カザフスタンのアニメーション バイク事情

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ACCU フィールド・レポート ●
連載 : アジアのアニメ事情
カザフスタンのアニメーション
山口 康男
私は10年ほど前に、世界各国に日本のア
最中だった頃です。新しく市場主義経済に
ニメ文化を紹介する事業に携わった経験が
移行する端境期でもありました。アニメ製
あります。行く先々にその国独自のアニメ
作者はモスクワの指示通り作品を創り納品
作品があり、その独創的な表現にいつも新
すればよかったのが、独立後は自ら企画し、
たな感動を覚えたものです。私はこれを
「地
予算を立て、製作・頒布しなければいけま
アニメ」と呼んで日本に持ち帰り、当該国
せん。作品が売れなければ赤字責任を負わ
の在日大使館の協力を得てささやかな「試
なければならない。その自由が重い ! まさ
写会」を開催、日本の学生や若者たちに紹
にゼロからの出発でしたが、人々の表情は
介しました。
「こんな面白いアニメがあっ
明るく、目は輝いていました。
たのか!」と驚く声が少なくありませんで
カザフ・アニメの発祥は創始者ハイダー
ハラドキドキ!させられます。……どこか
した。
ロフ演出の「ツバメの尻尾はなぜ千切れて
日本の因縁話にも似ていて面白いお話で
そんな「地アニメ」の中から、いくつか
る」です。カザフの昔話が素材で、物語は
す。日本人のルーツはカザフ族だと彼らは
アジアの国々のアニメ事情について紹介し
古城に棲む老いて食欲のない竜王に新鮮な
親しみを込めて言います。 (写真は筆者提供)
たいと思います。
血を吸わせようと、手下の蚊に命じて人間
まずは、カザフスタン・アニメから。カ
の赤ん坊の血を採って来るよう命じます。
ザフは1991年のソ連邦崩壊後独立国となり
それを知ったツバメは、かつて人に助けら
ました。私が訪ねたのは1998年秋、首都が
れた恩返しと竜王の居城に向かう……。激
アルマティからアスタナに遷都し、引越し
怒した竜王と大ツバメの大立ち回りはハラ
アジア太平洋現地発
やまぐち やすお
日本動画協会専務理事・事務局長。東映動画で『ゲゲゲ
の鬼太郎』などの演出や、企画プロデューサーとして
「キャンディキャンディ」などに携わる。東映アニメー
ション研究所を設立。
バイクです。ガソリン入りのポリタンクやガス
カンボジア
バイク事情
カザフ・アニメ珠玉の短編作品・全20本所収の
DVD(但し、購入は現地限り。PAL方式のプレイ
ヤー要)Kazakh Cinema Distributionより
加瀬 貴
かせ たかし
タンクを後部座席あるいは両脇に積んで移
2005年より日本ユネスコ協会連盟にて勤
務。教育文化事業部で、国際交流事業を
担当したのち、2008年5月よりカンボジア
事務所に勤務。現在、7名のカンボジア人
スタッフとともに、奮闘中。
動します。法律では禁止されているのです
が、警察による取り締まりが進んでいないの
が現状です。
私たち、日本ユネスコ協会連盟は、地域
私が生活するシェムリアップ州はアンコー
んにお伝えしたいと思います。
学習センター(CLC=寺子屋)を設置し、人
ルワットに代表される多くの遺跡を有し、毎
カンボジアでは、2007年の新道路交通法
々に教育機会を提供する活動、
「世界寺子
日たくさんの観光客で賑わっています。近
の施行以来、バイクの免許証取得が義務付
屋運動」をここシェムリアップでも実施して
年は、観光産業の発展に伴い、多くの車を
けられました。しかし、無免許運転も非常に
います。寺子屋で行われる識字クラスでは、
見かけるようになりましたが、依然として人
多く、残念ながら、法律が順守されていると
交通ルールも教え、教育を通じた交通マナ
々の主要な交通手段はバイクです。今回は、
は言えません。運転手の多くが無免許だと
ーの改善活動も行います。
驚くようなカンボジアのバイク事情をみなさ
いうことも驚きですが、バイクの乗り方とそ
寺子屋を通じて、人々が交通ルールの重
の活用方法にも目を見張るものがあります。
要性を理 解し、安 全 性についても注 意喚
法律では、1台につき2名までの乗車は許さ
起できるように努めていきたいと願っていま
れているのですが、実際は3人乗りまでは当
す。
たり前。時には、4人乗り、5人乗りのバイク
も見かけます。
バイクが運ぶのは人だけではありません。
よく見かけるのは、豚や鶏を運ぶバイクで
す。豚は2頭ほどをバイクの後部座席に、鶏
はバイクの両サイドに紐で結び一度に何十
羽という数を運んでいます。
アヒルを運ぶバイク、運転手の前後に子供たちが乗る。
危険なのが、ガソリンやガスタンクを運ぶ
(写真は筆者提供)
お知らせ
日本ユネスコ協会連盟では、「もった
いないからはじまる国際協力 書きそ
んじハガキキャンペーン」を現在実施
しています。書き損じた、または使わ
なかった年賀ハガキや未投函の切手つ
き郵便ハガキが、寺子屋運動の活動に
役立てられています。みなさまのご協
力をお願いいたします。
ACCUニュース No.371 2009.1
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