数学ラボ

速成編 1
数学の授業では、思考力や応用力が問題解決能力(思考力や応
用力)の育成に気を取られすぎて計算力の強化が軽んじられて
います。計算力は、英語の単語力と同じく数学の基礎体力です。
計算力なくして数学力は、向上しません。中学生に限らず高校
生も十分な計算トレーニングを実行させます。また、トレーニ
ング効果を上げるためにモチベーションの向上に留意します。
数学ラボ
CONTENTS

計算トレーニングの目的

計算トレーニングの手順と方法

指導のポイント
 計算トレーニングシート
 学習成果のスコア化
 モチベーションアップ
 実戦的な計算力の育成
計算トレーニング
ケアレスミスが多かったり成績が7~8割前後で低迷したりする原因はほとんど計算力不足にありま
す。計算力は、数学の基礎体力です。確かな土台があって高度な理論を積み上げることができます。そ
れに計算力を強化することでいぶし銀のような解答力を身に付けることができます。中学代数は計算力
に負うところがほとんどですが、高校数学も攻略には中学数学以上に確かな計算力を必要とします。
ただ、中学数学と比べて学習内容が量的に豊富になり質的にもより高度になる高校数学では応用力や思
考力の育成に指導が偏り計算力の育成がついつい疎かになりがちです。家庭での自助努力に期待するこ
とがほとんど難しい状況にある中、ぜひ毎回の学習時に計算トレーニングを組み込まれて下さい。
 計算トレーニングの目的
 計算力の育成・強化
ゆとり教育のために近年の子供たちは極端に計算力が落ちています。計算力がなければ高度な数学は積み重ねることが
できません。数学の基礎体力としての計算力はトレーニングで身に付けるしか方法はありません。
 気分の切り替え
生徒が学校での出来事等の教室の外から持ち込む感情を計算トレーニングでリセットします。また、計算トレーニン
グによりアドレナリンを分泌させることで講義を積極的な姿勢で受講させることができます。
 得点アップ
計算問題がかなりのウエイトを占める中学数学は、講義とその習得学習とトレーニングによる演習に計算トレーニン
グを組み込むだけでも 8 割程度の成績は期待できます。
 計算トレーニングの手順と方法
計算トレーニング
確認テスト
講義受講 & 知識の習得確認
問題集演習
* 計算トレーニングは、学習の開始時に導入します。
(計算トレーニングの方法)
1.計算シート、ストップウォッチ、ノートを用意します。
2.必ず目標スコアと制限時間を決めて計算トレーニングを始めます。
3.制限時間内に解けたらストップウォッチを止めます。また、制限時間が来たら未解答があってもそ
こでトレーニングはストップします。
4.採点をしてトレーニング結果を記録表に記入します。
 指導のポイント
 計算トレーニングは、同じ問題を使って目標(攻略時間や正答数)をクリアするまで繰り返し行なわせます。
 メリハリのある計算トレーニングのために、トレーニング時間は、必ず上限を設定しておきます。
 結果(攻略時間・正答率)をスコア化して、トレーニング目標(得点)を毎回必ず設定します。
 実戦的な計算力の育成である確認テストとは異なり正答率よりも早さを優先してできるだけ暗算を求め
ます。(←高レベルの期待を掛ける) 次に、瞬時の確かめ算方法を模索させます。(←プライドの要求)
 学習初心者は、攻略時間の計測や正答数(得点)を先生が計測したり採点したり評価したりすることで一
体感を持って牽引します。
 非同期型集合指導では、集団力(競争原理等)が活かせる生徒同士の交換採点も効果があります。
 成長・進化を目に見えるものにするために攻略タイムや成績を記録する帳票を作り毎回の結果を残し評価
します。(掲載しています記録表α・βをご利用ください。)
 計算トレーニングの記録スコアは毎回記録表に残して次回の目標にします。(次頁参照)
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 間違いは、必ず解き直しをさせます。また、シートによってはいきなり時間内に解くことが難しいものも
あります。その場合は、分割して段階的に攻略させ仕上げとして完投(通しで攻略)させます。
 成果の評価はできるだけリアルタイムに行います。リアルタイムに出来ない場合は、後の評価でも構いま
せんが必ず評価するようにします。
 計算トレーニングシート
 計算トレーニングシート
計算トレーニングシート回数一覧(2013 年 6 月 14 日現在)
学
年
中学 1 数学
中学2数学
中学3数学
高校数学Ⅰ
第1章
第3章
第1章
第3章
第1章
第3章
第1章
章
正の数・負の数(9 枚)
1 次方程式(9 枚)
式の計算(5 枚)
1 次関数(2 枚)
式の計算(17 枚)
2 次方程式(5 枚)
数と式(19 枚)
シート№
№1~№9
№11~№19
№1~№5
№10~№11
№1~№17
№26~№30
№1~№19
章
第 2 章 文字と式(5 枚)
シート№
№10~№14
第 2 章 連立方程式(4 枚)
№6~№9
第 2 章 平方根(8 枚)
№18~№25
(計算トレーニングシートについて)
 シートは、二つ折りにします。左がトレーニング問題で、右が解答です。
 シート№は、かなりの量になります。時間がない生徒は公式に絞られても良いと思います。
 計算トレーニングの開始は、学習単元から始めれば良いと思います。
 季節講習では、前学期の初めからトレーニングされれば良いと思います。
 問題は、15 問から 60 問です。
 制限時間は、いずれも 10 分ですが合格スコアはまだ設定されていません。
 これからも高校数学を中心にシートは徐々に追加の予定です。
 学習成果のスコア化
ヤル気の源である達成感や満足感を与えるために計算力の向上を目に見えるものにします。そのためにスト
ップウォッチを片手に攻略時間を計測してトレーニング成果をスコアかします。また、メリハリのある計算
トレーニングを演出するために制限時間を設定します。そのことが一方で、ゆとり教育の弊害で計算力の必
要性を学んでいない生徒に自然と積極的な取り組みを促すことができます。
 計算が苦手な生徒のスコア化(加点式)
 正解 1 問につき 10 点として計算します。合計が 100 点になる必要はありません。
*ストレートに点数が増えることが生徒の意欲を高めます。
 ゴールは、制限時間内での満点(全問正解)や一斉基準(○○点以上)を設けてそれをクリアすれば合格
とします。
 競争心を煽るスコア化(短縮式)
 スコアの算出法
スコア(秒) = 攻略時間(秒) + 誤答数×10 秒 +未答×20 秒
 指導のポイント
・初期の頃は、先生が時間を計測して採点します。
・喜びと興味を持たせるためにスコアに対しては必ず先生が先に感情を表し評価します。
 合格スコアは、設定していませんので先生の判断で決めて下さい。最初、合格スコアの目安が付け辛
い時は①最初のスコアを 1/3 に圧縮できたら合格とする。②適当に 200 秒(3 分で 2 個ミス)で合格と
して無理であるようならまたはまだ縮められそうであれば途中で変更する。③最初は様子を見て 2、
3 回終わったところで合格スコアを話し合って決める等します。
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 記録表の活用
 記録表はα・β使い勝手の良い方をご利用ください。記入方法は、サンプルで確認して下さい。
 グラフの縦軸は、加点式の場合は上が大・下が小です。一方、短縮式の場合上が小(ゴール)・下が大
(最初のスコア)とした方が常に上向きが上達を示すことに成るので具合が良いと思います。
 記入は、初期の頃は先生が行います。学習姿勢が整ってきたら自己管理で行わせますが必ず評価をし
ます。そうしないと廃れていきます。
 モチベーションアップ
1. 競争をさせる
前回の自分のスコア記録はもちろんですが、非同期型集合指導ならマッチアップで競争したり計算シー
トごとにスコアを掲示したり順番をつけたりして競わせます。
指導のポイント
・マッチアップ時の採点は相互交換で行わせます。
2. スピードアップを促す
これまで計算力の育成を強いられたことがなく自己のペースで学習してきた“ゆとり教育”の子供たち
は集団の競争原理を活かしても意識して計算のスピードをアップされることができません。このような
生徒には、暗算ができる単元で、マンツーマンでストップウォッチを用いて時間を計測しながら答えを
言わせて計算トレーニングをおこないます。このときにこちらの望む速さで答えを引き出すように側面
から合いの手を入れることで徐々に計算を早めさせる事ができます。
3. 達成感・満足感の増幅
数学を苦手とする生徒は、ヤル気の源となる達成感や満足感を知りません。そのために評価を下すとき
にアドバイザーが「ヨッシャ!9 分 35 秒!」
「アーッ↓10 分 05 秒!」等と大きな声を出して感情(喜び
や無念さ)を伝えます。また、一緒にガッツポーズをやらせて脳内モルヒネの分泌の増加を体感させま
す。目標達成による達成感や満足感は、生まれつき持っている本能的な喜びと違って教育されること(教
えられること)によって感じられるようになります。
4. 活気ある教室の演出
活気・ヤル気・元気ある空間は、伸びる生徒の集まる教室です。学習の開始時に行なわれる一斉計算ト
レーニングは、アドバイザーの掛け声や生徒の書き込む鉛筆の音そして一喜一憂する声によってアクテ
ィビティーな空間を演出します。また、計算トレーニングによりテンションをあげることにより PVL の
受講に対して積極的な攻めの受講態度を誘発します。
 実戦的な計算力の育成について
計算トレーニングは、数学学習の基礎体力の育成・強化が目的です。一方、ケアレスミスをしないそし
てあきらめない粘力のある実戦的な計算力やストックした問題と解法群から適切な解法を抽出する瞬
時の洞察力と判断力と二次試験で解法の道筋を見通す力は、確認テストの繰り返しで身に付けさせます。
その過程でミスのない解答を求めます。また、そのための方法(確かめ算や解法俯瞰等)を生徒と共に探
ります。特に、S-CP 学習においては一度受講したからあるいは解いたからで済まさないで合格する(制
限時間内に満点取れる)まで、また時間が許せば合格しても完璧な自信が持てないところは定期的に繰
り返すことで解答力の精度を上げます。
*あきらめない粘力のある … 分数や小数の計算や複雑な計算でもあきらめずにやり通す力
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