梅光学院大学 自己評価報告書

梅光学院大学
自己評価報告書
[日本高等教育評価機構]
平成19年度
梅光学院大学
梅光学院大学
目
次
Ⅰ
建学の精神・大学の基本理念、使命・目的、大学の個性・特色
Ⅱ
梅光学院大学の沿革と現況
Ⅲ
「基準」ごとの自己評価
・・・p.1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.8
基準 1 建学の精神・大学の基本理念及び使命・目的
・・・・・・p.8
基準 2
教育研究組織
基準 3
教育課程
基準 4
学生
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.44
基準 5
教員
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.62
基準 6
職員
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.68
基準 7
管理運営
基準 8
財務
基準 9
教育研究
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.83
基準 10 社会連携
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.87
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.22
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.72
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.78
基準 11 社会的責務
Ⅳ
特記事項
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.11
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.93
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.99
1
海外留学・語学研修について
2
国際交流センター
3
留学生サポーターの活動について
・・・・・・・・・・・・・p.102
4
生涯学習センター(アルス梅光)
・・・・・・・・・・・・・p.103
5
建学の精神と梅光学院大学のボランティア
・・・・・・・・・・・・・・・p.99
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.100
・・・・・・・・・p.104
梅光学院大学
Ⅰ
建学の精神・大学の基本理念、使命・目的、大学の個性・特色
1 建学の精神及び大学の基本理念
(1)建学の精神
梅光学院の歴史は、明治 5(1872)年に、アメリカ改革派宣教師ヘンリー・スタウト
(1838~1912)と夫人エリザベス・スタウト(1840~1902)が長崎に男女それぞれ
の私塾を開き、聖書と英語を教えたことから始まる。キリスト教禁制が解除される前
年のことである。女子の学校は明治 23(1890)年梅香崎女学校(英語名スタージェス・
セミナリー)となり、大正 3(1914)年には山口にあった光城女学院と合併し、両校の
頭文字を取った梅光女学院が下関に誕生した。男子の学校(スチール・アカデミー)
は神学生を育成し、九州各地に送り出していたが、東京の明治学院に吸収合併された。
このように、梅光女学院は日本における女子教育を担うミッションスクールとして、
長い伝統の中で発展して来た。
大学は、昭和 42(1967)年、梅光女学院大学として開設され、平成 13(2001)年、男女
共学化に伴い梅光学院大学となったが、その建学の精神は、当然のことながら、明治
以来のミッションスクールとしての伝統を引き継いだものとなっている。
梅光女学院時代以来、今日に至るまで、スクールモットーは「光の子として歩みな
さい」であり、これが建学の精神の最も簡潔な表現である。
「光の子として歩みなさい。
光からあらゆる善意と正義と真実とが生じるのです」という聖書の一節(「エフェソの
信徒への手紙」5 章 8~9 節)に由来する、このスクールモットーは、ラテン語表記で
“Ut filii Lucis ambulate.”としてスタージェスホール(礼拝堂・大講堂)に刻まれてい
るだけでなく、Lucis(光)は「ルーキス祭」として大学祭の愛称となり、学院の PR
誌「ルーキス」にも使われ、内外に周知されている。
「光の子として歩みなさい」の示
す具体的な内容は次のように解説され、学校案内などに明示されている。
「21 世紀の社会は、私たちが経験したことのないさまざまな問題を抱えています。
大学はこれまで以上に難しい課題に対処できる深い知識と高い技術を持った職業人
を養成する場であることが求められているのです。しかし、それだけでは十分では
ありません。卒業後の学生たちを取りまくコミュニティや職場は、失敗や挫折から
も多くの教訓を学びとり、それを新しい創造へと結びつける『強くしなやかな精神』
を必要としているからです。ミッションスクールの梅光学院で伝えられる聖書を根
底とした確かな人生観、世界観は、『強くしなやかな精神』を養い、『新しい世界を
切り拓く能力』を育てます。さらに身につけた精神や能力を、自分のためだけでな
く、他者や社会のために用いることのできる人間を養成します。
『光の子として歩み
なさい』というスクールモットーは、神の光を受けて獲得した『強くしなやかな精
神』と『新しい世界を切り拓く能力』を『他者のために用いることのできる人間と
して生きる』ことを指し示しているのです。
」
「強くしなやかな精神と新しい世界を切り拓く能力を他者のために用いることので
きる人間を育てる。
」これが本学の精神の求める人間像であり、特に「他者のために」
がその根幹をなす部分である。
換言すれば、強い使命感を持ち、他者のために献身できる人間を育てることを目標
1
梅光学院大学
とするのであるが、これは単に学生にのみ求められるものではなく、大学運営に当た
る全ての教員、職員の倫理意識の基盤をなすものであり、キリスト教精神の発露であ
ることは言うまでもない。
(2)基本教育理念
学院創設者ヘンリー・スタウトは学院の基本となる教育理念を次のように述べてい
る。
「教師たちは学究的で有能であり、生徒たちは無国籍化されることなく、日本人の
学問で訓練される。英語や科学、音楽、そしてまだ外国人だけが教えることができる
と考えられている様々な有用な技術で補われる。そういう学校が良い学校である。」こ
れは明治期における新しい学校と教育のあるべき姿について語られたものであるが、
本学の教育を支えるものとして今日まで継承されて来た。要約すれば次のようになる。
①学究的姿勢の尊重
②日本に生きる者としての自立性の尊重
③幅広い文化芸術、最先端の問題意識の尊重
①は、小規模校ながら西日本の女子大(当時:梅光女学院大学)で初めて大学院博
士後期課程を開設した(昭和 53(1978 年))ことに象徴されるように、本学院の根幹を
なす伝統となっている。各学部とも学問的にも実作者としても高い評価を得ている教
員スタッフを擁しており、研究発表の場として、紀要の他にも「日本文学研究」
(今日
まで 42 号刊行)、英米文学研究(今日まで 39 号刊行)の発行を持続している。また、
本学院生涯学習センター(後述)発行の「梅光学院大学公開講座論集」は今日までに
55 集を刊行している。
②は、ミッションスクールとしての教育が、西欧化を急ぐあまり、無国籍化するこ
とを否定したものであり、スタウトの慧眼を示すものといえよう。この理念は短期大
学の創設にあたり、国文科(のち日本文学科)をいちはやく設置したことによくあら
われている。当時の、日本の短大は、英文科が主流であったが、夏目漱石研究者とし
て著名な佐藤泰正を中心に国文科が開設され、大学院にまで発展した。九州・山口地
区では「日本文学の梅光」という定評を受けており、研究の他にも、日本文学科にお
ける「文芸創作コース」の設立、高校生対象の文芸誌コンクールの実施、社会人対象
の公開セミナー・公開講座の盛況などにその具体的成果を見ることができる。
また、本学院では戦前から中国、台湾、朝鮮からの留学生を多数受け入れており、
現在もアメリカ、韓国、中国、台湾との交換留学制度を中心に国際交流を行っている
が、この場合も日本の文学、文化、芸術を大切にする本学の伝統が有効に機能してい
る。日本におけるミッションスクールの役割は、何かしら西洋的、キリスト教的な雰
囲気をかもし出すことにあるではない。歴代の宗教部に受けつがれて来た「宗教的で
あるな、信仰的であれ」という言葉は情緒的なミッションスクールづくりを戒める言
葉として今日も生きている。
③は、下関という地方都市に位置する本学院には相当に困難な課題である。しかし、
かつて西日本有数の都市であり、アジアへの玄関口であった下関には、内外の著名人
2
梅光学院大学
の来訪が多数あった。学院の記録には、ヘレン・ケラーの講演((昭和 11(1936)年 5
月)などが記されており、在校生たちは当時最先端で活躍する人物に触れる機会が多
かった。また、音楽教育の充実や、アメリカのミッションボードから派遣される、宣
教師によるレベルの高い英語教育などは、早期からの本学院の特質である。
短大・大学開設後もこの伝統は継承され、宗教講演会、日本文学科総大会、大学祭
などに第一線で活躍する詩人、小説家、研究者を招いて来た。高史明、遠藤周作、曽
野綾子、谷川俊太郎、灰谷健次郎、落合恵子、大林宣彦、大江健三郎、金田一春彦、
小川国夫、なだいなだなどの各氏や気鋭の評論家、研究者が毎年来校し、宗教講演会
以外の講演は一般公開され、好評を博して来た。それは地方都市というハンディの中
で学ぶ若者たちに時代を先がける、また、時代を超える思考や生き方に触れさせ、成
長の一助としたいという願いによるものである。
以上のことから、生涯にわたって学びつづける姿勢を有し、日本に生きる者として
の自覚を持ち、時代の問題意識を共有する学生を育成しようとする本学の基本教育理
念が明確となったと思われる。
(3)使命・目的
全国的な 18 歳人口の急激な減少、地方都市の大学であること、山口県における高校
生の県外進学率の高さなど、本学をとりまく環境は誠に厳しいものがある。その中に
あって、地域になくてはならぬ大学として歩みを進めるためには、強い使命感と、明
確な教育研究への目的意識が確立されていなければならない。
本学では、アドミッションポリシーの検討を重ね、その中で長期教育目標を設定し
た。平成 19(2007)年度に改訂した長期教育目標は次のとおりである。
①長い伝統を持つミッションスクールとして、建学の理念に基づいた人間教育の一層
の深化徹底を図り、国内外のボランティア活動などの具体的な宗教活動の場を拡充
する。
②学びの基礎となる教養教育の一層の充実を図るとともに、学生たちが生涯にわたっ
て学び続ける姿勢を体得させるための、自己教育に導く教育プログラムを整備する。
③それぞれの専門分野において高い専門性を身につけられるよう、カリキュラムの改
善に努め、全員長期海外研修(語学系学生)などの実践的教育を拡充する。
④一般社会人の生涯学習の場としての大学の機能を一層高めるとともに、学生たちが
日常的に地域社会とかかわる機会を増やし、地域社会と共に成長する大学づくりに
励む。
⑤小規模校の特性を生かし、教職員と学生の親密なコミュニケーションに基づく学生
サポートシステムを整え、学生の成長を日常的に支える。
私立大学はまさしく「志立大学」であり、高い志を持ち、それをいかに継続発展さ
せるかに全てはかかっている。これからも、建学の精神にふさわしい使命感と目的意
識を持って、学生のため地域社会のため、歩みを進めていきたい。
3
梅光学院大学
(4)個性・特色
本学の個性・特色を一言で表現すれば、
「地方都市の小規模ミッションスクール」と
なろう。人口 30 万の下関市にある、1000 人規模の文科系ミッションスクールである。
条件としては不利であるが、
「小規模校の特性を生かした大学づくり」に目標を定める
ことで、十分に利点へと反転するものである。
本学は伝統的に教職員と学生の距離が近く、アットホームな校風を持ち、それは「梅
光ファミリー」という名で呼ばれてきた。ゼミはもちろん、さまざまな場で教員と学
生はコミュニケーションを深め、切磋琢磨してお互いを高めあっている。キャンパス
のあちこちで教職員と学生たちの語らいの場面を見ることができるし、就職指導にあ
たって、教職員が一人ひとりにふさわしい仕事を紹介できるのも、小規模校ならでは
のことである。
本学は、平成 18(2006)年の日本経済新聞による「公私立大学地域貢献度調査」にお
いて私立で第 1 位、全体で 5 位の成果を得たが、これも小規模校ゆえのきめ細かい配
慮をもって地域貢献を行ってきた結果であろう。
ミッションスクールとしての宗教活動や宗教教育においても、毎日行われるチャペ
ル、サマリアデー献金はもちろん、年 2 回開催される宗教講演会に全教員、全学生が
集うことができるのも、この特色ゆえのことである。
混迷を深める現代日本社会にあって、人間と人間のふれあいを深め、相互に人格形
成を行うことは、今後ますます重要度を増していく。これからも本学に与えられた条
件を正面から受け止め、本学ならではの大学づくりを目指したい。
4
梅光学院大学
Ⅱ
梅光学院大学の沿革と現況
1
学校法人梅光学院並びに梅光学院大学の沿革
梅光学院の歴史は、明治 5(1872)年に、アメリカ改革派宣教師ヘンリー・スタウト
(1838~1912)と夫人エリザベス・スタウト(1840~1902)が長崎に男女それぞれ
の私塾を開き、聖書と英語を教えたことから始まる。キリスト教禁制が解除される前
年のことである。女子の学校は明治 23(1890)梅香崎女学校(英語名スタージェス・セ
ミナリー)となり、大正 3(1914)年には山口にあった光城女学院と合併し、両校の頭
文字を取った梅光女学院が下関に誕生した。男子の学校(スチール・アカデミー)は
神学生を育成し、九州各地に送り出していたが、東京の明治学院に吸収合併されたの
で、梅光学院は日本における女子教育を担うミッションスクールの一つとして発展し
て来た。その後の主な歴史は次の通りである。
昭和 20(1945)年
昭和 26(1951)年
昭和 28(1953)年
昭和 39(1964)年
昭和 42(1967)年
昭和 51(1976)年
昭和 53(1978)年
昭和 57(1982)年
平成 11(1999)年
平成 12(2000)年
平成 13(2001)年
平成 14(2002)年
平成 15(2003)年
平成 17(2005)年
平成 18(2006)年
戦災により、その校舎のほとんどが焼失するも、生徒、父母、
同窓生、米国キリスト教信徒の献金により復興が進む。
学校法人梅光女学院設立、校名は梅光女学院高等学校、同中
学校となる。
梅光女学院幼稚園開設
梅光女学院短期大学英米文学科開設、翌年日本文学科増設
梅光女学院大学文学部日本文学科、英米文学科開設
大学院博士前期課程(修士課程)開設
西日本の女子大として初めての博士後期課程(博士課程)を
開設
文学部に英米語学科を増設
英米語学科が発展的に移行し、現代コミュニケーション学部
現代コミュニケーション学科開設
短期大学の日本文学科・英米文学科を改組・再編し、言語コ
ミュニケーション科開設
開学 130 周年、法人名を学校法人梅光学院と改称。大学は梅
光学院大学と改称され、男女共学となる。短大は梅光学院大
学女子短期大学部と改称される。
東駅キャンパスへ大学移転開始。大学院昼夜開講制始まる。
東駅キャンパスへ大学・大学院移転完了
大学に子ども学部を新設、現代コミュニケーション学部を国
際言語文化学部に改編
女子短期大学部閉学
ここ数年、本学はさまざまな改革を行って来た。平成 13(2001)年の開学 130 周年を
期しての男女共学化、平成 14(2002)年の大学キャンパスの移転開始、平成 17(2005)
年の子ども学部の新設、平成 18(2006)年の女子短期大学部の閉学などである。
5
梅光学院大学
それぞれに困難の伴った事業であったが、今、大きな峠を越え、学内は落ちついた雰
囲気の中で着実な歩みを始めている。
2 梅光学院大学の現況
・大学名
梅光学院大学
・所在地
山口県下関市向洋町一丁目 1 番 1 号
・学部の構成
梅光学院大学
学
部
学
科
日本文学科
文学部
英米文学科
現代コミュニケーション学部
(平成 17 年度より募集停止)
現代コミュニケーション学科
英米語学科
国際言語文化学部(平成 17 年度新設)
東アジア言語文化学科
子ども学部(平成 17 年度新設)
子ども未来学科
梅光学院大学大学院
学
部
学
日本文学専攻博士後期課程
日本文学専攻博士前期課程
文学研究科
英米文学専攻博士後期課程
英米文学専攻博士前期課程
・学部及び大学院の学生数(平成 19 年 5 月 1 日現在
〔学部〕
学部
学科
科
1 年次
2 年次
単位:人)
3 年次
4 年次
計
男
女
計
男
女
計
男
女
計
男
女
計
男
女
計
日文
19
60
79
17
39
56
12
77
89
16
74
90
64
250
314
英文
1
9
10
2
9
11
5
12
17
8
19
27
16
49
65
現コミ
現コミ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
14
42
56
14
42
56
国際言
英米語
11
34
45
10
38
48
7
27
34
-
-
-
28
99
127
語文化
東アジア
5
12
17
4
9
13
3
12
15
-
-
-
12
33
45
26
39
65
19
54
73
12
48
60
-
-
-
57
141
198
62
154
216
52
149
201
39
176
215
38
135
173
191
614
805
文学
子ども
合
子ども
未来
計
6
梅光学院大学
〔大学院博士後期課程〕
研究科
文学研究科
合
専攻
1 年次
2 年次
3 年次
計
男
女
計
男
女
計
男
女
計
男
女
計
日本文学専攻
0
0
0
2
1
3
0
2
2
2
3
5
英米文学専攻
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
1
3
0
2
2
2
3
5
計
〔大学院博士前期課程〕
研究科
文学研究科
合
専攻
1 年次
計
男
女
計
男
女
計
男
女
計
日本文学専攻
1
2
3
0
3
3
1
5
6
英米文学専攻
0
3
3
0
2
2
0
5
5
1
5
6
0
5
5
1
10
11
計
・教員数
学
2 年次
・職員数
部
文学部
国際言語文化
(現コミ)
専 任
兼
任
26
21
子ども
17
計
64
専
任
54
嘱
託
14
68
計
27
臨
7
時
2
梅光学院大学
Ⅲ
「基準」ごとの自己評価
基準 1 建学の精神・大学の基本理念及び使命・目的
1-1 建学の精神・大学の基本理念が学内外に示されていること。
《1-1 の視点》
(1) 1-1 の事実の説明(現状)
1-1-① 建学の精神、大学の基本理念が学内外に示されているか。
梅光学院大学はキリスト教信仰とキリスト教主義精神によって建てられた学校であ
り、スクールモットーは「光の子として歩みなさい」”Ut filii Lucis ambulate.”(エフ
ェソの信徒への手紙 5 章 8 節~9 節)である。この言葉に建学の精神が集約されてい
ると言える。学外に対しては本学のホームページ(http://www/baiko.ac.jp)、学生便覧、
大学案内、梅光学院同窓会誌「梅光」などで、常に建学の精神についての記述を冒頭
に載せている。また、梅光学院広報誌「ルーキス」は、スクールモットーの中にある
ラテン語の Lucis(ルーキス)からとった名前である。道路に面した体育館の壁面に
も、梅光の校章とラテン語の聖句”Ut filii Lucis ambulate.”が刻まれている。学内的に
は、建学の精神の象徴である「スタージェスホール」
(礼拝堂・大講堂)の正面にスク
ールモットーのラテン語の聖句が刻まれている。また、図書館入口には「神を畏れる
ことは知恵のはじめ」という、聖句がラテン語で刻まれている。毎日、教育プログラ
ムとして開かれるチャペルにおいて、建学の精神は、あるときは聖書から、あるとき
は人生訓として幅広い意味で語られている。更に当然のことながら、授業科目の中で
建学の精神を示してきた。例えば、
「キリスト教倫理」では、聖書を学ぶことを通して
愛と奉仕の精神を学んでいる。
「音楽」では讃美歌を歌い、宗教音楽を聴くことで、豊
かな人間性を育んでいる。年に 2 回宗教講演会を開き、広い分野から講師を招き、建
学の精神の確認と新しい課題を学んでいる。年に 1 度の開学記念日には、学院全体と
しての礼拝をもち、建学の精神と本学の歴史を振り返っている。11 月の学友会活動の
イベント、大学祭の名称も「ルーキス祭」である。また、12 月に行われる「クリスマ
ス礼拝」は、本学最大の宗教行事であり、周到な準備のもと、一般市民に公開して行
われている。
(2) 1-1 の自己評価
建学の精神の「光の子として歩みなさい」は、梅光学院大学の歴史と共に示され、
内外に具体的に展開していったといえる。小規模校であるからこそ、建学の精神を心
に刻みながら、その精神を常に確認し、示してきた。大学案内を作るときにも、まず
は、建学の精神を示す頁をしっかりと確保してきた。キリスト教の精神、すなわち、
建学の精神が日本の若者たちを豊かに育てることを訴えてきたのである。これからも
建学の精神によって立つ梅光学院大学は、その原点に常に立ち返りつつ、時代の中で
求められている課題に常に応えていかなければならない。
(3) 1-1 の改善策・向上策(将来計画)
平成 19(2007)年 4 月現在、
女子短期大学部は廃止され、
男女共学も 7 年目に入った。
8
梅光学院大学
建学の精神、教育の基本理念は、このような変化の中にあっても、いささかも揺らぐ
ことはないが、常に具体的な教育の現場と呼応し、問い、問われる緊張関係を持続さ
せねばならない。それを実際に実行する場として、本学には、将来構想委員会が設置
されている。学長、副学長、各学部長、各科主任、宗教主任に若手教員を加えて構成
されるこの委員会は、大学移転、共学化、短期大学部の廃止を企画し、主導して来た
が、その責務は、単に新しい構想を立ち上げることにとどまるものではなく、常に、
建学の精神、教育の基本理念が、大学運営に正しく具現化されているかを点検すると
ころから始めて来た。平成 17(2005)年度においては、出口(就職)から見たカリキュ
ラム評価をテーマに、改革を提言した。平成 18(2006)年度は、全学共通科目の見直し
や学科再編について検討した。平成 19(2007)年度も引き続きこの問題を検討すること
になるが、その場合も、上述してきたような、建学の精神の具現化を基本において論
議が進められている。特に、今後は、地域社会のためにミッションスクールとして何
ができるか、がテーマの中核となる。
1-2 大学の使命・目的が明確に定められ、かつ学内外に周知されていること。
《1-2 の視点》
(1) 1-2 の事実の説明(現状)
1-2-① 建学の精神・大学の基本理念を踏まえた、大学の使命・目的が明確に定め
られているか。
入学時に配付される学生便覧の初めの頁に、
「建学の精神」の「光の子として歩みな
さい」が記されている。また、梅光学院大学学則第 1 章第 1 条に「本学は、高い教養
と専門的知識、技能を教授研究し、キリスト教の信仰に基づく人格教育を基盤とし、
愛と奉仕に生きるよき社会人を育成することを目的とする」と明確に示してある。こ
の「建学の精神」は、更に具体的な表現で大学の理念として「強くしなやかな精神と
新しい世界を切り拓く能力を他者のために用いることのできる人間を育てる」として、
大学のホームページにも、大学案内にも明確に示してある。
1-2-② 大学の使命・目的が学生及び教職員に周知されているか。
新入生に対しては、入学時に配付する学生便覧の冒頭に記してあり、学則にも明確
に記してある。入学式の学長の式辞も、建学の精神と大学の使命・目的を踏まえたも
のとなっている。新学期の学生生活オリエンテーション(1 泊 2 日)や卒業式におい
ても、同じように学長からメッセージが送られる。また、年 2 回の宗教講演会におい
ては、聖書に基づいた講話を全教員と全学生が聞く。6 月の開学記念日においては、
梅光学院の全教職員、卒業生、関係者による合同式典がもたれ、建学の精神、大学の
使命・目的を確認するメッセージが述べられている。
日常の活動としては、宗教部が中心となり、毎日 10 時 40 分から 11 時まで行われ
るチャペル(学院礼拝)では、建学の精神を確認するだけではなく、そこで、メッセ
ージを送る教職員や学生の口から、その具体的な経験が語られる。教育プログラムと
して守られているこのチャペル講話は、クリスチャン、ノンクリスチャンの区別なく
担当され、梅光学院大学の特質を示すものとなっており、大学の使命・目的について、
9
梅光学院大学
その人の言葉で語られる。
また、月 1 回実施される「サマリアデー献金」は、大学の使命・目的が、教職員、
学生に理解され浸透していることを具体的に示すものである。聖書の「よきサマリア
人のたとえ」から命名されたこの献金は、教職員、学生から献げられたお金によって、
東南アジアの恵まれない子どもたちを支援するものであり、現在 8 人の子どものサポ
ートを行っている。送金だけでなく、文通や訪問ツアーの実施により、学生たちの人
間的成長にも大きな影響を与えている。
建学の精神、大学の使命・目的を大学教育の中で具体的に明らかに示し、豊かな人
格と愛と奉仕の精神をもった学生を育てていくために、
「キリスト教倫理」や「音楽」
の授業が必修科目として置かれている。
1-2-③ 大学の使命・目的が学外に公表されているか。
既述しているように、梅光学院大学のホームページをはじめ、大学案内、学生便覧、
広報誌「Lucis (ルーキス)」、同窓会誌「梅光」の中に、建学の精神、大学の使命・目
的を明示したメッセージを載せている。
(2) 1-2 の自己評価
本学は建学の精神が明確に示され、明らかにされている。したがって、大学の使命・
目的も常に明らかにされている。学生便覧に載せられ、ホームページ、入学案内など
に毎年載せられて、常に原点に立つという姿勢を示している。
キリスト教信仰とキリスト教精神に基づいた、大学の使命・目的は明確であり、人
格教育、愛と奉仕の精神を育んできたといえるが、一般の教養教育や専門教育の中に
どのように展開されていくかについては、さらに改革を進めねばならない。特に、い
わゆる教養教育が本学の教育理念・教育目的とどのようにつながり、どのような目標
を持つかは、まだ、明示されているとは言いがたい。また、アドミッションポリシー
とどうつながって、どのような目標を持つのかはまだ明示されていない。したがって、
アドミッションポリシーに導かれて入学した学生が、本学での成長を経て、どのよう
な人材として社会に巣立っていくかが、より明確にイメージされる必要がある。最近
ではそれをグラデュエーションポリシーと呼ぶようになっているが、この 2 つのポリ
シーを結ぶものとして、学部学科教育、教養教育があることを教員ははっきりと自覚
し、授業の改善、カリキュラムの整備を行わねばならない。また、チューターゼミ(教
養セミナー)の授業内容についても、不断の見直しが必要である。
(3) 1-2 の改善・向上方策(将来計画)
大学全入時代を迎え、入学者に対して、建学の精神や大学の使命・目的を明らかに
し、それを伝えていく努力は、今まで以上に必要となる。地方の小規模校である本学
にとって、常に本学の使命・目的を伝えていくことは生き残りの生命線になる。具体
的には、本学がどのような学生を求めているかという、アドミッションポリシーの明
確化と、どのような学生を育てて、社会に送り出していくかいうグラデュエーション
ポリシーをより明らかにして、これを内外に伝えていくことが必要である。
10
梅光学院大学
[基準 1 の自己評価]
大学の建学の精神及び大学の使命・目的は、本学の規定、学生便覧、広報誌(Lucis)、
大学案内、ホームページなどで十分に広報されている。入学式、卒業式は、建学の精
神であるキリスト教精神により礼拝の形式で執り行われ、讃美歌が歌われ、聖書が拝
読される。学長の式辞でも、理事長の挨拶でも、建学の精神を思い起こし、それを確
認するメッセージが常に含まれている。6 月 5 日の開学記念日は、学院の全教職員が、
建学の精神を思い起こし守る日である。前期と後期に開かれる宗教講演会は、在学生
が建学の精神であるキリスト教の信仰とその広がりを学ぶ日である。本学は、地方に
ある小規模校として、変化の激しい時代の中にあって常に緊張感をもって存在してき
た。その意味で、常に建学の精神、大学の使命・目的を明らかにして歩んできた。
[基準 1 の改善・向上方策(将来計画)]
本学の建学の精神、大学の使命・目的が明らかにされているかは、大学におけるあ
らゆる分野で確認が必要である。研究において、教育において、地域貢献において、
具体的に何をなして来たか、繰り返し確認と反省が必要である。そのことを踏まえて、
これから本学は何ができるか何をなすべきかを、将来構想委員会などでの検討を経て、
具体案が提言されなければならない。教養教育や専門教育課程と大学の教育理念との
つながりについては、平成 21(2009)年からの抜本的改革に向けて準備を進めている。
基準 2 教育研究組織
2-1 教育研究の基本的な組織(学部、学科、研究科、附属機関等)が、大学の使命・
目的を達成するための組織として適切に構成され、かつ、各組織相互の適切な
関連性が保たれていること。
《2-1 の視点》
(1) 2-1 の事実の説明(現状)
2-1-① 教育研究上の目的を達成するために必要な学部、学科、研究科、附属機関
等の教育研究組織が、適切な規模、構成を有しているか。
本学の教育研究組織は、資料 2-1 に示すとおりである。運営組織は学校法人梅光学
院である。大学の運営は「学校法人梅光学院寄附行為」、「梅光学院大学学則」等に基
づき行われている。大学の規模については表 2-1-1 に示す。
表 2-1-1 学部学科の入学定員及び在籍学生数 (平成 19 年 5 月 1 日現在
学
入 学
定 員
収 容
定 員
在 籍
学生数
日本文学科
70
308
314
英米文学科
30
128
65
436
379
計
部
文学部
計
単位:人)
学
科
100
11
梅光学院大学
現代コミュニケー 現代コミュニケーション学
ション学部
科
110
110
56
計
110
110
56
英米語学科
70
217
127
東アジア言語文化学科
30
93
45
100
310
172
80
250
198
80
250
198
1,106
805
国際言語文化学部
計
子ども学部
子ども未来学科
計
合
計
(現代コミュニケーション学部は 4 年生のみ、国際言語学部及び子ども学部は 1~3 年生のみが在籍)
平成 17(2005)年 4 月に、現代コミュニケーション学部現代コミュニケーション学科
(定員 100 人)は、国際言語文化学部英米語学科(70 人)と東アジア言語文化学科(定
員 30 人)に再編された。この年から現代コミュニケーション学部は募集停止し、国際
言語文化学部の学生募集を開始した。平成 19(2007)年度は、現代コミュニケーション
学部の 4 年生が残り、国際言語文化学部は 1 年生から 3 年生までが在籍している。
文学部の入学定員は 100 人であり、その内、日本文学科が 70 人、英米文学科が 30
人である。
子ども学部は、平成 17(2005)年に、梅光学院女子短期大学部が募集停止になると同
時に、文学部の発展型として枝分かれしてできた学部である。子ども学部子ども未来
学科は 1 学部 1 学科であり、入学定員は 80 人である。
専任教員数は表 F-6「全学の教員組織」に示すとおりで、全教員数は 64 人となる。
大学院の教育研究組織は、資料 2-1 に示すとおりである。その規模は表 2-1-2 に示
す。
表 2-1-2 研究科の入学定員及び在籍学生数 (平成 19 年 5 月 1 日現在 単位:人)
研究科
専攻
入学定員
収容定員
在籍学生数
博士前期
博士後期
博士前期
博士後期
博士前期
博士後期
日本文学専攻
6
2
12
6
6
5
大学院
計
6
2
12
6
6
5
文学研究科
英米文学専攻
6
2
12
6
5
0
計
6
2
12
6
5
0
12
4
24
12
11
5
合計
大学院は、大学を開設して 10 年目の昭和 51(1976)年に、日本文学専攻・英米文学
専攻の二つを柱にした、文学研究科の修士課程(博士前期課程)を設立した。入学定
員は各専攻 6 人の計 12 人である。その 2 年後の昭和 53(1978)年には、やはり、同じ
二つの専攻を持つ博士課程(後期課程)を設立した。入学定員は各専攻 2 人の計 4 人
である。
当時、西日本の女子大学では、最初に博士の学位を授与できる大学院であった。
12
梅光学院大学
現在では長い女子教育の伝統をさらに発展させ、大学ともども男女共学になってい
るが、その教育理念に変わりはない。日本文学・日本語学、英米文学・英語学の高度
な専門研究と少人数教育により、その領域における国際的な働きのできる、社会から
真に求められる有能な人材の育成を目指している。
博士課程 12 人の教員が研究指導を担当している。
附属研究所として、語学研究所と地域文化研究所がある。
語学教育研究所は、平成元(1989)年に設置された。当時から毎年 8 月上旬の 3 日な
いし 4 日間福岡市で本学大学院公開講座が開催されているが、その 1 講座として九州・
山口地区の、特に、高校英語教員を対象とする講座が開講され、これが研究所設立へ
の機運となった。この英語講座は「国際化社会に対応する英語教育のあり方」という
テーマで、常設プログラムとして開講され、開かれた大学という理念を実現すべく、
語学教育研究所設立へと発展していったのである。
当研究所の活動の主たるものは、以下の二つに集約される。一つは、所員ほかによ
って開催される「語研懇話会」である。ここでは、様々な専門領域の教員が、総合的・
学際的に語学教育研究を行うために、活発な発話、質疑、討論を繰り広げていく。
「語
研懇話会」は、第 1 回の岡野信子教授(当時)による発話「日本語の談話における受
け答え―長門方言談話を資料として」を皮切りに、
「コミュニカティヴな英語教育を目
指して」と題するシンポジウム等々を行ってきた。いずれも、地域の教育機関および
一般向けの公開プログラムである。平成 5(1993)年 10 月、「語研懇話会」の発話内容
要旨と語学教育に携わる教員の研究成果を公表する「語研通信」の第 1 号を発行した。
この「語研通信」は本学の教員、学生のみならず、他学の語学教育機関や中・高・大
学にわたる教育現場に身をおく教師達や学生とも意見交換のできる足がかりになるこ
とを念じながら発行されるもので、現在まで 5 号が発行された。また、ほかの機関誌
の寄贈も受け、研究および情報の交流を図っている。もう一つの主要な活動としては、
国際言語文化学部との共催による学内外国語スピーチコンテストがある。11 月の大学
祭のプログラムの一つとして行われ、留学生による日本語スピーチ、日本人学生によ
る中国語スピーチ、韓国語スピーチがある。日頃の学習の成果を示す場として、学生
たちの目標となっている。なお、職員は、所長 1 人(教授)と所員 3 人(いずれも兼
任)である。
地域文化研究所は大学の附属研究機関として昭和 59(1984)年設立された。地域の歴
史・風土・文物への学生の理解を深めることで、地域に生きる人間としての自覚を促
し、郷土愛につなげ、地域活性化に貢献できる人間づくりを目指している。各分野の
教員が委員として教育活動に当たり、学際的な視点から、地域と人間との関係を見つ
めさせるよう指導している。また、当研究所は、大学博物館・博物館学課程・生涯学
習センターとの連携活動を、より活発化させる課題を担っている。年 3 回の研究例会
と、年 1 回の大会を開催し、春には歴史遺産見学ツアー(アカデミック・キャラバン)
を行い、年 1 冊紀要の刊行を行っている。
当研究所は、所長を兼ねる専任教授 1 人を置き、また、所長以下若干名を運営委員
として教授陣から選出し、機関運営・研究調査活動を行っている。
13
梅光学院大学
2-1-②
教育研究の基本的な組織(学部、学科、研究科、附属機関等)が教育研究
上の目的に照らして、それぞれ相互に適切な関連性を保っているか。
本学には、教学の運営の基本方針について協議する学内企画委員会、教学の具体的
な運営を協議する責任者会、全学部の教授、准教授が出席する合同教授会、学部の全
教員が出席する学部会、学科の全教員が出席する学科会、大学院には大学院委員会が
ある。その他に、共通科目担当者会、英語担当者会などの委員会がある。
学内企画委員会は、学院長、学長、副学長、各学部長、梅光女学院中学・高校長を
メンバーとし、学院全体の視野に立ち、各学部や中学・高校の情報を交換し、新しい
企画を立案し、教育・研究の充実を図っていくために設置された協議機関であり、週
1 回会議をもつ。職員との意思疎通を図り、大学運営を円滑化するため、平成 18(2006)
年度から職員の各部長も隔週で会議に参加することとした。
責任者会は、学院長、学長、副学長、学部長、学科主任、大学院主任、宗教主任、
学生部長、教務部長、キャリア支援部長、図書館長、将来構想委員長、コンピュータ
委員会委員長、入試委員長、英語担当者会責任者、共通科目担当者会責任者、地域連
携プロジェクト実施委員会委員長が出席し、各部門間の情報を交換し、各部門がもつ
問題や課題を調整し協議する会議であり、月 1 回開催される。
学部会には、文学部会、国際言語文化学部会、子ども学部会がある。それぞれの学
部に所属する専任教員によって構成されており、月 1 回開催される。学部内の問題と
課題について話し合い、学部決定事項について審議し、学部の研究と教育の発展につ
いて協議する。
学科会には、文学部内の日本文学科会と英米文学科会、国際言語文化学部内の英米
語学科会と東アジア言語文化学科会、子ども学部の子ども未来学科会の 5 つの会議が
ある。それぞれの学科に所属する専任教員が構成員として、月 1 回、学科の運営につ
いて問題や課題について協議する。
大学の学内部会・委員会には宗教部会、学生部会、教務部会、キャリア支援部会、
英語担当者会、共通科目担当者会、教職指導委員会、地域連携プロジェクト実施委員
会、語学教育研究所運営委員会、自己点検・評価委員会、授業研究推進委員会(FD 委
員会)、教養教育推進委員会、e ラーニング推進委員会、入試委員会、高大連携委員会、
入試問題作成委員会、図書館運営委員会、博物館運営委員会、地域文化研究所運営委
員会、紀要編集委員会、広報委員会、セクシャルハラスメント防止対策委員会、寮務
委員会、梅光多世代交流支援センター運営委員会がある。また、学院組織内委員会と
して、企画委員会、将来構想委員会、全国「高校文芸誌」コンクール実行委員会、国
際交流センター運営委員会、生涯学習センター運営委員会、コンピュータ委員会、学
院資料管理委員会、梅光学院学術図書助成審査委員会、昇任委員会などの委員会があ
り、大学、学院の運営において適切な連携をとりながら機能している。
大学院研究科委員会は、建学の精神の下に、専門の学術的理論及び応用を教授研究
する、大学院の教学と運営を協議する。梅光学院大学大学院学則に則り運営されてお
り、学長および研究科専任教授をもって組織される。学長が委員長であり、月 1 回開
催される。
14
梅光学院大学
(2) 2-1 の自己評価
それぞれの教育研究組織は、適切に組織され運営されている。それぞれの部門がも
つ問題や課題を十分に協議し、問題解決に向け迅速な対策がとれるような組織となっ
ている。また、学生や社会、地域の声に応えた対応ができる組織であり、学長のリー
ダーシップが発揮しやすい組織となっている。
合同教授会の承認と理事会の承認を経て学長が選出され、学長により任命された委
員により各委員会が組織運営される。小さな大学にあって、全教員がいずれかの委員
会に属し、教育研究とその環境整備に関する課題に取り組み、きめ細かい対応をして
いる。
学長が大学院研究科委員会の委員長を兼ねているので、大学院と大学との連携も十
分とれている。
(3) 2-1 の改善・向上方策(将来計画)
大学の教育研究組織も学院全体の経営、大学の経営と深く関わっている。その意味
でも理事長、学院長、学長の連携が必要である。これらの連携の中で、迅速に新しい
学部や学部再編が検討され実施されている。
平成 17(2005)年度には、子ども学部子ども未来学科を新設し、保育者養成機関とし
て認可を受け、保育士及び幼稚園教諭一種免許の資格が取得可能になった。さらに、
平成 19(2007)年度には、小学校教員課程が認定され、小学校教員を養成する初等教育
コースを設置した。また、平成 17(2005)年度に、現代コミュニケーション学部は国際
言語文化学部に、現代コミュニケーション学科は英米語学科と東アジア言語文化学科
に改編した。平成 21(2009)年度には、文学部、国際言語文化学部の学科再編が予定さ
れている。これらの改編は地域や社会のニーズに応えたものである。今後も、特色あ
る地域の大学として、さらには、小規模校の特質を生かして、問題に迅速に対処し、
不断に改革を進められる組織づくりを進めていかねばならない。
2-2
人間形成のための教養教育が十分できるような組織上の措置がとられているこ
と。
《2-2 の視点》
(1) 2-2 の事実の説明(現状)
2-2-① 教養教育が十分できるような組織上の措置がとられているか。
教養教育を担う部署として、本学では一般教養や基礎・教養があった。それは一般
教養の大綱化の流れの中で、本学においても、教養科目と専門科目の区分が明確では
なくなった。年次配当も、基本的には 1、2 年次に置くけれども、自由になった。本学
も教養科目の区分を本学独自のものにし、独自の科目も設けた。教員の所属について
も、平成 12(2000)年には、教員は原則として、いずれかの学部所属になった。しかし、
教養科目を担う教員の組織は、基礎・教養として維持されていった。この組織には主
任がおかれ、基礎・教養主任として、本学における教養科目のあり方を考え、カリキ
ュラムや科目の設定を協議する基礎・教養担当者会を運営していった。平成 15(2003)
年 4 月より、全学共通科目と呼ばれるようになった。共通科目(主に教養科目)と専
15
梅光学院大学
攻科目の区別ができていった。しかし、共通科目(教養科目)を担当する教員の共通
科目担当者会は存続していき、その主任も置かれている。本学の教養科目のあり方を
検討し、改善の提案をしていくのがこの会である。共通科目担当者会は、年に数回の
例会をもち、大学における共通科目(教養科目)の在り方、必要な科目について、ま
た、大学図書館に入れる教養科目の図書についても協議している。年に 1、2 回研究例
会も開いている。専門領域の違うものたちであるが、大学における教養教育を担うも
のとして、互いに協力している。
文系大学である梅光学院大学における教養教育が目指すものは、学部学科を問わず
「文系のゼネラリスト」の養成、つまり、どのような分野にも適応する普遍的で豊か
な教養を備えた社会人養成の教育と位置付けられる。
社会人として、自分と異なる人や社会や文化などを理解し、これを尊重しながら共に
生きていくという姿勢を身につけ、人間や社会に対する洞察を深め、様々な視野から物
事を捉え、判断する力を育ててゆくことを目指している。この点から、教養教育は必ず
しも各専攻分野と直接的に関連するとは限らず、補完する分野を設けている。さらに、
文系学生のための教養教育では、地球環境問題やそれに伴う食物汚染、生命倫理問題な
ど、日常的に話題となっている問題を理解するために、とかく軽視されがちな自然科学
分野の充実を重視している。
「教養セミナー」は、1、2 年次に設置され、ゼミの形式で時事問題や社会常識につ
いて発表、討議を行う授業であり、教養教育の柱の一つとなっている。各学科の専任
教員が担当者となる。学生の学習や生活についても相談に乗る、チューターの役割を
果たすので、チューターゼミと呼ばれている。
梅光学院大学の所謂一般教養科目は、文学部及び国際言語文化学部では「共通科目」
と称し、従来の人文科学系列、社会科学系列、自然科学系列に対応させた「文化・芸
術分野」、「社会・教育分野」、「自然・生活分野」に加え、社会人になるための教養を養
うための「教養セミナー分野」
、さらに「外国語分野」
、
「保健体育分野」、
「特別履修分
野」で構成されている。子ども学部では「教養科目」と称し、
「文学と文化」
、
「現代社
会の課題」、
「コミュニケーション」で構成されている。
共通科目では、少人数の講義から最大 100 人の講義となっている。教養セミナーは
7~26 人、外国語は 10~35 人、保健体育講義は約 100 人、スポーツ実習は 30~50 人
となっている。
共通科目の中でも、資格取得に関係する科目は受講生が多い。年度によっても、科目
によっても受講人数に差がある。
外国語は第二外国語の受講人数に差があるが、少人数クラスによる効率的な授業実
現のため、特に受講生の多い韓国語では 2 クラス編成とした。また、日本文学科第一
外国語の英語は、少人数クラス編成による習熟度別授業となっている。
2-2-② 教養教育の運営上の責任体制が確立されているか。
本学の教員は、文学部か国際言語文化学部、子ども学部のいずれかの学部に属して
いる。共通科目の大学教育における意義や意味については、各学部に所属する共通科
目担当者による共通科目担当者会が組織されている。定期的に共通科目担当者会が開
16
梅光学院大学
かれ、大学における共通科目(教養科目)の在り方やそれぞれの授業に関して報告、
問題点の提起がなされ、協議が行われている。また、学期ごとに実施されている学生
による授業評価の結果を踏まえ、各教科の担当者による総括、共通科目担当者会主任
による全教科の総括を行っている。また、共通科目担当者会主任は毎月 1 回開かれる
責任者会に出席して諸問題について協議や検討を行っている。また、全学的に教養教
育をどのように位置付け、どのような内容を新たに取り入れていくべきかについては、
学長の諮問を受け将来構想委員会などで検討する。
教養セミナー(チューターゼミ)は、授業内容の統一を計るため、共通のシラバス
を作成し、それに従って授業を展開している。また、年度末には担当者会議を開き、
現状の報告と改善へ向けての討議を行っている。
(2) 2-2 の自己評価
一般教養(共通科目)の重要性は再確認されてきたが、各学部のカリキュラムを優
先せざるを得ない現実がある。各学部で専攻科目を増やしていく中で、共通科目は減
少傾向にある。現実を踏まえた上で、建学の理念にそった教養教育がいかにあるべき
かについて、平成 21(2009)年度の改革に向け討議を重ねる必要がある。
第 2 外国語の学習については、韓国語、中国語の学習時間を増やすなど、学生の希
望に応えてきた。それにより、韓国文化短期研修や中国文化短期研修に、専門外の学
生たちも参加していることは評価できる。
(3) 2-2 の改善・向上方策(将来計画)
教養セミナー(チューターゼミ)の改革は、教養教育の充実のために必要な課題で
ある。平成 19(2007)年度、教養教育改革推進委員会を設け、討議を重ねているが、共
通科目担当者会とも連携を取りながら、原案を作り、それに基づいて、夏季休業中に
行われる全学教員研修会で、新しい教養セミナーのあり方をまとめる予定である。
2-3
教育方針等を形成する組織と意思決定過程が、大学の使命・目的及び学習者の
要求に対応できるよう整備され、十分に機能していること。
《2-3 の視点》
(1) 2-3 の事実の説明(現状)
2-3-① 教育研究に関わる学内意思決定機関の組織が適切に整備されているか。
学院と大学における教育の充実と研究の推進について協議するために、毎週、学内
企画委員会が開かれて、各学部の問題と課題について協議している。
月に 1 回、各学部、学科、部門の責任者が集まり「責任者会」を開いて協議してい
る。それぞれの部署の中での問題の情報交換がなされ、緊急な問題については協議を
し、意見の交換をする。日常の大学運営に必要な課題を扱う各種の委員会が設けられ
ている。委員と長は学長が任命する。その他に幼稚園や中学、高校を含む梅光学院と
しての委員会組織の一つに、梅光学院の将来について考えていく将来構想委員会があ
る。
学部会及び学科会、各種部会、委員会で協議、検討された教育・研究に関する案件
17
梅光学院大学
や報告が月 1 回の合同教授会で報告され、審議、承認、決定される
大学院研究委員会の委員長は学長であるので、学内企画委員会の場で大学院の決議
事項や問題点、課題を議題として取り上げることができ、合同教授会でそれを大学全
体の問題として取り上げることもできる。
2-3-②
教育研究に関わる学内意思決定機関の組織が大学の使命・目的及び学習者
の要求に対応できるよう十分に機能しているか。
小さな大学なので、学生一人ひとりの顔を思い浮かべながらの、大学運営が可能で
ある。学部や学科、各部門、各委員会は常に、学生のことを考えながら事に臨んでい
る。それぞれの委員会で協議、検討され、提案された案件が合同教授会でさらに審議、
決定され、大学の方針とされ実施される。きめ細かく問題を丁寧に取り上げ、迅速に
問題解決できる体制がとられている。学生の要求は、大きく分けて学生生活に関する
もの、就職に関するもの、授業に関するものなどがある。
本学は、平成 15(2003)年 4 月より、チューター制度をとった。チューターは教養セ
ミナーという授業を担当し、そのクラスの学生たちの大学生活の不安や悩み、また、
授業についての不満や問題の相談をうける。チューターは、学生の解決すべき問題を
学科会で話し合い、問題によっては、学生部や教務部で検討してもらうことができる。
更に、全学的な検討が必要な場合は、責任者会で検討する。具体的な解決策をここで
考え、担当の部署で検討し、解決に向けて努力をする。
学生の自治活動が活発になるように、学生部は、学友会を指導、助言する働きをし
ている。また、学生指導と共に、学生の声を大学側に伝える役目を果たしている。学
生部長は毎週、学生部長会において、学院長、学長、事務局長との会議の場をもち、
学生の現況と課題について話し合い問題解決に当たっている。また、責任者会、合同
教授会で学生の現況と課題について伝えている。
学生の就職に関しては、キャリア支援センターが対応する。入学してきた学生に力
をつけ、出口を保証していくことは、大学の責任である。このことは、大学の存在意
義と生き残りをかけた問題でもある。入学して来た学生が、早い時期に、卒業後の進
路について真剣に考えることは大切なことである。本学では、そのために 1~4 年生に
対し、5 月に進路デーを設け、自覚を促している。文系の大学であったので実施時期
は遅れたが、平成 15(2003)年 4 月より、インターンシップの単位化を開始した。オフ
ィス・スタディーズという科目は、平成 9(1997)年から始めていたが、平成 17(2005)
年 4 月からは、キャリアプランニングという科目が、全学共通科目に新たに設けられ
た。
各学部や大学院はそれぞれの学部会や学科会において、大学生活や授業に関する学
生の要望に耳を傾けながら、改善に心がけている。また、学部や大学院のあり方につ
いて常に検討している。
毎年、前期と後期に実施している学生による授業評価アンケートの結果などを参考
にして、授業研究推進委員会は、よりよい授業のあり方を協議し、課題や解決策を提
言する。夏季休業中には研修会をし、各学科のもつ教育・研究に関する課題について
協議している。また、数年に 1 回実施される学生生活アンケートの結果をうけ、授業
18
梅光学院大学
に対する満足度、学生生活全般に対する満足度について分析し、対応に努めている。
将来構想委員会は、学生や社会の要望を検討しながらカリキュラムの再編などにつ
いて話し合い、カリキュラムの改善、学部や学科の再編や大学の新たなあり方を提言
している。それを受け、各学科や全学共通科目担当者会は、具体的なカリキュラムの
検討を始める。
各学部、各学科は常により良いカリキュラムを構築するために組織的に動いている。
以下は、さまざまな問題に各学部、各学科が対応してきた実例である。
文学部日本文学科の具体的な改革は、日本文学科の中で、自発的に行われてきた。
入学者の減少が続いた時、大学の改革と学科の改革にいち早く取り組んだのも日本文
学科といえる。大学は、平成 13(2001)年に男女共学に踏み切り、平成 14(2002)年に、
梅ヶ峠から東駅キャンパスへ大学移転を開始したのであるが、日本文学科も大きな改
革を続けた。既述したように、平成 13(2001)年に文芸・創作コースをつくり、平成
15(2003)年にはカリキュラムの全面的な見直し、地域文化研究コースをつくった。文
学離れといわれる中、逆に梅光の伝統である日本文学の良さを訴えていく道を探って
いったのである。また、平成 21(2009)年度 4 月の、文学部の再編に向け、日本文学科
内将来構想委員会で検討を重ねている。その結果を、学内の将来構想委員会にあげて、
更に検討を続けて、平成 21(2009)年度へ向けて結論を出すことになる。複数担当の授
業、フィールドワーク(例えば、人間科学や日本文学紀行など)では、学生の要求に
耳を傾けながら、授業の実施に向けチームをつくり改善に努めている。かつては教員
採用試験に毎年多くの学生が合格していたが、現在は厳しい状況にある。しかし、教
職につきたいという学生の要望は根強く、そのサポートをしてきた。教職国語という
科目も単位化し、平成 16(2004)年度からは、それまで 2 単位だったものを 4 単位にし
て学習の機会を増加させた。また、単位化されている授業とは別に教職国語担当者と
国語科教育法担当者が 3、4 年の教職実力試験や 1 年生対象の教職基礎力試験の計画と
実施を行っている。
文学部英米文学科は、学科会でカリキュラムの編成について検討していく他に、国
際言語文化学部英米語学科の英語関係の教員との合同の英語担当者会議や合同学科会
で、英語関係のカリキュラムの改善や編成について検討している。平成 21(2009)年度
へ向けての文学部再編については、将来構想委員会の提案を受けて、学科会で検討を
進めている。学生の要望でもある TOEIC や TOEFL のスコア・アップに向けた対策
である e ラーニングについては、英米語学科と合同で小委員会を組織し検討してきた。
平成 17(2005)年 4 月に現代コミュニケーション学部現代コミュニケーション学科が
国際言語文化学部英米語学科および東アジア言語文化学科に改編されたのも、学部や
学科での検討と将来構想委員会での議論を経て、大学が決断するに至ったのである。
国際言語文化学部では、特に実践的な語学力を身につけさせるため、平成 18(2006)年
度から英米語学科と東アジア言語文化学科で 2 段階留学制度を作った(文学部英米文
学科もこれに参加する)
。第 1 段階では、全員を留学させようとするものであるので、
なるべく学費の負担が少なくてすむようにする必要があった。そこで、学院との協議
により、どのように奨学金制度をつくるかが検討され実現に至った。
e ラーニングは、英米語学科が誕生するときから検討されてきたが、英米文学科や
19
梅光学院大学
コンピュータ委員会、e ラーニング検討委員会との協議・検討を経て、平成 19(2007)
年度より実施の運びとなった。
子ども学部は、平成 17(2005)年 4 月に、保育者養成の教育課程を有する学部として
新設されたが、平成 19(2007)年 4 月には初等教育コースを設け、新たに小学校教員養
成課程を持つに至った。保育者に加えて教育者を養成する学部となったのである。子
ども学部は保育者、教育者を育てるための教育課程を整えていくために、毎年、新た
な工夫を加えていく必要に迫られている。そのため学科内に以下の部門を設け、科の
運営を全教員で担っている。総務、企画広報、教務、実習指導、学生指導、就職指導
などの部門である。フィールドワークの在り方、集中プログラムの在り方、コラボレ
ーションの授業の在り方、そして、それぞれの授業内容や教員の学生指導の在り方に
ついても、学科内で協議しながら改善に努めている。例えば、小学校教員養成課程を
組み入れたことを受けて、フィールドワークの期間を 1 年間から半年間に短縮した。
このことにより、さまざまな実習に出る前に身に付けるべき基礎学力を保証する科目
を設けることができた。今後の課題は、学生が実習にスムーズに入っていけるように、
様々なボランティアに参加させること、実習までに必要な授業の時期と年次配当につ
いて、保育実習、教育実習、施設実習など、実習の適切な時期について、検討を重ね
ることである。また、保育者や小学校教員を目指して入学してきた学生に、さらに強
い学習意欲をもたせながら、目標に向わせるカリキュラムの編成が求められている。
学科内の将来構想委員会、学科内の教授会で検討している課題である。
大学院では、大学院研究科委員会が月に一回開催され、大学院の運営上のさまざま
な問題、教育課程、将来構想、個々の院生の指導などを協議、決定している。それに
よって院生たちの要求や実態に応じた指導や対応策が講じられてきた。
(2) 2-3 の自己評価
本大学における教育研究に関する内部的な意思決定機関には学内企画委員会、責任
者会、各種委員会があり、そこでの提案や協議事項が合同教授会で審議され決定され、
実行される体制になっている。既に述べたように本学の場合、多くの委員会があり、
問題に対してきめ細かい対応がなされ、各組織が適切に機能しているといえる。学生
の要望に迅速に対応でき、各委員会の取り上げた問題と解決案も迅速に具体化できる
システムになっている。また、学長のリーダーシップが発揮しやすい組織になってい
る。
大学院では、大学院研究科委員会が、月 1 回必ず開催されている。そこでは、カリ
キュラムの編成、教育課程の改善について、持続的に検討を重ねている。また、院生
の指導上の問題についても協議され、細かい指導がなされており、十分機能している。
(3) 2-3 の改善・向上方策(将来計画)
本学は教員と学生の距離が近いといわれている。各委員会でも、学生の顔を思い浮
かべながら議論がなされている。各委員会は、教育研究における学生の満足度を上げ
ていくために組織され、それなりの成果を産んでいる。しかし、小規模校であるにも
かかわらず、多くの委員会組織があるということは、特定の教員に 5~10 種類の委員
20
梅光学院大学
を依頼することにもなる。委員会に出席するために、学生を指導する時間がないとい
うことがないように、適切な数の委員会組織を考えていかなければならない。
[基準 2 の自己評価]
本学はキリスト教精神の下に建てられた小さな大学であるが、建学の精神を守りな
がら、開かれた大学として長年歩んで来た。山口県や地元下関、北九州の地域社会に
おいて、ミッションスクールとして信頼を得てきた。このような伝統を守り、かつ、
大学の教育研究を実践するための組織と運営形態を有している。学長には、本学の建
学の精神を守り実践していくにふさわしい人物が選出されている。地方の小規模大学
の存亡の危機にあって、学長のリーダーシップの下に 3 学部と大学院の改革が速やか
に行われている。各組織間の連携と指示系統の整合性は十分機能しているし、経営的
な課題や教育研究の課題を迅速に、かつ全学的に取り組む体制がとれている。
学部長、学科主任、研究所所長は、学長により任命される。任期制であり、学長の
リーダーシップが発揮しやすい組織となっている。また、それぞれの構成員の意見を
集約し、それを生かしていける民主的な組織となっている。各組織間の連携と全体と
しての統一も、月 1 回開かれる合同教授会の他に、責任者会などを通してうまくとら
れている。
教育研究科組織の規模、構成は適切な人数である。
学際的な研究の協力体制としては、生涯学習センター(アルス梅光)で実践されて
いる公開講座等が、各学科や、そこに属する教員の協力のもと、適切に運営されてい
ることからもわかる。このような地域に対する学際的な働きの評価は、平成 18(2006)
年 6 月 5 日に、日本経済新聞などで発表された「大学の地域貢献度上位ランキング」
で、私立大学において地域貢献度 No.1(国公立あわせると総合 5 位)に輝いたことで
実証されている。また、子ども学部の新しい学問領域である、
「子ども学」ということ
を考えるとき、それは総合学であり、学際的な学問である。このように各学部・学科
において、学際的な研究課題に取り組む体制は整っている。
教育目的を達成するための取組は、全学的にも、また、各学部・学科においても真
剣になされている。教養教育や専門課程教育の在り方については、全学的な議論や全
学共通科目担当者会の意見を聞きながら、その改善に向けた意思決定は適切になされ
ている。各授業における受講者の数は、少人数制が実現されている。
[基準 2 の改善・向上方策(将来計画)]
平成 21(2009)年に向け、文学部の再編、国際言語文化学部の再編、子ども学部の改
革、専攻制の導入などがこれから検討・決定される予定である。内容の類似する、文
学部英米文学科と国際言語文化学部の英米語学科の問題について、検討を続け結論を
出し、
「英語の梅光」にふさわしい学科の在り方に改善していく。文学部日本文学科の
内容を更に充実させ、
「文学の梅光」を確固としたものにする。子ども学部は、小学校
教員と幼稚園教師、保育士を育てる学部としての位置づけを、さらにはっきりさせる
ための名称やカリキュラムの再編成を検討していく。これらについての決定は、学長
のリーダーシップのもとに各学科での検討を経て、更に、将来構想委員会で検討を重
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梅光学院大学
ね決定されていくことになる。全ての決定において、綿密な討議と各科の自発的な新
しい提案が、これまで以上に求められる。
基準 3 教育課程
3-1 教育目的が教育課程や教育方法等に十分反映されていること。
《3-1 の視点》
(1) 3-1 の事実の説明(現状)
3-1-① 建学の精神・大学の基本理念及び学生のニーズや社会的需要に基づき、学
部、研究科ごとの教育目的・目標が設定されているか。
本学院の建学の精神は「光の子らしく歩みなさい」という聖書に基づくスクールモ
ットーに示されている。そこから「強くしなやかな精神と新しい世界を切り拓く能力
を他者のために用いることのできる人間を育てる」という大学の建学の理念が導かれ
るが、
「学生便覧」の 3 頁にあるように、本学では「学生一人ひとりを神からの預かり
ものと考え」
「預かった一人ひとりをひかり輝かせること」を使命とし、全学をあげて
建学の理念の実現を図っている。教育目標は、より具体的には、学則第 1 条に「本学
は、高い教養と専門的知識、技能を教授研究し、キリスト教信仰に基づく人格教育を
基盤とし、愛と奉仕に生きるよき社会人を育成することを目的とする。」と表現されて
いる。このように、小規模校の特性を最大限に生かして、一人ひとりを大切に育成す
る教育課程を編成している。
教養教育、各学部、大学院の教育理念・目標は次のとおりである。
教養教育(理念と目標)
教養教育は、英語では Liberal Arts と表現される。これは、自由で公正な態度を身
につけるための学問・芸術という意味を持つ。つまり、
「教養」は単なる知識の集積で
はなく、それによって自己の人間観や世界観を深め、自己に与えられた「自由」を真
に正しく行使できる人間になるためのものである。
ミッションスクールとしての長い伝統に基づく本学の教養教育は、神を畏れ、真に
「自由な人間」になるために、みずからを問いつづける姿勢を深く養うものである。
このような理念を持つ教養教育が目指すものとして、具体的には「文系のゼネラリス
ト」をあげることができる。それはどのような分野にも適応できる、普遍的で豊かな教
養を備え、確かな倫理観を持つ社会人である。
文学部
(理念)文学・語学・文化の学習を通して、社会や人間の本質を探究し、思考力、読
解力、表現力、創造力を養う。
(目標)
(1)文学・語学・文化の学習により、人間とは何かを問い、生きる根拠を把握する。
(2)高い言語能力の獲得を目ざし、目標を明確に設定して、さまざまな実践的学習を
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行う。
(3)創造力、プレゼンテーション能力を高め、すぐれた発信能力を身につける。
a 日本文学科の教育理念と目標
(理念)日本語、日本文学、日本文化を学び、深い人間観と高い言語能力、すぐれた
創造力をもった、新しい時代に対応できる人材を育てる。
【文芸・創作コースの目標】
(1)小説、詩歌、児童文学、エッセイ、シナリオなどの制作を通して、ユニークな感
覚や発想、想像力を身につけ、より高い文章・表現能力の獲得を目指す。
(2)多くの文学・芸術作品を鑑賞し、また、それぞれの創作を互いに批評し合うこと
で、他者から学び、未知の世界を探求する態度を養う。
(3)現役の作家や詩人でもある教員との触れ合いによって、表現技術や方法だけでな
く、現代社会や人間の見方を深め、心の豊かな生き方を探る。
【日本語・日本文学コースの目標】
(1)日本語とはどのような言語であるかを学び、さまざまな日本文学作品を鑑賞する。
日本語・日本文学の特質を理解するとともに、日本文化や現代社会に広く目を向
け、人間についての理解を深める。
(2)文学作品の精読を通して、豊かな感受性と確かな読解力とを養う。また、自らテ
ーマを見つけ、調査・発表・レポートの執筆を行うことで、思考力や表現力、物
事に対処できる力を身につける。
(3)文章力やプレゼンテーション能力、議論する力など、社会に出た時に求められる
日本語運用能力を高める。また、教職など、日本語・日本文学に関する専門性が
求められる分野で活躍できる人材を育てる。
【地域文化研究コースの目標】
(1)文学・芸術・歴史学・民俗学などの学習やフィールドワークの実践を通して、地
域文化の諸相を理解する。
(2)
「地域文化研究所」や「大学博物館」との共同作業を行うことにより、地域社会
との交流を深め、地域文化の全体像を具体的に知る。
(3)学習の成果をもとに、これからの地域社会のあり方や、地域振興の方法を考察す
る。
b 英米文学科の教育理念と目標
(理念)英語、英文学、英米の文化の学習を通して、感性と人間観を深めるとともに、
英語教育をはじめとする高い専門性を備えた人材を育てる。
【翻訳コースの目標】
(1)長期語学研修によって体得した英語運用能力を更に飛躍させ、様々な状況におけ
23
梅光学院大学
る英語でのコミュニケーションに、きちんと対処できるようになる。
(2)文芸書だけでなく、新聞、雑誌、レシピ、漫画、映画など、様々な題材を使って
翻訳能力を実践的に高める。
(3)翻訳技能検定試験を受験するなど、具体的な目標を設定して学習する。
【文学・映像文化コースの目標】
(1)長期語学研修によって体得した、英語運用能力を更に飛躍させ、様々な状況にお
ける英語でのコミュニケーションに、きちんと対処できるようになる。
(2)英米の映画やドキュメンタリー、文学作品などを通して、英米の歴史や文学の社
会的背景についての理解を深め、その世界観、人間観を知る。
(3)映画と原作の比較検討などを通して、文学や英語表現の奥深さを知り、専門性を
高める。
【児童英語教育コースの目標】
(1)長期語学研修によって体得した、英語運用能力を更に飛躍させ、様々な状況にお
ける英語でのコミュニケーションに、きちんと対処できるようになる。
(2)児童の心理や言語獲得過程について理解を深めるとともに、児童文学についての
知識を習得する。
(3)児童に英語を教えるための方法や教材、教具の作成、活用について学習し、実際
に子どもに教授する機会を持つことで、高い専門的能力を身につける。
国際言語文化学部
(理念)高い外国語運用能力と深い異文化理解能力を持ち、国際社会で活躍できる人
材を育てる。
(目標)
(1)長期海外研修を通して、外国語能力、異文化理解能力を高める。
(2)国内、国外での外国人との積極的な交流により、人間観、世界観を深化させる。
(3)社会人、職業人として活躍できる高い言語能力を体得し、日本と世界を結ぶ架け
橋となる人材を育てる。
a 英米語学科の教育理念と目標
(理念)国内外で英語のスペシャリストとして活躍できる人材、すなわち、高い英語
運用能力、専門知識、異文化理解、そして国際的視野を持った人材を育てる。
【英米語学科の各コース共通目標】
(1)長期語学研修によって体得した、英語運用能力を更に飛躍させ、国際的視野と
異文化間コミュニケーションの技術を身につけ、様々な状況における英語でのコ
ミュニケーション、例えば、国際会議での会場案内、観光ガイド的通訳、公的行
事への海外からの参加者の世話などに、きちんと対処できるようになる。
(2)4 年間で、各自の TOEIC のスコアを 300 点以上伸ばす。
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【英語通訳コースの目標】
(1)通訳になるための知識を習得し、技術訓練を行い、日常的な場面や公の場での通
訳ができるようになる。
(2)ボランティア通訳検定 A 級に合格する。
【語学・文化コースの目標】
(1)英語という言語の専門知識、英語圏の文化についての豊かな知識、そして、グロ
ーバルな視点で世界を理解する能力を身につける。
(2)教員採用試験、あるいは、大学院入試に合格する。
【観光・ビジネスコースの目標】
(1)航空関係、旅行関係、ホテル・観光業界、海外との取引のある企業や金融業など
に就職し、即戦力として活躍できる英語運用能力と専門知識を身につける。
(2)TOEIC で 800 点以上を取る。
b 東アジア言語文化学科の教育理念と目標
(理念)東アジアの言語や文化を深く理解し、東アジアの興隆に寄与する人材を育てる。
【韓国語・文化コースの目標】
(1)聞く、話す、読む、書くという韓国語の基礎能力を徹底して養い、全員が長期留
学することにより、語学力及び韓国文化理解を高める。また、韓国語能力試験及
びハングル能力検定試験受験を義務づけ、韓国語能力試験 6 級、ハングル能力検
定試験 1 級の全員合格を目指す。
(2)留学生と共に学びあうことを通して、韓国語・韓国文化への理解を深め、国際人
としての素養を身につける。
(3)東アジアの歴史と現状を正しく理解し、東アジアの経済的・文化的交流に寄与す
る人材を育てる。
【中国語・文化コースの目標】
(1)聞く、話す、読む、書くという中国語の基礎能力を徹底して養い、全員が 長期
留学することにより、語学力及び中国文化理解を高める。また、中国語検定試験
及び HSK(漢語水平考試)受験を義務づけ、中国語検定試験 1・2 級、HSK8 級
の全員合格を目指す。
(2)留学生と共に学びあうことを通して、中国語・中国文化への理解を深め、国際人
としての素養を身につける。
(3)東アジアの歴史と現状を正しく理解し、東アジアの経済的・文化的交流に寄与す
る人材を育てる。
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梅光学院大学
【日本語・文化コースの目標】
(留学生対象)
(1)聞く、話す、読む、書くという日本語の基礎能力を徹底して養い、全員日本語能
力試験 1 級合格を目指す。また、進路(大学院・就職)を視野に入れた、実務日
本語能力を身につける。
(2)日本人学生と共に学び、日本文化体験・実習などを通して、日本語・日本文化へ
の理解を深め、国際人としての素養を身につける。
(3)東アジアの歴史と現状を正しく理解し、東アジアの経済的・文化的交流に寄与す
る人材を育てる。
子ども学部子ども未来学科
(理念)人とつながる力を基盤にして,現在の子どもたちの置かれている状況を深く
理解し、子どもたちのために、よりよい未来社会を構想できる、幼児・児童に
関わる保育者、教師等の専門家を育てる。
(目標)
(1)人間としての基礎的能力である、人とつながる力(人間関係、コミュニケーショ
ン能力)を極める。
(2)保育や教育の現場での豊富な実習体験を通して、専門家となるための基礎的指導
技術を学ぶ。
(3)「総合的な人間力」(
「分析力」
「実践力」
「組織力」など)を兼ね備えた、幼児、
児童の専門家となる。
【初等教育コースの目標】
(1)児童の本質や発達過程についての理解と知識を深める。
(2)児童を伸びやかに育てるための芸術的な感性と確実な指導技術を身につける。
(3)強い使命感と明確な教育感を持った、現場力のある教員を目指す。
【子ども遊学コースの目標】
(1)子どもの本質や発達段階についての理解と知識を深める。
(2)子どもの生活や遊びを通して、みずからの感性をみがき、伝承文化の再発見や新
たな子ども文化を創造する力を持つ保育者を目指す。
(3)子どもの遊びや文化を研究・体系化し、学問的な考察を深める。
【地域未来コースの目標】
(1)子どもを取りまく地域社会の問題を理解し、子どもたちが幸せに生活し、成長で
きる地域社会を構想する。
(2)地域の諸行事や、子どものためのさまざまなイベントに積極的に参加し、子育て
支援等の専門的知見を深める。
(3)子ども学や社会学などの学習成果を活かして、子どものための新しい起業や地域
活動や可能性を考察、提案する。
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梅光学院大学
大学院文学研究科(日本文学専攻・英米文学専攻)
(理念と目標)
大学院文学研究科は、キリスト教の信仰に基づく人間形成を教育の基盤とし、専門
の学術的理論及び応用を教授研究し、その真実を究めて、文化の進展と人類の福祉に
貢献することを目的とする。(大学院学則第 1 条)
。
博士課程前期課程は、広い視野に立って、深い学識を授け、専攻分野における研究
能力を養うことを目的とするものであり、博士課程後期課程は、専攻分野について、
研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度な専門的な業務に従事する
に必要な研究能力及びその基礎となる学識を養うことを目的とする。
(大学院学則第 4
条)
。
社会的ニーズの変化により、大学院の役割も変容を求められる。特に、前期課程に
おいて、教職希望者を高度に育成する教育課程を本年設置した。
3-1-②
教育目的の達成のために、課程別の教育課程の編成方針が適切に設定され
ているか。
教養教育
本学では、教養教育は共通科目として設置されている(子ども学部を除く)が、そ
の編成を内容的に大別すれば、①自己を磨くための科目群、②知識を高め、判断力を
養う科目群、③進路設計を促す科目群となる。
①には、「キリスト教倫理」「ボランティア実習」などのミッションスクールの理念
を知り、実践で体得する科目が置かれている。また、教員のチューターや友人との人
格的な交流の場でもある「教養セミナー」は 2 年間継続され、自己を知るための大切
な時間となっている。
②には、
「哲学入門」や「近代日本史」など、現代の若者に必要な科目群を設置して
いる。また、実践的に自然に親しみ、自然から学ぶ「自然参入実習」というユニーク
な科目もある。
③は、3 年次の前期に「キャリアプランニング」を置き、大学での学びをいかに将
来へ結びつけるかについて、ワークショップ形式の授業も取り入れながら各自の思考
の深化と態度決定を促している。また、ビジネスマンとしての基礎知識や態度を実践
的に学ぶ「オフィス・スタディーズ」もある。
文学部・日本文学科
どのような社会においても、「読む力」「書く力」「考える力」「表現する力」が求め
られる。就職だけでなく、あらゆる社会活動に「読む力」
「書く力」が必要であり、企
画を立てるためには「考える力」
「表現する力」が必要である。公式の場での発言の際
にも「表現する力」が求められる。
日本文学科では、①日本語の本質を学習し、日本文学を読み、書き、日本文化につ
いて研究する。②あらゆる社会で求められる日本語運用能力を高める。③変動する社
会のなかで、物事を的確に判断するベースとなる、深い人間観を持つ。④情報を的確
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梅光学院大学
に受発信し、すぐれた創造力を養うことを柱として教育過程を編成し、言語表現能力
の高度化を目指している。
文学部・英米文学科・国際言語文化学部・英米語学科
この両科は、共通する教育課程を持っているので、まとめて記述する。
英語を学習する者の目標は、端的に「英語を話せるようになる」ことである。しか
し、それは単に日常会話がスムーズにできるようになることではない。自分の伝えた
いことを相手が納得できるように伝えられなければ、
「話せる」ことにはならない。そ
のためには、先ず、
「伝えたい内容」が自分の中に明確になければならず、伝える相手
のことが、しっかりと理解されていなければならない。要するに、英語を学ぶという
ことは、英語を使って自分を磨くことであり、英語によって世界を知るということに
他ならない。
英米文学科・英米語学科では、以下の項目を柱として教育課程を編成し、英語によ
る自己実現を目指している。①英語力を基礎から鍛えるために、習熟度別の少人数ク
ラス編成を取る。②ネイティブスピーカーの教員の授業を、1・2 年次に集中させて多
数置き、生きた英語を体得させる。③全員を長期海外研修に派遣し、英語力の向上の
みならず、日本と外国の特質を実践的に理解させる。④帰国後、3 年次から各専攻に
従って専門的な知識と技能を高める ⑤e ラーニングの活用などにより、TOEIC・
TOEFL のスコアを伸ばす。
国際言語文化学部東アジア言語文化学科
21 世紀に入り、東アジアの世界の中で占める位置は、ますます大きくなっている。
日本、中国、韓国が過去の歴史的感情を正しく克服し、若者たちが友情を深め、新し
いエネルギーをもって交流していくことで、政治的にも、経済的にも、文化的にも、3
国の関係は強まり、アジアや世界への貢献が果たされるにちがいない。
東アジア言語文化学科では、過去に学び、未来を望みながら、東アジアの発展に寄
与する人材を育成するために、以下の項目を柱として、教育課程を編成している。
① 韓国語・中国語の初歩からはじめ、検定 1 級・2 級の合格を目指して、少人数教
育を徹底する。
② ネイティブスピーカー教員による集中的指導、外国人留学生との日常的な勉学交
流により、生きた韓国語・中国語を体得させる。
③ 全員を長期海外研修に派遣し、韓国語・中国語の向上のみならず、その歴史や文
化を正しく理解する。
④ 自己の将来像を明確にし、専門性を高める。
留学生のための日本語・文化コースも同質の内容を持つが、より専門性の高い勉
学を目指す者には、日本文学科への編入の道も用意されている。
子ども学部子ども未来学科
現在の子どもを取りまく状況は、ますます混迷の度を深めている。これに適切に対
応するためには、子どもを取りまく家庭や地域社会の状況の把握のみならず、文化的
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梅光学院大学
状況、自然環境までも視野に入れた、子ども理解が必要である。また、厳しい子ども
の現実にたち向かい、人間関係のトラブルを調整し、子どもたちの豊かなつながりを
具体的に創造できる能力の育成が求められる。
本学科では、前者を「子ども学」、後者を「総合的人間力」と規定し、「子ども学」
を学び、豊かな「総合的人間力」を持った指導者・教育者になるために、下記の項目
を柱として教育課程を編成した。
① 広い視野から子どもを理解するために、
「文学」、
「芸術」、
「社会学」、
「心理学」
、
「教育学」などを中心に総合的・学際的な学びをする。
② 子どもをとりまく「もの(環境や自然)
」と「人」
、
「人」と「人」を豊かにつな
ぐ「関係づくり」の力(コミュニケーション力)や社会性を高めるための集中
プログラムとフィールドワーク(週 1 回、半年間の社会体験、職場体験)の授
業が設定されている。
③ 学びを検証し、実践力をつけるため、各種のボランティアを経験し、保育実習・
教育実習につないでいく。
④ 総合的な人間力を備えた保育者・教育者になるために、梅光多世代交流支援セ
ンターでの子育て支援事業に関わり、地域の人たちとの交流することによって、
学んできた専門的知識と技術を活かしながら、更なる知識と技術の向上を目指
していく。
大学院文学研究科(日本文学専攻・英米文学専攻)
文学研究科には、日本文学研究、日本語学研究、英米文学研究、英米語学研究の分
野があり、演習、研究、特論などの授業形態によって専門性を高めると共に、少人数
教育による指導者との人格的交流により、研究者としての自覚の向上を促している。
また、平成 19(2007)年度から、博士課程前期課程に教職修士コースを設置し、教育現
場に即応できる学力と教育技術の強化を図る教育課程を編成した。
3-1-③ 教育目的が教育方法等に十分反映されているか。
教養教育
「教養セミナー」では、時事問題や社会常識などから年間のテーマを決め、分担を
決めて発表し、討論を行う。これにより、教養を深めるだけでなく、学生同士、学生
と教員のコミュニケーションの核となる場が保証される。また、
「梅光版学問ノススメ」
(自家版)を利用して、大学での勉学の導入、読書ガイドも行われる。
「キャリアプランニング」では、キャリア指導の専門家により、大学での学びをベ
ースにした、長いスパンの人生設計について指導を受ける。教養教育を扱う共通科目
担当者は、担当者会議を持ち、文系の学生にとっての不得意分野を、どのように教授
すべきかなどについて工夫している。
文学部日本文学科
日本文学の専門科目はおおむね少人数で行われ、
「読む力」、
「書く力」、
「考える力」
、
「表現する力」が何らかの形でトレーニングされる。とくに、
「日本語表現法」、
「言語
29
梅光学院大学
技術入門」は表現力の向上に特化された科目であり、レポートは添削を受けて返却さ
れ、論集が作成される。また、学生たちが早くから自分たちの研究課題を決定できる
ように、1 年次に日本文学基礎演習がテーマ別に置かれている。
文学部英米文学科、国際言語文化学部英米語学科・東アジア言語文化学科
外国語の運用能力の向上を基礎から計るために、IEP(Intensive English Program)、
IKP(Intensive Korean Program)、ICP(Intensive Chinese Program)が 1、2 年
次に置かれている(中国語は 1 年次のみ)
。毎日 2 時間ずつ、週 4 日、少人数で習熟度
別クラス(英語のみ)が実施され、いずれも、会話と作文はネイティブスピーカーの
教員(7 人)が担当する。
本学の語学学習のもう 1 つの特色は、2 段階留学制度である。第 1 段階として、語
学専攻のすべての学生が、長期海外語学研修に派遣され(英語:2 年次、オーストラ
リア・クイーンズランド、約 2 ヶ月, 韓国語:3 年次、韓国・大邱、約 4 ヶ月, 中
国語:2 年次、中国・青島、約 1 年)、成績優秀者は、姉妹校に交換留学生として、さ
らに 1 年間留学する。
(第 2 段階)。
これらはすべて、ホームステイか寮での生活となるので、語学力向上のみならず、
国際性や深い人間性を身に付ける訓練の場として位置づけられている。第 1 段階留学
の諸経費の負担を軽減するため、10 万~20 万円の奨学金が学校から支給される。第 2
段階の授業料の負担はない。また、日常的にネイティブスピーカーとコミュニケーシ
ョンをとる機会を増やすため、英語学習者には、ネイティブの教員と談話する「イン
グリッシュラウンジ」が設置されており、韓国語・中国語学習者には、留学生と共に
学ぶ授業が用意されている。
子ども学部子ども未来学科
高い「総合的人間力」を持った指導者、教育者を養成するため、子ども学部では、
「入学した時から社会人」をテーマに、実践型、体験型の教育方法を展開している。
「フィールドワーク」は、子ども関係や社会福祉施設を中心に、ボランティア奉仕
活動を週 1 回、半年間継続して行う授業である。現場での反省点を点検報告し合う授
業でサポートしながら、学生たちの問題対応能力の向上を図る。終了後は、受け入れ
施設の職員を招待し、全員で報告会を開き、レポート集を作成する。
「子ども学部集中プログラム」と名づけられている「関係づくりの身体」、「関係づ
くりの環境」、「関係づくりの言葉」、「関係づくりの音楽」、「関係づくりの美術」、「関
係づくりの表現」では、ただ単に知識や技術を学ぶだけではなく、それをどのように
生かして、人間関係を構築していくかをポイントに、総合的・学際的な授業を展開し
ている。また、子どもの指導者、教育者としての力量を確かなものにし、実践力を身
につけるため、最新の機材で整備された ML システム(Music Laboratory System)
や、リトミック教室を備えているのをはじめ、調理室や陶芸のための電器窯も設置し
ている。
30
梅光学院大学
大学院文学研究科(日本文学専攻・英米文学専攻)
近年、外国人留学生が大学院で学ぶ例が増えている。最近 5 年間で博士号を取得し
た者は 6 人である。留学生の意欲もさることながら、これはひとえに少人数教育によ
る指導の徹底のたまものである。年 4 回(日文)
、2 回(英文)の院生の研究発表会に
は大学院の指導教員が全員参加し、厳しい指導が行われるし、学会の引受けの際や、8
月上旬の大学院公開講座(於福岡)では、受付などの事務に大学院生が自主的に参加
するのも本学研究科の良き伝統である。これからも「学問に王道なし」を合言葉に研
究者の養成を果たしていきたい。
(2) 3-1 の自己評価
時代の流れの中で、大学の教養教育は定位置を見失いかけてきたが、全入時代を迎
えて、現在あらためてその重要さが確認されている。本学の教養教育は、ミッション
スクールにふさわしい内実を持つが、理念化、組織化と言う点では、まだ十分とは言
えない。教養セミナーの内容の抜本的見直しを含めた、全学的位置づけが必要である。
文学部日本文学科は、文学部の衰退が叫ばれた時、本学の中でもいち早く改革に着
手し、文芸創作コース、地域文化コースをつくり、学生の要望の多様化に応えてきた。
教員と学生が「文学への情熱」を一致して持ち、学外での「日本文学紀行」や「人間
科学」などの宿泊を伴う授業は、数十名から 100 人を超える参加者を得ている。
また、平成 18(2006)年度卒業生の中に、文芸創作コースから教員採用試験現役合格
者(中学)が出たことは、教育課程の充実を示すものとして特筆に価する。
外国語教育に関しては、IEP、IKP、ICP の集中授業に、長期海外語学研修が加わ
ったことで、一層の成果が期待される。海外研修は、制度が整えられてから、まだ 2
年目であるが、参加した学生たちは、語学力の進歩に加え、人間的にも大きく成長し
て帰国している。今後は、e ラーニングの充実や、帰国後の教育課程の一層の工夫な
どにより、この制度の成果を高めていかなければならない。
長期交換留学制度は、英語は 28 年の歴史をもち、参加者から英語のスペシャリスト
や教員などを送り出してきた。平成 18(2006)年度英米文学科卒業の留学生から、教員
採用試験合格者(中学)をだしている。中国語・韓国語は、まだ長期交換留学生を送
り出していないが、特に中国語では、第 1 段階と合わせて、2 年間を青島大学で過ご
せるので大きな成果が期待できる。留学生対象の「日本語・文化コース」での学びも、
国際交流センターの日常的なサポートのもと、成果をあげている。今後は、日本語検
定 1 級への全員合格など、目標を明確にして、指導を強化していかねばならない。
子ども学部は、平成 17(2005)年に開設され、平成 19(2007)年から小学校教員養成課
程が加わった。これにより、梅光学院大学には、保育士、幼稚園教諭、小学校教諭、
中学校・高等学校教諭(大学院では専修免許状)の資格取得が可能となり、
「教職の梅
光」が完成した。それは本学の建学の精神である、
「人間教育」や「愛と奉仕に生きる
良き社会人の育成」の具現化でもある。
「ミッションスクールとしての梅光は、どのよ
うな保育園、幼稚園、小学校の先生を育てようとしているのか」という問いに、正面
から答えられるよう、子ども学部は、今後も特色ある教育課程を設置すると共に、建
学の精神の一層の浸透を図らねばならない。
31
梅光学院大学
大学院文学研究科は、研究者養成機関としては、伝統と実績を保持してきたが、学
部生の将来像をカバーしているとは言えず、入学者は減少している。これに対応する
ため、教職希望者に対応するコースを設置したが(内容は後述)
、効果はまだ上がって
いない。新コースの一層の周知と大学院のあり方に対する根本的な見直しが必要であ
る。
(3) 3-1 の改善・向上方策(将来計画)
本学は、平成 21(2009)年度のカリキュラム再編に向けて全学をあげて準備を行って
いる。基本構想は、将来構想委員会で協議し提案され、現在、各学科での具体的検討
に入っている。
その主な内容は、次のとおりである。
・ 現在のコース制を、より専門性の高い専攻制に改める。
・ 文学部英米文学科と国際言語文化学部英米語学科を合同し、1 つの学科とする。
・ 各学科の授業内容が教育理念や目標に結びつくと同時に、相互に体系的に結びつ
くよう、また、カリキュラム全体が方向性と統一性を持つよう改善に努める。
・ 教養教育の明確な体系化と初年次教育の充実を図る。
子ども学部については、開設 3 年目であり、改善の途上にあるが、現在次のような
点で見直しを行っている。
・ 「フィールドワーク」の行き先や活動内容と、保育実習、幼稚園実習とのつなが
りの強化を図る。
・ 小学校教員養成課程はもちろん、他の専攻においても、早い時期に幅広い教養と
基礎知識、専門知識と専門技術を確実に体得させるために、講義と演習、総合学
習の組み合わせや年次配当を改善する。
・ 梅光学院幼稚園、梅光多世代交流支援センターでの子育て支援はもちろん、小学
生、未就園児、障害児たちと日常的に交わることができるように、ボランティア
への参加を促し、自主的な地域貢献に努める。
大学院文学研究科の根本的な見直しは、特に英米文学専攻について行われる必要が
ある。高い実力を持つ英語教員の養成はもちろん、本学の特色である、児童英語教員
養成のための、研究教育課程を設置することが考えられるが、まだ緒についたばかり
である。
3-2
教育課程の編成方針に即して、体系的かつ適切に教育課程が設定されているこ
と。
《3-2 の視点》
(1) 3-2 の事実の説明(現状)
3-2-① 教育課程が体系的に編成され、その内容が適切であるか。
本学では、一般教養科目を共通科目と呼び(子ども学部を除く)
、専門科目を専攻科
目と呼んでいる。各学部の授業科目は、基本的には、1 年次、2 年次におもに共通科目、
32
梅光学院大学
基礎科目を置き、3 年次、4 年次には専攻科目を置いているが、共通科目で 3、4 年次
においているものがあるなど、この区別は原則的なものである。
共通科目は、文学部と国際言語文化学部においては、
「文化、芸術分野」、
「社会、教
育分野」、「自然、生活分野」、「教養セミナー分野」に系列化され、さらに「外国語分
野」、「保健体育分野」、「特別履修分野」を加えて構成されている。子ども学部では、
共通科目は教養科目と称され「文学と文化」、「現代社会の課題」、「コミュニケーショ
ン」に系列化されている。卒業に必要な単位は 124 単位以上であり、そのうち、共通
科目は 30 単位以上(子ども学部は 29 単位以上)である。
教養科目のうち、基礎となる「教養セミナー」は 1、2 年次に、「キャリアプランニ
ング」は 3 年次に、就職活動につながる「インターンシップ」は 2、3 年次に、
「オフ
ィス・スタディーズ」は 3、4 年次に、また、建学の理念を実践する「ボランティア実
習」(国内・国外)は、1~4 年次に設置してある。本学では、教育課程を明確にする
ため、各学科ともコース制を取っているので、以下、コース制を中心に教育課程を説
明する。
文学部日本文学科
専攻科目は、基礎専攻科目と専攻科目に 2 分される。
基礎専攻科目は、1 年次配当の「日本文学基礎演習」
(古典)、
「同」
(近代)
、
「同」
(地
域文化)などから、4 年次配当の「古典文学講義」、
「近代文学講義」、
「古典語学講義」
、
「近代語学講義」などまで、日本語、日本文学、日本文化についての基礎科目が内容
の高度化に即して設置されている。
専攻科目は、
「日本語・日本文学コース」
、
「文芸・創作コース」
、
「地域文化研究コー
ス」の 3 つに分かれて、2 年次より設置されている。
「日本語・日本文学コース」では、「上代文学作品研究」などの時代別の作品研究、
「日本語資料研究」などの日本語研究が 2、3 年次に配置され、3、4 年次の「日本語・
日本文学演習」
(ゼミ)では、卒業論文作成に向け研究発表、討議が行われている。
「文芸・創作コース」では、
「詩的表現の研究」、
「演劇的表現の研究」などのジャン
ル別の学習が 2、3 年次に配置され、3、4 年次の「文芸・創作演習」
(ゼミ)では卒業
制作に向けて、創作物の順次発表と批評がくり返される。
「地域文化コース」では、
「地域文化概論」、
「民俗学」などの地域文化研究のための
専門科目と、
「フィールドワーク」などの実践科目が 2、3 年次に配置され、3、4 年次
の「地域文化演習」
(ゼミ)では、卒業研究に向け研究発表、討議が行われる。
「日本語・日本文学コース」、「地域文化コース」では、卒業論文の制作を進めるた
めの中間発表が秋に開かれ、下級生や教員の前で発表をし、質問を受ける。
「文芸・創
作コース」では、1 月に、公開の文芸創作発表会が開かれ、各自 4 年間の成果を発表
する。
文学部英米文学科
英米文学科の専攻科目は 1 年次より始まり、
「イギリス文学入門」などの基礎科目が
置かれ、2 年次には、プレゼミにあたる「英米文学基礎演習」や、夏期に行われるオ
ーストラリア長期語学研修のための「留学準備講座」が置かれている。
33
梅光学院大学
IEP(集中英語プログラム)により基礎英語力を養成し、2 年次の夏季休暇中に海外
語学研修を体験し、高められたモチベーションの中で専門科目を学んでいくことにな
る。3 年次からは「英米文学演習」
(ゼミ)が始まる。文学や新聞、雑誌の記事からマ
ンガまで、幅広く翻訳を学ぶ「翻訳コース」
、原作はもちろん、映画や舞台化されたシ
ナリオなどを用いて、英米文学の名作を専門的に学ぶ「文学・映像コース」、子どもに
英語を教えるための方法を理論的、実践的に学ぶ「児童英語教育コース」の 3 つのコ
ースを設置している。4 年次の 2 月には、卒業研究の公開発表会を行っている。
国際言語文化学部英米語学科
専攻科目は 1 年次より始まり、IEP(集中プログラム)の他に、
「地域・文化交流分
野」(「異文化コミュニケーション」、「マスメディア英語」、「観光英語」など)、「英語
学・語学分野」
(
「英語音声学」
、
「英語学研究」
、
「言語学概論」など)、
「情報教育分野」
(「情報科学」、
「データ処理入門」、
「マルチメディアの活用」など)が設置され、4 年
間にわたり内容を高度化しながら学んでいく。
また、国際的な活躍をめざすために必要な「日本語・日本文化分野」を置き、日本
語表現や日本文化の特質について学ぶ場としている。
2 年次、夏のオーストラリア長期語学研修を経て、3 年次から「言語文化セミナー」
(ゼミ)が始まる。通訳時に必要な技術や知識、訓練を初歩から学び、ボランティア
ガイドや観光ガイドが可能な力をつけ、将来、プロの通訳士になるための土台づくり
をする「英語通訳コース」
、学問としての英語学、英米の文化や社会、日英米の比較な
どを学び、教職を目指す者に最適な「語学・文化コース」
、観光、旅行、ホテル業界や
ビジネスの世界で必要とされる、英語力や知識を身につける「観光ビジネスコース」
の 3 コースを設置している。4 年次の 2 月には、英米語学科と合同で卒業研究の公開
発表会を行っている。
東アジア言語文化学科
専攻科目は 1 年次より始まり、IKP(集中韓国語プログラム)、ICP(集中中国語プ
ログラム)の他に、
「地域・文化交流分野」
(
「東アジアの社会と文化」
、
「国際ビジネス
研究」、「日本事情」など)、「言語理論研究分野」(「韓国語学概論」、「中国語学概論」
、
「中国語法研究」など)、「情報教育分野」(「情報科学」、「データ処理入門」、「コンピ
ュータ・システム入門」など)、「日本語・日本文化分野」(「日本語表現法」、「日本語
学講義」、「日本文化実習」など)が置かれ、各コースの目標に沿って学習内容を高度
化するよう図られている。
韓国語・文化コースは、長期語学研修を 3 年次後期に啓明大学校で行うが、これは
現地学生と同内容の授業に参加するためであり、語学力の向上に時間が必要であるか
らである。
中国語・文化コースは、長期語学研修を 2 年次に 1 年間青島大学で行うが、これは
他の外国人留学生と共に語学研修コースを履修し、語学や文化研修を自己のレベルに
あわせて初歩から行うためである。
日本語・文化コースは、
「日本語中級Ⅰ」から始めて、
「日本語上級Ⅵ」まで 10 段階
34
梅光学院大学
にわたってレベルを向上させていく「集中日本語・日本文化プログラム」を設置して
いる。また、
「日本語能力試験対策講座」もⅠ~Ⅳまで備え、日本語能力試験 1 級合格
を目指す。
また、大学祭では、語学教育研究所が主催する「韓・日・中スピーチコンテスト」
が開かれ、日頃の成果を競う。西日本の大学では数少ない韓国語・朝鮮語、中国語の
教員免許状が取れるのも、教育課程の充実を示している。すべてのコースに「卒業研
究」が課される。
子ども学部子ども未来学科
子ども学部は建学の精神と理念にもとづいた人間教育と専門職の育成を行っている。
子ども学部の教養教育は他学部とは異り、
「文学と文化」、
「現代社会の課題」
、
「コミュ
ニケーション」という科目群に分かれ、文学と文化に関わる教養、現代社会に生きる
ものとしての教養、地域社会の中で豊かに健康に生きていくための教養を学んでいく。
専攻科目は「いきることの柱」、「子どもの生活と文学・文化」、「子どもの発達と心
理」、「表現と人間関係」、「未来社会の構想」、「生活支援と共生」、「子どもの育ちと学
び」、「演習」、「卒業研究」の科目群からなっている。保育者や教師になるための専門
科目を 1 年次より順次学年配当し、保育実習や教育実習に必要な知識や技術が身につ
くように配慮している。
「表現と人間関係」の中に置いてある関係づくりの授業は保育
内容の 5 領域について総合的・学際的に学んでいく授業である。また、科目群を超え
て子ども未来学集中プログラムの科目が組まれている。ここではそれぞれの科目の中
で、あるテーマについて調査し、それをプレゼンテーションし、レポートにまとめる
訓練が展開される。また、ディベートによって論理的に話すこと、説得するための訓
練を行うことなど、実践的に教養と技術を身につけていく。
実習に関しては、1 年次でフィールドワークを経験し社会や職場とつながる力をつ
けさせ、2 年次では、授業に絡めながら、自発的なボランティアを多く経験させ、2
年次の 2 月の保育実習や 3 年夏の保育実習、幼稚園実習、施設実習にスムーズにつな
がるように配慮している。資格に関しては、保育士と幼稚園教諭一種の 2 つを取るよ
うに指導しているが、平成 19(2007)年度 4 月から小学校課程が認可されたので、小学
校教師の免許も取れるようになった。加えて、訪問介護員 1 級と 2 級が取得できるよ
うになっている。
コースは、3 年次から始まり、小学校教諭を目指す「初等教育コース」
、保育士や幼
稚園教諭を目指す「子ども遊学コース」、保育士の資格をベースにして子育て支援の専
門家や公務員などを目指す「地域未来コース」がある。
大学院文学研究科(日本文学専攻・英米文学専攻)
平成 19(2007)年度から教育課程を改訂し、下記の 3 コースを博士課程前期課程(修
士課程)に設置した。教育現場に即応できる学力と教育技術を持った教員が求められ
ている現在、教職コースを設置することで、教員志望の学部生の希望実現や、現場教
員の再学習の場を保証しようとするものである。
それに伴い、日本文学専攻に「国語教育研究Ⅰ・Ⅱ」、「国語教育演習Ⅰ・Ⅱ」、「教
35
梅光学院大学
育学研究」、「教育実践演習」を、英米文学専攻に「現代英語演習」、「英語教育研究」、
「教育実践演習」、
「英語教育演習」
、「教育学研究」の諸科目を新設した。
文学修士コース(文学修士の学位授与)
各専攻科目から 32 単位以上を取得し、修士論文が合格すれば、修士の学位が授与さ
れる。
教職修士コース(文学修士の学位授与)
各専攻科目と教職に必要な科目(新設科目)から、32 単位以上取得し、教材研究に
関する論文が合格すれば、修士の学位が授与され、専修免許状が交付される。
教職コース(修士の学位を必要としない人のためのコース)
各専攻科目と教職に必要な科目(新設科目)から 30 単位以上取得すれば、大学院教
職コースの終了証が授与され、専修免許状が交付される。特典として、授業料は半額
となる。
3-2-② 教育課程の編成方針に即した授業科目、授業の内容となっているか。
教養教育
ミッションスクールの理念にふさわしい、教養教育の核を形成するものとして、本
学では、
「キリスト教倫理」を 45 分授業とし、2 年間継続して行っている。聖書につ
いて深く学び、人間に対して真摯に向き合う態度を養成する授業である。これに呼応
して「音楽」も 45 分で設置され、主に宗教音楽について学び、賛美歌を歌う。希望者
は、12 月に行われるクリスマス礼拝で、ハレルヤコーラスに参加する。また、建学の
精神や理念について学び、梅光学院で大学生活を送る意義や、現代社会の中で真に主
体的に生きることを問う「現代人間論」は、学長が担当する授業である。
文学部・日本文学科
平成 15(2003)年度から始まったカリキュラムの大改訂により、「日本語・日本文学
コース」
、「文芸・創作コース」
、「地域文化研究コース」の 3 つのコースが設定され、
日本文学科の理念・目標にふさわしい教育課程が完成した。一般就職はもとより、教
員、作家、司書、学芸員などの将来像につながる授業内容が整備されている。また、
「読む力」、「書く力」、「考える力」、「表現する力」を集約し、総合的に高めることが
要求される授業が設置されていることも特色である。
「編集実務」では、受講生全員に
手づくりの雑誌を完成させる。企画、立案から原稿の依頼、インタビューによる紙面
づくり、校正、印刷、製本までを、すべて自分で行うことにより、企画力、文章力、
コミュニケーション力が向上し、実社会での応対が可能となる。
「人間科学」は、ホテルなどに宿泊し、統一したテーマのもと、教員と学生が一体
となって作り上げる授業である。講義のほか、テーマに即した映画の鑑賞、学生によ
るパフォーマンスなどが行われ、チームワークの大切さと、達成感が体験される。
「日本文学紀行」は、日本文学ゆかりの地に旅行し、そこでの実地調査等により、
文学の面白さを体感し、研究に資することを目的とする。事前に学生による発表など
で資料を作成し、現地では、グループによる自主的活動を行い、事後レポートとして
36
梅光学院大学
まとめる。
文学部英米文学科、国際言語文化学部英米語学科・東アジア言語文化学科
外国語を真に使いこなせるようになるためには、継続的な学習だけでなく、常に外
国語を話させねばならない場を設定する必要がある。本学の IEP、IKP、ICP は、外
国人教員を中心として編成されており、授業外でも、ネイティブスピーカーとコミュ
ニケーションを深めることを可能にしている。また、長期語学研修は、寮やホームス
テイを拠点にして行われるので、学習効果が向上することは言うまでもない。さらに、
平成 19(2007)年 5 月に、下関市内にある山口県国際センターと、本学の外国語を専攻
する学生が、センター内で観光ガイドなどの語学研修を行うことについて、契約を交
わしたことも特筆に価する。センター施設として、海峡ゆめタワーと名づけられた展
望塔があり、そこを訪れる外国人観光客のガイドを行ったり、センターで開催される
各種イベントのサポートを行ったりすることが可能となった。7 月 21 日、インド展が
開催され、早速、英語専攻の学生たちが派遣され、自分たちの学習成果を確認するこ
とができた。また、英米文学科、英米語学科に、3 年次に「ドラマプロダクション」
や「ディベート」の授業がある。企画から実行までをグループ毎に担当させ、演劇や
ディベートを完成させることで、達成感の獲得と、さらなる意欲を持たせるよう図っ
ている。東アジア言語文化学科においても、それぞれの専攻言語による演劇やパフォ
ーマンスの実施を計画している。
子ども学部子ども未来学科
本学科では、
「総合人間力」を養いながら「子ども学」を学んでいく教育課程を編成
しているが、それを総称して「梅光子ども学」と呼んでいる。
その内容の特質は、次の 3 点に要約される。
① キリスト教精神に基づく「愛のまなざし」を基盤とし、心理学、教育学、保育学
はもとより、日本語表現、児童文学、音楽、美術、体育、社会福祉学、臨床心理
学、地域社会学などさまざまな知を融合させ、それを「子ども未来学概論」や「関
係づくりの授業」などの、ワークショップ、調査、ディベート、プレゼンテーシ
ョンを伴った授業で実践的に体得させる。「フィールドワーク」や「梅光多世代
交流支援センター」の役割については前述した。
② 保育や教育にたずさわるため、専門科目においても、資格に必要な教科指導の科
目だけでなく、「ブックトーク論」、「文学と演劇」、「公共の再発見」などの多彩
な科目を置き、広く深い視野を獲得させる。
③ 平成 17(2005)年に設立した学会「子ども未来会議」は、学生、教員に加えて、
保育、教育関係者や地域の関係者等を会員としている。子どもたちのために、よ
りよい未来を構想する研究機関として発展していくことで、「梅光子ども学」の
拠点となり、学生たちが卒業後も学びを継続することができる。
大学院文学研究科(日本文学専攻・英米文学専攻)
日本文学専攻においては、古典文学から近代文学まで、幅広い研究演習科目が設置
37
梅光学院大学
されているだけでなく、
「漢文特論Ⅰ、Ⅱ」により、現在の学生の弱点である、漢文に
ついて深く学ぶことができる。
英米文学専攻においては、ラフカディオ・ハーンを中心とするアイルランド文学研
究に特色があり、英語学研究も充実している。
3-2-③ 年間学事予定、授業期間が明示されており、適切に運営されているか。
年間学事予定は、学生便覧に学年暦として記されており、学生に明示されている。
本学はセメスター制をとっており、前期と後期の 2 期に分かれている。前期は 4 月 1
日から 9 月 30 日まで、後期は 10 月 1 日から翌年 3 月 31 日までである。授業は 1 年、
35 週にわたっており、授業回数は前期、後期、それぞれ定期試験期間を含め、14 回
乃至 15 回に設定している。
授業科目の単位数については、梅光学院大学学則第 4 章第 10 条に、次のように定め
ている。各授業科目の単位は、授業時間以外に必要な学修等を含め、45 時間の学修内
容をもって 1 単位とし、基準となる授業時間は、次のとおりとする。(1)講義について
は、15 時間の授業を 1 単位とする。(2)演習については、15 時間から 30 時間の授業を
1 単位とする。(3)実験、実習、実技については、30 時間から 45 時間の授業を 1 単位
とする。但し、本学は授業時間 45 分を単位換算における 1 時間としている。
年間学事予定は、各部署から提案され、授業回数を確保できるように教務部がまと
め、各部署の責任者が出席する責任者会の場で提案し、調整を重ね決定される。最終
案は、合同教授会に報告されて承認される。学年暦とシラバス(講義内容一覧)は年
度初めに学生に配布される。
3-2-④
年次別履修科目の上限と進級・卒業・修了要件が適切に定められ、適用さ
れているか。
各学部の「履修規程」で履修科目の年次配当や進級要件、卒業要件などを規定して
いる。本学は、1 年間に履修できる単位の上限を定めていない。進級要件に関して、
文学部と国際言語文化学部では、教育的指導の観点から、2 年次から 3 年次に進級す
るための要件として、全学共通科目及び専攻科目のうち、合計 52 単位以上を修得して
おかなければならないと定めている。子ども学部は、進級規程を定めていないが、指
定した科目を取っていないと、3 年次に履修しなければならない総合演習や未来学演
習を取れないので、実質的には留年することになる。各学部の修業年限は 4 年とし、8
年を超えることはできない。本学に 4 年以上在学し、学部・学科ごとに定める卒業に
必要な科目を 124 単位以上修得することが卒業要件である。
学科ごとの科目及び単位数の詳細は、学則の別表に示されている。学生は、毎年の
年度初めの、履修科目の登録の前に、オリエンテーションで教務指導があり、履修に
ついて詳しく知ることができる。個別の相談もできるようになっている。
博士前期課程の修了要件は、
「大学院に 2 年以上在学し、所要の授業科目を 32 単位
以上修得し、かつ、必要な研究指導を受けた上、修士論文の審査及び最終試験に合格
することとする。」と梅光学院大学大学院 学則第 16 条に明示してある。
博士課程の修了要件は、
「本大学院に 5 年(前期課程を修了した者にあっては当該課
38
梅光学院大学
程における 2 年の在学期間を含む。
)以上在学し、所要の授業科目を 32 単位以上修得
し、かつ、必要な研究指導を受けた上、博士論文の審査及び最終試験に合格すること
とする。ただし、在学期間に関しては、優れた研究業績をあげた者については、大学
院研究科委員会が認めた場合に限り、大学院に 3 年(前期課程を修了した者にあって
は、当該課程における 2 年の在学期間を含む。
)以上在学すれば足りるものとする。
」
と明示してある。加えて、文学研究科履修規程第 7 条には、
「博士後期課程の院生は、
指導教員の担当する研究、又は演習科目の授業を履修しなければならない。また、指
導教員が院生の研究上、特に必要と認めた授業科目も履修するものとする。」と定めて
ある。
3-2-⑤
教育・学習結果の評価が適切になされており、その評価の結果が有効に活
用されているか。
試験や成績評価に関しては、梅光学院大学学則第 11 条、12 条、13 条に記してある。
詳しくは、各学部の履修規程の試験及び成績(単位認定)という章の中で基準が示さ
れている。その規程によって、教育・学習結果の評価は、適切かつ公平に行われてい
る。
履修科目の成績評価の仕方については、シラバスに、それぞれの科目の成績の出し
方(基準)が書かれている。出席状況・学習状況・レポート・試験の成績を加味して、
各科目担当者が評価する。定期試験をやむを得ない理由で受けることができなかった
学生は、追試を受けることができる。但し、成績はその得点の 8 割となる。成績評価
は、表 3-2 に示すとおりである。A、B、C を合格として所定の単位を与えている。
梅光学院大学学則第 18 条に「学生は、学長の承認を受けて、他の大学又は短期大学
の授業科目を履修することができ」
、
「30 単位を超えない範囲で本学において修得した
単位とみなすことができる」とある。これは留学する場合にも準用される。同様に第
19 条に、「学生は、学長の承認を受けて、短期大学又は高等専門学校の専攻科におけ
る学修、その他文部科学大臣が別に定める学修を行うことができる。この場合、当該
学修を本学における授業科目の履修とみなし、単位を与えることができる。」とある。
この規程が適用され、学生が、在学中に、他の大学の授業科目を履修するものとして、
単位互換制度と留学制度がある。
本学は、下関市内の大学(梅光学院大学、下関市立大学、東亜大学、水産大学校)
の間で単位互換の協定を結び、それぞれの大学が提供する授業科目について、自由に
履修できる取り決めをしている。その修得した単位の扱いについては、それぞれの大
学で決めている。留学の場合は、交換留学制度や派遣留学制度がある。例えば、交換
留学制度を締結しているアメリカのテキサス州立女子大学、カリフォルニア州立大学
フレズノ校、インディアナ州立大学へ 1 年間派遣される学生は、留学先での単位が認
められ、本学在籍 4 年で卒業できる。また、中国の青島大学、台湾の国立高雄第一科
技大学、輔仁大学、韓国の啓明大学校と姉妹校提携を結び、交換留学制度と派遣留学
制度を確立している。この場合も、留学先での単位が認められる。
授業科目以外で資格を取得した時、授業科目として単位認定する場合もある。これ
については、各学部学科で協議・決定し、教授会に報告する。
39
梅光学院大学
大学院の単位修得の認定などについては、梅光学院大学大学院文学研究科履修規程
第 8 条~第 12 条に明示してある。
3-2-⑥ 教育内容・方法に、特色ある工夫がなされているか。
梅光学院大学は、
「文学の梅光」、
「英語の梅光」と言われてきた。
文学部日本文学科は、他の多くの大学が日本文学科という名称をはずしていくなか
で、常に本来の日本文学科、新しい形の日本文学科を模索してきた。その結果が、文
芸創作コースや地域の歴史・文化に関する調査・研究を中心とする、地域文化研究コ
ースの設置である。日本文学科を目指して入学してきた学生に対して、2 年次からプ
レゼミにあたる日本文学基礎演習を始めた。文芸創作コースには、客員教授として、
現役の芥川賞受賞作家を招き、指導してもらっている。また、教授の中には、現代詩
の著名な詩人や評論家もおり、学生の創作指導にあたっている。教員志望者が多いと
いうこともあり、教職関係の科目も単位化し、教師としての専門的知識が身につくよ
うに工夫をしている。また、採用試験に合格できるように、キャリア支援センターと
協力して、サポート対策(教職対策講座)を整えている。外に向けては、日本語の表
現の優れた人材を求め、若者たちの創造の広場が、いっそう活発化することを願って、
全国「高校生文芸誌(及び文芸創作)
」コンクールを開いている。平成 19(2007)年で 7
回を迎え、毎年全国からたくさんの応募がある。平成 19(2007)年は、40 校、83 誌で、
作品数は約 4500 に及んだ。
本学の特色である語学専攻学生の、全員留学のプログラムにおいては、英語専攻の
学生には、留学前に「留学準備講座」という授業で、学力面、生活面、健康面、精神
面の様々な不安を取り除き、留学の経験が最大限に活かせるような準備を行っている。
また、英語集中プログラム(IEP)で、ほとんどの学生が週 10 時間、英語ネイティブ
スピーカーの教員による授業を受け、英語力を集中的に鍛えるカリキュラムが組まれ
ている。帰国後も、IEP や「Debate」などの授業で、留学中に培った、語学力や体験
を活かせるようなカリキュラム編成になっている。また、韓国語および中国語専攻の
学生は、1・2 年次の集中言語プログラムの中で、少人数クラスの利点を活かして、言
語のみならず、多様な面においての、きめ細かい準備がなされた上で、留学に参加す
ることになる。このように、留学前、留学後も含めて、留学が最大限に活かされるよ
う工夫がされている。
「英語の梅光」の伝統は、建学以来のものであり、文学部英米文学科と国際言語文
化学部英米語学科が担っている。
文学部英米文学科は、文学作品や欧米の文化、歴史を通して英語に親しみ、確実な
語学力と実践的な語学力の修得を目指している。特色ある教育内容としては、週 4 日、
英語ネイティブスピーカーの教員が教える、IEP である。
「エアリア・スタディーズ」
は、アイルランド文学の専門教員が、夏休みなどに引率して研修に出かけ、アイルラ
ンドの文化・歴史に触れ、語学を学んで帰るなど、学習へのモチベーションを現地体
験により高めるプログラムである。
国際言語学部英米語学科も英米文学科と同じく、IEP を実施している。TOEIC 演習
や TOEFL 演習の授業も備えられており、授業でのテストに加え、カレッジ TOEIC
40
梅光学院大学
を受験させ、語学力のチェックを行っている。
アメリカへの長期留学(2 段階目)にふさわしい学力は、TOEFL でチェックされる。
そのため、TOEFL 対策の授業に加え、e ラーニングを使った自主学習が、積極的に
行われている。
国際言語文化学部東アジア言語文化学科の語学集中プログラムには、韓国語集中プ
ログラム(IKP)と中国語集中プログラム(ICP)があり、週 4 日の授業、その中で、
会話と作文はネイティブスピーカーの教員が担当し、実践的な語学力をつけていく。
また、韓国語・朝鮮語と中国語の高等学校教諭第一種免許をとることのできる、全国
でもごく少数の学科となっている。日本語教員養成課程も、この学科を中心に、全学
部へ開かれている。東アジア言語文化学科も、原則として、全員参加の研修・留学プ
ログラムプログラムを設けている。韓国語・文化コースの学生は、3 年後期に啓明大
学校へ 16 週間、中国語・文化コースの学生は、2 年次に青島大学へ 1 年間留学する。
現地での授業は、単位化され、4 年間で卒業できるようになっている。また、短期語
学・文化研修は、約 3 週間、夏季休業期間を利用して、中国の上海外国語大学や韓国
の啓明大学校で実施される。
子ども学部子ども未来学科には、1 年次の後期に、フィールドワークという授業が
置いてある。週 1 回、半年間、保育所や幼稚園、その他子ども関係の施設で社会体験、
職場体験をするものである。これを通して、自分と社会とのつながり、職場でのコミ
ュニケーションの在り方を学んでいく。関係づくりの授業は、保育の 5 領域に対応さ
せて設けている。5 領域を学ぶとともに、自己が人や、もの、社会と関わり生きてい
くこと、関わりの中に置かれていることを自覚することを目指している。2 年次には、
専攻科目と関連させながら行う、ボランティア活動を促している。保育所、幼稚園、
施設で、自主的に子どもたちと関わる力を養い、保育実習や教育実習へとつながる実
践力を養わせる。
子ども学部には、附属の施設として、
「梅光多世代交流支援センター」がある。ここ
は、①子ども学部の教育実践の場として、②地域に開かれた多世代交流の場として、
③幼稚園との交流の場としてつくられ、機能している。センターの主な活動として、
子育て支援活動をしている。平成 19(2007)年度からは、「下関市つどいの広場運営事
業補助」を受け、0 歳~3 歳未満の未就園児を対象に、子育て広場「梅光ほっとみーる」
を展開している。ここで学生は、ボランティアとして支援活動を行う。授業で身につ
けた保育技術や学びの中で得た課題を、センターの活動の中で確認し、解決に向かけ
て、更に学んでいくことができる。また、乳幼児や母親と自然に触れ合うことができ
る場でもある。
3-2-⑦
学士課程、大学院課程、専門職大学院課程等において通信教育を行ってい
る場合には、それぞれの添削等による指導を含む印刷教材等による授業、
添削等による指導を含む放送授業、面接授業もしくはメディアを利用して
行う授業の実施方法が適切に整備されているか。
本学では通信教育を行っていない。
41
梅光学院大学
(2) 3-2 の自己評価
文学部日本文学科の文芸創作コースの設立は、全国的に文学部の衰退が叫ばれるな
かで、文学の魅力が再評価されるきっかけをつくった。古典や近現代文学を丁寧に理
解し学ぶことにより、表現すること、書くこと、創作することの面白さを味わってい
る。文芸創作コースの開設によって、一時の入学生の大幅の減少が回避され、日本文
学科は、着実に、ほぼ定員以上の学生が集まっている。入学時の学生の多くは、文芸
創作コースを希望しているが、平成 17(2005)年度は、地域文化研究コース希望が多数
を占めた。学生の本当の志望がどの辺りにあるか、どのように変化していくのか、見
極めにくくなっているのが現状である。
文学部英米語学科と国際言語文化学部英米語学科においては、英語の基礎力は英語
集中プログラム(IEP)によってつけられている。10 週間のオーストラリアでの語学
研修の学生の満足度は高く、当初の目標を達成している。これまで、アメリカの大学
で 1 年間留学を経験した学生の中の多くが、公立中学や高校の教師になっていること
も特筆すべき点である。英米文学科では、英米の文学や文化を学び、同時に「深い人
間観」と「豊かな感性」を磨き、英語力を身につけた個性豊かな学生が育っている。
国際言語文化学部英米語学科は、既述した教育プログラムや教育内容を提供し、
「豊
かな人間性」をもった、国際社会で活躍できる、実践的な英語力をもった学生を育て
てきた。
国際言語文化学部東アジア言語文化学科の、韓国語集中プログラムや中国語集中プ
ログラムは、外国人教師による少人数クラスの、恵まれた環境の授業である。しかし、
学生数が極端に少ないクラスもある。学生が互いに刺激し合い切磋琢磨するためには、
ある程度の人数は必要である。韓国語文化コースの学生は、3 年次に、啓明大学校に
16 週間の語学研修に行き、語学漬けの毎日を送り、語学と文化を学ぶ。有意義な期間
であり、語学学習への意欲を更に増幅させ、語学力向上の一歩になっている。中国語
文化コースでは、2 年生が青島大学に 1 年間語学研修に行く。中国有数の総合大学で
の、中国文化と語学の学びは、人間的にも大きな成長を促す。
学習環境と恵まれた教育プログラムが用意されているにもかかわらず、また、学習
意欲の高い韓国人や中国人の留学が各学年 5、6 人おり、留学生と交流できる機会も多
くあるにもかかわらず、日本人学生の数が少ないということが、本学科の課題である。
子ども学部子ども未来学科のフィールドワークは、週 1 回半年間、自分の探した施
設(子ども関係が中心)に行き、職場体験、社会体験をするものである。振り返りの
授業も設けられ、達成感のある授業である。当初は、大学の趣旨が受け入れ側に十分
理解されていなかったということもあったが、今は定着している。2 年次の 2 月には、
保育所実習があるが、フィールドワークの経験が、具体的にどのようにつながってい
くかが課題であり、実習につながる知識と技術の習得が十分にできているかを絶えず
検討し、よりよい内容にしていかなければならない。関係づくりの授業群は、5 領域
を丁寧に展開する授業が中心であるが、授業間のコラボレーションや、領域を超えた
総合的な学習をするなど、従来の授業形態にとらわれない授業も実施され、授業に対
する満足度は高いものがあった。平成 19(2007)年の 4 月からは、
「下関市つどいの広
場運営事業補助」を受け展開している梅光多世代交流支援センターでの「梅光ほっと
42
梅光学院大学
みーる」子育て親子交流会に、学生ボランティアが参加している。日ごろの授業で身
につけた保育技術を披露し、乳幼児と母親との貴重な交流の時を過ごすことができた。
また、センターでは同じように幼稚園児との日常的な交流が行われている。
(3) 3-2 の改善・向上方策(将来計画)
各学科とも、教育課程の編成は、細かく丁寧に考えられている。
文学部日本文学科は、更なる改革を目指して、平成 21(2009)年度 4 月より、現在 70
人の定員を 80 人に増員することを検討している。学生たちの多様な要望に応えるため
であり、新たに児童文学専攻を設けようと準備をしている。
文学部英米文学科と国際言語文化学部英米語学科は、英語集中プログラムや 2 段階
留学制度など共通の教育課程が組まれており、学科の差異が見えないという指摘が内
外からあった。
本学としてはそれなりの歴史的経緯をを持つのであるが、
平成 21(2009)
年度 4 月より、英米文学科を国際言語文化学部英米語学科に統合することを検討して
いる。
東アジア言語文化学科も、改善が繰り返され、優れた教育課程が編成されている。
各種の短期の研修プログラムや、長期(16 週間から 1 年)の語学研修、交換留学制度
などがあり、教育課程とリンクしている。韓国での研修時期を早められないかが現在
の課題である。
子ども学部子ども未来学科は、平成 19(2007)年度入学生から、フィールドワークの
期間を 1 年間から半年間に減らした。これは、小学校教員養成課程を含む初等教育コ
ースを新設し、授業科目が増えるということが大きな理由であった。フィールドワー
クの実習先は、広い範囲から選ばせていたが、2 年次の保育実習につながっていくた
めにも、保育所や幼稚園、子育て支援センターなどに行くように勧めている。学部は
責任をもって教育課程をつくり、そこで学生を育てるわけであり、保育者養成課程と
小学校教員養成課程をもった学科であることを明確に示すために、平成 21(2009)年 4
月より、今の 3 コース制から児童教育専攻と幼児保育専攻の 2 専攻制にする予定であ
る。
[基準 3 の自己評価]
平成 11(1999)年から、建学の精神と理念の下で、本学は、教育目的に沿った教育課
程の大きな改革を始めたといえる。それは、少子化の進行の中で、梅光学院大学の存
在意義を、地域に問うものでもあった。
文学部日本文学科は、実学重視の時代風潮の中にあっても、
「文学の梅光」の伝統を
守るべく、文学研究を軸にしながら、コース制を導入して、文学の魅力をアピールし、
大きな効果をあげることができた。
文学部英米文学科、国際言語文化学部英米語学科は、「英語の梅光」の伝統を担い、
英語力をつける教育課程や語学研修・留学制度、グローバル化に対応したプログラム
に工夫を懲らしてきた。山口県国際総合センターとの包括的連携合意により、観光ガ
イドや通訳ガイドのボランティア育成にも貢献できるようになった。東アジア言語文
化学科も、同様なボランティア育成ができる。国際社会で活躍でき、地域に貢献でき
43
梅光学院大学
る人材の育成は評価できる。
子ども学部子ども未来学科は、梅光学院大学では、初めての実学系の学部である。
自己の人格形成を目指し、教育・保育の業に携わるにふさわしい学生を育てていくこ
とは、建学の精神の具現化でもある。
教養教育については、教養セミナーの再検討、共通科目の再編成、1 年次教育の充
実などが課題であるが、さまざまなボランティア活動や宗教部の活動に象徴される大
学の理念とのつながりが、何よりも求められる。
大学院文学研究科は、これまでの実績と伝統を保持しつつも、新しい社会的ニーズ
に応えるものにすべく、改革を急がねばならない。
[基準 3 の改善・向上方策(将来計画)]
各学部・学科の掲げている教育目的は、教育課程や教育方法を絶えず検討し改善す
る中で、十分自覚されている。平成 21(2009)年 4 月には、文学部、国際言語文化学部
は学科の再編成を予定しており、子ども学部もカリキュラムの見直し、実習時期と科
目の年次配当の見直しを行い、より内容のある、効率的な教育課程にする。同時に、
教養教育の在り方についても検討され、読書指導や学生の学ぶ姿勢の確立、キャリア
指導について、新しい提案がなされる予定である。文学部、国際言語文化学部は、現
代 GP に申請し、教育課程の中で、地域貢献を推進していこうとしている。子ども学
部も、子育て支援事業、多世代交流活動、児童の課外活動支援など、梅光多世代交流
支援センターを中心に、大学と地域を結ぶ働きを更に推し進める予定である。
大学院文学研究科では、セメスター制への移行と、学生のニーズの高い地域文化研
究科目の設置などを検討している。
基準 4 学生
4-1 アドミッションポリシー(受入れ方針・入学者選抜方針)が明確にされ、適切
に運用されていること。
《4-1 の視点》
(1) 4-1 の事実の説明(現状)
4-1-① アドミッションポリシーが明確にされているか。
本学には創設以来受け継がれて来た「建学の理念」がある。それは、現在では「強
くしなやかな精神と新しい世界を切り拓く能力を他者のために用いることのできる人
間を育てる」という文章で表現され、本学における教育理念の根幹としているもので
ある。
本学の教育目標は、時代の状況を見極めながら、その時に応じて定めて来たが、基
本精神は「建学の理念」によるものである。従前は教育目標をアドミッションポリシ
ーとして掲げ、平成 16(2004)年度入学生を対象とした大学案内には、アドミッション
ポリシー(教育の目標)として「ミッションスクールであり、小規模校であるからこ
そ可能な『成長の実感できる』教育。『人間』に興味があり、『ことば』を究めたい人
44
梅光学院大学
の最適のカリキュラム」の表現で掲載してある。その後、各学部・学科ごとにアドミ
ッションポリシーを定める必要があるとの考えから、平成 18(2006)年度入学生を対象
とした大学案内から「本学が求める学生像」として学部・学科ごとに具体的な項目を
4 点にしぼって明示した。
このアドミッションポリシーは学内における教職員の研修会において周知を図り、
学生募集における基本的な理念として今日まで取り扱って来た。対外的には、高校教
員を対象としたアドミッション連絡会、高校内における生徒を対象とした進学説明会、
本学でのオープンキャンパスなどで説明をしている。また、平素は高校教員や高校生
に対して本学の教育内容を理解してもらうために、アドミッションアドバイザーが高
校訪問や生徒との個別懇談などを通して、アドミッションポリシーの趣旨を生かした
広報活動を展開している。
平成 11(1999)年 12 月に、中教審から「初等中等教育と高等教育との接続の改善に
ついて」の答申がなされ「高校生が個々の能力・適性、意欲・関心に基づいて主体的
な進路選択を行うことができるよう、高大連携の取り組みを積極的に進めるべきだ」
との見解が示された。
これを受け本学でも、平成 13(2001)年度から高大連携の研究を進め、平成 14(2002)
年度には、アドミッションセンターを設置して、高大連携の取り組みを推進すること
にした。具体的には地域の高校と連携し、本学および高校の教員による「国語及び英
語教育研究会」を設置したのをはじめ、高校に出向いての生徒を対象とした「出前授
業」の実施、高校生の本学における「体験授業」等に取り組んだ。
このような取り組みを通して、本学の教育内容が高校教員や高校生に広く理解され
るようアドミションポリシーの深化・浸透に努めて来た。
4-1-②
アドミッションポリシーに沿って、入学要件、入学試験等が適切に運用さ
れているか。
平成 15(2003)年度入試から、
本学でも本格的に AO 入試を導入したことにともない、
次のような入試の改善に取り組んだ。
推薦入試では、公募制推薦において、出願時にあらかじめ課題を与え、600 字~800
字にまとめた作文の提出を求めた。各学科とも 2~3 の課題を設定し、本学が求める人
物像を示した内容とした(現在は、各学科の状況に応じ、字数や課題数を変更してい
る)。面接においても、作文に書かれた内容を基に質問し、受験生の意識を十分に把握
することに努め、作文を合否判定の重要な資料とした。
AO 入試では、アドミッションポリシーの趣旨を生かした出願要件を示した。要件
の内容は主に高等学校における学習や学校内外の活動の成果を問うもので、志願者が
この要件に沿うかどうかを出願前に相談に乗ることにした。この事前相談は平成
17(2006)年度入試からは事前ガイダンスとして志願者全員に義務づけ、この年から置
いたアドミッションアドバイザーが本学における AO 入試の趣旨や目的を十分に説明
し、特に、平成 20(2008)年度入試から、受験生が面接時において、アドミッションポ
リシーに沿う人物であることが十分アピールできるよう、アドバイスすることにして
いる。
45
梅光学院大学
一般入試では、C 日程入試において小論文を課し、各学科に対する意識を問う内容
の課題を与え、受験生の目的意識を確認するよう努めている。
その他の入試においても、合否選考に当たっては、アドミッションポリシーを前提
に学力、人物等を総合的に評価することにしている。
4-1-③
教育にふさわしい環境の確保のため、収容定員と入学定員及び在籍学生数
並びに授業を行う学生数が適切に管理されているか。
資料編の表 4-1 [学部の入学者の構成]に示すとおり、平成 19(2007)年度の入学者数
は、文学部日本文学科で募集定員を満たしたものの、他の学科ではすべて定員割れの
状況である。
全学部を合わせた入試別の入学者数の募集定員に対する割合は、推薦入試で 40%、
一般入試で 28%、AO 入試で 6%と推薦入試に依存する割合が高い。その分、第一志
望で本学を選択する入学者の数は、ここ数年定着していると言える。
しかし、一般入試での入学者の割合が大きく減少し、学生数の確保が年々厳しくな
って来ている状況を見ると、今後の学生募集に対する抜本的な対策が必要であること
は確かである。
AO 入試については、AO 入試の趣旨や目的が、まだ十分に周知されていないことも
あり、これからの課題である。
次に、それぞれの授業を受講する学生数であるが、受講者数別授業科目数として示
した一覧は表 4-1-1 のとおりである。
表 4-1-1 受講者別授業科目数(平成 19 年度前期)
受講者数
授業科目数
受講者数
授業科目数
0~20 人
182
81~100 人
5
21~40 人
127
101~120 人
2
41~60 人
41
121~130 人
1
61~80 人
18
合
計
376
全学共通科目(教養科目)は、基本的には、前期・後期の火曜日の 5・6 限に入れて
いる。そこでは、資格に関係する「日本国憲法」の授業が 100 人前後になる傾向があ
るので、受講者を分割して、前期と後期に開講している。他の選択の教養科目の講義
も適切な人数で開かれている。英語の授業は年度初めに習熟度に従ったクラス分けが
行われ、1 クラス 4 人から 40 人の少人数のクラスであり、教育効果を考えた授業の展
開がなされている。全学共通科目の必修科目はクラス単位で行うので、10~40 人くら
いの規模であり、第 2 外国語は、1 クラス 17~45 人であり、適正な人数で行われてい
る。1、2 年生のチュータークラスの役割をもっている教養セミナーは、7 人~26 人で
行われており、授業とともにきめ細かい指導と学生へのケアが行なわれている。今学
期に関していえば、全学共通科目で受講生が 100 人を超えているのは、選択科目の「日
本の文学」
(100 人)
、「キャリアプランニング」
(110 人)、
「哲学入門」
(110 人)のみ
である。全学共通科目全体としては少人数クラス編成が実行され適切な授業が行われ
46
梅光学院大学
ているといえる。
文学部日本文学科は、平成 15(2003)年度のカリキュラムの大幅な見直しによって、
日本語・日本文学コース、文芸・創作コースに加えて、地域文化研究コースを設置し
た。それに伴い、半期完結のセメスター制をとった。1 年次で日本文学全体を満遍な
く学習でるよう、日本文学演習Ⅰ・Ⅱに加えてⅢを開講した。そして地域文化演習Ⅰ・
Ⅱ・Ⅲも開講した。1 クラス 3~11 人という、少人数で学習の動機付けを与えるプレ
ゼミを始めた。
日本文学科の学生は教員志望の者がかなりいる。平成 18(2006)年度より、日本文学
科専攻科目から、教職専門科目に「教職国語Ⅰ(古典)
」、
「教職国語Ⅱ(現代文)
」、
「教
職国語Ⅲ(漢文・基礎)
」、
「教職国語Ⅳ(教員採用試験対策)
」が移行した。そこでは、
選別された、本当に教職を目指す学生が、9~19 人の少人数で、丁寧な授業を受けて
いる。3 年、4 年のそれぞれのコースのゼミ 日本語・日本文学演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ、
文芸・創作演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ、地域文化演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳは 5~16 人の適切な数
の学生で編成され、卒業論文・卒業制作・卒業研究に向けて学習と研究指導がなされ
ている。
文学部英米文学科は、国際言語文化学部の英米語学科と合同で、IEP(集中英語プ
ログラム)が実施されていることは既述したが、1 クラス 12~28 人の少人数で実践的
な英語力を身に付けさせる授業が展開されている。
梅光学院の礎は明治 5(1852)年にアメリカの宣教師ヘンリー・スタウト博士夫妻に
よって開かれたスタージェス・セミナリーでの聖書と英語の教えからであった。今も
その理念を受け継ぎ、英米文学の根底に聖書の教えがあることを知らせる科目が「聖
書のことばと文学」である。少人数クラスで持たれている。3 年になると翻訳コース、
文学・映像文化コース、児童英語教育コースを学生は選択することになる。いずれも
少人数のクラス編成で、卒業研究に向け、英語力の研鑽と研究を進めている。
国際言語文化学部の英米語学科及び東アジア言語文化学科は、共に実践的な語学力
を身に付けるためのカリキュラムが組まれている。IEP は英米文学科と合同で開かれ
ており、上に述べたように少人数のクラス編成で行われている。IKP(集中韓国語プ
ログラム)と ICP(集中中国語プログラム)も 10 人前後の徹底した少人数で授業が進
められている。3 年次に、英米語学科が英語通訳コース、語学・文化コース、観光・
ビジネスコースに分かれ、東アジア言語文化学科のコースは、韓国語・文化コース、
中国語・文化コース、日本語・文化コースに分かれ、1 クラス 10 人前後の少人数でゼ
ミが行われる。
子ども学部子ども未来学科は、保育者養成と幼稚園教諭養成を教育課程の中に組み
込んだ学科として誕生した。加えて平成 19(2007)年 4 月から、小学校教諭資格の取得
ができる初等教育コースができた。専門職を育てる学科ということで、ほとんどの授
業が子ども未来学科の学生だけの授業である。他学部と乗り入れの授業である共通科
目の 5~6 科目のうち、2~3 科目は受講者が多い授業があるが、他は 14~50 人前後
の少人数のクラス編成で授業が行われている。現在は 3 年次になると子ども遊学コー
ス、表現アトリエコース、地域未来学コースに分かれているが、9 人~15 人の少人数
のゼミが行われている。
47
梅光学院大学
大学院文学研究科は日本文学専攻、英米文学専攻ともに各学年数名の学生数であり、
各授業は数名で行われている。指導教授の個人指導と院生の自主的研究活動によって
研究活動が活発に行われている。日本文学専攻の院生は、年 4 回の研究発表会を行い、
英文文学専攻の院生は、年 2 回の発表会を行っている。博士後期課程の院生たちによ
る学外の研究会、学会における発表も盛んである。
(2) 4-1 の自己評価
〈アドミッションポリシーの明確化〉
アドミッションポリシーは、大学案内や募集要項に明示してあるが、まだ高校側へ
十分に周知されているとは言えないのが実情である。
本学のアドミッションポリシーは「建学の理念」や「教育目標」に基づいて定めら
れたものである。しかし、本学が求める学生像として、各学部・学科の教育理念や教
育内容が十分反映されたものであるかどうか、今一度検証する必要がある。
過去 5 年間でも本学は何度か学部・学科の改編や新設に取り組んで来た。ある面で
はその効果もあったと言えるが、やはり、明確なポリシーを示さなければ、急速な時
代の変化に対策が後手に回ることが多い。
アドミッションポリシーの趣旨が十分理解されるためには、アドミッションアドバ
イザーの役割が大きい。この面での研修会を関係教員とともに十分行う必要がある。
ともあれ、本学においてアドミッションポリシーの必要性が理解され始め、教職員
が一体となって取り組む姿勢が見えて来たことは大いに評価できる。
〈アドミッションポリシーに沿った入学試験の運用〉
各入試の合否判定において、アドミッションポリシーの趣旨を厳密に適用すること
は難しい。適切に運用するには、入学者選抜のどのプロセスでどのようにアドミッシ
ョンポリシーの趣旨を踏まえるか、具体的な指針を定めるべきである。
これからの学生募集において、アドミッションポリシーは重要である。本学の魅力
を十分アピールし、アドミッションポリシーの趣旨が十分生かせるような、入学試験
の運用を検討していかなければならない。
〈在籍学生数の管理〉
学生募集定員の確保は、本学における最も重要な課題である。現在の定員充足率は
決して本学の経営を安定させるものではない。
近隣の高校だけでなく、もっと広い地域から、学生の獲得を目ざすための広報や募
集活動に力を入れなければならない。
(3) 4-1 の改善・向上方策(将来計画)
〈アドミッションポリシーの検討〉
今後の方向としては、アドミッションポリシーが入学後のカリキュラムポリシーや
ディプロマポリシー、そして卒業後のグラディエーションポリシーに繋がるよう、こ
れらを一体化して検討する予定である。
また、本学には将来構想委員会があるが、この委員会では主に学部・学科等の新設
や改編について検討しており、同時に教育内容等の検討も行っている。この将来構想
48
梅光学院大学
委員会においても、アドミッションポリシーの趣旨を十分に踏まえ、本学の将来像に
ついて検討する予定である。
〈アドミッションセンターの活性化〉
現在、アドミッションセンターには、入試課、高大連携推進課、進学相談室がある。
また、高校生等の進学ガイダンスを行うための、アドミッションアドバイザーが 3 人
いる。
これらが有機的に機能するために、相互が連携したり、各学部・学科との関わりに
ついて定期的に会議や研修会を行ったりすることにより、学生の受け入れ体制が確固
たるものになるよう努力するつもりである。
また、平成 19(2007)年度から子ども学部の教育内容が十分理解されるよう、高大連
携研究会に「家庭と子どもに関する教育研究会」を新たに設置する予定で準備を進め
ている。
〈入学者選抜の改善〉
多様化する入試のそれぞれの特徴が十分生かせるために、入学者選抜の改善に取り
組む必要がある。本学では入試委員会でこの問題を検討しているが、今後は学生の入
学後の追跡調査を行い、その結果をもとに、将来に向けた入学者選抜のあり方を検討
することにしている。
4-2 学生への学習支援の体制が整備され、適切に運営されていること。
《4-2 の視点》
(1) 4-2 の事実の説明(現状)
4-2-① 学生への学習支援体制が整備され、適切に運営されているか。
現在、学生が学習のために最も多く使用しているのが、情報教育センターである。
情報教育センター(マルチメディア教室)は最新のパソコンを備えた情報処理教育・
語学教育施設である。4 教室に約 200 台のパソコンがあり、学生は講義で使うとき以
外でも、教室が講義で使われていなければ自由に利用できる。センターには職員・教
員が常駐しており、操作についての質問など何でも対応できる。以下が平成 18(2006)
年度の情報センター利用者数である。
表 4-2-1 平成 18 年度情報教育センター利用者数(授業を除く)
人数
月
単位:人
4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
2
3
合計
1,612
1,611
1,974
2,225
701
296
1,761
1613
1,476
1,800
1,056
401
16,526
情報教育センターのパソコンの使用にあたっては、TOEFL、TOEIC、英検対策の
ソフトが用意され、e ラーニングができるようになっている。e ラーニングの学習がで
きる時間は、月曜日から金曜日の 9:00~20:00、土曜の 9:00~16:00 である。
TOEFL 対策用ソフトや TOEFL 対策用オンラインライティング、対策用ソフト、英
検準 1 級、2 級対策用ソフトを使い、学生は各自空き時間にコンピュータで自習する
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梅光学院大学
こどができる。平成 19(2007)年の 4 月から始まり、利用状況は以下のとおりである。
表 4-2-2 平成 19 年度
月
4 月 10~14
e ラーニング利用者(曜日ごとの利用者数)
単位:人
火
水
木
金
土
3
8
7
3
2
4 月 16~21
27
11
11
9
23
5
4 月 23~28
25
13
14
8
9
3
5 月 1~6
14
8
off
off
off
off
5 月 7~12
21
8
11
14
7
2
5 月 14~19
13
12
12
19
12
1
5 月 21~26
14
15
off
8
15
8
5 月 28~6 月 2
20
18
17
7
17
off
6 月 4~9
12
off
9
9
19
2
18.2
11.0
11.7
10.1
13.1
2.9
曜日ごと平均
月曜日から金曜日までは、一日平均利用者が 10~15 人程度、土曜日は約 3 人である。
利用者は皆、まじめに取り組んでいる。
外国人と話し、英会話の力を楽しみながらつけたいと思っている学生に、English
Lounge が用意されている。English Lounge は、今学期は週 4 日、火曜日から金曜日
の昼休みに行われている。時間は 12:40~13:25 で、英語のネイティブスピーカー
の教員と一緒に食事をしながら、リラックスした雰囲気の中で自由に会話をし、英会
話の練習をすることができる。また、月に 1 回の割合で、スペシャル・イベントを開
いている。英米人や英語担当教員の手作り料理屋やお菓子などを食べながら、思い出
の写真を持ち寄って思い出を語る日、ハロウィン、感謝祭、クリスマスなど、季節ご
との出来事を楽しむ日などがある。参加学生数は、曜日によって多少ばらつきがある
が、普段は平均 5 人~15 人程度、全曜日を平均すると 10 人程度であり、スペシャル・
イベントの日は 30~50 人ほどの参加者で部屋がいっぱいになる。
語学教育研究所は、語学教育の充実・発展のため、活動をしている。日本人学生の
英語、韓国語、中国語の語学力向上、外国人留学生の日本語力向上のために、学科や
学友会の ESS などのクラブと協力して、スピーチコンテストなどを企画したりして、
サポートしている。また、外国から語学研修にくる留学生の研修プログラムを立案し
実施している。
子ども学部では、ピアノ実技の技能向上を目指す学生のための、練習施設が準備さ
れている。ピアノを練習したい学生は、毎日、授業で使用していない時、及び課外時
間において自由に練習できる。ピアノ練習室は個室で、アップライトピアノが 8 台あ
る。一般の 4 ヶ所の教室にあるアップライトピアノ、2 ヶ所の教室にあるグランドピ
アノを使って 18 時 30 分まで練習できる。ML 教室には、電子ピアノが 40 台ある。
キャリア支援センターでは、就職対策として、就職指導課の教職員で就職対策講座
を開いている。また、希望者がいれば資格試験の講座も開いている。
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梅光学院大学
教職希望者に対しては、教職指導課の教職員や学科の教員が「教職特別講座」を開
いてサポートしている。
国際交流センターは、各学科と協力して、アメリカ、オーストラリア、韓国、中国
への留学や語学研修の立案と、実施にいたるまでのサポートや、細かい準備をする。
また、外国からの留学生や研修生の日本語習得や日本文化の学習や体験のためのサポ
ートをしている。
4-2-②
学士課程、大学院課程、専門職大学院課程等において通信教育を実施して
いる場合には、学習支援・教育相談を行うための適切な組織を設けている
か。
本学は、通信教育は実施していない。
4-2-③
学生への学習支援に対する学生の意見等を汲み上げるシステムが適切に整
備されているか。
本学は、1 年、2 年生はチューター制度を取り入れ、教養セミナーの担当者がチュー
ターとなっている。3 年、4 年生はゼミの担当者がチューターとなり、学生の学業の進
み具合を見守り、大学生活や卒業後の進路についての相談などに応じ、指導をしてい
る。また、学生と面談するオフィスアワーの時間を、週 1 回はもつように定められて
おり、教員は、1 週間の講義時間とオフィスアワーの時間を研究室の前に貼り出すよ
うになっている。
学生による授業評価アンケートは前期・後期の 2 回実施される。このアンケートの
中に自由記述をする欄があるので、そこに学習支援に関する要望も書けるように配慮
してある。教員や大学は学生の声に耳を傾けるようにしている。定期的ではないが、
数年ごとに学生生活アンケートを実施しており(最近では 1 昨年)、学生の要望や不満
について耳を傾け、改善を推進する体制が取られている。
学内のみで見ることのできる学内ホームページがある。そこに掲示板が設けられて
おり、学生は直接、大学の各部署に対して質問をすることができる。大学生活や授業
のカリキュラムについての質問もある。学生の直接の声に対して、できる限り各部署
の責任者や担当者は応えるようにしている。
(2) 4-2 の自己評価
本学は教員と学生の距離が近い大学だと、よくいわれるように、大学と学生の距離
が親密であり、学生の声は教員に届きやすく、学習支援体制についての要望に対して
も迅速な対応ができている。情報機器の操作についても、ワード、エクセル、タッチ
メソッドなど授業時間以外に、自主的に学べるシステムが十分備わっている。勿論、
教職員にその場で質問することもできる。
e ラーニングは、午後 8 時まで学習でき、英語関係の教員が交代でサポートしてお
り、より効果があがるように努めている。
アメリカ、韓国、中国への語学研修・留学のサポート体制は、各学科と国際交流セ
ンターが協力し、きめ細かい指導がなされている。外国からの留学生、交換留学生、
51
梅光学院大学
語学留学生に対する学習サポート、生活サポートも、各学科と国際交流センター、語
学研究所が協力し、適切になされている。
国際交流センターが中心となり、外国からの留学生や語学研修生と日本人の学生が
触れ合う機会も多くつくられている。外国人にとっては、日本語の習得と文化の理解
につながり、日本人にとっては、外国語の習得と文化理解につながっている。ボラン
ティアの日本人学生による留学生サポーター体制もあり、外国人、日本人学生にとっ
ての語学力の向上と文化理解の向上につながる有意義な活動となっている。
本学は小規模校でもあり、かつ、チューター制もとっているので、学生の声は教員
や大学に届きやすく、学生の声に対してすばやい対応ができている。月 1 回以上開か
れる各学科会において、学生への学習支援や生活上の問題については、細かく報告さ
れ、対応について協議されている。
各学科、各部署が把握した学生の要望は、各部署で協議され、月 1 回開かれる責任
者会で対応の具体案の報告・提案がされ、最終的に合同教授会で報告・提案され審議
される。全体に適切な体制が取られていると言える。
(3) 4-2 の改善・向上方策(将来計画)
教員は年度初めにシラバスを学生に配布する。その中に学習到達目標を定めている
ので、学生の到達度について把握しているはずであるが、授業による学力保証がどれ
だけ達成されているかのチェック体制の構築が必要である。子ども学部のように、学
生が実習に行き、習得した知識と技術が試される具体的な場所がある場合は、そのこ
とがすぐ問われてくるので、学科会ですぐに対応して、授業の中味の改善をしていく
ことができるが、全ての科目において、到達度についての自己点検、総合点検をして
いかなければならない。学科会や授業改善推進委員会、将来構想委員会でのこれから
のテーマである。
語学力向上のための語学研修や留学については、結果として、どれだけ語学力が向
上したかを客観的に示す必要がある。現在は、TOEIC で留学前と留学後のスコアの比
較をし、平均して大きな成績の向上が認められているが、常に改善が必要である。2
段階留学の韓国への語学研修について、第 1 段階留学が 3 年後期のため、2 段階留学
が進路決定の 4 年次に重なり、留学を躊躇する学生がいるので、これを改善するため、
第 1 段階留学の時期を早めるよう調整中である。
4-3 学生サービスの体制が整備され、適切に運営されていること。
《4-3 の視点》
(1) 4-3 の事実の説明(現状)
4-3-① 学生サービス、厚生補導のための組織が設置され、適切に機能しているか。
学生サービスに関する業務を主に行うのは、教員組織である学生部と職員組織であ
る学生課である。学生部長は教員が、学生課長は職員が務める。事柄によっては、他
の教職員や学友会を中心とした学生と連携して対処することもある。
項目①に関しては、学生部以外に各種委員会を組織し、特に学生部長との連絡を密
にすることで学生の生活の質の向上と安全の確保の努力がされている。
52
梅光学院大学
項目②に関しては、理事会の協力を得て、経済的な側面から主に学業を支援する体
制の充実を図っている。新入生に対する奨学金制度は、学生募集の窓口となる入試課
との連携のもと、施行している。
項目③に関しては、父母会の協力と理解を得て、課外活動に対する奨学金や育成金
制度がある。本学においては、学友会は「教員との理解と信頼を基礎とした自治的活
動を通して一致協力」することが学友会会則に謳われており、学友会は完全な学生の
自治組織ではない。クラブ活動や委員会活動は、学友会役員を中心に自主的な運営が
できるように、学生部を中心として教職員が全学的に関わることになる。
項目④に関しては、学生相談室では専門の教員が、保健室では専任の看護師が学生
の対応をしているが、それぞれが独自に対応するのではなく、相談室・保健室・学生
部長が連絡を取り合って進めている。また、本学ではチューター制を敷いており、チ
ューターが担任の学生の相談に乗るが、学生の個々の状況に配慮しつつ、相談室・保
健室・学生部長と連携する場合もある。
項目⑤に関しては、学内ホームページ内に掲示板を設置している。さらに、特に課
外活動に対する学生の意見を、学友会役員やクラブ委員会を通して学生部長が聞き、
週に一度開かれる学生部長会議(学院長・学長・事務局長・学生課長・学生部長から
成る)で汲み上げるシステムがある。
多くの学生が利用するサービスとしては、大学生協がある。小規模校であるので、
単独の運営は困難なため下関市立大学生協の協力を仰いでいる。テキストなどの書籍
類や文具、食料品やその他サービスの提供のほか、学生食堂も運営しており、一般学
生の主に昼食以外にも、寮の朝・夕食も提供している。
遠方から入学する学生に対しては、キャンパス内に女子寮が設けられている。原則
的には、1・2 年生のための寮で、1 人あるいは 2 人部屋で合計 50 部屋ある。寮監と
副寮監の指導のもと、キリスト教主義に則って、現在では少数となった教育寮として
規律正しい生活が営まれている。寮生活の様々な問題には、寮監・副寮監のほか、学
生部長や学生部長を長とする寮務委員会が対処する。以前とは異なり、基本的な生活
習慣が身についていないまま初めて家庭を離れる学生も少なくない。 入寮できない
男子学生や一人暮らしをする女子学生には、学生課がアパートを紹介している。近隣
の不動産屋からの情報を学生に提供するが、不動産屋等との交渉は学生個人による。
学費や生活費のためにアルバイトをする必要がある学生には、学生課がアルバイト
の紹介をしている。紹介する際には、業者などから斡旋を頼まれた仕事が学生として
適切な仕事であるか、学業に差しさわりのない範囲でできるか、安全であるか、など
を学生課の担当職員と学生部長が確認した上、掲示する。そのため、大学が紹介した
アルバイトでの大きなトラブルは起こっていない。アルバイト先との交渉は、学生個
人の責任で行う。
学生の生活に対する安全意識を高めるために、4 月のオリエンテーション時に全学
生を対象として、防犯講座と交通安全講習会を開講している。いずれも警察による講
話で、防犯講座では、ハイテク犯罪や振込め詐欺、麻薬の恐ろしさなどを、交通安全
講習会では、事故防止の対策などを話していただく。なお、交通安全問題に関しては、
下関市内の短大・大学が集まり、警察を招いて年に二度「交通安全懇話会」を開催し、
53
梅光学院大学
連携して問題解決を図っている。
留学生に関しては、国際交流運営委員会と国際交流センターを中心に、生活全般に
わたってきめ細かい指導がなされている。住居としてキャンパス内の女子寮のほか、
近隣の学院指定寮も提供している。それ以外で、留学生がアパートを借りる場合も、
住宅保険や保証人に関して、指導・協力をしている。
4-3-② 学生に対する経済的な支援が適切になされているか。
本学独自の学生に対する経済的な支援は、大きく三種類に分けられる。まず、経済
的に困難な状況にある学生に対するサポートとして、経済援助奨学金と緊急貸与制度
がある。前者は新入生が対象で、入学時に 30 万円給付される。返済は不要で、採用は
7 人である。給付希望者は 3 月中旬までに申請書を提出し、経済的な困窮度を基準に
選考委員会で給付者が決定される。後者は、学費負担者の死亡や家計の急変などによ
り、学費納入が困難になった者が対象で、申請年度のみ、年間 50 万円給付される。無
利子分割返済で、採用は若干名である。
第二に、学業成績優秀者のサポートとして、特待奨学生奨学金、学院奨励金、及び
アメリカ長期留学生奨学金の 3 種の奨学金がある。特待奨学生奨学金は一般公募によ
り採用し、対象は合格したら必ず入学する者に限る。返済は不要で、採用は毎年 5 人
前後、特待奨学生試験・調査書・面接により給付者が決定される。給付期間は 4 年間
であるが、入学後の成績等により継続を査定する。学院奨励金の対象は、2~4 年の成
績優秀者(前年度実績による)で、給付金額は年額 10 万円、返済は不要、採用は 5 人で
ある。アメリカ長期留学奨学金は、3 年次あるいは 4 年次に留学する学生が対象で、
学内選考により採用を決定する。留学先の大学の授業料が全額免除(平成 16(2004)年度
実績、平均 1 人 1 万ドル)となり、長期留学中給付される。採用は、テキサス州立女子
大学 1 人、カリフォルニア州立大学フレズノ校 2 人、インディアナ州立大学 10 人の
合計 13 人である。
上記以外のものとして、社会人特別選抜奨学金があり、10 人前後の学生に年額 40
万円が給付され、返済は不要である。また、申し出によって、授業料の延納や分割納
入が認められる。
本学独自の奨学金以外には、独立行政法人日本学生支援機構奨学金、地方公共団体
や民間の育英奨学金が、さらに留学生に対しては、ロータリー米山記念奨学金や平和
中島財団奨学金などがある。
4-3-③ 学生の課外活動への支援が適切になされているか。
(1)クラブ・サークル活動等
本学では、全学生が会員となる学友会の下部組織としてクラブ委員会が位置づけら
れている。
金銭的な事柄とそれ以外の事柄に分けて述べる。まず金銭的なサポートであるが、
父母会の理解と協力を得て、活発な自主活動をサポートするために二種類の援助が行
われている。第一は父母会課外活動等奨学金である。対象は、クラブ・サークル活動、
及びその他の課外活において特に優れた業績を挙げた団体や個人である。1 人、ある
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梅光学院大学
いは 1 団体年額 15 万円が給付され、採用枠は団体・個人合わせて 6 件、返済は不要
である。前年度実績により、選考委員会で採用が決定される。具体的にはスポーツな
どで全国レベルの大会への出場、書道や音楽などの優れた発表、社会的善行に対して
与えられる。第二は父母会課外活動等育成金で、クラブ・サークルなどの課外活動を
推奨するために、一定の基準を満たした学友会公認団体に与えられ、特に業績は問わ
ない。給付総額は 100 万円で、返済は不要である。給付を希望する団体が所定の書類
を提出し、選考委員会を経て 10 団体前後が採用される。
金銭的なサポート以外に、学生の自主的な活動をより活発にするため、教員、及び
学院が適切な支援ができるように心がけている。具体的には、クラブ顧問は教員が務
め、各クラブの部長と学友会総務部のクラブ担当の集まりであるクラブ委員会が、毎
週 1 度開かれている。ここではクラブ活動に関する連絡や問題点の話し合いがなされ、
学生部長と学生部のクラブ担当教員も出席する。教員が参加することで、活動の現状
を知り、学生の要望を学院側に伝えることができ、同時に学院の姿勢を学生に知らせ
ることもできる。
(2)大学祭
本学では年に 2 回大学祭が行われる。6 月のグラス・デ・フェスタという名のミニ
大学祭、そして 11 月のルーキス祭である。運営は学友会の下部組織である大学祭実行
委員会が中心となって行う。グラス・デ・フェスタは実質半日の文字通りミニ大学祭
で、新入生の課外活動への参加を促すこと、地域住民とのつながりの強化、実務面で
は秋の大学祭の予行演習が目的である。ルーキス祭は 2 日間行われ、文化系クラブの
発表・講演会・スピーチコンテスト・模擬店・フリーマーケット・コンサート・ステ
ージ企画などの催しがある。
4-3-④ 学生に対する健康相談、心的支援、生活相談等が適切に行われているか。
本学では、学生相談室を設けており、臨床心理士の資格を持つ専任教員が週に 2 日、
3 時間ずつ、長期休暇中は、ほぼ 1 週間に 1 日、4 時間ずつ相談を受けている。時に、
相談室担当者の研究室でカウンセリングを行う場合もある。基本的には予約制で、保
健室でも予約を受け付けている。精神的な病を抱えた学生の多くが保健室を利用する
ことから、保健室と学生相談室の連携を密にし、さらに学生部長とも連絡を取りなが
ら、学生の意思とプライバシーに配慮した対応がなされている。保健室には看護師の
資格を有する担当者が常駐している。
本学は少人数のチューター制、いわゆる担任制を敷いており、チューターは学業や
進路に関わる事柄や学生生活一般の指導をしている。1・2 年生は、各学科を 15~20
人の単位に分け、3・4 年生は、ゼミ単位でチューターを配している。チューターは保
護者と連絡を取りながら、学生の指導に当たる。各チューターは定期的に開かれるチ
ューター会議や学科会・学部会で問題のある学生の状況を説明し、他の教員の協力を
求める。
また、全教員が週に 1 コマ分のオフィスアワーを設けているので、学生は事柄に応
じて様々な教員にアドバイスを求めることができる。さらに、本学はミッションスク
55
梅光学院大学
ールであるので、宗教主任が精神的な問題に関する相談に応じることもある。全体的
に、学生に対してはきめ細かい対応ができていると言える。
本学では障害を持つ学生が複数学んでいるが、学生部・学生課・保健室・チュータ
ーを中心に対応に当たり、学生も日常的にサポートしている。
4-3-⑤
学生サービスに対する学生の意見等を汲み上げるシステムが適切に整備さ
れているか。
学院公式ホームページの学内版には掲示板が設けられており、そこで意見を述べる
ことができる。出された意見に対しては、関連部署が可能な限り答える。
学生の意見等を汲み上げるシステムとして有効に機能しているのが、学生部長会議
である。学友会や先述のクラブ委員会を通して、学生の意見や要望を学生部長が聞き、
それらを学生部長会議で検討する。この会議は、学院長・学長・事務局長・学生課長・
学生部長で構成され、学生部長は学院と学生のパイプ役となる。
(2) 4-3 の自己評価
大学生活を送る上での基本的な生活のルールや生活における安全性の確保について
の指導は、年度初めのオリエンテーションなどを中心に、こと細かく説明と指導がさ
れている。学院大学の寮生に梅光学院の学生らしさが見られるといわれ、キリスト教
主義に基づく規律正しい生活が求められてきた。梅光らしさが残っていることは評価
できるが、現代の学生は、高校を卒業するまで自由気ままに過ごしている面もあり、
規則の多い寮生活に馴染めない者もいる。学生それぞれの自主性を尊重しつつ、一方
で教育寮としての使命をどのように果たすかが課題である。
大学生協は教職員の福利厚生の充実のために存在する。創設して平成 19(2007)年で
十年になるが、日本で一番小さい生協といわれたときもあった。今は専従の職員を置
くことはできないが、教職員の組合員の要望に応えながら、経営的にも赤字を出さず
にこられたことは評価できる。大学生協の導入も学生たちの力によるのであるが、現
在の運営においても、学生たちの力は大きい。生協学生委員会(CAN)が、生協と学
生のパイプ役として良い働きをしていることは評価できる。施設面では、キャンパス
が狭いため、ゆったりしたスペースが取れない悩みがある。財務面では、学生と教職
員の生協加盟率をさらに上げること、また、下関市立大学生協からの援助を可能な限
り減らすために、単独でも経営できる基盤の整備が課題である。
梅ヶ峠キャンパスから現在のキャンパスに移転するときに、学生のためにも、また
大学の周辺に迷惑をかけないためにも、大学としては地下駐車場の計画も検討したが、
地下水対策などの費用の問題もあり実現しなかった。その結果、少し離れた場所に駐
車場を設けた。本学では、一定の条件を満たせば、自動車・バイク・自転車による通
学を許可しているが、交通安全講習会の受講は、許可証を得るための必須条件である。
自動車通学で最大の問題は、キャンパス内や近隣での迷惑駐車である。本学にはキャ
ンパスから車で約 5 分の校地に専用の駐車場があり、学生はそこに車を止めて、キャ
ンパスまではシャトルバスで移動することになっている。しかし、全学生がルールを
守っているとは言いがたい。学友会や学生課の協力で迷惑駐車の取締りをしているが、
56
梅光学院大学
それにも限界があり、迷惑駐車の根絶には至っていない。学生の意識の向上が大きな
課題である。
本学には、さまざまな奨学金制度があり、小規模校の割には手厚いシステムであり
評価できる。
元女子大であった本学において、男子学生の活動できる施設は十分ではないが、学
友会活動がより盛んになり、運動や文化活動に励んでいることは評価できる。全国レ
ベルにまで達しないクラブが多い本学にとっては、父母会による育成金は活動基盤の
整備に大きな助けとなっている。育成金を供与されたクラブは自覚を持って、さらに
積極的に活動することが望まれる。一時期形が崩れかけていたクラブ委員会も、この
1~2 年で再び形が整ってきた。今後は学友会費から補助を受けていること、梅光学院
大学の公認団体であることを十分に認識した活動をすべきである。また、新たなサー
クルが誕生する一方で、部員数の減少で活動が困難になっているクラブもある。学生
時代に学業以外に部活動をすることの意義を、教員などが学生に伝えることが必要で
ある。顧問に関しては、個々の教員によって、関わり方にばらつきが見られることが、
長年の問題である。大学のクラブの顧問は、ただ書類に捺印するだけでよいのか、競
技や活動内容の指導まではできないにしても、部としての活動のあり方を指導すべき
ではないのか、再考する必要がある。
また、特に体育系クラブの活動に関して改善しなければならない事柄は、練習場所
の確保と整備である。校舎のある東駅キャンパス以外に梅ヶ峠キャンパスの施設も利
用できるが、車で 30 分~40 分かかるため、放課後に移動して活動を行うことは困難
である。
全国的に大学祭の開催自体が困難になっている大学が多い中で、小規模校である本
学が年に 2 回も大学祭を行っていることは評価に値する。大学祭に何らかの形で参加
する学生の割合も、決して低くはない。教員は、特に安全面に関して学生部が関わっ
ている。先述した通り、本学の学友会は完全な自治組織ではなく、学生と教員の理解
と信頼に基づいた「自治的」活動であるからだ。したがって大学祭に限らず、学友会
活動全般的に教員がかなりの責任を負わなければならない。
今後の大きな課題は、様々な精神的な悩みを抱えた学生への対応である。このよう
な学生の多くは家庭にも問題がある。学院が家庭にどのように関わっていくか、また
相談室や保健室を利用する学生数の増加による担当者の過剰な負担をどのように軽減
するかを検討しなければならない。
さらに、学生をめぐる問題が多様化・複雑化しているために、チューターや学生部
長だけでは対処しきれなくなっている。全学的に連携しながら、あるいは学生の家庭
とも関わりながら、問題を解決する手立てを探る必要がある。
平成 19(2007)年度、全学生に対して学生生活に関するアンケートを実施した。学院
の理念・カリキュラム・課外活動・施設など、学生生活全般に渡る細かいアンケート
項目を設け、記号で答えるだけではなく、自由に意見を記述できる形式にした。アン
ケートの結果は全体として学生生活に満足しているという回答がほとんどであったこ
とは評価できる。
学内ホームホームページの掲示板は、直接、意見や要望を投げかけられる場所とし
57
梅光学院大学
て大きな意味をもっている。しかし、
、学生にとっても今後検討の余地があるのは、ホ
ームページの掲示板に投稿された学生の意見に関してである。匿名で投稿が可能であ
るので、個人を中傷するような投稿や感情に走った投稿が皆無とは言えない。事実誤
認に基づいた投稿は、ホームページ上で訂正することができるが、ホームページ上の
やり取りが悪影響を及ぼすこともある。これまでのところ深刻な問題は起こっていな
いが、投稿のエチケットを学生に教える必要がある。
(3) 4-3 の改善・向上方策(将来計画)
男女共学化、短大と大学のキャンパス統一(短大は平成 17(2005)年度末を持って閉
学)を機に、学生サービスの体制は徐々に整備されてきた。小規模校であるがゆえの学
生と教員の親密な繋がりときめ細かい指導は、評価できる。その一方で、小規模校で
あるがゆえに、施設や経済面での限界もある。また、学生のレベル低下に伴って、教
員が積極的に仕掛け、チャンスを与えなければ何もできない学生もいる。しかし、同
時に、学生の自主性も重んじなければならない。多様化する学生のニーズと、複雑化
する学生の問題にどのように取り組むか、全学的に知恵を出し合って困難に向き合う
べきである。具体的な対策に至るように将来構想委員会や責任者会で検討を重ねてい
る。
寮には留学生も入寮しているが、良き寮の伝統を引き継ぎながら、教育寮としてキ
リスト教精神に従って、規則正しい生活態度と互いを思いやる心を育む寮として、改
善し存続させていくことが確認されている。
教職員の福利厚生の充実の任を担っているのが大学生協といえる。教職員の出資金
を運用しながら運営されており、赤字経営は許されない。組合員数の少ない大学生協
としては、経済的な問題が一番大きい。大学と緊密な関係をもち、教職員に喜ばれる
大学生協にしなければならない。大学との関係を密にするために、まずは学院長に理
事会に出席してもらい、生協と大学のよりよい関係を考えていきたい。1 回目として、
平成 19(2007)年の 3 月に出席してもらった。
学内には学生の駐車場はないが、学外に駐車場を設け、シャトルバスで送迎してい
る。学内や周辺での迷惑駐車には厳しい態度で臨んでいくことが確認された。
留学生を受け入れている大学として、留学生自身の経済力の問題である。最大の課
題は学費と生活費で、留学生のアルバイトが学業に支障がなく、本学の学生としての
品位を損なわないものであるかを確認するのは困難である。入学時に学生の経済状況
を把握してはいるが、留学生の人数が増えた場合の対応を検討しなければならない。
留学生のトラブルを減らすためには、「日本には勉強に来ている」「学費を払えない者
は、帰国やむなし」という、学院としての現在の毅然とした姿勢を堅持すべきである。
奨学金制度の課題として、特に入学前に選抜する奨学金(特待奨学生奨学金)に関
しては、採用予定人数をかなり上回る希望者がおり、選考に苦慮している。学業成績
が優秀で意欲もある学生を集めるためには有効な手段であるので、採用人数を増やせ
る状況になることが望ましい。成績優秀者に与えられる奨学金に関しては、学生の勉
学意欲を向上させるメリットがある一方で、学生が勉強をするのは当然で、よほど優
秀な成績を修めない限り与えるべきではないという意見もある。今後さらに検討しな
58
梅光学院大学
ければならない。
学友会活動に関しては、以前のように全て学生に任せるというわけには行かなくな
っている現実がある。特に予算の使い方と管理、報告について、また、あるべき大学
祭の姿について、学生部の教員が自覚を促していく必要がある。例えば、収入に見合
ったお金の使い方をしているかを点検すること、会員である学生が支払っている学友
会費から多額の補助を受けて運営しているという意識を高めることである。娯楽的な
要素が多くなりがちなプログラムであるが、
「大学」祭に相応しいアカデミックなプロ
グラム、たとえば、ゼミの展示や学術的な発表や講演会などを増やす、そのような努
力を学生はすべきである。
4-4 就職・進学支援等の体制が整備され、適切に運営されていること。
《4-4 の視点》
(1) 4-4 の事実の説明(現状)
4-4-① 就職・進学に対する相談・助言体制が整備され、適切に運営されているか。
本学は全学生の顔と名前が一致する規模の大学であり、就職・進学指導は十分とは
断言できないまでも、ほぼそれに近い対応が出来ているものと思っている。
キャリア支援業務を遂行するスタッフは就職指導課 3 人、教職指導課が中・高校担
当 3 人、幼保・小学校担当 2 人である。特に民間企業への就職指導を担当する就職指
導課(民間企業への希望が圧倒的に多い)は、地元企業への就職が多いため、地元企
業との連携を強化すべく、職員の地域担当を決め常時関係強化に努めている。
近年、即戦力が求められる時代を迎え、本学でも、1 年次から適性検査を実施し、
その検査結果により面接を行ない、大学の 4 年間をどのように過ごすかのキャリア指
導を始める。平成 20(2008)年からは、1 年生に「キャリアデザイン」という授業をも
うけ、自分の進路や生き方を考えてもらう時間を用意する。
また、平成 18(2006)年までは授業外で行っていた「就職ガイダンス」を、平成
19(2007)年から名称を「キャリアプランニング」に改め、3 年生の前期に、授業のな
かで就職指導を実施している。その内容は、働くことの意味、自己分析、履歴書・エ
ントリーシートの書き方、面接、業界研究などである。このように早期からのキャリ
ア教育を授業にも導入して積極的な取り組みをしている。
この他にも授業としてインターンシップ、オフィス・スタディーズ(オフィスマナ
ー)
、それに資格講座、4 年生の就職活動報告会、面接必勝講座、学内・学外合同企業
セミナー、単独企業説明会を実施するだけでなく、年に 1 度の全学的な行事として、
企業や学校で働く先輩や講師を迎え「進路デー」を行って、自己の進路を考える機会
を設けている。
さらに、日常的に、個人の進路相談、面接練習を行っている。学生、職員ともに顔
と名前が一致するため、気軽に対応している。
大学院への進学については、パンフレットを準備し、6 月頃に進学説明会を開いて
いる。また、ゼミなどで向学心の高い学生には、個別に相談に乗り、アドバイスをあ
たえている。外部の大学院に進学する者はほとんどいない。
59
梅光学院大学
4-4-② キャリア教育のための支援体制が整備されているか。
本学では、インターンシップはキャリア教育の最重要プログラムと考えている。今
日では、インターンシップはどこの大学でも実施されているが、本学は平成 12(2000)
年に比較的早くから始めており、平成 16(2004)年からは授業(2 単位)の一環として
行われるようになった。
インターンシップ開始当初は 10 人余りであったが、年々理解が深まり、参加者が増
加した。近年では、平成 17(2005)年 90 人、平成 18(2006)年 46 人となっている。平
成 19(2007)年は、50 人余りを予定している。
インターンシップの期間は、夏休み期間中 1 週間から 10 日余りである。対象は 2、
3 年生である。場所は、山口県内、北九州市、福岡市を中心に学生が実家や下宿等か
ら通える所を原則としている。お世話になる企業や施設は、卒業生が在職している所
が多い。主なる所は、旅行関係、放送関係、ホテル関係、貿易関係、公共施設(市役
所、図書館)などである。
本学は、インターンシップについて独自の方式をとっている。インターンシップが
奨励された頃は、斡旋体制も十分でなかったため、本学では学生の希望に沿う型でイ
ンターンシップを実施するようになり、その方式を今も基本としている。近年は、公
的なインターンシップ推進団体も誕生し、インターンシップが容易になった。そこで、
本学では、学生の希望を第一に考えているため、本学の斡旋不可能な企業については、
公的団体にお願いして、インターンシップの更なる拡充を図っている。
本学のインターンシップの実施順序は次のとおりである。①インターンシップ説明
会②申込③本学と企業との折衝④決定者に対し履歴書作成、就業心得(マナーも含む)
などの研修会⑤インターンシップ⑥レポート提出⑦報告会。
インターンシップの実施は、単に就業体験に終わる事なく、職業選択のミスマッチ
を防止し、学生の就業意欲を高め、企業・学生側ともにプラスの面があることを忘れ
てはならない。
文系である本学は、資格による就職となると、教員、図書館司書、学芸員ぐらいで、
これといった資格を他に習得することはなかった。そこで、即戦力が求められる近年、
学生が自信をもつことを願って、資格講座を開設した。それも本学の学部特性や学生
の就職傾向から選んだ。当初、英検や公務員講座(長期)もあったが、徐々に受講生
の減少により、講座も少なくなってきている。現在の開講講座は、①日商簿記検定 2・
3 級講座、②医療事務講座、③国内旅行業務取扱管理者講座、④コンピュータ講座、
それに⑤短期の公務員講座である。これ以外にも、学生の希望があれば開講の予定が
あるが、一定の人数を必要とするため、開講出来ていないものもある。
この他、学生の英語能力向上のため、授業のなかで TOEIC・TOEFL 対策講座を実
施している。また、資格・検定として秘書技能検定、漢字能力検定などを年に 2 回程
度実施している。
(2) 4-4 の自己評価
就職指導体制については、おおかた充実した体制で適切に運営されていると思われ
る。キャリア支援体制は、この規模の大学としては、十分な対応ができている。その
60
梅光学院大学
結果が就職率にも結びつき、地域の大学として、地元に強い大学として定着しつつあ
る。進路指導・就職指導を 1 年から行い、文学・語学系の大学ではあるが、学生の出
口の保証を第一にして考えてきた。授業の中で「キャリアデザイン」、「キャリアプラ
ンニング」として、大学として全体で取り組んでいくようになったことは評価できる。
学生の希望に沿う形でインターンシップを実施している、本学の独自の取り組みも
評価されるべきであろう。
文学・語学系の学部が中心である大学においては、一般的には就職は不利と思われ
ているが、資格講座の開設など、できる限りの援助をキャリア支援センターが行って
いる。また学科対策だけでなく、エントリーシート、履歴書の書き方、面接などにつ
いての就職対策講座を開くなど、学生の要望と必要性に対応している。このような努
力が就職率の高さに結びついている。
(3) 4-4 の改善・向上方策(将来計画)
就職支援を行う上で、現在の一番の問題は、4 年生になっても、一向に自己の進路
を前向きに考えていない学生がいることである。この場合、父母の多くが本人まかせ
と言う。今後、これらの学生に対し大学全体の取組が必要となる。すなわち、就職担
当の教職員だけでなく、ゼミの担当者との連携である。さらに、学生の父母との連携
が必要である。学生の将来に対する意欲が希薄化している現状では、
「もう大人だから」
「本人任せ」の対応は無責任と言ってよいぐらいである。学生の情報を父母に伝える
ことによって、4 年間の大学生活、そして、出口の選択について連携をとってキャリ
ア支援を進めるべきである。
また、課題の 1 つとして、インターンシップをさらに充実したものにするために、
海外とのインターンシップの導入も考えてみたい。
[基準 4 の自己評価]
大学、各学科での検討を経てアドミッションポリシーは明確化されてきた。しかし、
アドミッションポリシーは、大学案内や募集要項にも明示してきたが、本学の独自性
が高校側へ十分に周知されているとは言えないのが実情であり、更なる検討と努力が
必要である。
平成 19(2007)年度の入学試験の結果については、山口県の私学の中では健闘してい
るといわれるように、全学をあげて様々な対策を講じているが、日本文学科だけが定
員に達しているわけであるので、他学科においても定員を満たすようにカリキュラム
改善などの努力が引き続き必要である。
学生生活の支援や学習支援などについては、学生と教員の距離が近い大学として、
学生の声を細かく取り上げ、ソフト面では、特にきめ細かい対応をしている。学友会
活動についても学生と教員の信頼関係を保ちながら推進・支援している。
キャリア支援についても、大きな努力(キャリアデザイン、キャリアプランニング、
インターンシップなどの推進)をし、地域の大学として地域の企業に強い、信頼され
る大学になっている。更に信頼を深めるために良い人材を送らなければならない。
61
梅光学院大学
[基準 4 の改善・向上方策(将来計画)]
学生への支援は、小規模校の特性を生かして、適切になされていると言えるが、男
子学生の増加に伴い、クラブ活動が活発化しているので、練習場の確保などが具体的
な課題である。梅ヶ峠校地替わる新校地が、近隣で確保されることが一番望ましいが、
経済的な準備も含めて、しばらく時間が必要である。
基準 5 教員
5-1 教育課程を遂行するために必要な教員が適切に配置されていること。
《5-1 の視点》
(1) 5-1 の事実の説明
5-1-① 教育課程を適切に運営するために必要な教員が確保され、かつ適切に配置
されているか。
梅光学院大学の教員組織は、表 F-6 に示すとおり、専任教員数は 64 人であり、文学
研究科(大学院)を含めた設置基準上必要専任教員数 58 人を大幅に超えている。各学
部の教員数は、いずれも基準数を超え、バランスよく配置されている。国際言語文化
学部及び子ども学部は、開設 3 年目であるが、基準数は完成年度として計上している。
専任教員の中には、教職課程に 5 人、日本語教員養成課程に 1 人、図書館学課程に 1
人、博物館学課程に 2 人がそれぞれ兼務している。非常勤講師は 32 人で、教養教育科
目及び専門教育科目を担当している。
文学研究科(大学院)については、設置基準上必要専任教員数は 10 人であるが、大
学院研究科委員会に属する学部教員 12 人が兼担し、専任扱いとしている。
5-1-② 教員構成(専任・兼任、年齢、専門分野等)のバランスがとれているか。
学部における専任・兼任の教員構成は、表 5-4 に示すとおりである。学部・学科の専
門教育科目における専任教員の比率は平均 88%であり、専任教員による依存度が比較
的に高い。また、教養教育における専任教員の比率は平均 85%であり、外国語や理系
に関する科目において非常勤講師に依存する割合がやや高い。
文学研究科(大学院)については、学部兼担の 12 人を専任とし、その他の教員を非
常勤講師として取り扱う。この場合、開設授業科目における専任教員の比率は 89%で
あり、専門分野の教員を配置している。国語、英語の教員専修免許に係る課程には、
学部の専門分野の専任教員を非常勤講師として充てている。
専任教員の男女別の構成は、表 5-1 に示すとおり、男性:女性の比率は 64:36 であ
り、うち外国人 6 人の中で女性は半数の 3 人である。職名別の教授:准教授:講師の
比率は、55:23:22 であり、教授が過半数を占める。
専任教員の年齢別の構成は、表 5-2 に示すとおり、65 歳の定年を超えて再任用され
た者が 21%であり、団塊の世代を含めた 56 歳以上の者が 52%の過半数を占める。平
均年齢は 54 歳であり、若い 30 歳代が 21%で比較的多く、平均年齢を下げている。な
お、講師職は 55 歳以下であり、特に 36~40 歳に多く、しかも採用年数が 3 年以内の
62
梅光学院大学
者が多い。これは、国際言語文化学部や子ども学部の開設によって、専門分野を担う
教員を多く採用したことによる。
学部における専門教育科目(専攻科目)を担当する専任教員が多いほど、その学部・
学科の専門分野が広がり、しかも質の高い研究を行うことになる。専任教員の中で専
門教育科目を担当する教員の割合は、文学部が 92%、国際言語文化学部・現代コミュ
ニケーション学部が 87%、子ども学部が 88%であり、文学部においては文芸・創作
や日本文学などの専門分野が充実しており、学生の人気が高く、入学志願者も多い。
国際言語文化学部・現代コミュニケーション学部では情報教育分野の充実を図り、そ
の分野の専任教員を配置しているために、専門教育科目を担当する教員の割合がやや
低くなっている。
(2) 5-1 の自己評価
本年度から学部共通教育科目は、各学部から共通履修ができるように時間割を調整
して授業講座数の削減を図っており、非常勤講師の依存度を下げるように努めている。
このため、専門分野における専任教員の担当科目の比重が高くなっており、兼担授業
数も増えている。本年度前期の講座数は 378 講座で、新設子ども学部の年次進行に伴
う講座数の増加にもかかわらず、平成 18(2006)年度前期の 371 講座にほぼ等しい。1
講座当たりの受講者数は 26.1 人であり、受講生が 80 人を超える講座は、僅かに文学
部専攻科目の 4 講座及び全学共通科目の 3 講座である。少人数授業が行われ、学生へ
の行き届いた指導が行われている。
本学では、資格取得のための講座を開設しており、教職課程、図書館学課程(司書
資格、司書教諭資格)
、博物館学課程、日本語教員養成課程、情報処理士資格、保育士
資格、訪問介護員資格などに係る講座担当者に専門分野の専任教員を配置している。
特に、教職課程においては、教員採用試験対策としての特別なカリキュラムを編成し
て、専門分野の専任・兼任の教員で指導しており、教員採用試験に平成 18(2006)年度
は現役で 2 人が合格している。
(3) 5-1 の改善・向上方策(将来計画)
平成 21(2009)年度のカリキュラム編成を行う中で、授業講座数の削減、共通教育科
目の整理並びにこれに伴う非常勤講師の依存度の引き下げ等について検討し、人件費
の削減を目指している。一方、学科・専攻の再編に伴う専門分野に係る専任教員を確
保するとともに、現在進めている e ラーニング研究、地域文化研究(現代 GP)、高大
連携研究会、小学校教育研究協議会などの地域との連携を深める教育研究を推進させ
るための教員組織を構築している。
「教職の梅光」を標榜し、教職科目を充実し、専任教員の確保に努めてきたが、課
程認定における教員審査で非常勤講師の採用を余儀なくされた面もある。今後、教育
研究環境を整備し、専任教員の教育研究を進化させる必要がある。
大学院においては、教員専修免許を取得させるために学部と大学院博士前期課程と
を通した教職課程に係るカリキュラムを再編し、また、専門分野の研究組織を確立さ
せるために博士前期・後期課程を通したカリキュラムを検討し、これに沿った教員組
63
梅光学院大学
織を再編成する必要がある。
5-2 教員の採用・昇任の方針が明確に示され、かつ適切に運用されていること。
《5-2 の視点》
(1) 5-2 の事実の説明
5-2-① 教員の採用・昇任の方針が明確にされているか。
教員の採用については、学内規程「教員選考に関する手続」により、教員採用の必
要があるときについての手続が決められている。また、昇任については、学内規程「昇
任規程」及び「昇任規程に関する内規」に基づき委員会組織のもとに勤務年数、研究
業績、教育指導及び大学への貢献度について審議され、理事会の承認が必要とされる。
5-2-②
教員の採用・昇任の方針に基づく規程が定められ、かつ適切に運用されて
いるか。
教員の採用については、キリスト教に理解がある学識者として採用する必要がある
ことから学院の関係者による候補者の推薦をもとに、選考委員会によって審議され、
理事会の承認を得ることになっている。
教員の昇任については、研究業績のみでなく、学生への教育指導や大学への貢献度
も審議対象とされる。大学への貢献度には、学部・学科或いは各種委員会における活動
の成果や責務が十分であるかを問われる。審査は、毎年、厳格に行われている。
(2)
5-2 の自己評価
教員の採用については、平成 18(2006)年の短期大学部の閉学に伴って教員の大学へ
の任用替えが行われた。任用替え教員の任期は 2 年間である。また、65 歳の定年者は
任期 1 年の再任となる。平成 19(2007)年度の新採用者は 6 人で、前年度の 4 人多く、
全教員数は前年度より 1 人増となった。文学部では、本学の基幹である文学研究の伝
統を守るため若手のイギリス文学の専門研究者を採用した。国際言語文化学部では、
ビジネス英語、TOEIC・TOEFL 英語などの新しい専門分野の者を採用した。子ども
学部においては、小学校教員養成課程の設置に伴う新しい専門分野の者を採用した。
新採用者の新しい息吹が学部・学科に活気を呼び起こし、学部・学科の発展に寄与し
ている。
表 5-2-1 過去 5 年間の教員数推移(5 月 1 日基準)
単位:人
平成 15 年
平成 16 年
平成 17 年
平成 18 年
平成 19 年
(2003)
(2004)
(2005)
(2006)
(2007)
学
48
48
60
63
64
短期大学部
17
13
5
-
-
合
65
61
65
63
64
大
計
教員の昇任については、平成 15(2003)年の東駅キャンパスへの大学移転、平成
17(2005)年の国際言語文化学部及び子ども学部の設置、平成 18(2006)年の短期大学部
64
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閉学、平成 19(2007)年の小学校教員養成課程設置など、引き続く学部・学科の設置や
カリキュラムの変更によって教員の研究組織が十分に機能しなかった面もあったが、
この間に、大学への貢献度や研究業績が大きかった者に対して昇任が行われた。平成
18(2006)年度は 1 人の准教授、本年度は 2 人の教授と 1 人の准教授への昇任があり、
規程の方針に沿った適切な運用であった。
(3) 5-2 の改善・向上方策(将来計画)
15 人の講師のうち殆どが 3 年以内の新採用者であり、数年後に、大量の准教授への
昇任が予想されると思われる。一方、定年後の再任者の多くが教授であり、多くの退
職者が予想される。退職者の後任に若手が多くなると、教授が少なくなって専任教員
の半数を教授とする規定に抵触するおそれがでてくる。採用については、年齢のバラ
ンスだけでなく、職名のバランスも考慮する必要がある。
今後、昇任に係る研究業績を高めるためにも、教育研究の環境を整備し、研究組織
を充実させることが重要となる。
5-3
教員の教育担当時間が適切であること。同時に、教員の教育研究活動を支援す
る体制が整備されていること。
《5-3 の視点》
(1) 5-3 の事実の説明
5-3-① 教育研究目的を達成するために、教員の教育担当時間が適切に配分されて
いるか。
専任教員の 1 週あたりの担当授業時数は、
週 12 時間を責任授業時間数としているが、
本年度の平均は 11.3 時間であり、
教授の平均は 10.5 時間、
准教授の平均は 11.1 時間、
講師の平均は 13.3 時間である。しかし、学院長や学長などの役員や大学院授業担当者
を除いた場合の平均担当授業時間数は、12.4 時間となり、責任授業時間数を超える。
専任教員には、担当授業以外にチューターとしての学生指導や委員会業務などがあり、
その負担のバランスを取るように担当授業時間数を配慮している。また、担当授業時
間数の多い講師は、チューターを担当せず、学生指導の負担を少なくしている。この
ように、教育研究のための時間は、十分に確保できるように配慮している。子ども学部
は来年度に履行完成年度を迎えるため、比較的に担当授業時間数が少ないが、全体と
しては、教育担当時間は適切に配分されていると考える。
5-3-②
教員の教育研究活動を支援するために、TA(Teaching Assistant)等が適
切に活用されているか。
日本文学研究と英米文学研究の支援のために大学院生を RA(Research Assistant)と
して 2 人を採用している。RA は、指導教員のもとで文献調査を行い、その他に留学
生の学習支援、大学院生(修士)の研究支援、スピーチコンテストや学会研究発表会
の準備などを行っている。なお、業務の遂行に当たっては、業務推進目標を申告し、
進捗状況及び達成度の自己評価を行う評価制度を適用している。
また、本年度から図書館の蔵書整理や図書館利用者への支援並びに留学生に対する
65
梅光学院大学
支援にそれぞれ学生のサポーターを採用している。教員・職員だけでは対応できない
きめ細かな支援ができて評判はよい。
5-3-③
教育研究目的を達成するための資源(研究費等)が、適切に配分されてい
るか。
専任教員の研究費は、表 5-7、表 5-8 に示すとおりであり、1 人当たり学会出席、資
料収集等に係る研究旅費として年 18 万円、研究図書費として 5 万円を配分している。
また、全教員に LAN 接続のコンピュータを貸与しており、その諸経費は学院負担で
ある。実務的な演習・実習授業の多い子ども学部については、設備・備品の整備を行い、
必要消耗品は現物支給している。学術図書の出版については年 100 万円を限度に助成
をし、学会誌発表については印刷及び発送の便宜を図っている。
(2) 5-3 の自己評価
定年を超えた再任者の多くは、これまで優れた研究業績を残し、本学における特色
ある専門分野を担っている。教育研究には、これら再任者に依存するところが大きい
が、若手が育つためには、教育研究活動が十分に行われるように、研究費の捻出、研
究組織の構築などの教育研究環境を整える必要がある。
(3) 5-3 の改善・向上方策(将来計画)
特色あるカリキュラム編成によって専門分野の拡充を図り、学部・学科の特色を打ち
出すために、専任教員の担当授業時数が多少増加することは致しかたないことである。
一方、教育研究活動は、今後、大いに促進すべき課題であり、地域との連携を図り、
グループ研究、個人研究を促す必要がある。このために、地域からの支援や科学研究
費などの助成が受けられるように工夫する必要がある。また、学内規程「海外留学及
び海外研修規程」及び「内地留学に関する規程」により、国内外の研修が保障されて
いるので、その利用を進める必要がある。
5-4 教員の教育研究活動を活性化するための取組みがなされていること。
《5-4 の視点》
(1) 5-4 の事実の説明
5-4-① 教育研究活動の向上のために、FD等の取組みが適切になされているか。
学生による授業評価は、これまで評価・点検委員会で行われていたが、本年度から授
業研究推進委員会(FD 委員会)によって行われる。FD 委員会は、公開授業のあり方
や授業方法の工夫について研究を進めており、毎年、夏季休業中に 2 日間にわたる全
教員研修会を実施している。
5-4-②
教員の教育研究活動を活性化するための評価体制が整備され、適切に運用
されているか。
本学では、全授業を公開することを原則としており、FD 委員やアドミッションア
ドバイザーは、どの授業でも参観でき、学生や受験生の質問に答えられるよう授業者
66
梅光学院大学
との協議も行われている。
研究分野においては、日本文学会、英米文学会、国際言語文化学会、子ども未来会
議を組織し、例会を開催して順次研究発表を行い、研鑚を積んでいる。また、地域文
化研究所及び博物館においても、毎年、例会、発表大会を開催し、研究紀要を発行し
ている。語学教育研究所は、関係学会と連携して研究発表を行っている。
(2) 5-4 の自己評価
学生による授業評価は、年度末にまとめて公開されている。その授業評価を踏まえ
た授業のあり方については、FD 委員会及び各学部・学科で検討され、さらに、夏季休
業中に開催される教員研修会において協議されて、教員一人ひとりに周知され、授業
方法の改善が行われている。
教育研究活動の分野は、ここ数年の大学の改革に伴う事務処理のため幾分停滞気味
であるが、梅光学院大学論集や日本文学研究への投稿は減少していない。また、子ど
も未来学研究は、学部の設立以来、毎年発行されている。
(3) 5-4 の改善・向上方策(将来計画)
FD 委員会の協議の中で、授業方法の改善・工夫には教育機器の積極的な活用が必
要であるとの提言があった。教務課の管理している教育機器は、これまでも十分に活
用されているが、時代の変化に対応した新しい教育機器の使用方法については、まだ
活用が十分でない。
今後、FD 委員会、教務課の連携のもと情報教育センターのアドバイスも得て、そ
の活用について教員相互の研修を行い、授業方法の改善・工夫、授業評価の方法につい
ても研究する必要がある。
また、教育研究活動を活性化するためには、地域社会との連携による共同研究が実
行される必要がある。
[基準 5 の自己評価]
平成 17(2005)年度設置された新しい学部・学科の年次履行中であるが、教員数は完
成年度の基準を超えている。教育課程の遂行にあたっては、少人数の授業、授業実施
時間数の確保、授業方法の改善、チューター制の導入、学生相談室の充実などを実施
し、学生の就学率を高める工夫を行っている。また、年次履行に伴い、新たな課題が
生じるたびに担当者の変更や履修学年の変更を行ってきた。授業内容の深化を図るた
めに、特別外部講師の導入や学外活動も行った。このような授業形態の多様化は、学
習効果を大いに高めている。
カリキュラムの編成にあたっては、学部・学科の教務担当者が中心になって共通教育
科目担当者会、英語担当者会、教職指導委員会、就職指導委員会、アドミッション委
員会などと連携を図りながら取り組んでいる。
[基準 5 の改善・向上方策(将来計画)]
平成 21(2009)年度のカリキュラム編成にあたっては、教養教育の充実に向けて共通
67
梅光学院大学
教育科目の整理や図書館活用授業の改善、また、専門教育の充実に向けて専攻制の導
入と大学院専門教育に繋がる専門教育科目の開設について検討している。
教育研究活動を活性化するためには、研究組織を充実し、教員と職員との両輪が密
接に連携して運用していく必要がある。しかし、経費削減の面から教員数の削減は避
けられないところであり、教員の年齢と専門分野のバランスを考慮した教員構成にす
ることが重要である。このために、人事考課を導入し、教員の任期制を平成 22(2010)
年までに段階的に取り入れることにしている。すでに、一部の教員には、任期制を実
施している。
基準 6 職員
6-1 職員の組織編制の基本視点及び採用・昇任・異動の方針が明確に示され、かつ
適切に運営されていること。
《6-1 の視点》
(1) 6-1 の事実の説明(現状)
6-1-① 大学の目的を達成するために必要な職員が確保され、適切に配置されてい
るか。
職員は、専任職員が 49 人、嘱託職員 8 人ほか、学生アルバイトで構成されている。
専任職員のうち 61%は教学部門に配置されていて、専任職員と嘱託職員の合計数 57
人は専任教員の 89%を超えている。職員は事務処理をはじめ、授業のアシスタント、
教職指導、資格の取得などのキャリア支援、更には学生募集、就職開拓など大学の重
要な業務を担っている。職員組織図は、資料 6-1 に示すように、すべての部署が各学
部、各研究科に横断的に繋がりを持っている。また、理事会、教授会及び学部長会か
らの伝達事項は、事務局長を議長とする部・課長会や事務連絡会(月 1 回)を通じて
全職員に伝達される。
6-1-② 職員の採用・昇任・異動の方針が明確にされているか。
学院の中期人事計画は、学院の将来構想のもと、事務局長が学院長に諮り、職員の
年齢構成などバランスを図りながら採用者数を調整し、企画委員会(常任理事会)の
承認を得て、年度ごとの採用計画を部・課長会に示すとともに、関係部署に照会し、
候補者の推薦を求める。近年、選考は面接によるものとし、いわゆる公募の方式は採
っていない。昇任・異動は年度末を中心に行い、年度途中の退職には必要に応じて補
充する。採用は退職者の補充が中心になるが、高齢者雇用安定法の改正により、
「高齢
者雇用確保措置」を講じる必要から、定年延長よりも、本学の従来からの退職・再雇
用制度の定着を図る方針である。 適材適所の人事配置と積極的なジョブロ-テ-シ
ョンを行うことで、視野の広い職員の育成と、資質の向上を図っている。
当面の採用計画は、子ども学部の完成年度(平成 20(2008)年度)を待って調整し、
漸次、職員を縮減していく方針である。
68
梅光学院大学
6-1-③
職員の採用・昇任・異動の方針に基づく規程が定められ、かつ適切に運用
されているか。
就業規則第 5 条に「教職員の採用は、理事会の委託により学院長がこれを行う。」と
あり、教職員の採用は、学院長の専権事項となっている。また、学内規程「事務職員
選考に関する手続規程」において、
「新任又は昇任の必要があるときは、当該課長がそ
の候補者を学院長に申し出る。
」とあり、当該課長が申し出ることになっているが、現
実には、一人、二人といった少人数の課も多く、全体のバランスも考えて、学院長の
意向を受け、事務局長が原案を作成する。部長会の合議を経て、企画委員会に提案し、
理事長の承認のもと決定する。
「必要に応じて課長、学長、校長による選考会議を開き」
とあるが、現在は事務職員による部長会が設けられ、選考会議は機能していない。
(2) 6-1 の自己評価
職員は、各課の連携と協調のもと、教員との協働体制の確立を図り、業務の計画的
かつ効率的な推進に努めている。今や職員は単なる事務処理にとどまらず、管財、施
設管理、学生募集、キャリア支援など学校運営の重要な職責を果たしている。
平成 17(2005)年度末の女子短期大学部の閉学に伴い、専任職員数の見直しを行った
が、新しく子ども学部の設置もあって、削減には至らず、平成 19(2007)年度は新設学
部の学年進行もあって、増員のやむなきに至った。特に子ども学部は、梅光多世代交
流支援センターを設置し、嘱託職員を常駐させ、教員と協働で地域社会との交流、子
育て支援に努めている。また、情報教育センターでは、専任、嘱託職員を配置し、e
ラ-ニングの推進に努めている。国際交流センター職員は、留学生の受け入れととも
に、その研修にも積極的に協力している。
職員のうち、特に女子職員は本学卒業生を中心に採用しており、公募の形はとって
いないが、優秀な人材を採用できている。しかし、公募の必要は認識している。
(3) 6-1 の改善・向上方策(将来計画)
職員組織は、危機管理をはじめ、急激な社会や教育環境の変化に迅速に対応できる
体制が必要である。本学では、毎年度末に組織の見直しを行うとともに、積極的な配
置転換を行い、業務遂行のマンネリ化を防いでいる。本学は、小規模大学ではあるが、
業務の円滑な遂行上 20 を超える部・課を置いている。部長・課長はいずれも兼務であ
り、中には課長、室長が一人のみの部署もある。それだけに各課の連携と協調が求め
られる。部・課の改編は必要に応じて行っているが、業務内容の見直しにより、更に効
率的な組織にする必要がある。
昇任、異動に当たっては、個人の希望もさることながら、目標管理による人事考課
を基本に、関連規程の整備を急ぐ必要がある。
職員構成で、男女の比率は 3 対 2 の割合で女子職員が多く、女子職員の中でも、他
大学卒業生の割合は、用務等の特殊業務を除けば、7%程度である。また、男子職員で
は、退職・再雇用者の割合が 47%になり、大学の活性化のためにも、年次計画的に、
若い職員の採用が必要となる。
69
梅光学院大学
6-2 職員の資質向上のための取組みがなされていること。
《6-2 の視点》
(1) 6-2 の事実の説明(現状)
6-2-① 職員の資質向上のための研修(SD等)の取組みが適切になされているか。
梅光学院事務局組織目標において「職員の組織への参画意識の醸成や資質の向上を
図るため、職員研修制度の充実に努める。」とあり、学内にあっては、年次計画的に、
新任者研修、管理職研修、一般職員研修を行っている。管理職研修においては、目標
管理制度の徹底と人事考課について、一般職員研修においては、悉皆研修として、個
人情報保護に関する研修等法律改正に伴う伝達講習会をはじめ、接遇研修、アドミッ
ションポリシーの理解、メンタルリフレッシュメント研修、学院の現状と課題等多岐
にわたっているが、希望者にはパソコンなどのスキルアップ研修も随時行っている。
対外的には、キリスト教学校教育同盟の地区協議会、私大協の中四国支部分科会(課
長級)
、九州地区事務職員連絡協議会には、輪番で毎年参加している。また、8 月末に
提出を求める自己評価表には、受けたい研修、前年自己啓発した内容、取得資格、技
能等の報告を求めている。
(2) 6-2 の自己評価
職員の資質・能力は、業務の遂行上必要なレベルに達しており、問題はない。研修
会等への参加も意欲的である。県や市の自治体からは審議会の委員や学芸員としての
委嘱が行われ、地域社会に大いに貢献している。近くの高校からは、本学職員に対し
て、進路・就職指導に関する講演やガイダンス依頼も多い。これらは本学職員のレベ
ルの高さの一例である。また、ロ-タリ-クラブの会員として、地元経済界との交流も
進んでいる。
新しく採用される職員は、新卒者よりも、一旦、社会経験を積んだ卒業生で、留学
経験や資格取得などに重点を置いて選考しており、就職後の勤務にも満足している。
(3) 6-2 の改善・向上方策(将来計画)
資質・能力の開発は、職員の自発性を尊重しつつも、大学のガバナンスとしての研
修計画、教育メニュ-を作る必要がある。新任研修、一般職研修は年次計画的に行っ
ているが、スキルアップ研修は職域の必要に応じて、それぞれのレベルごとに研修計
画を作成したい。管理職研修としては、人事考課に必要な評価者研修(特に公正・公
平な評価)
、部下との面接のあり方について研究協議を深めたい。
学外研修としては、理事・評議員の経営する企業での、異業種体験、生きた社会体
験研修を計画してみたい。
6-3 大学の教育研究支援のための事務体制が構築されていること。
《6-3 の視点》
6-3-① 教育研究支援のための事務体制が構築され、適切に機能しているか。
教育研究支援は、図書館、博物館、研究所を中心に全学的に取り組んでいる。図書
館においては、平成 18(2006)年度は派遣職員を試用したが、時間外の問題もあり、平
70
梅光学院大学
成 19(2007)年度は専任職員に切り替えることによって、20 時までの開館がスム-ズに
行えるようになった。また、情報教育センターを充実させ、e ラ-ニングの推進に協
力する態勢が整った。これも 20 時までの利用が可能となり、学生の語学力の向上に大
いに役立つものと思う。
高大連携を推進するため、高等学校との間で、学科ごとに、国語、英語、子どもに
関する研究会を設けているが、アドミッションアドバイザーが連絡調整に当たってい
る。
平成 19(2007)年度現代 GP(現代的教育ニ-ズ取り組み支援プログラム)の申請に
当たって、教員側委員と総務課、企画課、国際交流センター職員が連携して、地域貢
献のあり方、地域活性化の方途などについて研究協議し、申請書作成に協力した。
(2) 6-3 の自己評価
各学部・学科の教育研究活動がスムーズに行えるよう、職員の協力体制を構築して
いる。
前述の梅光多世代交流支援センターの子育て支援、情報教育センターの e ラーニング
支援などがその 1 例である。
科研費や現代 GP などの申請に当たっても職員の協力が欠かせない。
子ども学部の開設、小学校教員養成課程の申請においても、カリキュラムの編成や
担当教員の人選等、総務課、教務課の支援なくしては成り立たなかった。
現在、本学では、多様な教育研究活動に十分対応できる支援体制が出来ている。
(3) 6-3 の改善・向上方策(将来計画)
3 学部、5 学科の教育研究は多岐にわたっており、来年、子ども学部が完成年度を迎
える中で、現在の専任職員数では、十分にフォロー出来ない部分もあるかと思うが、
これ以上の専任職員は望めないので、嘱託職員やアルバイトの活用も工夫する必要が
ある。
また、職員の研修を重ね、スキルアップを図るとともに、各課の連携をより緊密に
し、教員に信頼される事務職員の体制を構築していきたい。
[基準 6 の自己評価]
現在の職員組織は、多様化している教育研究や授業スタイルにも十分対応できてお
り、今後の変化にも柔軟に対応できるものと確信している。
職員の採用・昇任については、一応の選考・昇任規程はあるが十分ではなく、また、
現実に合わない部分もあって、十分に機能していない。しかし、学院長の専権事項と
しての、その採用や異動に関する、学内のコンセンサスは取れている。
職員の SD は、OJT によるところが多く、本人の主体性にも大きく左右されるが、
大学としての年次的な研修体制が機能していて、職員の資質・能力に問題はないと考
える。
71
梅光学院大学
[基準 6 の改善・向上方策(将来計画)]
変化の激しい大学環境の中で、職員の組織及び教育支援体制は定期的な見直しが必
要である。変化への対応、これが職員組織にも求められる。
職員研修制度は、現在のところ、OJT を中心にしたものになっているが、SD を更
に発展させて、将来大学経営の中心になってくれる、アドミニストレ-タ-の育成も
必要である。
基準 7 管理運営
7-1 大学の目的を達成するために、大学及びその設置者の管理運営体制が整備され
ており、適切に機能していること。
《7-1 の視点》
(1) 7-1 の事実の説明(現状)
7-1-① 大学の目的を達成するために、大学及びその設置者の管理運営体制が整備
され、適切に機能しているか。
法人の管理運営は「学校法人梅光学院寄附行為」(以下「寄附行為」という。)及び
「梅光学院組織規程」並びに「梅光学院企画委員会規程」と、それらを基に作られた
関連の規定に従い行われる。
教学の管理運営は「梅光学院大学大学院学則」及び「梅光学院大学学則」と、それ
を基に作られた関連の規定に従い行われる。
事務局の管理運営は「梅光学院事務分掌規程」と、それを基に作られた関連の規定
に従い行われる。
「理事会」は表 7-1-1 に示すように、寄附行為第 14 条及び「梅光学院理事会業務の
取扱いに関する規程」で規定する事項のほか、特に重要な事項について審議する。
表 7-1-1 理事会の決定事項
(1)教職員の任免、昇格・昇任
(2)予算及び決算、教職員の給与、授業料等の学費
(3)寄附行為の変更及び学則の変更
(4)借入金(当該会計年度内の収入をもって償還する場合を除く。
)基本財産
の処分及び不動産の売買処分
(5)法人の合併
(6)寄附行為第 34 条に規定する法人の解散
(7)重要な契約及び予算外に新たに義務を負担し、又は権利を放棄する契約
(8)その他法人の業務に関する重要事項
「評議員会」は表 7-1-1 に示すもののほか、学校法人の業務全体にわたり、理事会
から諮問を受けた事項について答え、意見具申が出来る。
72
梅光学院大学
「企画委員会(常任理事会)」は、「梅光学院企画委員会規程」により、学院長の主
宰で毎月 1 回開催し、寄附行為第 15 条による委任事項について審議する。
企画委員会の構成メンバーは、理事長、学院長、各学校の長に、陪席として、事務
局長、企画広報部長である。
管理運営に関する規程の改定は、企画委員会で原案を作成し、理事会の承認を得て
行われるが、具体的な管理運営はこれらの規程に沿って行われる。
理事 13 人は、学識経験者、同窓会、学内関係者から選任されているが、ミッション
スク-ルの性格上、学識経験者の 2 人を除いて、クリスチャン条項の規定がある。従
って、現員 13 人中 12 人はクリスチャンである。これは本学の建学の精神とも深くか
かわっている。なお、学内関係者(6 人)を除いて、理事長以下 7 人は非常勤である。
監事 2 人は、民間の会社取締役、役員から選出されているが、非常勤である。
評議員 28 人のうち、13 人は理事と兼ねており、他の評議員は、いずれも地域の財
界及び同窓会、学内関係者から選出されている。学内関係者を除く 19 人は非常勤であ
る。
平成 16(2004)年度の私学法改正、平成 18(2006)年度の女子短期大学部の閉学にあわ
せて、寄附行為に定められている理事及び評議員の定数を改定した。また、非常勤の
理事長とともに、学院長は、この法人を代表して、この法人の業務を掌理することに
なっている。
企画委員会の決定事項は、学長から研究科長会及び学部長会を通じて研究科及び学
部の教授会のメンバーへ、また、事務局長から部課長会を通じて、全職員に伝達され
る。
規程にはないが、
「学内企画委員会」を設けている。構成員は、理事長を除く企画委
員のメンバーに各学部長、事務局各部長で構成されている。学内企画委員会は決定機
関ではないが、学院長が諮問する協議機関で、大学等の教学に関する重要事項につい
て、校種間、学部間、教職員間の意思の疎通を図っている。
7-1-②
管理運営に関わる役員等の選考や採用に関する規程が明確に示されている
か。
理事の選任は、寄附行為第 6 条で規定されている。
監事の選任は、寄附行為第 7 条で規定されており、評議員の選任は、寄附行為第 18
条で規定されている。
学長の選任は「梅光学院大学学長選考規程」により、理事会で決定する。選考の過
程は、理事会に学長候補者選考委員会を設置して学長候補者を選考し、大学合同教授
会の議を経た後、理事会において学長を選考し、理事長が任命することになっている。
大学院及び学部の長の選任は、
「梅光学院学部長選考規程」により、理事会が適任者
を選び、当該学部教授会に諮り、その意向を徴した後、理事長が任命することになっ
ているが、現実には企画委員会(常任理事会)で適任者を選んでおり、その選任に当
たっては、学長の意向が重視される。その他の各部署の長については、大学の運営上
必要な人材を学長が選考し、任命する。
教員・職員の採用人数枠は、企画委員会で決定する。また、人件費を含めた全体の
73
梅光学院大学
予算は理事会の決定事項になっている。
教員の採用については、
「梅光学院大学教員選考に関する手続」規程により、理事会
の議を経て、理事長が任命することになっている。
また、職員の採用については、
「梅光学院事務職員選考に関する手続」規程において、
当該課長が候補者を学院長に申し出ることになっているが、全体のバランスを考えて、
学院長の意向を受けて事務局長が原案を作成し、部長会の合議を経て、企画委員会に
提案し、理事長の承認のもとに決定している。
教職員の採用に関しては、就業規則第 5 条に「教職員の採用は、理事会の委託によ
り学院長がこれを行う。
」とあり、学院長の専権事項になっている。
(2) 7-1 の自己評価
理事・評議員はクリスチャン条項のしばりはあるが、各方面からの意見を十分聞け
るように、地域の経済界、同窓会及び学内からバランスを計りながら選任される。
監事は 2 人とも会社役員であるが、かつては財務の要職にあった人で、本学の業務
内容や財務の執行状況を詳細に監視できる体制になっている。
本学の日常業務の管理運営に関することは、毎週火曜日に開催される学内企画委員
会において、理事会に諮る重要事項については、月 1 回開催される企画委員会(常任
理事会)において審議決定される。
企画委員会は理事長、学院長、各学校の長による 5 人で構成され、法人の事務局長、
企画広報部長が陪席する。本学における実質上の最高の意思決定機関になっている。
企画委員会で決定した事項は、直ちに学部長会、学部教授会を通じ教員へ、部課長
会を通じて職員へ、遅滞無く周知徹底される。また、月 1 回の事務職員連絡会におい
て、課長会議の報告が行われている。
学長の選出は「梅光学院大学学長選考規程」に則って行われるが、クリスチャン条
項のしばりがあり、実質的には、企画委員会で学長候補を選考することになっている。
教職員の採用は、就業規則第 5 条により、学院長の専権事項になっており、学院長
の意を受けて、教員にあっては学長、学科長が、職員にあっては事務局長が原案を作
成することになっている。それぞれ、選考の過程にあっては、学部教授会、部課長会
の合議を経ることになっており、民主的で公平な選考が行われている。
(3) 7-1 の改善・向上方策(将来計画)
本学院の管理運営全般にわたって、各界、各層から幅広く意見を聴取しており、ま
た、意思決定から実行にいたるまで、迅速に、臨機応変に対応できる体制が整ってい
る。
理事会、評議員会はそれぞれ年 3 回開催されているが、財務状況の公開が求められ
る中で、少子化による将来の学院運営を心配する意見や質問が多くなっている。大学
としての中・長期計画と、地域への貢献を軸にした、特色ある学校づくりのプランを
示し、学生の確保に努めるとともに、役員としての協力を要請している。
法人会計士と監事とのミ-ティングは、現状では年 1 回程度であるが、このミ-テ
ィングの機会を増やし、財務状況に関する意思の疎通を図りたい
74
梅光学院大学
平成 15(2003)年 3 月 20 日の寄附行為の変更認可により、第 3 号理事(学識経験者)
のうち 2 人まではクリスチャンでなくてもよいとなっているが、現在は、ノンクリス
チャンは 1 人のみである。この 2 人枠を生かし、開かれた学院、大学を目指して、管
理運営に対する実業界等の幅広い意見、アドバイスを求めたい。
7-2 管理部門と教学部門の連携が適切になされていること。
《7-2 の視点》
(1) 7-2 の事実の説明(現状)
7-2-① 管理部門と教学部門の連携が適切になされているか。
寄附行為第 11 条に、理事長はこの法人を代表し、その業務を総理する。学院長はこ
の法人を代表して、この法人の業務を掌理するとあり、通常は常勤の学院長が学院業
務を掌理している。また、
「梅光学院組織規定」第 1 条に学院長の職務を規定している。
法人を代表する学院長は、同時に学部の教授を兼任しており、教学部門の最高責任者
である学長を支える立場にある。
学長は、理事会・評議員会において学事報告を行う立場にあり、その理事会の構成
員の中には、13 人中 5 人の学部教授がいる。うち 1 人は宗教主任で、建学の精神に立
った宗教活動についても報告されている。従って、大学のアドミッションポリシ-も
理事・評議員の間に十分理解されている。
このように管理部門の長である学院長、教学部門の長である学長に、事務部門を統
括する事務局長(評議員)が補佐役として、相互に連絡をとりながらスム-ズな学院
運営がなされている。
学内の主な会議における理事長、学院長、学長、事務局長の出席状況は表 7-2-1 の
とおりである。
表 7-2-1 学内会議における理事長、学院長、学長、事務局長の出席
理事長
学院長
学
長
事務局長
1
理事会
○
○
○
△
2
評議員会
○
○
○
○
3
企画委員会
○
○
○
△
4
合同教授会
○
○
○
5
大学院委員会
○
○
6
学内企画委員会
○
○
7
責任者会
○
○
8
教職員協議会
○
○
○
○
「○」は出席、
「△」は陪席を示す
(2) 7-2 の自己評価
ミッションスク-ルとしての本学は、学院長を中心とした法人部門と、学長の統括
する教学部門、学院長を補佐する立場の事務局組織が、お互いに連携を取りながら、
75
梅光学院大学
大学運営がなされている。
法人の代表である理事長は非常勤であるため、私立学校法の改正に合わせて、学院
長も法人の代表とし、また、企画委員会を理事会の委任を受けて、常任理事会とした。
毎月、開かれる企画委員会での各部門からの現状報告、私学を取り巻く厳しい現状の
認識、地域貢献を基調に据えた特色ある大学づくり等、社会の変化に柔軟に対応でき
る体制が整っている。
(3) 7-2 の改善・向上方策(将来計画)
学長は大学の教学部門を統括し、リ-ダ-シップを発揮して、さまざまな改革に取
り組んでいる。若手教員の間に教育研究体制が確立し、現代社会のニ-ズに応える、地
域活性化の研究が推進されている。今後の進展が期待できる。しかし、学長に業務が
集中する傾向にあり、今後は副学長に業務を分担させる方向で、学長の職務を軽減さ
せたい。また、中高をかかえる法人の財務状況が伸び悩んでいる現状から、大学に期
待する部分が大きく、今後、学内企画委員会等を通して、管理部門と教学部門の連携
を図りながら、合わせて、既に確立している、教員と職員との協働体制を生かしなが
ら、より効率的、能率的な大学運営に取り組みたい。
7-3 自己点検・評価等の結果が運営に反映されていること。
《7-3 の視点》
(1) 7-3 の事実の説明(現状)
7-3-① 教育研究活動の改善及び水準の向上を図るために、自己点検・評価活動等
の取組みがなされているか。
平成 8(1996)年度に、本学は大学基準協会の「相互評価」を受け、基準に適合して
いるとの判定を受けた。
自己点検・評価委員会は平成 8(1998)年度につくられ、活動をはじめた。毎年、自
己点検・評価委員長と委員は学長によって任命され、大学全体の自己点検を促し、自
己評価点検表を作成することが任務である。平成 15(2003)年に梅光学院大学自己評価
報告書をまとめた。
平成 18(2006)年度までは、自己点検・評価委員会が中心になって、学生による授業
評価アンケートを実施することによって、授業担当者に授業の自己点検と改善を促し
てきた。学生による授業評価アンケートは、年 2 回、前期の授業が終わる前と後期の
授業が終わる前に実施される。授業担当者はアンケートを読み、自己点検・評価し、
反省と改善策を書く。更に学科主任や科目群の責任者は、それらの報告を読み総括文
を書いてまとめる。学期ごとに授業評価アンケートの総括文としてまとめて報告する。
大学全体の自己点検をするうえに必要なことは、大学の各部署の働きやサービス・
対応を学生はどのように受け止めているかを知る事である。そこで、平成 18(2007)年
に学生生活アンケートを実施した。この結果を集計し、合同教授会で配付した。
自己点検・評価はその結果を授業改善にいかさなければならないので、自己点検・
評価委員会の長は授業研究推進委員会の会議に陪席した。
76
梅光学院大学
7-3-②
自己点検・評価活動等の結果が学内外に公表され、かつ大学の運営に反映
されているか。
平成 8(1996)年度の自己評価報告書は冊子にまとめられ、各大学や各方面に送付さ
れた。平成 15(2003)年にまとめられた自己点検報告書も各大学や各方面に送付された。
授業評価アンケートの総括文は 1 冊にまとめられ、各教員はそれを読むことになっ
ている。また、授業評価アンケートは一定の期間、学内で公開される。
授業評価アンケートで明らかになった大きな問題点は、学内企画委員会や責任者会、
合同教授会などで報告する。各自には改善の努力を促し、またそれが全体の問題であ
る場合は、大学として問題の改善に取り組んでいく。また、各学科においても改善の
努力を促す。
授業の改善は授業研究推進委員会の課題でもあるので、この委員会と協力しながら、
具体的な改善課題についての夏の教員研修会の役割を担うこともある。
授業評価アンケートや教員研修会で明らかになった問題点は、各学科に持ち帰り、
協議され、さらに将来構想委員会に持ち寄られ、授業の改善のための新しいカリキュ
ラムについて検討されることもある。
大学生活アンケートの結果は合同教授会を通して教員全員に配付された。そこで明
らかになった問題点の解決と改善は各部署に対して、迅速な対応を求めている。
(2) 7-3 の自己評価
平成 18(2006)年度までは、自己点検・評価委員会が学生による授業評価アンケート
を実施し、報告の提出、総括文の提出を求めてきた。報告書の作成も教員による自己
点検、自己改善の努力を促すという視点で取り組んできた。授業評価アンケートの結
果から、ほとんどの授業に対して、学生の満足度は高いという結果が出ている。教員
に対し、授業運営に対した創意工夫が必要であるということの意識づけはできていっ
た。学生が自分の授業を評価するということで、教員自身の考えとは別に授業に対す
る学生の目、学生の評価があるということは、教員の自発的な授業改善への取り組み
へつながっていった。しかし、学生の問題指摘に対して、自分の授業方法について正
当性を主張するだけの教員がいることも事実である。また、アンケートに真剣に答え
ずに、安易に回答している学生がいることも確かである。
これらのアンケート結果を授業改善に具体的に結びつけていくことが必要であり、
学内企画委員会や責任者会、合同教授会、各学科会に問題点を指摘し、改善を促して
いったことは、それなりの実効性があった。授業研究推進委員会と協力して、授業改
善のための教員研修会を開催したが、連携の仕方についての改善が必要である。
(3) 7-3 の改善・向上方策(将来計画)
平成 19(2007)年より、学生による授業評価アンケートは授業研究推進委員会が実施
することになった。それは、この授業評価アンケートの結果が授業改善につながるこ
とを考えたからである。授業評価アンケートの結果については高い見識が要求される。
「そもそも学生に授業の良し悪しの評価ができるのか」、「反省する姿勢のない教員に
は自己点検・評価のような自己改善の仕方では力がない」
、などの限界が常にある。し
77
梅光学院大学
かし、このアンケート結果を真摯に受け止め、高い見識のもとで分析・検討して授業
の改善に努めなければならない。これからも授業についての改善努力の結果を各学科
や責任者に求めていく必要はある。
[基準 7 の自己評価]
建学の精神を学生たちに伝えることはもとより、教職員が一丸となり、建学の精神、
大学の目的のために働くように努めている。例えば毎日のチャペル(学院礼拝)に教
職員は、できるだけ出席している。法人理事会の運営と大学の運営の協力関係は理事
長、学院長、学長のリーダーシップのもとにうまく機能している。理事会、評議員会、
合同教授会など、キリスト教精神にもとづいた運営がなされている。
管理部門と教学部門の連携も互いの信頼にもとづき、また民主的な運営によって適
切な連携がとられている。日常的に事務管理部門と大学教学管理部門の責任者の会議
をもち、意思の疎通を図っている。
自己点検・評価も毎年、工夫を懲らしながら実施している。
[基準 7 の改善・向上方策(将来計画)]
建学の精神にもとづいた梅光学院全体の発展を祈り、理事会、評議員会、大学教員、
中・高校教員、事務局職員が一丸となり、学院の建て直しに努めている。民主的な運
営がなされていることは、勿論のことであるが、理事長自身のリーダーシップが具体
的に示され、中・高校の建て替えの計画が進み、学院全体の将来を考えている。
自己点検において、学生や他教員、社会の評価を受けながら絶えず、大学の教育
と研究内容、大学のあり方を検証し、改善していかなければならない。
基準 8 財務
8-1 大学の教育研究目的を達成するために必要な財政基盤を有し、収入と支出のバ
ランスを考慮した運営がなされ、かつ適切に会計処理がなされていること。
《8-1 の視点》
(1) 8-1 の事実の説明(現状)
8-1-① 大学の教育研究目的を達成するために、必要な経費が確保され、かつ収入
と支出のバランスを考慮した運営がなされているか。
5 月 1 日現在の大学院を含む現員数は、平成 18(2006)年度 797 人で、平成 19(2007)
年度は 821 人と増えている。大学部門では、学生生徒納付金予算も前年度に比べ、4
千 2 百万円増える予定である。寄付金の募集に伴う外部資金の導入や公開講座の受講
料収入などで収入増を図るとともに、経費の支出には細心の注意を払って支出を抑え、
収支のバランスを図っている。平成 18(2006)年度決算は、大学部門では、基本金組入
前収支差額は 9 千 5 百万円の赤字となった。新設学部が開設 2 年目であり、学生数の
不足が主たる原因である。そのような中で、教育研究経費比率は、平成 17(2005)年度
は 19.0%であったが、平成 18(2006)年度は 24.2%となっており、教育研究にかける支
78
梅光学院大学
出は十分に配慮している。また、大学部門の人件費に関しては、教職員の年齢構成上、
人件費比率 72.7%、人件費依存率 96.4%と高くなっているが、今後、数年間で高額給
与者の退職者が増えて、それが再任用されると、人件費の平均単価の引き下げとなり、
人件費は下がっていく。近年の大学施設の整備状況は、平成 13(2001)年度に 6 億 6 千
7 百万円で大学本館を建て、平成 14(2002)年度には、大学図書館を 2 億 3 千 1 百万円
で増築し、そして、平成 16(2004)年度には、大学学生会館を 1 億 1 千 3 百万円、梅光
多世代交流支援センターを 5 千 8 百万円で新設した。総額で 10 億 6 千 8 百万の施設
の整備となった。しかし、法人全体では、総資産に占める流動負債の割合が 2.3%と低
く、流動負債に対する流動資産(流動比率)は 1016.6%となっており、流動負債に対
する現金・預金比率も 683.3%と高い比率になっている。そのほか、教育振興基金と
して、3 号基本金引当資産を 3 億 5 千 2 百万円保有している。教育研究活動に要する
資金は十分に保有している。
8-1-② 適切に会計処理がなされているか。
本学院では、主な組織として理事会、評議員会、企画委員会(常任理事会)
、教授会、
学部長会、事務部長会、課長会等がある。学院の中長期的教学計画およびそれに伴う
施設設備計画が、毎年 8 月末ぐらいまでに企画委員会(常任理事会)で決められる。
次年度予算の作成にあたっては、中長期的計画に沿って作成している。収入に関して
は、大学入学生の学生納付金の一人あたり金額が、前々年度の 3 月末の評議員会・理
事会で決まり、在校生を含めた学生納付金収入およびそれ以外の収入の概略を 10 月末
までに決めている。支出については、それぞれの部会の協議のもと、12 月上旬ぐらい
までに教育および管理運営に関わる施設設備、人事計画および諸経費の要望を提出し
てもらい、法人本部で取りまとめ、学院長、事務局長および総務部長を中心に財政状
況および収入の見通しのもとで協議した後、企画委員会(常任理事会)で決定し、物
品購入および施設設備に係わる予算は総務課、人件費ほかの諸経費の予算は経理課で
作成し、経理課が取りまとめて集計して、当初予算(暫定)原案を 3 月開催の評議員
会に提出し、評議員の意見を聞いた後、理事会で当初予算(暫定)を決定している。
当初予算は 4 月以降の学生数の確定および前年度の諸経費並びに未収金や未払金等の
経過勘定の確定に伴い、収入および支出の予算の修正を行い、5 月開催の評議員会お
よび理事会に提出して決定している。
予算の執行については、予算執行部署の担当者が、物品購入決裁願、出張伺書、営
繕工事決裁願等の諸決裁願を見積書等の関係書類を添付して、法人本部に提出し、総
務部長、事務局長および学院長が精査した後、予算執行部署の担当者へ決裁通知のコ
ピ-を返却し、その後、執行となる。支払は、経理課で請求書と決裁済の諸決裁願書
および添付諸書類を照らし合わせた後に、問題無ければ、事務局長および学院長の支
払了承決裁を受けた後、月末に経理課で支払う。予算執行に際しては、原則として、
転用、増額および追加は認めていない。ただし、予備費を計上しているので、稟議書
としての諸決裁願を法人本部に提出し、承認を受けた場合に、予備費の範囲内での予
算の転用、増額および追加も可能である。金額の大きいものや、予備費で対応できな
いものは 11 月か 3 月に、
それぞれ行われる評議員会・理事会で補正予算を組んでいる。
79
梅光学院大学
会計年度終了後、2 か月以内に決算書を作成し、公認会計士および監事の監査を受
けた後、5 月の評議員会・理事会に事業報告書と決算書を提出し、承認を得て財務情
報公開資料を作成している。
8-1-③ 会計監査等が適正に行われているか。
本学院では、公認会計士による会計監査と監事による監査を行っている。2 人の公
認会計士による会計監査は年間を通し、延べ 18 日から 20 日間行われる。理事会の議
事録や取引の内容、会計帳簿、月次決算書類および決算書類などの監査を定期的に受
けている。また、その時に財務担当理事である学院長から学院の現状、運営方針や将
来構想等の聴取が行われる。時には公認会計士と監事とで監査の打ち合わせもされて
いる。決算が終了したあと、法人本部の財務担当責任者である学院長と公認会計士と
で意見交換を行っている。
2 人の非常勤監事がいて、1 人は現在、会社経営に関わっており、もう 1 人は会社経
営に関わった方である。2 人とも財務については明るく、年 3 回行われる理事会・評
議員会には必ず出席する。また、予算書・決算書の原案ができた時は、理事会・評議
員会の前に証憑書類、会計帳簿等を監査し、財務担当理事である学院長や経理責任者
から現状の運営状況等を聴取および質疑される。
(2) 8-1 の自己評価
平成 14(2002)年度に、大学を梅ヶ峠キャンパスから現在地に移転した。それ以後、
施設・設備等の充実を図ってきたので、平成 18(2006)年度決算では、消費収支差額の
累計は 3 億 9 千 3 百万円の支出超過となっている。しかし、総資産から総負債を差引
いた正味財産は 96 億 6 千 5 百万円となっており、現金・預金は、前年度に比して 8
千 9 百万円増えて、17 億 1 千 1 百万円確保している。現時点では、資金繰り上は問題
ないと思われ、教育研究活動に支障をきたすことは無い。収支のバランスを考慮して、
無駄な出費を省くとともに、寄付金を募集して地域社会や卒業生に本学院の教育を理
解していただいている。法人全体で、寄付金(現物寄付を含む)は、前年度に比べ 4 千 8
百 50 万円増え、8 千 1 百 60 万円となっている。平成 18(2006)年度は、大学部門での
公開講座収入は、7 百 80 万円で、前年度より 93 万円増えている。会計監査において
も、学校法人は、運営費の多くを学生納付金と補助金で賄っており、学校会計基準に
従って適切に処理することが決められている。そのことは、公認会計士や監事による
監査で十分に担保されていると思う。
(3) 8-1 の改善・向上方策(将来計画)
学生生徒納付金収入を安定的に確保することが急がれる。平成 19(2007)年度の大学
1 年生の入学定員に対する入学現員の比率は 77.1%であった。この比率が 100%以上
になるように願っている。また、毎年、何人かの在学生が中途退学しているが、この
ことについての対策をきめ細かく考えていくことも必要である。そのために、学生に
とって喜ばれる学校づくり、地域社会に認知される学校づくりを常に心がけ、教員・
職員が一丸となって取り組んでおり、また、外部資金の導入として、寄付金の募集活
80
梅光学院大学
動や補助金に関わる諸事業を積極的に推進して行きたいと思う。
経費の支払に関しては今まで以上に細心の注意を払って査定し、節約を図って行く
とともに、経費のうちで大きな比率を占める人件費の支出を削減していくことが急務
と考える。そのためには、規模に見合った教職員の配置や雇用形態の多様化も必要と
思う。
今後、10 年間で年齢構成上、高額給与者の多くの方が退職していき、知識と経験豊
富な教職員の再任用や、他の職場を退職されて本学院へ再就職される方も多くなり、
人件費の削減には大きく寄与するものと思う。また、梅ヶ峠キャンパスの維持に減価
償却費を含め多額の経費がかかっている。早期に売却し、その資金を大学の施設・設
備充実のため、また、研究費増額のために使用することが大切である。
8-2 財務情報の公開が適切な方法でなされていること。
《8-2 の視点》
(1) 8-2 の事実の説明(現状)
8-2-① 財務情報の公開が適切な方法でなされているか。
本学院では以前から学校の財務状況を理解してもらうために、毎年度、資金収支計
算書、消費収支計算書、および貸借対照表の要約と財務状況の説明を保護者に郵送し、
学生には掲示板に掲示するという方法で公開している。教職員には、掲示板に掲載す
るとともに、教授会や職員会等で財務の内容を説明している。平成 17(2005)年 4 月の
私立学校法の改正を受けて、平成 18(2006)年度以降は財務の事業報告書も掲載してい
る。また、在学生や保護者およびその他の利害関係者から財務情報の開示請求があっ
た場合、拒否するに正当な理由がある場合を除き、所定の書面請求により公開してい
る。情報公開書類として事業報告書、財産目録、資金収支計算書、消費収支計算書、
貸借対照表および監事による監査報告書を法人本部に備えており、閲覧を希望して来
校した人には、複写することも認めている。
(2) 8-2 の自己評価
学校の会計は帰属収入の多くが学生生徒納付金収入、補助金収入および寄付金収入
であり、支出に関しても教育に関わることが多く、本学院の財務状況を学資負担者で
ある保護者、学生、教職員などに公開し、理解してもらうことは社会的責務と考えて
いる。財務計算書類や財務の事業報告書のそれぞれの要約を郵送や掲示等の方法で公
表している。また、私立学校法改正に伴って公開すべき諸計算書類等を法人本部に常
時備え付けている。閲覧を希望して来校した人には複写することも認めており、法を
遵守していると思う。
(3) 8-2 の改善・向上方策(将来計画)
地域社会、利害関係者、保護者等の理解と支持を得ることが、これからの学校運営
および経営に欠くことはできない。インタ-ネットを通じての財務情報公開も検討し
ていく必要があると思う。
81
梅光学院大学
8-3 教育研究を充実させるために、外部資金の導入等の努力がなされていること。
《8-3 の視点》
(1) 8-3 の事実の説明(現状)
8-3-① 教育研究を充実させるために、外部資金の導入(寄附金、委託事業、収益
事業、資産運用等)の努力がなされているか。
平成 18(2006)年度より、目標額 6 億円の、開学 140 周年記念事業寄附金を募集して
いる。前年度末で、予約金額を含めて 4 億 5 千 7 百万円集まっている。理事会、評議
員会、教職員、卒業生、同窓会、父母会、PTA 会を中心に集めている。入学生や在学
生の保護者は直接対象としていない。法人全体の帰属収入に占める寄附金収入の割合
は平成 18(2006)年度では 5.3%となり、平成 19(2007)年度では予算上 24.0%となる予
定である。大学部門で、開学 140 周年記念寄附金収入の内、指定寄附金の配布が 2 億
6 千 4 百万円見込まれている。大学部門の基本金組入前収支差額は、予算上 2 億 1 千
9 百万円となる見込である。
事業収入としては、公開講座収入が大きな比重を占めている。そして、平成 19(2007)
年度も、延べ 1,100 人の受講者がり、公開講座収入は順調に伸びている。資産運用収
入のなかで、金融資産運用は低金利状態の中で、元本保全、低リスクで運用している
のが実状である。そのため、証券会社を含む各金融機関および新聞等より、金利動向
の情報など収集して、運用にあたっている。平成 18(2006)年度決算では、金融収益は
前年に比して 2 百 50 万円増えている。また、大学の教育研究活性化のため、文部科学
省の科学研究費補助金事業や現代 GP 補助金該当事業、そしてまた、子ども学部が後
援する梅光ほっとみーるが、下関市とタイアップして、3 歳児未満の未就園児対象の
子育て支援事業を行っており、補助金の取得に努力している。平成 19(2007)年 6 月現
在では科学研究費補助金事業と子育て支援事業としての、つどいの広場運営費補助金
事業の 2 件が採択されている。
(2) 8-3 の自己評価
寄附金収入に関しては、開学 140 周年記念事業寄附金募集に今現在、多数の会社や
教職員を始めとして多くの方々に応募してもらっている。科学研究費補助金事業は
常々、教授会等で奨励しており、毎年申請をしている。しかし、この補助金の採択件
数はなかなか伸びていないのが実状である。その他の補助金については、申請可能な
補助金事業には積極的に応募している。事業収入の中で、公開講座収入は順調に伸び
ている。資金運用に関しては金利の動向を見ながら運用している。
(3) 8-3 の改善・向上方策(将来計画)
本学院の教育研究の活性化と経営基盤の強化のためには、外部資金の更なる導入が
望まれる。今後とも、寄附金は地域社会による本学院教育に対する認知という意味で
募金活動に力を入れて行きたい。科学研究費補助金事業の更なる申請を促したいと思
う。地域に開かれた本学院教育としての公開講座は更に活性化させて、公開講座収入
をもっと伸ばして行きたい。資金運用収入は金利の動向に注意しながら、諸金融機関
等から情報を得て、少しでも多くの利益の出る安全な商品を見つけて、運用したい。
82
梅光学院大学
[基準 8 の自己評価]
平成 18(2006)年度決算での、法人全体の貸借対照表関係比率では、流動資産構成比
率 23.2%、固定負債構成比率 9.7%、流動負債構成比率 2.3%、総負債比率 12%、そ
して流動比率は 1016.6%となっており、資金的には、研究活動を充分に担保できると
思う。また、退職給与引当金は、年度末要支給の 100%を引き当てており、退職給与
引当預金率は 94.4%あり、今後数年間の退職者の退職金を十分に担保している。基本
金比率は、96.0%となっており、このことは総資産のほとんどを自己資金で賄ってい
ることを示している。今のところ、ストックの面では問題ないと思う。大学の消費収
支関係比率では人件費比率 72.7%、人件費依存率 96.4%、消費支出比率 109.2%とな
っており、平成 17(2005)年度に比べすべて悪化している。大学のキャンパスの移転と
大学の学部新設に伴って、ここ数年、諸経費や、人件費が増えたことや、入学者を思
うように確保できなかったことが収支を悪化させた。また、学部新設に伴って短期大
学の学生募集を平成 16(2004)年度に停止し、平成 17(2005)年度末には短期大学を閉鎖
した。本学院にとって、そのことが少子化と合わせて経営上、必要な学生数の不足の
一因となった。しかし、そのような中で、教育研究経費支出は、平成 18(2006)年度は
前年度に比べ 2 千万円増えている。教育研究にかける支出は十分に配慮している。
[基準 8 の改善・向上方策(将来計画)]
新設学部が平成 20(2008)年度に完成年度を迎え、大学の学生数は徐々に増えていく
ことが予想される。学生の確保には万全を期して臨むとともに、寄付金収入や補助金
収入等の外部資金の導入への更なる努力が必要と思う。そのためには、教員・職員が
一丸となってあたり、開かれた学校として地域社会に本学院の教育を理解してもらう
ことが必要である。また、平成 12(2000)年度より、大学の入学時の学費は実質据え置
きとなっている。学費の値上げも考える時期に来ていると思う。収支の改善はこれら
のこと抜きではなしえない。また、維持費のかかる遊休不動産を現金化して、教育研
究活動資金として使用することが必要である。
基準 9 教育研究
9-1 教育研究目的を達成するために必要なキャンパス(校地、運動場、校舎等の施
設設備)が整備され、適切に維持、運営されていること。
《9-1 の視点》
(1) 9-1 の事実の説明(現状)
9-1-① 校地、運動場、校舎、図書館、体育施設、情報サービス施設、附属施設等、
教育研究活動の目的を達成するための施設設備が適切に整備され、かつ有
効に活用されているか。
平成 13(2001)年に開学 130 周年を迎え、その記念事業の一環として東駅キャンパス
(校地 17,615 ㎡)に本館(6 階建総床面積 4,864 ㎡)が平成 14(2002)年 2 月 20 日に
完成した。同年 4 月から大学が梅ヶ峠キャンパス(校地 56,117 ㎡)から東駅キャンパ
83
梅光学院大学
スに移転し、男女共学となって、校名を梅光学院大学と変更した。移転に伴い、図書
館の改修・増設を行い、博物館を併設する新図書館(4 階建総床面積 8,346 ㎡)が同
年 3 月 10 日に完成した。また、平成 17(2005)年度に子ども学部及び国際言語文化学
部を設置した。これに伴って、平成 17(2005)年 1 月 21 日に学生集会室を備えた東館
新館(2 階建総床面積 847 ㎡)
、同年 1 月 18 日に梅光多世代交流支援センター(平家
床面積 296 ㎡)が大学町キャンパス(校地 2,500 ㎡)に完成した。
本学東駅キャンパスには、下図のように、本館、東館、東館新館、図書館、体育館、
食堂、学生寮等の教育施設がある。本館には、学院本部、事務室、講義室、演習室等、
東館には、講義室、研究室、クラブ室等、東館新館には、学生集会室、学友会室、図
工教室、研究室等がある。図書館のある棟には博物館と大学院研究室が併設されてい
る。各施設の整備状況は、表 9-1~10 に示される。キャンパス内では、820 人以上の
学生が学び、各施設で教育研究が行われている。
図 9-1-1 梅光学院大学校舎配置図
9-1-②
教育研究活動の目的を達成するための施設設備等が、適切に維持、運営さ
れているか。
本学に情報教育センターを置き、ここで情報教育の推進及び視聴覚教材の活用を図
っている。本館 4 室のマルチメディア教室には、学生用に 200 台のコンピュータを設
置し、また、65 台の教員用を各研究室、55 台の職員用を事務室に置き、それぞれを
学内 LAN で接続しており、山口情報スーパーワーク(YSN)を通して学術情報ネッ
トワーク(SINET)と繋がっている。将来は、SINET3 の活用を予定している。コン
ピュータの管理・運営については、コンピュータ委員会が行い、現在では、e ラーニ
ングの研究を推進し、ホームページの作成・発信も行っている。
本学の英語教育に関する施設としては、マルチメディア教室の他に、本館 5 階にイ
ングリッシュラウンジがある。ここでは、火曜日から金曜日の 12 時 40 分~13 時 25
分の時間帯に、4 人の外国人教員が待機して、訪れてくる学生たちと自由に語らい、
学生たちに生きた英語力を養成している。
84
梅光学院大学
梅ヶ峠キャンパスから東駅キャンパスへの移転に伴って増改築された新図書館には、
大学と短期大学部の図書を整理して、31 万冊余りの図書を収納した。この冊数は、文
学と語学に関する図書としては、近隣の図書館よりも多い方である。その後、平成
17(2005)年度の子ども学部の設置に伴う保育関係図書、平成 19(2007)年度の小学校教
員養成課程の設置に伴う小学校用図書などの補充によって、今日では 32 万冊に達して
いる。
本学の教育課程には、司書、司書教諭及び学芸員の資格取得のために図書館課程、
博物館課程を設けている。これらの課程で行われる図書館学実習や博物館学実習では、
図書館及び博物館、その他の施設が活用される。図書館及び博物館は、一般社会人に
も開放して、午後 8 時まで開館している。
平成 17(2005)年度の子ども学部の設置に伴って、演習・実習の授業に対応できる調
理室、ML 教室、合奏室、リトミック室、ピアノ練習室、図工教室、介護実習室など
の施設を整備し、技術の向上や資格の取得に必要な設備・備品を整えた。ML 教室に
は 40 台の電子ピアノを揃え、ピアノ練習室には 12 部屋を区切って、現在、7 台のピ
アノを置いている。また、造形表現の教育研究のために、図工教室には木工機器を備
え、陶芸釜室も設けている。
(2) 9-1 の自己評価
本学は、小規模の文系大学であるが、図書館、博物館、情報教育センター、国際交
流センター、生涯学習センター、梅光多世代交流支援センター、地域文化研究所、語
学教育研究所を併設し、それぞれの施設に専任の事務職員(梅光多世代交流支援セン
ターは嘱託職員)を置いている。各施設では、教員が事務職員との連携を図りながら
教育研究を行い、定期的に刊行物を発行し、成果を上げている。
大学移転とともに男女共学となって、今では男子学生が 2 割以上を占めるようにな
り、スポーツや勉学に活気が溢れるようになった。平成 17(2005)年 1 月 21 日に、学
生会館である東館新館(2 階建総床面積 847 ㎡)が竣工して、学生集会室が整備され、
また、別棟の東館にはクラブ室が割り当てられて学友会活動も活発になった。しかし、
東駅キャンパスの運動場(5,988 ㎡)は狭く、サッカー部や野球部は梅ヶ峠グランド
や丸山グランドを利用している。時には、外部の施設を借用することもある。
また、キャンパス内に駐車場はあるが、学生には利用させるスペースがないので、
丸山グランドに駐車場を設けて、そこから東駅キャンパスまでシャトルバスを往復さ
せている。シャトルバスは 2 人の運転手で運行され、学生の校外学習にも大いに利用
されて、教育研究に役立っている。
(3) 9-1 の改善・向上方策(将来計画)
本年度、e ラーニング研究のために 10 台のコンピュータを整備し、TOEIC、TOEFL
の演習に活用している。現在、TOEFL 試験会場の開設申請をしている。その他のコ
ンピュ-タは設置後 5 年を経過しており、来年度に更新する予定である。これに伴っ
て、LAN 接続の効率を高めるために、学院全体の情報システムの再構築を図りたい。
85
梅光学院大学
9-2
施設設備の安全性が確保され、かつ、快適なアメニティとしての教育研究環境
が整備されていること。
《9-2 の視点》
(1) 9-2 の事実の説明(現状)
9-2-① 施設設備の安全性が確保されているか。
施設の安全点検については、防火管理者が防災計画に沿って危機管理に務め、保守
管理を行っている。各施設においては、火元責任者(使用者)が施設・設備の点検を行
い、破損、修理等の処置については総務課施設係が担当している。
本学施設内のバリアフリー設備は、資料 9-2 に示すとおり、本館及び図書館にはス
ロープ及びエレベータを備えている。東館へは図書館 2 階から通じているが、ステア
エイド電動階段昇降車を利用することでも対応している。教室においては、最前列に
障害者の受講のために指定の席を設けるように配慮している。エレベータのメンテナ
ンスについては、業者と契約して安全性を確保している。
9-2-②
教育研究目的を達成するための、快適な教育研究環境が整備され、有効に
活用されているか。
全ての教室及び研究室には、教育研究に快適な空調設備を備えており、教室には、
収容人数と使用目的に応じてパワーポイントシステム、ビデオ装置、実物投影装置な
ど視聴覚機器を整備している。演習室、実習室にも使用目的に応じた設備・備品を備え、
教育研究環境を整えている。
教員の研究室は、1 人 1 室で平均 14.1 ㎡の広さがあり、学内 LAN で接続されたコ
ンピュータを備え、学術情報ネットワーク(SINET)と繋がっている。教員は、教育
研究とは別に、オフィスアワーを設けて研究室で学生指導を行っている。
(2) 9-2 の自己評価
本学に本館が新築されてまだ 5 年目で施設・設備も新しく、学生たちは満足して教
育研究に励み、充実した学生生活を送っている。教室には視聴覚設備を備え、教員の
工夫された教育方法によって授業が行われている。マルチメディア教室では、情報処
理学習や e ラーニング演習などに取り組む学生たちが午後 8 時まで使用している。
子ども学部の学生は、ピアノ演奏技術の向上のためにML教室やピアノ練習室で午
後 9 時まで練習している。午後 10 時には全館が施錠され、機械警備がセットされる。
なお、キャンパス内にある学生寮の外出は、午後 10 時までとなっている。
(3) 9-2 の改善・向上方策(将来計画)
今日の入学者の増加があまり望めない状況にあっては、経費の節約を余儀なくされ、
また、施設の減価償却を計上すると施設・設備の大規模な投資は難しい。しかし、今後、
耐用年数を超えたキャンパスを囲む柵の改修、コンピュータやシャトルバスなどの更
新を行い、必要な教育研究環境は整えていく予定である。
86
梅光学院大学
[基準 9 の自己評価]
本学東駅キャンパスは、下関市街の中央部にあって、複数の高等学校、市立図書館、
市営体育館・運動場などが集まった文教地区にある。キャンパスは、生い茂る緑の樹木
に囲まれた中にチャペルの鳴る尖塔、ステンドグラスの明かり窓のある黄白色の本館、
赤銅色瓦に黄褐色レンガ壁の建物などが建っている。そのエキゾチックな景観は、女
性が選ぶ「関門海峡の誇り 100 選」に挙げられ、市民に親しまれている。キャンパス
内の教育研究施設は、資料 F-8(キャンパスマップ)のようにコンパクトに整備され、
各施設は、有機的に機能しており、教育研究が行われている。
[基準 9 の改善・向上方策(将来計画)]
東駅キャンパスは敷地全体が狭く、運動場や駐車場のスペースも狭いため、近隣の
売地予定の購入を検討している。一方、梅ヶ峠キャンパスについては、売却先を早急
に決め、東駅キャンパスの拡充に役立てたい。
基準 10.社会連携
10-1.大学が持っている物的・人的資源を社会に提供する努力がなされていること。
(1)事実の説明(現状)
10-1-① 大学施設の開放、公開講座、リフレッシュ教育など、大学が持っている物
的・人的資源を社会に提供する努力がなされているか。
日経新聞社の「大学地域貢献度ランキング」において、本学は、私立大学部門では、
平成 18(2006)年度 1 位(総合第 5 位)であった。大学施設の地域への開放、生涯学習
センター(アルス梅光)や出前授業などの公開講座、地域文化研究所の活動、教職員
の自治体運営委員会への支援、地元企業への就職率やインターシップへの参加などが
高く評価されたものである。
本学の開放施設のうち、図書館は 32 万冊以上の蔵書があり、文学、語学、キリスト
教関係の図書が多く、一般社会人の利用度も高い。アルス梅光の受講者も多く活用し
ている。博物館は山口県から博物館相当として認定を受けている。これまで山口県の
生んだ詩人「中原中也展」、博物館学の大家「藤山一雄展」、地元の伝統工芸「赤間硯
展」などの企画展を開催し、好評であった。また、スタージェスホール(大講義室・
礼拝堂)では、毎日 10 時 40 分から礼拝が行われており、誰もが参加できる。このホ
ールは、約 1,000 人収容ができ、ステンドグラスの素晴らしさ、音響のよさ、その他
の機器設備が整備されており、コンサート、講演会などが開催されている。近隣中学
校の音楽発表会も毎年ここを利用している。
大学町キャンパスの多世代交流支援センター(床面積 296 ㎡)は、子ども学部が企
画・運営しており、幼児教育や地域交流の拠点になることを目指している。ここでは、
子ども学部の支援団体である「梅光ほっとみーる」が子育て支援活動を行っており、
子ども学部の全面的なバックアップのもとで、地域の人たちの協力を得て、子育て支
援や育児相談を行っている。2 人の保育士有資格者が常駐し、0~3 歳の未就園児の親
87
梅光学院大学
子が、月~金曜日の午前 10 時~午後 3 時の間に、無料で自由に利用できる。核家族の
多い現在、子育て親子がお互いに自由にふれあい語り合いながら、子どもを温かく見
守る会として名付けられた「梅光ほっとみーる」は、参加者が年々増加して、7 月現
在で月延べ 600 人以上が利用している。
現代 GP(現代的教育ニーズ取組支援プログラム)では、地元の関門地区に関する
総合的な教育研究をテーマとして、地域連携プロジェクト実施委員会が、取り組んで
おり、地域と連携して、学生や社会人を対象とした、地域文化の理解を深める「関門
学」講座を、今秋開設する予定である。講座は山口県国際総合センター(海峡メッセ)
で開く予定である。
(2) 10-1 の自己評価
大学施設を地域の人に開放するということは、大学の持っている知的財産を地域の
人に授与することであり、そのことによって、地域の人が地域社会の発展を目指して、
大学と連携して取り組むことをねらいとしている。併せて、学生たちに地域の方々と
接する機会を多く与えて、自己の成長を促し、梅光に入学して良かったという実感を
抱かせることをねらいとしている。後者については、子ども学部の活動や現代 GP を
目指す企画によって、学生たちと地域のつながりが、一層深まることが十分期待でき
る。
地域への貢献については、アルス梅光の公開講座が力を発揮している。また、市や
県が設置する各種審議会、委員会へ、本学教員が参加することも多い。日経新聞社の
「大学地域貢献度ランキング」で、上位にランクされたことを喜ばしく受け止め、今
後も地元と共に成長する大学づくりを進めて行きたい。
(3) 10-1 の改善・向上方策
この度、図書館に本学の磯田光一元教授の遺族から、英文学に関する書籍約 3,000
冊余の寄贈を受けた。蔵書の整理は、学生サポーターの応援を得て行い、整理の済ん
だ時点で、磯田光一文庫(仮称)として、学生や社会人に公開し、広報を通して利用
の拡大を図っていく。
また、下関市役所第一別館が「下関にゆかりのある文化展示館」として活用される
計画がある。ここで本学院の卒業生「木暮実千代」を顕彰する取組を、大学としても
平成 19(2007)年度から全面的に進めて行く予定である。
10-2 教育研究上において、企業や他大学との適切な関係が構築されていること。
(1) 事実の説明(現状)
10-2-① 教育研究上において、企業や他大学との適切な関係が構築されているか。
本学は、「海峡まつり」など、下関市のほとんどのイベントに学生が参加しており、
山口県の国際交流課や下関市の国際課、観光振興課など、多くの部署との関係が構築
されている。平成 18(2006)年 10 月に、下関市で開催された「日本女性会議 2006 しも
のせき」には、本学の教員が国際交流分科会の委員に指名され、リーダーを務めた。
国際交流なら梅光という評判に応えて、その事前研修から教職員が積極的に関わって
88
梅光学院大学
いった。本学は、韓国、中国、台湾、米国、ポーランドから留学生を受け入れており、
これまで国際交流に積極的に取り組んできた。下関の近隣に在住している外国人も一
緒になって、国際交流や国際協力について共に学び、行動してきた。地域の国際化及
び多文化共生社会づくりを推進するために、本学で「国際交流セミナー」を毎月 1 回
実施しており、本年 7 月で 21 回を数える。6 月には本学職員が「ハリマオの国から~
私の見たマレーシアの昔と今~」
、7 月には JOCS の職員が「カンボジアの農村地域に
おける妊産婦ケアへの取組」の演題で講演する。
本年度から山口県国際総合センター(海峡メッセ)で行われる行事に、語学系(英
語・中国語・韓国語)の学生が観光ガイドや国際会議などの通訳補助として支援する
ことになり、7 月 21 日(土)から開催される「大インド展」には 15 人の学生が参加
する。
本学では、インターンシップを平成 12(2000)年度から実施しており、平成 19(2007)
年度は、企業、学校、行政などに 52 人の学生を派遣している。その派遣先の多くが理
事や評議員及び事業者の紹介によるもので、インターンシップが就職の斡旋に繋がる
ことも多い。また、インターンシップの派遣には、下関商工会議所並びに地方銀行の
発案で始まった「下関ミキサー会」で紹介を受けることも多い。この会は、毎月第 3
金曜日の午後 6 時から下関近隣の産学官の人が集まる名刺交換会として行われ、企画
広報部やキャリア支援センターの職員及び教員が参加して、本学の PR を行うことを
はじめ、学生のインターンシップや就職の窓口になるように努めている。
他大学との連携については、下関市の下関市大、東亜大学及び本校の 3 大学が単位
互換制度の協定を結び、相互の大学で科目受講を認めている。また、県内の私立大学
は、山口県私立大学協会を通して、私立大学入学案内のパンフレットを作成して、県
内の高校生に配布し、高校生の県外流出を防ぎ、若者の定住促進を図っている。
(2) 10-2 の自己評価
本学は、地域に開かれた大学を掲げ、地域の行政や経済界の支援・指導を受け、学
生に、国際交流をはじめ、多くのボランティアにも積極的に参加させている。このた
め、下関商工会議所、青年会議所、21 世紀協会、下関フイルムコミッション、高校の
同窓会、ロータリークラブなど各種団体からボランティアの照会も多い。
「梅光の学生
はよく働く」、「素直な学生が多い」、「留学生も日本語が達者」、「国際的なことなら梅
光」などの評価を聞き、地域から信頼されていると実感する。学生たちが、本学での
学生生活に満足すれば、地元の魅力を再発見して下関で就職するようにもなる。地元
に住居を構えることは、下関の発展に寄与することになる。このような、良き循環を
今後も作るべく努力せねばならない。
(3) 10―2 の改善・向上方策
本学が地域とふれ合う窓口は、主として企画広報部の職員である。平成 19(2007)年
度から職員を 3 人にして体制の強化を図り、学外との折衝や会議にも参加している。
この体制により地域社会へのチャンネルが増え、社会連携に関する情報量も多くなっ
た。
89
梅光学院大学
「国際交流セミナー」については、現在、山口県民きらめき財団に補助金の申請中
である。今後とも、地域社会への貢献を目指して、多面的な国際交流活動を行ってい
く予定である。
10-3 大学と地域社会との協力関係が構築されていること。
《10-3 の視点》
(1)10-3 の事実の説明(現状)
10-3-① 大学と地域社会との協力関係が構築されているか。
大学が、県や市町村の自治体や社団法人等が行う事業に協力することは、大学が持
つ知的財産を、地域社会に還元する一つの方法である。平成 18(2006)年度に、山口県、
下関市や財団法人などが設置する審議会、審査会及び協議会の会長、委員長、理事長
や委員として参画した本学の教職員は、24 人である。それらは、表 10-3-1 に示すと
おりである。
表 10-3-1 教職員が参画した審議会等
氏
名
北川
透
事
業
名
役
職
中原中也記念館運営協議会
国民文化祭山口 2006 現代詩コンクール選考会
山口県芸術文化振興奨励賞選考委員会
委員
委員長
委員
佐藤 泰正
日本キリスト教文学会
北村透谷研究会
中原中也記念館運営協議会
山口市文化振興財団
九州支部長
理事
会長
理事
小林 慎也
北九州森鴎外記念会
松本清張記念館運営委員会
北九州市立文学館開設準備委員会
理事
委員
委員
園山 晃三
読売女流展審査会
西部朝日書道展審査会
委員
委員
住田 幾子
下関市公文書公開審査会
委員
渡辺 一雄
山口県立山口博物館協議会
山口県教育委員会指定管理者選定委員会
下関市文化財保護審査会
下関市史跡保存活用委員会
委員
委員長
委員
副委員長
向山 淳子
山口県国土利用計画審議会
国際教育振興会外国人による日本語弁論大会審査
会
委員
山口県活動支援事業助成会審査委員
山口県地域教育力活性化協議会
財団法人やまぐち県民活動きらめき財団助成金審
査会
委員長
委員
樋口 紀子
90
委員
委員長
名
梅光学院大学
松尾 文子
下関市市民協働企画審議会
下関市市民憲章策定委員会
副会長
委員
山本 和之
山口県立山口博物館協議会
会長
黒田 敏夫
NPO 法人環境みらい下関
下関地域福祉圏域福祉ネットワーク推進委員会
下関市地域福祉計画審議会
副理事長
委員
委員
県民文化祭企画委員会
小学校国語教科書編集(教育出版)
山口国体愛称・スローガン部会
委員
委員
委員長
中野 新治
下関市特別職報酬等審議会
会長
安冨 俊雄
山口県祭礼・行事調査委員会
委員
荒瀬 宏
山口県書道連盟
山口書道協会
理事長
会長
友永 次郎
下関市芸術文化振興奨励賞選考委員会
山口県吹奏楽連盟
委員
副理事長
赤堀 方哉
下関市勤労婦人センター運営協議会
下関市勤労者福祉会館運営協議会
委員
委員長
伊藤 敦子
あそびの城づくり実行委員会
委員
鍋島 幹夫
下関市芸術文化際文芸部門審査委員会
委員
田中 俊明
下関地域鳥獣被害防止対策協議会
農林水産省農作物野生鳥獣被害対策
委員
アドバイザー
大学共同利用機関法人国文学研究資料館
文献資料調査員
加藤 邦彦
中原中也の会
理事
吉島 豊録
山口県社会福祉協議会 地域福祉推進委員会
下関市地域包括支援センター運営協議会
委員
委員
大田 列子
県スクールカンセラー・コーディネーター連絡会議 委員
植田 勝義
下関東ロータリークラブ
高橋 久子
安道 百合子
委員
本学で、過去 1 年間に教育委員会や自治体の研修会、講習会、研究大会等の講師依
頼を受けた教員は、9 人 16 講座に及んでいる。大学と地域社会との協力関係を深め、
地域の人の学習力を高めることは、少子高齢化社会で、人々が健康で幸せな人生を送
るために、必要なことである。
大学に子ども学部が設置されて、保育や親子関係に関する講演の依頼が次第に増え
ている。梅光幼稚園や梅光多世代交流支援センターでは、毎月、子ども学部の教員が
地域の子育ての親に呼びかけて、子育て支援や育児相談に関する講演を行っており、
行政や福祉施設の関係者の協力も受けている。
本学は、山口県や福岡県の高等学校と高大連携教育を行っている。山口県立長府高
等学校、山口県立下関南高等学校、下関市立下関商業高等学校、梅光女学院高等学校、
福岡県立ひびき高等学校の 5 校と連携提携を行い、高校生が本学の講義を受講でき、
91
梅光学院大学
単位の修得ができるようになっている。また、国語教育研究会においては、平成
18(2006)年度に高等学校 22 校の教員 28 人と本校教員 5 人、英語教育研究会では、高
等学校 14 校の教員 25 人と本校教員 5 人が参加して、教育研究に関する協議を行って
いる。
平成 18(2006)年度に、本校教員が、高等学校や高等学校総合文化専門部会の要請に
よって、出かけて実施した出前授業や講演会は、41 校 63 講座であった。また、高校
生が学校訪問で、本校に来て受けた体験授業は、3 校 7 講座であった。高校生は、大
学授業に関心を持ち、講義内容に興味をもって取り組んでおり、毎年、体験授業を要
望している学校も多い。
(2) 10-3 の自己評価
本学は、地域の発展とともにあるという信念のもとに、大学の持てる知的財産を地
域社会に生かすように教職員に働きかけている。教職員が自治体や社団法人などと協
力・連携して、社会貢献に尽力することは建学の精神に沿うものであり、多くの教職
員が学識経験者として、各種協議会等に加わり、研修会や講演会などの講師依頼を受
け、地域活動に協力している。また、学生たちもボランティア活動に積極的に参加し
ている。国際言語文化学部の学生は通訳ボランティア、子ども学部の学生は託児ボラ
ンティアや学習支援ボランティアなど、学部の特性を生かしたボランティア活動を行
っており、評価できる。今後、学生のボランティア活動に関しては、安全性の確保と
保険加入の徹底を図りたい。
本校では、平成 14(2002)年度から高大連携教育を始めており、教育研究や出前授業
などを実施している。高大連携を通して、本学の教育方針が高校生及び高等学校教員
や PTA に理解され、それが地域にも広まって来ており、高大連携教育のねらいは達成
されつつある。
(3) 10-3 の改善・向上方策(将来計画)
今後、地域研究を行う「関門学」については、現代 GP の研究グループに地域の有
識者を加えて共同研究を行い、また、教職に関する研究については、教育委員会や教
育研究組織との共同で教育研究を進めることが大切になる。
平成 21(2009)年から始まる教員免許更新制にからみ、本学でも、教員免許更新のた
めの講習会を、開催することになると思われる。高大連携教育研究会は、その資料を
蓄積するためにも、ますます重要性が増してくる。平成 19(2007)年度からは、子ども
学部の教員と高等学校家庭科教員とが連携して、
「家庭と子どもの問題に関する教育研
究会」を開くことにしている。また、子ども学部に小学校教員養成課程が設置された
のに伴って、今後、子ども学部の教員が、下関市小学校教育研究会(小教研)の研修
会や専門部会において、指導助言や講師を務めるなどして協力し、さらに、小教研と
連携して共同研究を行う必要がある。
[基準 10 の自己評価]
大学は、これまで地域社会との連携を図るために、大学の物的・人的資源を地域社
92
梅光学院大学
会に提供してきた。これについては、地域社会からも大きな期待が寄せられている。
教職員は、自治体や社団法人などの事業に協力し、各種の研修会に講師や指導助言と
して協力している。また、生涯学習センター(アルス梅光)は公開講座を開き、国際
交流センターは留学生のボランティア活動を支援し、キャリア支援センターは学生を
地域社会に積極的に送り出し、梅光多世代交流支援センターは地域の子育て支援を行
い、宗教部は恵まれない人を支援するなどの活動をして、地域社会に貢献している。
山口県や下関市は、姉妹州都との国際交流を促進しており、本学にも姉妹校から多数
の外国人留学生が来ている。外国人留学生は、他の学生とともに地域のイベントにも
積極的に参加し、ボランティア活動を行って交流を深め、相互理解に努めている。
本学の学生は、卒業生の約半数が地元企業に就職しており、よい働きをしていると
の評判で、地域社会の信頼を得ている。このような伝統に支えられて、大学と地域社
会との連携が組織的に進められることは大いに評価できる。また、本学が「大学地域
貢献度ランキング」の上位にあるということは、本学が、地域社会と連携して、地域
の発展に尽力していることの証でもある。
[基準 10 の改善・向上方策(将来計画)]
本学の教育研究については、科学研究費や財団法人などの支援を受けるように努力
し、今後、地域の企業や教育研究会などと連携して、新しい分野の共同研究を行うこ
とも必要になる。教員免許更新講習会については、教育委員会と連携し、教育研究会
との共同研究も必要になって来る。
本学が創設した「全国高校文芸誌コンクール」が、各高等学校の協力を得て、全国
高校文芸誌の向上を図っているように、磯田光一文庫(仮称)の設置を機に、地域の
人に「英語の梅光」を再認識して貰えるように、新企画の立案も含め、努力していき
たい。梅光多世代交流支援センターで行われている「梅光ほっとみーる」は、子ども
学部の学生にも、子育て支援ができるように指導し、子育て支援を通して地域貢献を
果たしたい。子育て支援については、今後とも、子ども学部が、地域行政や社団法人
と協力体制を組んで、地域との深いつながりが持てるように、働きかけていく予定で
ある。
学生たちには、学問の専門性を育むとともに、ボランティア精神を身につけさせ、
魂を深く養うように指導して行きたい。
基準 11 社会的責務
11-1 社会的機関として必要な組織倫理が確立され、かつ適切な運営がなされている
こと。
《11-1 の視点》
(1) 11-1 の事実の説明(現状)
11-1-① 社会的機関として必要な組織倫理に関する規定がされているか。
本学は、明治 5(1872)年に開設されたスタージェスセミナーを源とするミッション
93
梅光学院大学
スクールであり、キリスト教精神に基づいて教育を行ってきた。具体的には、
「自己の
持てるものを神のため、他者のため、社会のために用いることのできる人間を養成す
る」ことであるが、それは学生たちだけではく、全教職員に適用されるもっとも大切
な倫理規定である。
「自己の持てるものを神のため、他者のため、社会のために用いる」
こと、この理念がキリスト教精神に裏打ちされた教職員によって行動に移される時、
大学は真に社会的責務を果たす組織となることができる。また、大学は常に新しい社
会的ニーズに応えねばならないが、この理念が不易のものとして存在することで、不
断の変革を大胆に行うことができる。学則、組織運営規程、事務分掌規程などを明確
に定め、組織的、効率的運営に向けて努力を重ねているが、その基盤となるのはこの
建学の精神である。
11-1-② 組織倫理に関する規定に基づき、適切な運営がなされているか。
建学の精神が明確であり、毎日の礼拝などでそれが日常的に確認されている本学で
は、教職員一体となった、あえて言えば、献身的な組織運営が行われてきた。学生や
社会人講座受講者との豊かなコミュニケーションや、地域社会とのさまざまな分野で
の連携の拡大も、教職員の熱意ある働きのたまものである。
とは言え、大学がその社会的責務を正しく果たしているかについては、不断の確認、
反省と、新しい提案が必要となる。年 3 回開かれる理事会・評議員会では、学校運営
がキリスト教精神に沿うものであるかがチェックされ、月 1 回の企画委員会(常任理
事会)、責任者会、週 1 回の学内企画委員会では、細部にわたり運営の是非が検討され
る。学生の活動については、週 1 回の学生部長会において具体的な問題への対応と、
教員・職員の対応の一体化が計られ、月 1 回のクラブ委員会で学生たちの声が学校運
営に反映されるよう配慮されている。クラブ委員会を除く全ての会議に学長が出席し、
リーダーシップを発揮し、学内の意思統一に努めている。事務方の組織としては、月
1 回の部長会議、課長会議と事務連絡会があり、学院長のリーダーシップのもと、現
状の確認、問題点の提出と改善、意思の疎通に努めている。月 1 回開かれる合同教授
会が大学運営の決議機関であり、周知機関である。
(2) 11-1 の自己評価
大学は早くに大学基準協会に加盟し、平成 8(1996)年度には、自己点検評価を全学
的に実施し、基準協会の認定を受けたが、他大学との相互評価を実施するには至らな
かった。校地の移転、男女共学化などの改革を次々と行ったことが原因であるが、今
後は同規模大学との相互評価に向けて準備を進める必要がある。
(3) 11-1 の改善・向上方策(将来計画)
上記のとおり、ミッションスクールとしての倫理に基づいて本学の運営は行われて
来たが、チェック機関としての理事会・評議員会の他に、今後は、地域社会の各分野
から選ばれたメンバーによる第 3 者評価機関を設置することも早急に計画していかね
ばならない。
94
梅光学院大学
11-2 学内外に対する危機管理の体制が整備され、かつ適切に機能していること。
《11-2 の視点》
(1) 11-2 の事実の説明(現状)
11-2-① 学内外に対する危機管理の体制が整備され、かつ適切に機能しているか。
本学では小規模校の特性を生かして、日常的に迅速な危機管理と対応を行っている。
平成 19(2007)年の春先から問題となった麻疹の流行についても、学生部長会によるい
ち早い対応によって、学生の羅患経験の確認とワクチンの確保を実行することができ
た。これにより、学生たちは資格取得に必要な幼稚園、保育園、中学校での実習を無
事終了した。
4 月のオリエンテーションの際には、飲酒、薬物、悪徳商法、交通事故、駐車違反、
カードにまつわる事件などについて注意を喚起しているが、学生たちとチューターと
なっている教員(1・2 年:教養セミナー担当者、3・4 年:ゼミ担当者)が週 1 回の
ゼミ時間で必ず面談をする体制を取っているので、さまざまな問題が深刻になる前に
的確な対応が取れているように思われる。チューターにも相談しにくい問題について
は、保健室に常駐している専門職員が対応するだけでなく、カウンセリングルームで
週 2 日、専門家による面接指導が行われている。また、セクシュアルハラスメント対
策委員会は学内規定に基づき、投書箱などによる具体的な対応を行うだけでなく、学
生や教職員への啓蒙活動を継続して行っている。本学の人権教育については、
「キリス
ト教倫理」、「異文化コミュニケーション」の授業、宗教講演会や教養セミナーなどに
おいて、キリスト教精神を理解させる中で人種差別、男女差別、障害者差別、同和問
題及び命の尊さについて、正しい見識を持つように指導している。宗教部は、
「サマリ
アデー」をとおしてボランティア活動を行っており、地域の活動団体とともに差別と
偏見をなくする活動に取り組んでいる。
台風などの自然災害や突発的な事件などには、学長、教務部長、学生部長、学院長、
職員(課長)による対策委員会を立ち上げ、迅速な対応を行う。また、本学では、外
国語専攻の全学生を長期語学研修生として海外へ派遣するので、事故に備え、学長を
責任者とする緊急連絡網が毎年更新されている。防災管理については、
「梅光学院大学
消防計画」に基づき、毎年確認が行われている。個人情報については、
「個人情報の保
護に関する規程」により個人情報及び著作権の保護、健康管理については、
「梅光学院
衛生委員会規則」に基づいて教職員及び学生の健康管理に当たっている。
財政については、監事による監査が定期的に行われている。監事は、理事会・評議
員会に出席し、現状の確認と問題点の指摘を行う。また、公認会計士による監査も定
期的に行われ、法律問題については顧問弁護士と相談する体制を備えている。
(2) 11-2 の自己評価
小規模校の特性を生かして、具体的で迅速な危機管理を行ってきたが、場当たり的
な対応になる恐れがある。それを防止するためのさまざまな規定を整備してきたが、
全教職員が熟知しているとは言えない。特に、教員側の危機管理に対する意識の向上
が求められる。また、成績などの個人情報漏洩についても常に注意を怠ることのない
よう努めなければならない。
95
梅光学院大学
(3) 11-2 の改善・向上方策(将来計画)
危機管理に関する情報を正確に迅速に共有するためには、ホームページやメールを
使った情報機器の有効利用が求められる。小規模校にふさわしい、現実的、効果的な
情報機器の使用法について早急に検討を始めたい。
11-3
大学の教育研究成果を公正かつ適切に学内外に広報活動する体制が整備され
ていること。
《11-3 の視点》
(1) 11-3 の事実の説明(現状)
11-3-① 大学の教育研究成果を公正かつ適切に学内外に広報活動する体制が整備
されているか。
本学は、昭和 53(1978)年に、西日本の女子大学(当時)では初めて大学院文学研究
科に博士後期課程(博士課程)を開設したことに象徴されるように、学問研究に格別
の力を注いできた。
「文学の梅光」、
「英語の梅光」という呼称で地域社会に周知されて
いるのも、この伝統によるものである。また、教育研究の成果を地域社会に還元する
生涯学習においても、昭和 46(1971)年という早い時期から公開講座を開設した。
平成 12(2000)年からは、梅光学院生涯学習センター(アルス梅光)を立ち上げ、毎
年、1,000 人を超える受講生が学んでいる。
また、8 月初旬、福岡市で行われる「アルス梅光大学院公開講座」では、中学・高
校の教員の研修に資するために、教材研究に特化した講座を用意するなど、教育研究
成果の外部公開を大切にしている。特に、日本文学科では開設以来、月 1 回の教員に
よる研究例会を公開で開催しており、平成 19(2007)年 7 月現在、290 回を数えている。
現在発行されている論集、広報誌は次の通りである。
《論集》
・「梅光学院大学論集」
(研究紀要、40 号発行)
・「日本文学研究」(日本文学会、42 号発行)
・「英米文学研究」(英米文学会、39 号発行)
・「梅光学院大学公開講座論集」(笠間書院、北九州市で開かれる統一テーマによる
講座を単行本化したもの、55 号発行)
・「地域文化研究」(梅光学院大学地域文化研究所紀要、22 号発行)
・「子ども未来学研究」
(梅光学院大学子ども学部、創刊号発行)
《広報誌》
・「光の子」
(宗教部による宗教教育、宗教活動の報告、年 2 回発行)
・「ルーキス」(ルーキス編集委員会、梅光学院広報誌、年 2 回発行)
・「タブララサ」
(学生の編集による図書館広報誌、不定期刊)
・「BAIKO MUSE」
(梅光学院大学付属博物館広報誌、不定期刊)
・「ほっとみーる通信」(子ども学部附属梅光多世代交流支援センターにおける子育
て支援活動の広報誌、月 1 回発行)
・「東風」(梅光学院生涯学習センター広報誌、年 2 回発行)
・「梅光」(梅光学院同窓会誌、年 2 回発行)
96
梅光学院大学
・「大学案内」(アドミッションセンター、毎年発行)
日常的な広報活動の管理運営は、教員による広報委員会と連携しながら、広報広聴
課のスタッフによってきめ細かく行われている。主な学内行事や活動は、必ず地域の
マスコミに通知され、取材を受けることも多い。
(2) 11-3 の自己評価
本学の教育研究活動の学内外への周知は、よく行われていると思われる。文学、語
学、子ども学を専門とするということもあり、マスコミに取り上げられる回数も他大
学より多い。子ども学部は開設 3 年目ということもあり、広報材料はまだ乏しいが、
梅光多世代交流支援センターのユニークな活動などはもっと周知されていい。また、
ホームページの果す役割はますます大きくなるので、見やすく、常に新しい情報が掲
載されるよう、一層の創意工夫と日常的な努力が必要である。また、高校生への積極
的な広報をどのように行うかが、今後の大きな課題である。
(3) 11-3 の改善・向上方策(将来計画)
教員側の広報活動担当組織としては、広報委員長の総括のもと大学案内編集部会、
ルーキス編集部会、パンフレット編集部会、ホームページ作成部会、オープンキャン
パス運営部会を置き、それぞれ活動しているが、大学改革を一層進める上からも、各
部会の責任と活動内容を明確にし、その活性化を図らなければならない。将来的には、
学生部、教務部、宗教部と並立する広報部を立ち上げたい。
[基準 11 の自己評価]
大学の果すべき社会的責務は、今後ますます大きくなっていく。特に、地方都市に
位置する大学は、学生の教育、育成のみならず地域そのものの再生、活性化に向け、
持てるものを献げていかねばならない。その活動の基盤となる組織倫理はミッション
スクールとしての長い伝統によって培われてきた。教職員 1 人ひとりが内発的にそれ
をわがものとし、それが共有されてはじめて、社会的責務が果されるのである。これ
からも常に建学の精神に立ちかえりつつ、地域社会のために全学が一致して責務を果
たしていきたい。
[基準 11 の改善・向上方策(将来計画)]
本学は平成 19(2007)年、開学 40 周年を迎えたが、18 歳人口の大幅な減少のみなら
ず、山口県内高卒者の県外流出度が高く、入学状況は極めて厳しいものがある。その
中にあって、他にはみられない特色ある教育研究内容を構築し、学内の教職員が一致
してそれを実行し、周知する以外、この状況に対処する道はないことを胆に命じ、
「地
域社会にあってかけがえのない大学」づくりに励んでいきたい。広報活動においては、
本学学長の提案に端を発し、山口県当局の支援のもと、県内の私立大学の情報をコン
パクトにまとめた「山口県私立大学短期大学案内」を山口県私立大学協会の編集によ
って刊行することができた(平成 19(2007)年 6 月)
。これは県内の公私立高校の 3 年
生全員に配布され、進路選択に役立つことが期待されている。
97
梅光学院大学
地域社会の将来を考える時、大学と地元企業が連携し、若者の地域定着をサポート
することも、これからの大学の大きな責務となる。下関地区では、月 1 回、民・官・
学の責任者が集い情報交換を行う「下関ミキサー会」が開かれている。このようなあ
らゆる場を通じて、より広い視野に立った大学づくりに努めていきたい。
98
梅光学院大学
Ⅳ
特記事項
1 海外留学・語学研修について(英米文学科・英米語学科・東アジア言語文化学科)
(1) 事実の説明(現状)
ア 2 段階留学制度
英米文学科、英米語学科、および東アジア言語文化学科の韓国語・文化コース、中
国語・文化コースに 2 段階留学制度を設けている。第 1 段階留学は全員参加、第 2 段
階留学は第 1 段階留学で好成績を挙げた学生を対象に実施されている。大学在学中に、
外国語を専攻とする学生全員に少なくとも一度は海外での生活を体験させ、語学力の
向上はもとより、この体験を通して国際的視野、適切な異文化間コミュニケーション
能力を身につけ、人格的にも成長し、帰国後の大学生生活や卒業後の歩みにおいても、
大きな励みとなるようにとの願いをこめて、平成 18(2006)年度より開始した。
(ア)第 1 段階留学
英米文学科・英米語学科の学生(以下、英語専攻の学生)は、2 年次夏季にオース
トラリア、クイーンズランド州立大学(平成 18(2006)年度はロックハンプトン市にあ
るセントラル・クイーンズランド大学、平成 19(2007)年度はトゥーンバ市にある南ク
イーンズランド大学)において 2 ヶ月間(9~10 週間)、ホームステイをしながら語学
研修プログラムに参加する。週日は午前 9 時から午後 4 時まで(曜日・レベルによっ
ては午後 3 時まで)外国語として英語を教える専門の教師による読む、書く、聞く、
話すの 4 技能の授業を中心に、語彙、発音、プレゼンテーション、メディア、文化、
TOEIC 対策など多岐にわたる授業を受け、週末には現地ハイスクール訪問、農場ステ
イ、アボリジニ文化体験などの活動も盛り込まれている。
東アジア言語文化学科の韓国語・文化コースの学生(以下、韓国語専攻の学生)は
3 年次後期に韓国大邱市にある啓明大学校で半期(実質 4 ヶ月間)の現地学期に参加
し、すべて現地の学生と共に学部のカリキュラムを受講している。履修科目は韓国文
学、韓国語文字論、韓国語翻訳、韓国の言語と社会、韓国歴史などである。
中国語・文化コースの学生(以下、中国語専攻の学生)は 2 年次に中国の青島大学
で 1 年間(実質 11 ヶ月間)の語学留学を行っている。受講科目は会話、ヒアリング、
精読、HSK 特訓、ニュース中国語などの語学授業のほか、中国の社会環境、地理風土、
文化習慣などに関する知識修得を目的とした課外実習にも参加する。
参加者の経済的負担軽減のため、英語専攻の学生には 15 万円、韓国語専攻の学生に
は 10 万円、中国語専攻の学生には 20 万円が奨学金として全員に支給される。
(イ)第 2 段階留学
それぞれの学科の成績優秀者に対し、英語専攻の学生は 3~4 年次に 10 ヶ月間、ア
メリカのインディアナ州立大学、テキサス州立女子大学、カリフォルニア州立大学フ
レズノ校の 3 大学へ、韓国語専攻の学生は 4 年次に半期もしくは通年、韓国の啓明大
学へ、中国語専攻の学生は 3 年次に半期もしくは通年、中国の青島大学、台湾の国立
高雄第一技術大学、あるいは輔仁大学への交換留学制度があり、それぞれ正規の大学
の授業を受けることができる。
99
梅光学院大学
第 2 段階留学参加者には、本学との交換留学制度に伴い、留学先の大学への授業料
は全額免除になる。
第 1 段階留学、第 2 段階留学ともに修了者には、通年の場合は 30 単位以内、半期
の場合は 15~20 単位、2 ヶ月の場合は 10 単位程度が本学の単位として認定される。
イ
語学研修
英語に関しては、毎年全学科生を対象に夏季 8 週間、カリフォルニア州立大学フレ
ズノ校への語学研修プログラムがある。(ただし参加希望者が少ないため、平成
11(1999)年度を最後に実施していない。)
韓国語に関しては、毎年全学科生を対象に夏期 3 週間の啓明大学校「日本人のための
韓国語・文化研修」を実施し、10 人前後の学生が参加している。韓国語の習得のみな
らず、様々な文化体験を通してより深く韓国を理解できるカリキュラムが用意されて
いる。
中国語に関しては、中国語履修学生を対象として夏期 3 週間「上海外国語大学中国
語研修」を隔年で実施している。
上記語学研修終了者には 4 単位が本学の単位として認定される。
(2) 自己評価
2 段階留学制度は、学院としては奨学金の給付という出費を伴うものであるが、学
生の成長のために決断した。開始されて平成 19(2007)年で 2 年目であり、成果につい
ては、今後を待つ必要があるが、今のところ期待通りに推移している。この制度は、4
年間の教育の一環として行なわれるものであり、事前・事後指導の徹底があって初め
て意味を持ってくるので、この点を重視してカリキュラムの改善を継続しなければな
らない。
(3) 改善・向上方策(将来計画)
英語では、アメリカ長期留学に関して、成績優秀者の数が減少し、参加者が年々減
りつつあることが問題点である。オーストラリア留学を土台として英語の力を延ばし、
アメリカ留学にふさわしい学生を多く育てることが課題である。
韓国語では、第一段階留学が 3 年後期のため、2 段階留学時期が進路決定に大きく
係わる 4 年次と重なり、留学を躊躇せざるを得ない学生がいる。この状態を改善する
ため、第 1 段階留学の時期を早めるよう調整中である。
2 国際交流センター
(1) 事実の説明(現状)
本学の留学生は、平成 15(2003)年まで、姉妹校から来た交換留学生が数名在学する
に過ぎなかったが、平成 15(2003)年 4 月から、韓国、中国、台湾、アメリカ等の優秀
100
梅光学院大学
な留学生を受け入れることになって人数も増えたので、国際交流センターを設置した。
センターの役割は、留学生の受入れや修学のサポートをすることであり、留学生の
住居の確保と住生活のサポート、各種検定の実施、コンテストへの参加補助、入出国
の手続が主な業務である。発足当初のセンターの構成は、センター長、事務職員 2 人、
兼任の教員 4 人であった。平成 18(2006)年度は学院長がセンター長を兼ね、平成
19(2007)年度は事務職員の 1 人がセンター長に昇格した。
平成 19(2007)年度の留学生は、中国 36 人、韓国 28 人、台湾 6 人、ポーランド 1
人の計 71 人であり、その中には交換留学生 7 人(台湾 4 人、韓国 2 人、中国 1 人)
及び語学研修生(韓国・啓明大学校現地学期生)11 人が含まれている。国際交流セン
ターの留学生受入れも 5 年目に入り、業務も円滑に進むようになった。留学生の多く
は、良き先輩の手本を見習っているので、ほとんど日本人学生と変わらない学生生活
を送っているが、遠く親元を離れた留学生にとっては、国際交流センターが相談の拠
り所ともなっている。毎週、国際交流センターの教職員全員が集まって情報交換をし
ており、学院長、学長、副学長とも連携を図りながら留学生支援を行っている。
(2) 自己評価
国際交流センターの職員は、留学生の最も重要な目的である日本語・日本文化の修
得を支援することに絶えず心がけて業務を行っている。このための事務は、多岐にわ
たり、常に新しい事態に対処しなければならないことも多く、また、各部署と連携を
取る必要のあることも多い。国外からの緊急な用件で、時間的余裕がなく、関係部署
と連携を取って、即時的に判断を下す事態もある。関係各部署との連携については、
平成 19(2007)年度からセンター長が学生部会や合同教授会に出席することになり、連
絡や合意が得られやすくなった。
下関市は韓国釜山市や中国青島市などと姉妹都市の関係にあり、本学は韓国の啓明
大学校、大邱産業情報大学、中国の青島大学、台湾の輔仁大学、国立高雄第一科技大
学などと姉妹校である。また、米国のインディアナ州立大学、テキサス女子大学、カ
リフォルニア州立大学フレズノ校とは交換留学協定校である関係上、国際交流センタ
ーの職員は、学外の人と応対することが多く、外出することも多い。学外の人との交
渉や会談は、その担当者がセッティングに重点を置いて実施することにより、速やか
に事が運ぶようになった。多忙な国際交流センターの業務を少ないスタッフで遂行で
きるのは、韓国、中国で豊かな経験を持つスタッフがいることが大きな要因である。
(3) 改善・向上方策(将来計画)
留学生の送出しと受入れは、パターン化してきているので事務的処理が円滑に進ん
でいる。そのため、今後は、留学生が滞在中に学習成果が上がるように教員側への適
正な情報提供を行い、各学科に跨っている学生たちを効果的に指導できるように努め
ていくことが課題である。
101
梅光学院大学
3 留学生サポーターの活動について
(1) 事実の説明(現状)
ア 梅光学院大学の留学生
当校に来る留学生は主に以下のように分けられる。
(ア)姉妹校からの交換留学生
啓明大学校(韓国)からの現地学期留学生・交換留学生
輔仁大学・国立高雄第一科技大学(台湾)の交換留学生
テキサス州立女子大学・インディアナ州立大学(アメリカ)の交換留学生
(イ)学部留学生
中国・韓国の現地試験を受けて入学した留学生や日本の日本語学校や短期大学
から入学した留学生
(ウ)研究生及び大学院生
日本の大学の学部を卒業後、直接大学院に入学するケースもるが、自分の国で
大学を卒業したり、仕事をしたりした後に、日本の大学院に入学する留学生が
多く、1 年間研究生をした後に大学院試験を受ける学生もいる。
イ
留学生の生活の実情
梅光学院大学に来ている留学生の大半は中国や韓国からで、本国との物価の違
いで、ほとんどの人達がアルバイトをしながら勉強している。
授業が終わるとすぐにアルバイトに行き、学校の行事にもサークルにも参加し
ない留学生は日本人の友達ができず、結局同じクラスの留学生同士としか交流が
ないまま大学生活を終えてしまうことになりやすい。
また、民間のアパートに住んでいる留学生の、ごみ問題は、日本人でも分別の
仕方がよくわからないのに、そういう習慣が全くない国から来た人にとってはと
ても難しい問題である。
ウ 留学生サポーターの役割
(ア)留学生は学校で習った日本語と実際外で使われている日本語はずいぶん違って
いると感じるのでサポーターがわかりにくい日本語からわかりやすい日本語に
通訳をすることでコミュニケーションを円滑に進めることができている。
(イ)初めて日本に来た留学生は、バスの乗り方や買い物の仕方などわからないので
最初の 1 週間が一番サポートの必要な時期である。
(ウ)自国で日本語を勉強してきても、日本の習慣やマナーなどはやはり日本人と一
緒にいてこそ初めて気づくので、サポーターは留学生を理解しつつ、広い視野
から手助けをする必要がある。
エ
留学生サポーターの支援&交流活動
4 月 新入生の外国人登録手続き、銀行手続の補佐
下関環境みらい館見学他のツアーの同行
5 月 スポーツデー参加の補助
102
梅光学院大学
7月
8月
9月
10 月
11 月
2月
啓明大学校現地学期留学生帰国補助
夏休み中の語学研修生の補助
9 月末アメリカの交換留学生来日の補助
大学祭のスピーチコンテスト&出店準備の補助
大学祭参加の補助
後期期末試験
台湾・韓国交換留学生帰国の補助
春休み中の語学研修生の補助
3 月 啓明大学校現地学期留学生来日の補助
定例:毎週 1 回コーヒーアワーの補助
(2) 自己評価
日本人学生の留学生サポーターは約 30 人であり、日常的なサポートやイベント、行
事のサポートをよく行なっていると評価できる。このサポートもあって、姉妹校から
の交換留学生は、生き生きと生活できているが、一般の学部留学生との交流が不足気
味であることが問題である。彼等は、経済的な困難の中で、学生生活を維持するため
に、アルバイトに時間を取られることが多く、コーヒーアワーを催しても、参加でき
ない者が多い。そのため、どうしても自国出身者同士で集まってしまうことが多いの
が現状である。この問題の克服は簡単ではないが、ねばり強く取り組んで行きたい。
(3) 改善・向上方策(将来計画)
一般の学部留学生の抱える問題のために取れる方策は、日本人学生と留学生とが共
に受講する授業を増やすことや、イベント、行事など、一緒に企画運営を行なう機会
を多く設けることである。
この二点は実現可能であるので、カリキュラムの改革、国際交流センターの企画改
革の中で実行していきたい。
4 生涯学習センター(アルス梅光)
(1) 事実の説明(現状)
大学の教育・研究は閉ざされたものではなく、地域社会の人びとの「知の探究」
(学
びたい心)に応えることも、大学の責務の一つである。梅光学院では、全国の大学の
なかでも早く、昭和 46(1971)年から「地域に開かれた大学」を実践し、下関市を始め、
福岡市や北九州市・徳山市(現周南市)
・広島市などで公開講座を実施してきた。さら
に平成 12(2000)年度には、梅光学院生涯学習センター(愛称アルス梅光)を開設し、
「地域に開かれた大学」のなお一層の充実を図っている。
平成 18(2006)年度現在、東駅キャンパスでの公開セミナー(全 38 講座)
、北九州市
小倉での小倉公開講座(春季・秋季)
、福岡市天神での大学院公開講座(夏季、大学院
との共催)
、北九州市門司港での「関門おもしろ学」講座(冬季)のほか、特別講演会、
103
梅光学院大学
地域への講師の派遣(デリバリー講座)や公開講座論集の出版などの活動を行ってい
る。
(2) 自己評価
生涯学習センターの活動は、年々拡大してきており、地域住民からの評価も定着し
てきている。公開セミナーにおける受講者数であるが、平成 14(2002)年度の 737 人か
ら平成 18(2006)年度は 980 人と着実に増加しており、その他の講座においても受講者
数は安定している。デリバリー講座は年々増加の一途をたどっており、他の社会教育
施設への講師の派遣も増えている。また、公開講座論集は第 55 号を出版しており、大
学での講座論集では最も継続している出版事業である。
このように、生涯学習センターの活動は、設立当初の目的を十分に果たし、地域住
民の生涯学習に寄与しているものと考えている。
表Ⅳ-4-1 各講座の受講者数
単位:人
年度
公 開
セミナー
春季小倉
公開講座
秋季小倉
公開講座
大 学 院
公開講座
関
門
おもしろ学
計
2002
737
763
504
212
-
2,216
2003
743
687
680
224
294
2,628
2004
926
626
567
239
257
2,615
2005
928
857
479
157
280
2,701
2006
980
594
391
191
281
2,437
(3) 改善・向上方策(将来計画)
所長 1 人(兼任)と事務職員 1 人、生涯学習センター運営委員(教員)6 人という
生涯学習センターの体制は、けっして十分なものとはいえない。体制充実が緊急の課
題である。
また、事業内容も、拡大路線から、質を重視した講座の構築へと重心を移し、地域
との連携を図り、より市民のニーズにあった生涯学習へと改善していく必要がある。
平成 19(2007)年度は、公開セミナーの講座を講義型とゼミ型に分け、きめの細かな学
習を提供していく予定である。また、山口県や下関市、北九州市との連携協力に力を
入れ、新たな講座を開設してゆく予定でもある。
5 建学の精神と梅光学院大学のボランティア
(1) 事実の説明(現状)
ア 建学の精神とボランティア
梅光学院大学は、今から 136 年前、明治 5(1872)年に長崎の地でアメリカの宣教師
によって開かれた私塾がもとになっている。その後、塾は梅香崎女学校となり、 大正
3(1914)年には山口の光城女学院と合併し、両校の校名の頭文字 1 字ずつをとって梅光
104
梅光学院大学
女学院となり、場所も現在の下関に移された。また、平成 13(2001)年に大学が男女共
学となったため、現在では「梅光学院大学」と名称を変更している。
梅光学院大学は、建学以来キリスト教の精神に基づいた教育を行っている大学であ
る。その建学の理念は、
「強くしなやかな精神と新しい世界を切り拓く能力を他者のた
めに用いることのできる人間を育てる」で、スクールモットーは、新約聖書にある「光
の子として歩みなさい」(エフェソの信徒への手紙 5 章 8 節)で、神様の光に照らし出
されながら、「世の光」となって活動をしていく人材を育てることを目的としている。
これはひとえに、大学で培った能力を他者のために用いることのできる人間の育成を
目指していることにほかならない。そのため、本学では建学以来、さまざまな部署で
数多くのボランティア活動を行ってきた。その主なものは、①宗教部、②授業、③ク
ラブ活動で、詳細は以下の通りである。
イ 学内で実施しているボランティア活動
(ア)宗教部
梅光学院大学はキリスト教の学校であるので、宗教部がある。これは大学の宗教行
事を執り行うための部署で、下部組織として学生で構成されている宗教委員会がある
この宗教部の活動は、学内の宗教センターで行われる。その 1 年間の活動は表のとお
りで、その間になされるボランティア活動は以下のとおりである。
表Ⅳ-5-1 平成 18 年度宗教部活動状況
4月
21日(金)特別礼拝(カンボジア宣 10 月
教師)
25 日(水)特別礼拝
(ロンドン日本人教会牧師)
25 日(水)秋季宗教講演会
5月
サマリアデー献金開始(以後、毎 11 月
月 1 回)
3 日(金)~4 日(土)大学祭(特別礼
拝、及びカンボジアのシルバー製
品販売)
21 日(火)(クリスマス)
21 日(火)、30 日(木)
アドベントのティーパーティー
6月
7日(水)春季宗教講演会
12 月
10日(土)ミニ大学祭(特別礼拝、
及び、カンボジアのシルバー製
品販売)
6 日(水)アドベントのティーパー
ティー
16 日(土)
クリスマス礼拝(クリスマス献
金)、及びクリスマス祝会
7月
5 日(水)ジャワ島地震支援献金
1月
18 日(木)特別礼拝(PHD協会研
修生)
23 日(火)卒業修養会
8月
16 日(水)~17 日(木)
サマーリトリート(国内)
2月
105
梅光学院大学
9月
26 日(火)~30 日(土)
3月
サマーリトリート(韓国)啓明
大学校とナザレ園訪問
2 日(金)~3 日(土)スプリングリト
リート
a
サマリアデー(献金活動)
梅光学院大学はキリスト教の大学のため、学内の宗教活動を統括する教員を構成メ
ンバーとした宗教部があり、下部組織として、学生の委員会組織である宗教委員会が
ある。
「サマリアデー」とは、この宗教部と宗教委員会が中心となって、毎月 1 回、学
生全員で献金をする日のことである。これは新約聖書の中にある、見ず知らずの人を
助けた「善いサマリア人」の譬えから、
「サマリアデー」と命名している。この活動は、
平成 18(2006)年 3 月に閉学した梅光学院大学女子短期大学部時代から引き継がれたも
ので、現在で活動暦が 20 年になる。ここでの献金は、2 つのキリスト教の NGO に送
られ、タイやフィリピンやカンボジアなどのアジアの国の 8 人の子どもの教育支援金
として使われている。なお、支援している子ども達が住んでいる地域を訪問して、子
ども達と交流を持ち、
その献金の用途を NGO の活動を実際に見て知るための授業が、
「ボランティア実習(国外)」である。
b
クリスマス献金
学校行事として、毎年 12 月中旬に「クリスマス礼拝」を行うが、この礼拝の時に献
金をし、それを 4~5 の団体に送って、活動の支援を行っている。今まで支援した団体
は、サマリアデー献金で子どもの教育支援をしている「ワールド・ビジョン・ジャパ
ン」、
「チャイルド・ファンド・ジャパン」
、毎年スタッフや関係者を迎え、特別講義を
行っている「PHD 協会」、
「社団法人 日本キリスト教海外医療協力会」である。その
他としては「福岡西方沖地震被災者支援」
、「慶州ナザレ園」等がある。
c
緊急援助
地震や津波の被害にあった人々の支援をするために、必要に応じて、緊急援助を行
っている。これは昼休みに手作りのケーキとコーヒーを用意し、時にはミニコンサー
トを開いて人々を集め、参加者にその場で献金をしてもらうという形式を取っている。
「スマトラ沖地震被災者支援」、「新潟県中越地震被災者支援」、「ジャワ島地震被災者
支援」等を行った。
d
シルバー製品販売
カンボジアのシルバー・アクセサリーを学内で販売し、その売上金で、カンボジア
の学校、兼寮である「センター平和」の支援を行っている。販売は、6~7 月にあるミ
ニ大学祭や文化週間、及び 11 月にある大学祭で毎年実施している。その売上金は、前
述の「ボランティア実習(国外)」で、カンボジアに行った際に、
「センター平和」を訪
問して毎年届けている。その際には、必ず子ども達との交流会を行っている。
106
梅光学院大学
e
ナザレ園訪問
韓国慶州にある「ナザレ園」は、韓国人と結婚した日本人女性が入っている老人ホ
ームで、クリスチャンの個人によって建てられたものである。毎年 9 月に、宗教部主
催で「サマーリトリート(国外)」が、4 泊 5 日、韓国で実施されるが、その中の 1 日を
使って訪問しているところが「ナザレ園」である。ここでは、身寄りのない年配の日
本人女性たちが生活している。訪問の際に、日本の昔ながらのお菓子を入所者に持っ
て行ったり、懐かしい日本の歌を一緒に歌ったり、お話を伺ったりという交流をして
いる。また、この施設の運営はすべて寄付によってなされているため、訪問時には献
金を持って行っている。
平成 18(2006)年度のクリスマス献金の送り先の一つがこの「ナ
ザレ園」である。
(イ)授業
①ボランティア論
「ボランティア」とはどのようなことであるかという基礎を学び、下関やその近郊
にあるNPO、市民活動団体、及びボランティア団体を訪問して、ボランティア活動
を体験し、授業でその活動内容を発表している。これにより、ボランティア活動に対
する啓蒙を行っている。
②ボランティア実習
a 国内
下関の自閉症及び広汎性発達障害の子ども達に対する活動を展開している「NPO シ
ンフォニーネット」と共に、7 月に 1 泊 2 日の夏季キャンプを行っている。その準備
として、関係づくりを目的とした遊び会と勉強会を、月 1 回実施している。これによ
って、自閉症や広汎性発達障害に対する理解を深め、その後もその子ども達に対して
活動ができるボランティアを養成している。
b
国外(スタディー・ツアー、ワーク・キャンプ)
宗教部が行っている「サマリアデー献金」で支援している地域(途上国)に必要な物資
を持って行ったり、現地で必要なワークを行ったりするのがボランティア実習(国外)
で、毎年 2 月中旬に実施している。その時のボランティア活動の内容により、
「スタデ
ィー・ツアー」と「ワーク・キャンプ」と名称を分けている。
スタディー・ツアーでは、カンボジアに古着や文具を持って行き、支援している子ど
もの地域を何箇所か訪問し、必要な物資を届けている。その際、献金がどのように子
ども達に対して使われているかという現地の状況を学ぶ。また、単に訪問するだけで
はなく、時間を取って子ども達と一緒に遊び、子ども達と交流することもしている。
これによって、遠くの知らない子ども達ではなく、知っている身近な子ども達になる
ので、その後も支援がしやすくなる。このことを通して、社会人になっても支援を自
然に行うことができる人材を育てることができると思われる。
ワーク・キャンプでは、上記スタディー・ツアーで行っていることに加えて、滞在
先で必要なワークを行っている。平成 18(2006)年度は 3 月中旬にタイを訪問したが、
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梅光学院大学
その際、有機農法を教えている農場に滞在し、現地の実習に来ている農学部の学生と
共に、農作業を行った。必要とされている作業を通して、現地の状況を知ることがこ
のワーク・キャンプの目的である。
(ウ)クラブ活動(ボランティア部)
a 献血
年に 2 回、ボランティア部の部員を中心として、日本赤十字の社員と共に、学内で
献血活動を行っている。これに加えて、部員は献血の啓蒙活動のために、献血の勉強
会に出席し、学外においては他大学の学生と協力しながら、献血活動を行っている。
b
留学生サポーター
(前述)
c
恵楓園訪問
熊本にあるハンセン病療養施設である「国立療養所菊池恵楓園」を毎年訪問してい
る。ここを訪問するのは平成 19(2007)年度で 30 年になるという大変の息の長い活動
である。現在は、入所者の方が年老いたため、ハンセン病に対する勉強をし、入所者
と交流会をするという 1 日のプログラムであるが、以前は宿泊して、療養所内の柵を
補修したり、買い物を手伝ったり、新聞を作成する等の、入所者に依頼された活動を
行っていた。
(2) 自己評価
前述のように、梅光学院大学は、キリスト教精神に基づいて、
「ボランティア」とい
う名前が社会で定着する前からさまざまなボランティア活動を日常の活動として行っ
てきた。特に、
「サマリアデー」は毎月、大学をあげて実施している活動である。しか
も、その方法は授業の前、クラスごとに献金袋を回し、それに献金していくという、
学生一人ひとりが確実に参加できるように工夫されたものである。これに対して、大
きな抵抗もなく、途上国の子ども達の教育支援として、気持ちよく献金している現実
は、注目に値するものがある。また、単に献金にとどまらず、実際に子どもに会いに
行き、支援の様子を確認し、その現場でもボランティア活動をするというところにま
で広がりを見せていることは評価される点である。
(3) 改善・向上方策(将来計画)
ボランティア活動に関しては、他大学に比べ、よく行われていると思われる。しか
し、
「サマリアデー」献金のように、学生全員で実施されているものもあるが、他のボ
ランティア活動は概して、一部の学生のみが参加するにとどまっている。、ボランティ
ア活動の裾野を広げ、誰でも、いつでも、どこでもやるものだということを学生全体
により認識させる必要性がある。ボランティア活動の参加者の一層の増加と、提供す
るボランティア活動の種類や内容の豊富化が今後の課題である。
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