(OP)4.04-付属文書A

OP 4.04 – 付属文書 A
世界銀行業務マニュアル(仮訳)
2001 年 6 月
業務政策
定義
1.
OP および BP 4.04 においては、下記の定義を適用します。
a. 自然生息地1とは、(i)生態系の生物群集が主に在来動植物により構成されてお
り、(ii)人間の活動によって当該区域の主たる生態系機能が本質的に変化して
いない陸地もしくは水域です。どの自然生息地にも、それぞれ重要な生物学的
価値、社会的価値、経済的価値、存在価値があります。重要な自然生息地は、
熱帯雨林・熱帯乾燥林・多雨林、温帯林と針葉樹林、地中海型の低木林、自然
の乾燥・半乾燥地、マングローブ湿地や海岸湿地およびその他の湿地、河口域、
海草藻場、サンゴ礁、淡水湖川、高山帯・亜高山帯環境(草地、草原、パラモ
など)、熱帯・温帯性の草原などに存在するものと考えられます。
b. 重要な自然生息地とは、次のようなものです。
i.
既存の保護区および政府が保護区として正式に提案している地域(国際自然
保護連合[IUCN]による分類基準を満たした保護区2など)、伝統的な地域
コミュニティによって従前より保護されてきたと認識された地域(聖域な
ど)、こうした保護区の存続可能性のために維持すべき重要な場所(環境ア
セスメントの過程3で決定)、または
ii. 世銀または地域環境セクターユニット(RESU)により権威付けられた機関
により作成された補足リストで特定されている地域。そうした地域には、伝
1
自然生息地以外(農地内など)での生物多様性は本政策の対象外である。そうした生
物多様性もプロジェクトの設計や実行で考慮に入れることは、望ましいやり方である。
2
IUCN による各カテゴリーは以下のとおり。I-原生保護地域/原生自然地域:学術
研究もしくは原生自然の保護を主目的として管理される保護地域、II-国立公園:生
態系の保護とレクリエーションを主目的として管理される地域、III-天然記念物:特
別な自然現象の保護を主目的として管理される地域、IV-種と生息地管理地域:管理
を加えることによる保全を主目的として管理される地域、V-景観保護地域:景観の
保護とレクリエーションを主目的として管理される地域、VI-資源保護地域:自然の
生態系の持続可能利用を主目的として管理される地域。
3
OP/BP 4.01「環境アセスメント」を参照。
統的な地域コミュニティによって認められた地域(聖なる森など)、生物多
様性を保全するために適切であると知られている地域、希尐、脆弱、移動性
もしくは絶滅の危機に瀕している種4にとって重要な場所などが含まれる場
合があります。リストは、種の豊かさ、構成種の固有性、希尐性、脆弱性の
程度、代表性、生態系プロセスの健全性といった要因の系統的な評価に基づ
いています。
c. 重大な転換とは、土地または水の利用における重大かつ長期にわたる変化を原
因として重要なもしくはその他の自然生息地の健全性が消失または著しく減尐
することをいいます。重大な転換には、たとえば開墾、自然植生の転換(作物
や植林によるものなど)、永続的な湛水(貯水池によるものなど)、湿地の排
水、浚渫、盛土もしくは導流化、露天採鉱などが含まれます。陸域生態系にお
いても水域生態系においても、重度の汚染の結果として自然生息地の転換が生
じる場合があります。転換は、プロジェクトにおける行為の直接的な結果とし
て生じることもあれば、間接的なメカニズムを通じて(道路沿いにできた集落
を通じてなど)生じることもあります。
d. 劣化とは、重要なもしくはその他の自然生息地に変化が生じ、当該生息地が在
来種の存続可能個体数を維持する能力が大幅に低下することをいいます。
e. 適切な保全策や緩和策とは、自然生息地またはその機能への負の影響を除去も
しくは削減し、社会的に定義された容認できる環境変化の範囲内で、そのよう
な影響を維持するものです。具体的な方策は、当該地域の生態学的特性に応じ
て定められます。プロジェクト設計を通じた全面的な用地保護、戦略的な生息
地保全、転換もしくは改変の制限、種の再導入、生態学的損害を最小化する緩
和策、開発後の修復工事、劣化した生息地の回復、適切な規模および近さで生
態学的に類似した保護区域の構築と維持などがあります。そうした方策には、
保全結果に関するフィードバックを提供し、適切な是正措置の構築もしくは改
良のための手引きを提供するために、モニタリングおよび評価が必ず含められ
るべきです。
4
IUCN「絶滅のおそれのある動物のレッドリスト」
、バードライフ「絶滅のおそれの
ある世界の鳥リスト」
、IUCN「絶滅のおそれのある植物のレッドリスト」
、または
RESU が受け入れたその他の信頼できる国際的リストもしくは国内リストで、希尐、
脆弱、絶滅の危機に瀕している、もしくはそれに類すると示されているもの。
本政策は世銀スタッフの使用に供するために作成されたものであり、必ずしも、対象事項への対応全てを
記載するものではありません。世銀スタッフは組織情報サービスセンター(IISC)、一般の方は情報センタ
ー(PIC)において追加コピーを入手することが可能です。