パネルディスカッション 遺伝サポートグループから看護への提案 司会 中込さと子 (山梨大学) 武田 祐子(慶應義塾大学) 現在、様々な疾患患者・家族による仲間づくりがなされています。さらに患者・家族の つながりを越えて、専門家集団や地方自治体、教育機関、企業、政策機関と連携する形に なりつつあります。このような活動は、今までにない新しいパートナーシップを築き、ま た専門知識を一般の人々が理解できるよう翻訳し、納得できる治療を選択することを助け、 個人、家族、社会の視点に立って医療改善を図ることが期待できるものです。 日本遺伝看護学会では、2008 年(第 7 回学術大会)から、遺伝性疾患に関連したサポ ートグループの皆さんとの交流会を続けてきました。交流を重ねながら、各グループが持 つ特有の問題を解決するために、看護職とどのように協働したらよいか、少しずつ見えて きました。そこで、今回は交流会に加えてパネルディスカッションを企画いたしました。 NPO 法人表皮水疱症友の会(DebRA Japan) 代表、宮本恵子様からは、生涯に わたる皮膚ケアと EB の諸問題を把握している表皮水疱症専門ナース (EB ナース) について提案があります。課題①乳幼児皮膚ケアガイドと、在宅ケア指導(専門医・ 医療制度・患者会紹介、家族支援体制、医療材料指導、遺伝相談、福祉サービス・ 訪問看護紹介等) 課題②就学期看護ケアと、学校生活ガイド(水疱処置、痛みの管理、障害支援体制 等)課題③QOL 対策(医療材料支給、栄養管理、食道狭窄、歯・口・目のケア、 指の癒着、皮膚ガン、衣服・靴の紹介、自立・就業支援体制等) 財団法人日本ダウン症協会(JDS) 理事・権利擁護委員会委員長、水戸川真由美 様からは、出生前診断が話題になっている今、改めて「いのちの誕生」をめぐるケ アを見つめ直す機会として提案があります。 日本ハンチントン病ネットワーク(JHDN) 代表、加瀬利枝様からは、今、作成 途中のケアブック「ハンチントン病を理解していただくために」の紹介があります。 家族や本人しか知らないであろう出来事や経験が盛り込まれています。ハンチント ン病を理解するためには実はここに書かれていることが最も重要かもしれない・・ という思いをこめて提案されます。 NPO 法人日本マルファン症候群協会 代表猪井佳子様からは、「外来時・入院時・ 看護教育・地域社会の中」に関する患者家族の皆様からの要望を集め、協会の立場 からより良い看護サポートのためのお話しをいただきます。 PKU 親の会連絡協議会 広報担当 藤原和子様からは、これまで当学会交流会に 参加してみて、看護師が PKU の病名は知っていても、患者の実生活は知らないこ とに驚いた経験から、患者の実態の紹介と、患者家族会の紹介をしていただきます。 さらに今後導入されていくタンデム・マススクリーニングで多くの代謝性疾患が発 見されるようになり、検査の結果を待つ間の気持ち、診断されてからの不安な気持 ち、病気の事の理解、20 歳以上の医療費の負担問題など、代謝の病気の共通の問題 も含めてお話いただきます。 パネルディスカッションの内容は次号、日本遺伝看護学会誌に掲載予定です。
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