断を行い,残留せん断強度を計測し ます。下記の例ではせん断変位量が 350mm 程度のところで残留強度に達しています。残留 状態を確認後,垂直応力を複数回変更してそれぞれで残留せん断強度を計測し,残留強度定 数を求めます。 350 垂直応力(kPa) 300 250 200 250 150 残留強度 100 50 完全軟化強度 200 0 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 せん断応力 (kPa) せん断変位量(°) 100 せん断応力(kPa) 80 150 cr'=3.4kPa φr'=4.7° 100 60 50 R² = 0.9989 40 20 0 0 0 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 50 100 150 200 250 300 350 垂直応力 (kPa) せん断変位量(°) 残留せん断強度の計測 残留強度定数の決定 定体積・応力制御対応リングせん断試験機(間隙水圧測定) 定体積条件での試験が可能であり,定圧試験に比べ試験期間の短縮が図れる利点がありま す。また,せん断面付近での間隙水圧の計測も可能にし,上下せん断箱を所定荷重で圧接し て非排水条件での試験を行うことができます。ひずみ制御に加え,応力制御条件でのせん断 試験も可能であり,有効垂直応力の増減に伴う滑動/停止といった地盤の応答特性について も検証が可能です。 せん断箱付近の構造と間隙水圧の測定方法 国土防災技術株式会社 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3-18-5 青葉ビル 国土防災技術株式会社 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3-18-5 青葉ビル
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