コンピューターシミュレーションによる 鋳造用金型の多数個取り方案の予測

C-5
コンピューターシミュレーションによる
鋳造用金型の多数個取り方案の予測
09-1-035-0054
赤木
良
1. 緒言
近年,様々な製品の部品が鋳造によって製造され
ているが,求められる精度や品質は年々高まってき
ている.しかし鋳型を製造する際,熟練の職人によ
る「勘」や「経験」に頼った試行錯誤的な鋳型設計
を必要としていたために,かかる時間やコストは莫
大なものとなっていた.そこでシミュレーションソ
図 1.角度 0 度(左)と 45 度(右)傾斜した方案
フトを用いることによって,製品の設計段階におけ
る時間や人件費などのコストの削減が図られている.
本実験では鋳造用シミュレーションソフトを用いて,
多数個取り金型の最適な方案を考案する.
2. 実験方法
本実験では,当研究室の過去の研究にて用いられ
図 2.湯口の延長
たクランクシャフトをモデルとして選定し,多数個
取り方案を考えシミュレーションを行った.以下に
その手順を示す.
2.1 3D モデルの作製
3DCAD ソフトウェア
「SolidWorks」
を用いて,
製品部分に対し湯口や押湯を取付けた方案全体の
モデルを作成し,STL 形式で保存を行った.
2.2 シミュレーションの実行
図 3.押し湯の大きさを変更
作成した STL 形式のファイルを,直交差分法によ
り計算を行うシミュレーションソフト「JSCAST」
にインポートし,各種の設定を行った後に,湯流れ・
凝固解析を実行した.
2.3 シミュレーション結果の検証
解析を行った後,凝固時間,温度勾配などの共
通部分を,欠陥発生位置として評価し,最適な方
案を検討した.
4. 結言
湯道と堰の角度を 0 度から 50 度まで傾けたシ
ュミレーション結果を検討した.
(1) 45 度が最も欠陥の発生個所が少なかった.
(2)45 度傾斜状態から,湯道を延長したがあまり
変化が見られなかった.
(3)45 度傾斜状態から,押し湯を大きくしたが欠
3. 実験結果および考察
角度(図 1)・湯口の延長(図 2)・押し湯の大きさ
の変更(図 3)を検討し,シミュレーションした結果,
以下に示すような欠陥の発生予測位置が得られた.
陥箇所が増えた.
よってクランクシャフト 8 個取りの角度 45 度傾
斜したものが最適な方案と検討できた.