図書紹介 新 版 「 GAP 入 門 」 −食品安全と継続的農業生産のために− 著者:田上隆一・田上隆多・石谷孝佑 発 行 : GAP 普 及 セ ン タ ー / 〒 305-0035 茨 城 県 つ く ば 市 松 代 4-9-26-203/ 電 話 029-856-1201/ A5 判 / 231 ペ ー ジ / 価 格 1900 円 (税 別 )/ 2008 年 3 月 11 日 発 行 GAP( Code of Good Agricultural Practice)と は 、「 適 正 農 業 規 範 」 と 訳 さ れ 、 そ の 内 容 は 「 適 切 に 農 業 生 産 の 工 程 を 管 理 す る こ と 」、 す な わ ち 農 業 生 産 の 安 全 管 理 に 関 る 項 目 を チ ェ ッ ク シ ー ト に ま と め 、各 工 程 が 確 実 に 実 施 さ れ て い る こ と を 確 認 し て 生 産 者 が 自 主 的 に 衛 生 管 理 の 向 上 に 取 り 組 む も の で 、農 業 生 産 段 階 に マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム の 考 え 方 を 取 り入れた仕組みである。 昨 年 は 新 年 早 々 の 不 二 家 に 始 ま り 、食 品 の 産 地 偽 装 や 賞 味 期 限 の 改 ざ ん な ど の 食 の 信 頼 を 裏 切 る 事 件 が 多 発 し 、ま た 本 年 1 月 に は 中 国 産 冷 凍 餃 子 に よ る 農 薬 中 毒 や 加 工 品 の 残 留 農薬までも問題になってきている。 こ の よ う な 中 で 食 品 の 品 質 お よ び 安 全 性 確 保 の た め に は ,「 農 場 か ら 食 卓 ま で 」( From farm to table / folk)の 一 連 の 過 程 に お け る 適 切 な 管 理 が 必 要 で あ り 、そ の た め に ISO22000 の 導 入 が 推 進 さ れ て い る 。 そ の 導 入 に あ た っ て 前 提 条 件 プ ロ グ ラ ム ( PRP) を 確 立 す る こ と が 要 求 し て お り 、PRP の ひ と つ と し て GAP も 挙 げ ら れ て お り 、ま た HACCP や ISO22000 との関係に言及されてれている。 本 書 は 、 GAP に つ い て 正 し い 知 識 の 提 供 と 実 際 の GAP の 導 入 法 な ど を 解 説 し て お り 、 安 全 で 継 続 可 能 な 農 業 の 実 施 ( GAP 概 論 )、 JGAP ガ イ ド 、 GAP 導 入 事 例 、 農 業 管 理 規 則 (品質管理マニュアル)の事例、記録帳票の事例などから構成されている。 ま ず 安 全 で 継 続 可 能 な 農 業 の 実 施 ( GAP 概 論 ) で は 、 1 . な ぜ 今 GAP な の か で は 、 広 が る 食 中 毒 事 件 、農 業 の 法 規 制 、求 め ら れ る 一 人 一 人 の リ ス ク 認 識 な と 、2 .GAP の 社 会 的 ・ 歴 史 的 意 味 で は 、 様 々 な GAP の 解 釈 、 GAP の 言 葉 の 意 味 な ど 、 3 . 世 界 の GAP 規 範 で は 、 日 本 の GAP 規 範 の 動 き 、 オ ー ス ト ラ リ ア の SQF 基 準 と GAP 規 範 、 中 国 の GAP 規 範 な ど 、4 .GLOBALGAP と JGAP で は 、GLOBALGAP(旧 EUREPGAP)に よ る 農 場 保 証 、 日 本 版 GAP の 農 場 保 証 、 JGAP の 国 際 標 準 化 な ど 、 5 . 農 場 保 証 と し て の GAP 規 範 で は 、GAP 規 範 と 国 際 規 格 、 「 管 理 点 と 適 合 基 準 」と GAP の 実 施 も 、 「管理点と適合基準」 の 目 的 な ど 、6 . ト レ ー サ ビ リ テ ィ と 生 産 履 歴 の 記 録 で は 、農 産 物 ト レ ー サ ビ リ テ ィ の 実 1 現 、 ト レ ー サ ビ リ テ ィ は GAP の 重 要 な 管 理 点 、 記 録 は 安 全 性 確 保 の 証 明 な ど 、 7 . 農 場 のリスク管理では、リスク認識とリスク管理、危害要員を生産の各段階で管理するなど、 8 . GAP 導 入 の 実 際 で は 、 生 産 者 に と つ て の GAP、 リ ス ク 管 理 の 進 め 方 な ど 、 9 . 産 地 で 取 組 む GAP で は 、 GAP 規 範 は 生 産 者 全 員 の ル ー ル 、 生 産 部 会 で 実 施 す る GAP な ど 、 10. 流 通 の 変 革 と GAP で は 、 購 買 行 動 と 流 通 の 変 化 、 流 通 の 責 任 を 明 確 に し た フ ー ド ・ セ イ フ テ ィ チ ェ ー ン と GAP な ど で あ る 。 JGAP ガ イ ド で は 、圃 場 の 選 択 と 適 正 評 価 、病 害 虫 対 策 、農 薬 の 使 用 、農 薬 の 残 留 分 析 、 農 薬 の 使 用 記 録 な ど 、 GAP 導 入 事 例 で は 、 片 山 り ん ご (り ん ご 生 産 )、 マ ル ケ イ 青 果 (青 果 物 卸 )、イ ス ミ 商 事 (食 品 ス ー パ ー )な ど 、農 業 管 理 規 則( 品 質 管 理 マ ニ ュ ア ル )の 事 例 で は 、 総則、規定、団体基準及び農場管理基準、記録帳票の事例では、栽培計画表、作業記録、 農 薬 使 用 記 録 、 農 薬 在 庫 台 帳 、 問 合 わ せ ・ ク レ ー ム 対 応 票 な ど で あ る 。 巻 末 に は 、 GAP で 使 わ れ る 言 葉 の 説 明 が 、ま た ア ル フ ァ ベ ッ ト と 日 本 語 の 詳 し い 索 引 が 付 い て お り 、GAP の理解する上うえで助けとなる。 本 書 は GAP を 導 入 し て 農 産 物 を 生 産 さ れ る 方 々 は い う に 及 ば ず ISO22000 に お け る PRP の ひ と つ と し て GAP を 理 解 す る う え で も 大 い に 役 立 つ こ と 請 け 合 い で あ る 。 著 者 の ひ と り 田 上 隆 一 氏 は 、日 本 で 最 初 に GLOBALGAP の 会 員 と な り 、日 本 に GAP を 導 入 、 構 築 し た 第 一 人 者 で あ り 、 本 誌 34 巻 12 号 ( 2006) に 「 青 果 物 / カ ッ ト 青 果 物 の 衛 生 管 理 と 微 生 物 制 御 技 術 3 青 果 物 の 衛 生 管 理( 2)日 本 に お け る GAP の 取 り 組 み − 顧 客 か ら 信 頼 さ れ る 農 場 管 理 の た め に 」(講 座 )を 執 筆 さ れ て お り 、参 照 さ れ た い 。 (学会事務局) 2
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