ノバルティス ファーマ株式会社 〒105-6333 東京都港区虎ノ門 1 丁目 23 番 1 号 虎ノ門ヒルズ森タワー https://www.novartis.co.jp MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIAS • MEDIENMITTEILUNG 2016 年 12 月 20 日 報道関係各位 ノバルティス ファーマ株式会社 この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が 2016 年 12 月 5 日(現地時間)に発表したものを日 本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については 英語が優先されます。英語版は https://www.novartis.com をご参照ください。 ノバルティス、慢性骨髄性白血病の無治療寛解維持に関する臨床試験 ENESTop の事後解析で得られた新たなデータを発表 ~「グリベック®」から「タシグナ®」への切り替え理由に関わらず、 無治療寛解維持率 50%以上を維持~ ENESTop の事後解析において、「グリベック®」から「タシグナ®」に切り替え たフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)慢性骨髄性白血病( CML )患者さんの 無治療寛解維持(TFR)に関して詳しい知見を提示 1 ノバルティスが現在実施中の ENESTop を含む「タシグナ」TFR 試験は CML 患 者さんに対するノバルティスの継続的なコミットメントを示す 2016年12月5日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは、第58回米国血液学会 (ASH)年次総会において、不耐容、抵抗性または医師判断により「グリベック」 (イマチニブ)*から「タシグナ」(ニロチニブ)に切り替えたPh+ CML患者さんに おいて、切り替えの理由に関わらず、TFR率は一定であることを示した「タシグナ」 ENESTop無治療寛解維持(TFR)試験の新しいデータを発表しました。ENESTopで は、「タシグナ」による治療で少なくとも1年間、持続的な深い分子遺伝学的効果を 達成し、治療を中止した患者さんのうち、「グリベック」ではこうした奏効の達成 と維持に至らなかった慢性期のPh+ CML成人患者さんについて評価しました1,2。今 回の解析の結果は、oral sessionにて発表されました(ASH抄録#792)。 南オーストラリアヘルス・アンド・メディカルリサーチ・インスティテュート(the South Australian Health and Medical Research Institute)の Cancer Theme Leader で ENESTop 試験の治験責任医師でもあるオーストラリア・アデレード大学のティモシ ーP.ヒュージ(Timothy P. Hughes, MD)教授は次のように述べています。 「ENESTop の事後解析の結果は、『グリベック』から『タシグナ』への切り替え理 由に関わらず、患者さんの TFR 率は影響を受けないことを示唆しています。CML はチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)治療が非常によく奏効する慢性疾患とみなされて いる一方、今後も継続的な研究が必要であり、これらの解析結果は CML 治療に関す る臨床研究の更なる進展に寄与する有望かつ重要なものです」 *米国、カナダおよびイスラエルにおいて 「グリベック®」(イマチニブメシル酸塩)として知られています Page 2 of 5 新たに行われた ENESTop の事後解析では、不耐容、抵抗性または医師判断により 「グリベック」から「タシグナ」に切り替えた患者さんのサブグループにおいて、 「タシグナ」治療の中止から 48 週間後の TFR 率を評価しました。125 名の患者さ んを対象にした解析では、各サブグループの患者さんの 50%以上が 48 週間 TFR を 維持し、48 週後に TFR を維持していた患者さんの割合は 3 つのサブグループで同様 でした:不耐容サブグループ 51 名中 30 名(58.8%; 95% 信頼区間[CI], 44.2%72.4%)、抵抗性サブグループ 30 名中 16 名(53.3%; 95% CI, 34.3%-71.7%)、医 師判断のサブグループ 44 名中 27 名(61.4%; 95% CI, 45.5%-75.6%)1。ENESTop 試験で治療を中止した 1 名の患者さんに非定型転写物があることが判明し、この解 析から除外しました 3。 ENESTop は「タシグナ」治療で持続的な深い分子遺伝学的効果を達成した、慢性期 の Ph+ CML の成人患者さんを対象に、治療中止後に分子遺伝学的効果を維持する可 能性を評価する大規模な「タシグナ」TFR 臨床試験プログラムの一部です。 ENESTop の一次解析において、少なくとも 3 年間の「タシグナ」治療後に持続的な 深い分子遺伝学的効果を達成した患者さん 10 名のうち 6 名(57.9%)(95% CI, 48.8%-66.7%)が治療中止後 48 週間、分子遺伝学的効果を維持しました 3。「タシ グナ」服用中の患者さんについて、ENESTop において「タシグナ」の既知の安全性 プロファイルと異なる、安全性に関する新たな所見は観察されませんでした。TFR 期の 1 年目における全グレードの筋骨格痛の発現頻度は 42.1%だったのに対し、地 固め療法期として「タシグナ」を服用中に筋骨格痛を経験した患者さんは 14.3%で した。移行期/急性転化期に進んだ患者さんはいませんでした。これらの結果は、 2016 年 6 月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会と欧州血液学会(EHA)年次総 会で発表されました。「タシグナ」TFR の臨床試験プログラムのその他の試験結果 も ENESTpath(要旨#3094)や ENESTfreedom(抄録#3066)などの ASH のポスタ ーセッションで発表されました。 ノバルティスオンコロジーCEOのブルーノ・ストリジニは次のように述べています。 「ノバルティスの使命は、大胆な科学とイノベーションを通してがん治療を変革す ることであり、その最たる例がCML患者さんを対象にした8件に及ぶTFR試験をノバ ルティスがサポートしていることです。ENESTop試験の結果の詳しい解析により一 次解析以上の結果が出たことは、CML患者さんに対するノバルティスの継続的なコ ミットメントを表すもので、がんの治療に向けた科学的な進歩に貢献することにな ります」 「タシグナ」の TFR 試験において重要なのは、標準化されたアッセイを用いた定期 的かつ頻繁な分子モニタリングによって、BCR-ABL の転写量を MR4.5 まで測定す ることが必要だということです。TFR 中に頻回に患者さんのモニタリングを行うこ とで、MR4.0 および分子遺伝学的大寛解(MMR)の消失と、治療再開の必要性を 適時に判断することが可能になります 3。 CMLにおける治療中止は現在、一般診療下では推奨されていないため、臨床試験に おいてのみ実施可能です。ENESTop試験での治療の中止は、試験の条件下で事前に 規定された厳格な基準を満たした患者さんで実施しました3。 Page 3 of 5 CML に対するノバルティスのコミットメント ノバルティスはTFR臨床試験プログラムの一環として、ENESTop試験、進行中の3件 のTFR試験、4件の医師主導試験を含む8件の試験をサポートしており、これらは40 カ国100カ所以上の世界の施設で現在実施されています。ノバルティスは、過去数十 年にわたるPh+ CMLの研究を通して、白血病を命に係わる疾患から、日常生活を送 ることができる慢性疾患へと変えるのに貢献し、世界のCMLコミュニティに対する 長年のコミットメントを継続しています。ノバルティスは、これらのTFR試験なら びに治験薬を通じて、Ph+ CMLの治療において何が次の大きな貢献となり得るかを 探究するために、科学を追求し、既存のエビデンスを確立していきます。 ENESTop について ENESTop(Evaluating Nilotinib Efficacy and Safety Trial)は、18 カ国 63 施設で実 施された、163 名の Ph+ CML 患者さんを対象とした、非盲検の第 II 相試験です。本 試験では、126 名の慢性期の Ph+ CML 成人患者さんにおいて、「グリベック」の後 に「タシグナ」による 1 年間の治療で、患者さんが深い分子遺伝学的効果を達成お よび持続した後、治療中止を評価しました。試験は継続中で、「タシグナ」の中止 後長期間にわたり患者さんが寛解を維持することができるかを評価する、フォロー アップが計画されています。 「タシグナ®」(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)について 「タシグナ」は、122 カ国以上で、「グリベック」(一般名:イマチニブメシル酸 塩)を含む少なくとも一つの前治療に抵抗性か不耐容の慢性期または移行期のフィ ラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+CML)成人患者さんの治療薬とし て、また初発慢性期の Ph+CML 成人患者さんの治療薬として日本を含 120 カ国以上 で承認されています。 「タシグナ®(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)カプセル」の重要な安全性情報 コントロール不良または重大な心疾患のある患者さん、あるいは QT 間隔延長のお それまたはその既往歴のある患者さんへの使用に当たっては注意が必要です。カリ ウムまたはマグネシウムの血中レベルが低い場合は、「タシグナ」の投与開始前に 正常化させてください。QT 間隔延長への影響については患者さんの状態を十分に観 察してください。治療開始に先立ち、臨床的に示されているように、ベースライン での ECG 測定が推奨されています。 重要なリスクファクターのある患者さんにつ いて、臨床試験での突然死が報告されています。QT 間隔を延長することが知られて いる併用薬または強力な CYP3A4 阻害剤の使用は避けてください。服用前の 2 時間 と服用後の 1 時間は食事をしないようにしてください。B 型肝炎の慢性キャリアの患 者さんでは、TKI 治療後に B 型肝炎ウイルスが再活性化する可能性があります。 肝機能障害、膵炎、胃の全摘手術の既往歴のある患者さんへの使用に当たっては注 意が必要です。ガラクトース不耐性、重篤なラクターゼ欠損症、またはグルコー ス・ガラクトース吸収不良などの稀な遺伝性疾患のある患者さんは「タシグナ」を 使用すべきではありません。妊娠中の「タシグナ」の服用は重大な悪影響を与える 可能性があります。「タシグナ」を使用中の女性は授乳を避けてください。 虚血性心疾患関連事象などの心血管事象、末梢動脈閉塞性疾患、虚血性脳血管疾患 事象が報告されています。「タシグナ」を使用中の患者さんで消化管などの部位か らの出血という重篤な症例が報告されています。胸水、心膜液、腹水、肺水腫など Page 4 of 5 のグレード 3 または 4 の体液貯留が報告されています。「タシグナ」を使用してい る患者さんで、過去の CML 治療に耐性または不耐性の患者さんにおいて腫瘍崩壊症 候群が報告されています。 最も多いグレード 3 または 4 の有害事象は血液学的有害事象(好中球減少症、血小 板減少症、貧血)で、一般に可逆的であり、通常、「タシグナ」の一時中断や減薬 で管理可能です。電解質、脂質プロファイル、肝臓酵素、血糖値などの生化学検査 値を治療前および定期的にチェックしてください。「タシグナ」が血清リパーゼを 増加することがあります。最も多い非血液学的有害事象は、発疹、掻痒、悪心、疲 労感、頭痛、脱毛、筋肉痛、便秘、下痢でした。 黒枠警告を含めた詳しい処方情報は www.tasigna.com をご覧ください。 「グリベック®」(一般名:イマチニブメシル酸塩)について 「グリベック」(イマチニブ)は、110 カ国以上で、全ての病期の Ph+CML 治療薬、 また、切除不能または転移性の KIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍(GIST)の患者 さんの治療薬、KIT 陽性 GIST 完全切除後の成人患者さんの治療薬としても承認され ています。 各国ですべての適応が承認されているわけではありません。 「グリベック®」の重要な安全性情報 「グリベック」はイマチニブ及びその添加剤に過敏な患者さんへの使用が禁忌とさ れています。 妊娠中の「グリベック」の服用は胎児に悪影響を与える可能性があります。女性は 妊娠を避け、胎児にリスクが及ぶ可能性について警告を行うようにしてください。 「グリベック」は重篤な浮腫(腫脹)および重篤な体液貯留との関係が見られます。 血球減少症(貧血、好中球減少症、血小板減少症)がよく見られますが、一般に可 逆的であり、通常、「グリベック」の一時中断や減薬で管理可能です。血球数を定 期的に観察してください。重篤なうっ血性心不全や左心室機能不全、肝不全と肝損 傷など肝移植を必要とする重篤な肝障害が報告されています。心疾患や肝機能障害 のある患者さんへの投与にあたっては注意深い観察が必要です。B 型肝炎の慢性キャ リアの患者さんでは、TKI 治療後に B 型肝炎ウイルスが再活性化する可能性があり ます。 出血が起きる恐れがあります。KIT 陽性 GIST の患者さんで重篤な胃腸(GI)出血が 報告されています。皮膚反応、レボチロキシン置換薬を使用している患者さんにお ける甲状腺機能低下症、命に関わる胃腸穿孔、場合によっては致命的な腫瘍崩壊症 候群なども「グリベック」の副作用として報告されています。治療に先立って脱水 症および高尿酸値を正常化してください。長期的に使用すると、肝臓、腎臓、心臓 などに毒性が生じる恐れ、また、免疫系が抑制される恐れもあります。好酸球増加 症候群と心合併のある患者さんにおいては、心疾患の症例が「グリベック」による 治療の開始と関連付けられています。「グリベック」を小児が服用した場合、成長 の遅れが報告されています。「グリベック」による治療が子供の成長に及ぼす長期 的影響は未解明です。 Page 5 of 5 最も多い副作用は、体液貯留、筋肉の痙攣や筋肉痛、骨の痛み、腹部痛、食欲不振、 嘔吐、下痢、ヘモグロビン減少、出血、悪心、疲労感、発疹などです。「グリベッ ク」は食物または大きめのグラス一杯の水とともに服用してください。 処方にあたっては詳しい処方情報は www.glivec.com をご覧ください。 免責事項 本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、 その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリ スクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳 細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けております Form20-F をご参照ください。 ノバルティスについて ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケ ア(眼科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医 薬品など、幅広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の 2015 年の売上高は 494 億米ドル、研究開発費は 89 億米ドル(減損・償却費用を除くと 87 億米ドル)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは約 118,000 人の社員を擁しており、世界 180 カ国以上で製品が使われています。詳細はホーム ページをご覧ください。https://www.novartis.com 参考文献 1. 2. 3. Hughes, T.P. et al. Treatment-Free Remission in Patients with Chronic Myeloid Leukemia in Chronic Phase According to Reasons for Switching from Imatinib to Nilotinib: Subgroup Analysis from ENESTop. Oral Presentation. Abstract #792. 58th American Society of Hematology Annual Meeting & Exposition in San Diego, CA, USA. Hughes, T.P. and Ross, D.M. Moving treatment-free remission into mainstream clinical practice in CML. Blood. 2016. Advance online publication. doi# 10.1182/blood-2016-01-694265. Hughes, T.P. et al. Treatment-free remission (TFR) in patients (pts) with chronic myeloid leukemia in chronic phase (CML-CP) treated with second-line nilotinib (NIL): First results from the ENESTop study. Poster Presentation. Abstract #7054. 2016 American Society of Clinical Oncology (ASCO) Annual Meeting in Chicago, IL, USA. 以上
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