小次郎講師のトレーダーズバイブル第 80 回 特別編 「イギリスEU離脱

最高レベルのトレード手法をどこよりもわかりやすく!
小次郎講師のトレーダーズバイブル第 80 回
特別編
「イギリスEU離脱問題を斬る 前編」
皆さん、こんにちは、小次郎講師です。
こんにちは。助手のムサシです。
本日は連載 80 回記念。
もう 80 回になりますか?凄いですね。おめでとうございます。
ありがとう。ということで今までと趣向を変えて、直近の最大の話題、「英国
の EU 離脱国民投票」をテーマにこの相場をどう見ればいいか、そして今
後の動きに対する考え方を伝えたい。
【1、英国ついに EU 離脱を選択】
2016 年の前半の山場が「イギリスの EU 離脱国民投票」と言われ、後半の
山場が「アメリカ大統領選挙」と言われていた。その前半の山場で既にド
ラマが起こってしまった。
■ 現地 6 月 23 日に投票が行われて、結果が出たのが日本時間で 2 月 24
日金曜日の午後 3 時くらいでしたっけ。私もテレビに首付けでした。
【最終結果】
◆投票総数 33,551,984 票
◆離脱 17,410,736 票 51.89% ◆残留 16,141,241 票 48.11
投票率 71.2%で、その差は僅かに 3%。いかに僅差かということがわかる
だろう。下図はポンド円の 15 分足。6 月 23 日から 24 日にかけての値動
きだ。
開票が進行すると同時に離脱派有利が伝えられて、どんどんポンド円は売ら
れていきましたね。
今後の教訓として、このような劇的な出来事があったとき、相場がどんな
風に展開していったかを研究することは大変意義がある。
こんな動きがしょっちゅうあったらたまりませんよ。
秋にすぐあるかもしれないぞ。
あ、アメリカの大統領選挙があった。でも、まさかトランプさんはないでしょう。
最後には国民の良識が働きますよ。
今回の国民投票でもそう思われていた。最後には良識が働いて残留だ
ろうと。それが裏切られたからこの動きだ。
なるほど。
【2、6 月 24 日は○○記念日】
ところで 6 月 24 日は記念日だ。なんの記念日かわかるかな?
えーと、6 月 24 日というと・・・ムサシの日?それなら、6 月 34 日か。
6 月に 34 日はない。
なんの日ですか?
日経 225 がアベノミクスの最高値を付けた日からちょうど 1 年記念。
なるほど、前回の高値が昨年の 6 月 24 日だったんですね。
気がつけば、下げだして早 1 年。その日にこの暴落があるということが感
慨深い。
一体どこまで下がるんですかね?
1 年経過というのはどのテクニカル指標でも重要な変化日となる。そのこと
だけでいうとここで大きく下がったことによって、ここら辺で流れが変わっ
てもいいのだが。
期待したいですね。
でも残念ながら今回の出来事は 1 回の下げで下げ止まるような雰囲気で
はない。
【3、ジョージソロス対イギリス第 2 ラウンド】
イギリスの国民投票の半月ほど前に突然ジョージ・ソロス氏が市場にカム
バックしたという情報が流れた。
引退してたんですね。
まあ、もう 85 歳だからね。5 年前に引退を宣言していたんだよ。
でも、確かアベノミクスの円安相場でも儲けたというような噂が。
だね。引退した引退したと言っても、チャンスが来るとしゃしゃり出るという
のはもう性というしかないんだろうね。2013 年アベノミクスで大幅円安にな
ったときは 10 億ドル儲けたと言われる。そしてその年、ジョージ・ソロス氏
の率いるクオンタムファンドは年間で 55 億ドル稼ぎ出したと言われてい
る。
1ドル=100 円として、5500 億円ですか、凄い。
ヘッジファンドの利益額としては史上最大だそうだ。
確か奥さんが日本人だとか?
3 度目の奥さんが日系人だそうだ。タミコ・ボルトンさんと言う。ちなみに結
婚したのは 3 年前、タミコさんは 40 歳。
お元気な。
ぞの元気なジョージ・ソロスが、イギリスの国民投票直前に現役復帰を宣
言。このことの意味は大きい。
何故ですか?
イギリスが EU に加盟していながらユーロに参加していないのは何故だと
思う?
確かに。私も不思議に思ってたんですよ。どうしてなんですか?
かつてユーロが出来るまえに準備段階として、ヨーロッパの各国通貨を固
定相場にした。これを欧州為替相場メカニズム(ERM)と呼ぶ。
なるほど、一気に通貨統一ってのは難しいので前段階を用意したんですね。
その ERM にはイギリスも参加していた。ところが 1990 年東西ドイツがひと
つになった。
1989 年 11 月 9 日、ベルリンの壁崩壊。覚えてますよ。
ドイツは統合によって景気がよくなり、マルクは急騰した。すると固定相場
制のためポンドも上昇した。
でしょうね。
ところがそのとき、イギリスは景気がいまいちだったんだよ。景気がいまい
ちなのに、ポンドが高い。それをおかしいと感じたジョージ・ソロスがポンド
を売りたたいた。
わあ、さすが。
イギリスの中央銀行が買い介入して、なんとイギリス対ジョージ・ソロスとい
う対決になった。通常、個人が一国と戦って勝てるはずがない。
ですよね。
ところがジョージ・ソロスはなんと勝ったのだよ。このときにイギリス中央銀
行の被害は 240 億ドルと言われる。
2 兆 4000 億円ですか。凄い。
この出来事は「ブラックウェンズデー」と呼ばれて語り継がれている。この
とき、仲間であるはずのドイツ銀行が協力してくれなかったことをイギリス
は今でも恨んでいるという。
通貨安定のために協力すべきですよ。冷たい。
この事件がきっかけでイギリスは ERM を脱退した。それによりイギリスのユ
ーロ導入はなくなった。そして、イギリスがユーロを導入していないという
ことが今回の EU 離脱の遠因となっている。EU にいたって所詮イギリス
は、ヨーロッパとはひとつになれないというすねに傷を持っているわけだ。
そのイギリスが EU 離脱を決める国民投票のときに、引退したはずの宿敵が
復帰してきたというわけですね。まるで映画のロッキーのようだ。
EU 離脱によりポンドが急落するとイギリス中央銀行は当然買い支える。し
かし、そこにはかつて煮え湯を飲まされたジョージ・ソロスがいる。とすると
うかつに手を出せない。
また負けたとなると、恥の上塗りになりますからね。
それどころか EU を離脱して本当に助けてくれる国がなくなったイギリスに
とって、ここで戦いに敗れれば一気に財政危機に陥ってしまうかもしれな
い。
最悪の相手が最悪のタイミングで出てきましたね。
そのジョージ・ソロスは国民投票の前日に、もし、離脱が決まったら 6 月
24 日は「ブラックフライデー」になるだろうと予言し、まさにそのとおりにな
った。しかもジョージ・ソロスは金も大量に買っているのだが、この日、あら
ゆるものが下がった中で金だけが急騰した。
恐るべき相場師ですね。
ということで、これからさらにポンドが下落したときに、ジョージ・ソロスがい
ると思うだけで、イギリス中銀が動きづらいわけだ。
なるほど。勉強になります。
この続きはまた次回。10 年 20 年に 1 回の大きな事件。このことを勉強す
ることはとても大事なことだ。
ですね。面白いです。映画を見ているようだ。イギリス中央銀行はまたしても
ジョージ・ソロスにやられるのか?
ということで本日はここまで。
続きが気になりますが、次回に期待します。ありがとうございました。