こぶりながそれに返す。 心外なんだよね。」 でも関西人だからって全部同じファミリーとして扱われるのは 「逢坂君が古くさいトゥルータイプなのは否定しないけどさ、 ている。久美子は少し冷静に戻ってこう言った。 ィー部に所属していて、他の部員から「外字セット」と呼ばれ いつも一緒の個性派の集まり。このはるひ学園のタイポグラフ 「つまらない奴、つめられない恋」 おう さか 「逢坂、お前、本当にツマんない奴だよなー。」 放課後、男子達が一人の男子を冷やかす声が聞こえる。 「仕方ないよ、こいつ今時、トゥルータイプなんだぜ? 」 「でも、お前関西出身だろ? そのわりに冗談の一つも言えな いし。」 そんなやり取りを聞いて、そばにいた久美子が激昂した。 「 関 西 出 身 だ か ら 面 白 い、 っ て ス テ レ オ タ イ プ に も ほ ど が あ かえで 「私は逢坂君の古風な感じいいと思うけどなあ。恋愛でもみん なオープンタイプだ、ペアカーニングだって、簡単にホイホイ ッ 「見たよ私。お兄さんの長太さん、背が高くて細くてかっこい 「あー、久美子、言っちゃった!」 知ってた? 隣のF組の千佳ちゃんのお兄さんと!」 へる べ 「え…そうなの? 千佳ちゃんって、減部さん?」 私はびっくりして尋ねた。 「ねえ楓、こぶりなこんなこと言ってるけど、最近リア充なの る! ねえ、 楓 !」 私はそれをうまく受け流して、その場の空気をいつものトー はん 距離を詰めすぎだし。」 こ いろ はかえで ン&マナーに戻そうとした。 み 私の名前は色葉楓、顔を真っ赤にしているこの子の名前は版 く 久美子。 ナ プ 先 (そういえば、久美子は小学校まで京都だったんだね。それで ス 周りから「くみはん」って呼ばれてた…。) そんな記憶をたどりながら、楓は取り付く島を探した。 オブリーク 「ねえねえ、どうした久美子、ご機嫌斜め?」 け ど、 こ ぶ り な 達 の カ ッ プ ル は さ し ず め、『 キ ャ ッ プ & ロ ー』 は かえで キャラクター紹介 い ろ 色葉 楓 いまどき珍しいトゥルータイプの女 の子。 「外字セット」3人の中では一 番奥手。カタオカデザインワークス く み こ がリリースしているフォント「 iroha 」 フ ァ ミ リ ー の「 23kaede 」 gothic から。 は ん 版久美子 タイポグラフィー・ガール本編の主 人公。負けん気が強く、真面目。泣 いたり笑ったり怒ったり、感情が前 くみ に出やすいことが短所であり、魅力。 はん 版」から。 ぶ ち り な タ イ ポ グ ラ フ ィ ー、 す な わ ち「 組 こ 小渕莉奈 楓と久美子と同じタイポグラフィー 部に所属する。小柄。お洒落とメイ クが大好き。恋に前向き。失恋する ことも多いが、めげずにアタックし 続ける。大日本スクリーン製造リリ ー ス の フ ォ ン ト「 こ ぶ り な ゴ シ ッ ク」から。 お う さ か 逢坂 関西から楓達のG組に転校してきた、 今時珍しいトゥルータイプ。ヒラギ ォントは「OSAKA」だった。 ノ 以 前、 M a c O S の O S 表 示 フ > http://plotter.clocknote.net/f/typogirl.mp3 いんだ。兄妹で『ヘルベチカ・コンデンスト』って呼ばれてる 「逢坂君のこと、あんまりちゃんと話したことないけど、でも グラフィーガール・イメージ曲をダウンロードできます。 組版ラブコメ「タイポグラフィー・ガール」 能天気な声で私達の間に入ってきた小柄な子、この子の名前 は小淵莉奈、みんなは略して「こぶりな」と呼ぶ。私達3人は 嫌いなタイプじゃないなと思ってる。ちょっとだけ大阪弁が混 PLOTTER 副編集・デザイン担当 carmine 作曲のタイポ 務 所「room-composite」 代 表。Twitter で な ね。身長差ありすぎ。」 「おい、色葉?」 逢 アートディレクター。下北沢のデザイン事 こ ぶち り 「久美子、あんただって、游明朝君といい感じじゃないの?」 「ウフフ…。」 ゆうみんちょう 「な、何言ってんのよ! あんな馬鹿、き、興味ないわよ!」 (いいなー、みんな…、私に火の粉がかからないようにしよう じってる感じもかわいいな。ウフフ。」 っと。) 「色葉!」 「!」 そんなことを思っていたら、久美子がニヤニヤしながら、聞 いてきた。 いたのは、楓と逢坂だけ。 (括弧類間違えた! パーレンをつい鍵括弧にしちゃった 目の前に、逢坂が立っていた。周りを見渡すと教室に残って 「そういえば、楓、どうなの? エレメントかわいいから絶対 寄って来る男子いっぱいいるでしょ?」 久美子の発言にこぶりながオーバープリントする。 自分のやらかしたことを悔いながら、楓はただ机にうなだれ 坂君に聞かれた?) 「あ、あのさ…、いつも、本読んでるよね。『組版原論』だっ そんなことを言いながら目を合わせず、逢坂が隣の席に座っ るよ。」 おまけ 19 タ イSAMPLE Copyright ポ グ ラ フ ィ ー ・ ガ ー ル ス© ピ2013 ン オ フTomoya Kaishi & PRINTGEEK & clocknote. All Rights Reserved. PLOTTER vol.3 18 「あ、そういえば、逢坂くん、たまに楓のこと見てるよね、気 「! ……。」 私は意識していなかった事実を知らされ、頬がマゼンタ上げ け?」 づいてた?」 になった。 て来た。 るしかなかった。 「かえで! 3点リーダー連続とか、組版屋泣かせの分離禁則 使ってんじゃないの!」 イプなクラスメイトの中で、しばしば孤立感を感じることもあ 「あ、そうなんだ、なんかちょっと気になっててさ…。」 「う、うん…文字の送り方とか、詰め方とか、すごく参考にな った。しかし、どちらも内気なせいか、お互い声をかけるとい 「え? この本のことが…?」 その次の瞬間、楓はやりとりした言葉の意味を反芻して、さ 楓と逢坂はどちらもトゥルータイプ。いまどきのオープンタ うこともなかったのだ。 らに になった。 「楓は、かわいいんだけどね、自分から詰められない子だから、 (もう顔見れない…。) 「いや、本もなんだけど…。色葉?」 「はい?」 逢坂は隣の机をこちらに引き寄せながら楓の方を見た。 「ねえ、もうちょっとだけ詰めてもいいかな?」 を書いているただの酔っぱらい。 ! ! 距離取ってるんだよね。でも、ちゃんと付き合うとベッタベタ になりそう。」 久美子の性格分析が始まった。 (あー、もういいよう…私のことは…。) そんな中、空気を察したこぶりなが久美子を連れ出す。 「久美子、今日入稿の当番でしょ? フルティガー先輩に怒ら 楓、私達先に行ってるね!」 一人残された楓は、火照った顔を冷ますため、ぽつぽつと机 れるよ! の荷物を整理し始めた。 カイシトモ ヤ Author’s Profile M↑
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