不確実な需要分布下での リグレット最小化施設配置問題 02103800 筑波大学 *窪田 順次 01205430 筑波大学 鈴木 勉 日本オペレーションズ・リサーチ学会 2003年 春季研究発表会 年 春季研究発表会 計画における不確実性 例:彩都 ! 彩都は茨木、箕面両市の 丘陵地約743ヘクタールを 開発し、5万人の都市をつ 西部地区 東部地区 くる計画であった しかし,,, ! 「宅地供給が過大になる恐 中部地区 れがあるとして一部の開発 を凍結する方針を明らかに 工事エリア した」(朝日新聞2003.2.25) 彩都工事進捗状況 2002年2月18日時点 ! 計画変更は事業効率が悪 く,供給者にとって大きな 損失となっている 計画における不確実性 例:浦安市 ! 日の出,明海,高洲地 区でのマンション建設ラッ シュに伴い,若年層世帯 が急増した ! 児童数が急増し,教育 施設の供給が追いつい ていない そのため,,, ! プレハブ校舎の建設や 学区変更で対応しており, 児童の保護者から不満 の声があがっている (人) 日の出小学校 明海小学校 高洲小学校 (建設中) 浦安市内の小学校 学区別15才未満増加人口(H10-H14) 施設配置と需要の不確実性 ! 計画は本来不確実な状況下で意思決定を行う ! 計画に従った施設配置が利用者にとって結果的 に不便なものとなり,損失を被るリスクがある ! 不確実性に対応した,より戦略的な施設配置を 行う必要がある 需要の不確実性に対応した 施設配置の戦略 ! ミニサム問題⇒複数の需要予測に対し,損失の ミニサム問題 期待値を最小にするような配置を行う ! (シナリオの)ミニマックス問題⇒損失が最大とな (シナリオの)ミニマックス問題 る最悪のシナリオを回避する配置を行う 需要点 各シナリオの最適配置点 シナリオ1 需要の不確実性に対応した配置点 シナリオ2 a 1* a2* 損失の評価 ! 移動距離 ! t(x,a) リグレット r(x,a) = t(x,a)-t*(x) 実現した配置点までの距離と最適配置点までの距離の差 ! 非負リグレット r+(x,a) = max{r(x,a),0} (リグレットのうち正の値のみ) 需要点 各シナリオの最適配置点 シナリオ1 実現した配置点 シナリオ2 a 1* x t(x,a) a 負のリグレット t*(x) a2* 既往研究の整理 ! 需要量,移動時間,施設数などが不確実な要素とし て扱われている ! 将来予測として複数のシナリオや確率分布を与えて いる Daskin, M.S., Hesse, S. M. and ReVelle, C. S. (1997) ネットワーク上で需要量と移動時間がシナリオとして想定できる 場合の最大リグレット最小化施設配置問題を扱っている しかし,,, ! 連続空間での問題はほとんど扱われていない ! 意思決定基準間での施設配置に関する考察がない 本研究の目的 ! 連続空間を扱う ! 需要分布がシナリオと して複数想定する ! シナリオに実現確率を 与える ! 複数の意思決定基準 を設定する 意思決定基準の整理 単一施設配置問題 問題の設定 意思決定基準と配置 実現確率と配置 基準別総移動距離 ! 単一施設の配置点が どのような挙動をする のかを明らかにする まとめ 発表の流れ 意思決定基準の整理 ! 全部で6つの意思決定基準が考えられる 期待値最小化 (i) 総移動距離 (iii)リグレット (v)非負リグレット 最大値最小化 (ii)総移動距離 (iv)リグレット (vi)非負リグレット 単一施設配置問題の設定 ! 線分状都市[0,1]を想定する ! 需要分布がf1(x)=1, f2(x)=2xというシナリオ1,2の いずれかが必ず実現すると想定し,それぞれの 実現確率をp,1-pとする 需要量 需要量 需要量 需要量 需要量 実現確率 1-p 実現確率 p 2 2 1.5 1.5 f1(x)=1 1 1 0.5 f2(x)=2x 0.5 x 0.5 シナリオ1の需要分布 1 x 0.5 シナリオ2の需要分布 1 各シナリオの最適配置点 ! シナリオ1の最適配置点 1 min T1 (a) = a − a + a1*=1/2 a 2 2 ! シナリオ2の最適配置点 2 3 2 min T2 (a ) = a − a + a2*=1 / 2 ≅ 0.707 3 a 1 1 2 3 Ti T2(a) T1 (a) a1* 1 2 1 2 配置と総移動距離 a2* a 1 意思決定基準(i)(ii)・・・ 総移動距離 ! (i)期待総移動距離最小 化 ! 0.8 配置点はパレート最適点 ≦a ≦ a 2*の となり,a 1*≦ 範囲で配置が決まる ! (ii)最大総移動距離最小 化 ! T2 a=0 0.6 傾き p 1− p 0.4 a=1 a1*=1/2 0.2 配置は実現確率によらな いで決まる a2*= 1 / 2 T1 0.2 0.4 0.6 配置の決定方式 0.8 実現確率pと基準(i)による配置点 ! シナリオ1の実現確率pに対する基準(i)による配置点は 次式のように表せる a= (1 − p ) 2 + 1 − p 2(1 − p) (0 ≤ p ≤ 1) ! 基準(i)による配置は確率pに応じて中間的な配置となる a1* p 1 0.75 0.5 0.25 (i)期待総移動距離最小化 0.25 0.5 (ii)最大移動距離最小化 0.5 1 2 a2* a 1 1 実現確率と基準(i)(ii)による配置点の決定 実現確率と基準 による配置点の決定 配置とリグレット・非負リグレット ! リグレット・非負リグレットは各シナリオの最適 配置点でゼロとなる 1 1 Ri 0.75 0.75 0.5 0.5 R i+ R2 +(a) R2 (a) 0.25 0.25 0.5 1 2 配置とリグレット R1+(a) R1 (a) 0.25 a 1 0.25 0.5 1 2 配置と非負リグレット a 1 意思決定基準(iii)(iv)・・・リグレット ! (iii)期待リグレット最小化による配置点は (i)期待総 移動距離最小化による配置と一致する ! (iv)最大リグレット最小化による配置点は a = 0.611 となり,実現確率pによらず中間的な解が得られた 0.5 R2 a=0 0.1 0.4 0.08 0.3 p 0.06 傾き 1− p a1*=1/2 0.04 0.2 a=1 0.02 0.1 R1 0.1 0.2 0.3 0.4 配置の決定方式 0.5 a =0.611 a2*=1 / 2 0.02 0.04 0.06 拡大図 0.08 0.1 意思決定基準(v)(vi)・・・非負リグレット ! 基準(v)による配置では0.45≦p≦0.56でのみ中間 的な解が得られ,基準(i)と比較すると狭い 0.5 R1 +(a) a=0 p 0.4 1 0.3 0.75 0.5 0.2 0.1 a=1 0.25 a1*=1/2 a a=0.604 a2*=1 / 2 0.1 0.2 (v)期待非負リグレット最小化 R2 +(a) 0.3 0.4 配置の決定方式 0.5 0.25 0.5 0.75 1 (vi)最大非負リグレット最小化 0.604 シナリオ1の実現確率と 基準(v)(vi)による配置点 基準 による配置点 1 意思決定基準と配置点のまとめ ! 最大損失最小化基準のうちリグレット・非負リグ レットを損失とした基準では中間的な解を得た ! (v)期待非負リグレット最小化では(i)とは異なり, 中間的な配置点になる実現確率の範囲が狭い p 1 0.75 (v)期待非負リグレット 最小化 0.5 0.25 (i) 期待総移動距離最小化 (iii) 期待リグレット最小化 0.25 0.5 0.75 (ii) 最大総移動距離最小化0.5 (iv)最大リグレット最小化 意思決定基準別配置点 (vi)最大非負リグレット最小化 1 1 0.611 1 0.604 1 意思決定基準と総移動距離 ! (ii) ではいずれのシナリオが実現しても総移動距離は 同じである ! (i)(iii)(v)では実現確率pが小さいとき,シナリオ1,2の どちらが実現するかにより総移動距離が大きく異なる シナリオ1が 実現した場合 0.3 Ti0.3 0.3 0.3 シナリオ2が 0.25 0.250.250.25 実現した場合 0.2 0.17 0.2 0.2 0.2 0.170.170.17 各シナリオ (ii) (iv) (vi) の最適配置 0.3 0.25 Ti (v) (i)(iii) 0.2 0.17 (i)(iii) (v) 0.25 0.45 0.56 各シナリオの基準別総移動距離 0.75 p 1 まとめ ! 需要分布が不確実な場合の意思決定基準を 考え,それらの基準によって配置点が異なる ことを示した. ! 非負リグレットの導入により,実現確率pによっ て基準(i)とは異なる配置の変化が生じる意 思決定基準が示された. 今後の課題 ! 多施設配置問題 ! 2次元の問題への拡張 ! 施設配置タイミングなどを含む動学化 ! 予測精度の配置への影響 ! 実現確率未知の場合の配置
© Copyright 2024 Paperzz