’08.12.2. http://members2.jcom.home.ne.jp/yamasoft/ 暗くなるまで裏の神社で遊 んでいた子供のころ、よく母 親にしかられたものです。 「いつまで遊んでるの!」 長じてソフトウェアの会社勤め。まかされ たプログラムの仕事を、ああしようか、こう もしようかと悩んでると「いつまで遊んでる んだ!」と上長のお声。じゃ、こうしますと プログラムの方針を決めました。それから少 しはえらくなってから部下に「おい、いつま で遊んでんだ?」と声をかけると、「遊んで ません! 真面目にやってます!」ときたも んだ。 1987年10月19日の月曜日、ニュー ヨークはウォール街で株価が突如の大暴落! いわゆるブラック・マンデーですね。金融パ ニックになりました。 このときの原因のひとつが「プログラム売 買」だと言われました。株式市場も証券会社 もコンピュータの導入がすすみ、証券会社は 株式市場の株価のデータをコンピュータに入 れて、あれやこれやと計算して売買の作戦を たてていたのでしょう。それが一歩前進し て、株価がこうなったら売るという作戦をコ ンピュータにプログラムしたのです。こうす れば、いちいち人間が判断しなくてもコンピ ュータが計算して素早く売ってくれます(お そらくまだ高値のうちに)。損を少しでも防 げます。リスク回避ですね。 この日、何らかの理由で株価が下がりはじ め、ウォール街のコンピュータのプログラム は計算結果を〝売り〟とはじき出しました。 多くの株が売られたので、株価はさらに下が り、またまたコンピュータが売りを出し、も っと株価が下がり、下げ止まりが効かなくな って・・・と連鎖反応の状態になったといい ます。プログラムを誰も止められなかったの でしょうか? プログラム売買が原因と言われたときは、 コンピュータ屋としてはムッとしました。 「コンピュータの所為にするなよ。プログラ ムを組んだヤツが下手クソだったんだよ」と いうのが私と仲間の意見。プログラム作りの ときの工夫というか「遊び」が足らなかった のでしょう。でも、原因はプログラムではな かったようです。 あれから約20年。この ところの金融状況は「プロ グラム」の所為かもしれま せん。 まるで景気を数式化して計算できるかのよ うな論理を展開したのが金融工学。コンピュ ータにプログラムして膨大な計算をしたので しょうねぇ。でも、ノーベル経済学賞をとっ た学者の金融会社はあっさり破綻しましたよ ね。 それから米国のサブ・プライム・ローン。 これを小分けした証券にして、他に先物取引 とか、何とかヘッジとかの小分 けした証券とセットにした金融 商品を作り出しました。どれか に損失が出ても他でカバーする 仕組み。どう小分けして、どう 組合せ、どう売るか、この計算もコンピュー タにプログラムしていろいろやったんでしょ う。でも、ローンは大量に焦げ付き、金融商 品は値下がり、大量に購入していた世界中の 金融機関は赤字に転落・・・ それ以外の金融商品も似たり寄ったりなの でしょう。どれもこれもKY=景気が読めな い=だったのです。景気の『気』はひとの心 の動き。「消費マインドが冷える・・」なん て表現があるぐらいだから。 同じ『気』の天気のほうも、予報はあまり 当りません、スーパー・コンピュータを何台 も動員して計算しているというのですが。観 測所や人工衛星から気象データをいくら集め ても、ずっと過去のデータを記録していって も、まだまだデータが足らないのです。いく らプログラムを工夫しても当らないのでしょ う。 景気の計算のほうはひとの心の動きという データが足らないのではないでしょうか? グローバル経済ともなれば、新興国も加わり ますから一握りの先進国のデータじゃ足りま せん。国や地域によって歴史も文化も違いま すから、ひとの心の動きはそれさまざまです。 膨大なデータが要りますよ∼、計算するに は。 ・・・そもそも「ひとの心の動き」をデータ にできるんですかね? いくらコンピュータ にプログラムしてもデータではないものを計 算することはできません。 このところの金融事情を「カジノ経済」と か言う人もいます。市場は「賭場」というこ とになりますね。経済が 社会から遊離して独り歩 きしています。こんなこ とができたのはコンピュ ータのおかげですが、プ ログラムすれば何でもど んな計算でもできると思 っている傲慢な人の心が 問題なのでは? いつまでもコンピュータで遊んでいると 「今に墓穴をホリエモン」ですよ。 ええ っ!、もう掘っちゃったって!? サブ・プライム・ローン 低所得者向け住宅購入資金貸付。「返済金が払えなくなったら住宅を売ればいい、住宅は値上がりして いるから」というのが殺し文句。あげく、多くの低所得者を過酷な貧困者に突き落とすことに。 き【気】(広辞苑から抜粋) ○天地間を満たし、宇宙を構成する基本と考えられるもの。 ○生命の原動力となる勢い。活力の源。 ○心の動き・状態・働きを包括的に表す語。 ○はっきりとは見えなくても、その場を包み、その場に漂うと感ぜられるもの。 ○その物本来の性質を形作るような要素。特有の香や味。け。 今に墓穴をホリエモン まだ彼が意気軒昂なころ、ラジオから聞こえた小沢昭一さんのお言葉
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