チンパンジーの子どもの不当な人工保育とエンターテイメント利用に反対する請願書 2017 年 月 日 熊本県議会議長 吉永 和世 様 紹介議員 請願団体 請願代表者 SAGA(アフリカ・アジアに生きる大型類人猿を支援する集い) 友永 雅己 以下 名 請願主旨 チンパンジーはアフリカにくらす野生動物で、遺伝的にもっともヒトに近い生物です。ワシ ントン条約で附属書 I(今すでに絶滅の危険性がある生き物)に掲げられ、IUCN レッドリスト でも絶滅危惧種とされています。国内法である種の保存法や動物愛護法の別表では、チンパン ジーなどの大型類人猿はヒト科に分類されます。種の保存法では、該当する動植物種に関して 科学的知見の充実を図るという条項が 2013 年に追加されました。動物愛護法では、動物をみ だりに苦しめることのないようにするのみでなく、動物の習性を考慮して適正に取り扱うよう にするべきであると明記されています。国際霊長類学会では、ヒト以外の霊長類をエンターテ イメントビジネスに利用しショーに出演させることを明確に禁じ、国際標準として認められて います。ショーによって、科学的知見とは異なる歪曲された姿を見せることは、チンパンジー 本来の社会性の理解を一般に広める妨げになり、ペットと同様に飼育し娯楽に供することが可 能であるかのような誤解を与えます。 国内の多くの動物園では、チンパンジーなどの野生動物の飼育・展示に際し、動物本来のく らしを尊重し、動物福祉に配慮した飼育を実現する努力をおこなっています。種特有の行動や 社会性を学習するには、とくに発達の初期に母親とすごすことが重要です。愛玩動物の犬猫で も、健常な発達のため生後 8 週間程度は母親のもとで飼育することが推奨されています。チン パンジーなどの大型類人猿は、他の哺乳類に比べて、子どもが自立するまでの養育期間がとく に長いという特徴があります。チンパンジーの養育期間は約 5 年で、この間に種特有の行動と 社会性、生存に必要な技術などを、子どもが自発的に母親から学びます。子ども期をすぎると、 新しい行動が学習されにくいため、母親から分離されて育ったチンパンジーは約 50 年といわ れるその後の生涯に大きな禍根を残します。 阿蘇カドリー・ドミニオン(大久保智司園長)で、2015 年 9 月 22 日に生まれたチンパンジ ーの子どもプリンは、生後 4 日で正当な理由なく母親から分離されました。生後 1 年がたった 今でも、人工保育が続けられ、その様子は日本テレビの「天才!志村どうぶつ園」で放映され 続けています。同年 12 月には一般公開が開始され、2016 年 7 月には同園での動物ショー「み やざわ劇場」への出演がはじまりました。被災した阿蘇地域の観光復興の起爆剤と称して、チ ンパンジーの子どもから正常な行動を表現する自由を剥奪してはならないと考えます。チンパ ンジーをエンターテイメントに利用し、動物にみだりに苦痛を与える行為を中止し、一刻も早 く子どもを母親にかえすよう、熊本県としても善処いただくよう請願いたします。 請願項目 1. 野生動物であるチンパンジーの本来の姿を歪曲するような演出をおこなって、エンターテ イメントビジネスに利用し、テレビや動物ショーに出演させないよう指導してください 2. 子どもがチンパンジーとしての行動と社会性を身につけ、健全に成長できるよう、一刻も 早くチンパンジーの親のもとへかえすことを要請してください 3. チンパンジーにかんする科学的知見にもとづいて、社会的集団で飼育するなどの適切な飼 養と管理を可能にするため、協会・団体などに加盟して外部との情報共有ができるような 体制づくりの指導をおこなってください 氏名 住所 印 この署名用紙は厳重に保管し、集計後議会に提出します。請願以外の目的に個人情報が使用されることはありません。 ※請願の背景・詳細については、HP をご覧ください。http://www.saga-jp.org/
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