(キンタ・ノルマル公園編)

(キンタ・ノルマル公園編)
「せっかくの週末も何もすることが無い。」
「日本から出張者や友人が来ても連れて行くとこ
ろが無い。
」とお悩みの皆様のために、日帰りで行けるサンチアゴ市内の「お薦めスポット」を
紹介するのが、今回から始まるこの『サンチアゴをもっと知ろう!』のコーナーです。
第1回の今回は、地下鉄 5 号線の終点キンタ・ノルマル駅の目の前にある「キンタ・ノルマル
公園(Parque Quinta Normal)」です。35 ヘクタールの園内には、国立自然史博物館、科学技術
博物館、鉄道博物館の他、手漕ぎボート(30 分 2,500 ペソ)にも乗れる池やサッカーコートもあ
ります。また公園のすぐ横にはアルテキン博物館もあり、週末をのんびり過ごすのには打って付
けのスポットです。
12 月中旬の土曜日、会報編集委員会の選抜メンバーでこのキンタ・ノルマル公園へ取材に行
きました。メンバーが集合した 12 時には人影も疎らで、木陰に佇むカップルや家族連れがちら
ほらと確認できる程度でしたが、取材を終えた午後 4 時前にはたくさんの人々で溢れかえってい
ました。
それでは、調査隊が見学したいくつかの博物館を順番にご紹介致します。
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【国立自然史博物館(Museo Nacional de Historia Natural)】
開館時間 : 火曜~土曜 10:00~17:30、日曜・祝日 11:00~17:30、月曜休館
入館料
: 大人 600 ペソ、子供・学生 300 ペソ
電話
: 680-4600
URL
(日曜・祝日は無料)
: www.dibam.cl
キンタ・ノルマル公園の正門を背に、前方左側に見える
荘厳な建物がこの「国立自然史博物館」です。この建物は
1875 年の国際工業博覧会のために建築され、翌 1876 年か
ら同博物館として使用されている歴史ある建造物です。
入館して最初に視界に飛び込んでくるのは、吹き抜けと
なっている博物館1階の中央部に展示された全長 19m の巨
大なクジラの骨。その周りにはゴリラ・トラ・カメなど様々な動
物の剥製が展示されています。
館内1階のその他のスペースは、チリの動植物・鉱物・先住民の生活様式の模型などが展示されて
います。北部アタカマ砂漠から南部パタゴニア・南極に至るまで、チリ全土の自然に関する展示物が北
から南へと順番に並べられており、各地の産業などを理解することもできる見事な作りとなっています。
一つ一つの説明をじっくりと読みながら見学すると1時間以上はかかると思われる数々の展示物ですが、
南北に長いチリを楽しみながら理解するためには絶好の場所と言えるでしょう。
館内 2 階には、昆虫の標本が所狭しと置かれています。蝶・バッタ・蜜蜂・蜘蛛・・・と虫が苦手な方に
はややつらい場所ではありますが、その数は圧巻です。さらにチリ各地の木々の展示などもあり、林業に
携わる駐在員の方々にとっては垂涎のブースかもしれません。その他にも「Sala de Cobre」という銅に関
する展示室もあり、銅に纏わる歴史から銅を使用する製品の数々まで、チリを代表する産業である銅に
ついて様々なことを学ぶことができます。
同博物館は非常に広く、駆け足で回っても 1 時間は要する展示数でした。大人から子供まで楽しむ
ことができ、またチリを理解する上でもとても役立つ博物館だと思います。
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【科学技術博物館(Museo de Ciencia y Tecnologia)】
開館時間 : 火曜~金曜 10:00~18:00、土曜~日曜 11:00~18:00、月曜休館
入館料
: 大人 800 ペソ、子供・学生 650 ペソ
電話
: 681-6020
URL
: www.museodeciencia.cl
キンタ・ノルマル公園の正門を潜り、池を左に見ながら真っ
直ぐ進むと現れるのが、1985 年の設立されたこの「科学技術
博物館」です。
我々調査隊が料金を支払って入館すると、まず案内係の
おばちゃんに「今から実験教室が始まるから。」と、館内の一番
奥にある薄暗い実験室(?)に通されました。高校生くらいのチリ
人が 20 名ほどおり、正面の大きな机の上には謎の実験道具
は雑然と置かれていました。最初に先生役のお兄さんが手にしたのはプラスチック製の棒と布。これを擦
ると静電気が発生することを説明しているようでした。その後、静電気発生装置を使ってバチバチと火花
を飛び散らせ、「生徒」の関心を惹こうとします。今度は生徒が手を繋いで静電気を体感しようという実験
が始まりますが、ここで調査隊の忍耐力も限界に達し、実験途中の教室を後にしました。
博物館内は分野ごとに部屋が分かれています。プレートやマグマ、火山のメカニズムから様々な鉱
石までが展示されている地学エリア。てこの原理や遠心力などに関する実験道具が散在する力学エリア。
その他、視覚・聴覚についての実験装置が置いてあるコーナーや、電話やコンピューターの発展の歴
史に関する展示物があるコーナーなどがあり、小中学生の理科の教科書に出てくるような原理を体験で
きる博物館でした。
「これは子供向けの博物館」などと話していた我々調査隊も、童心に帰って一つ一つの実験装置を
触り、しっかりと満喫してしまいました。
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【アルテキン博物館(Museo Artequin)】
開館時間 : 火曜~土曜 9:00~17:15
(開館曜日・時間はウェブ情報と違う場合があるので要確認)
入館料
: 大人 800 ペソ、子供・学生 500 ペソ
電話
: 681-8656
住所
: Av.Portales 2420
URL
: www.artequin.cl
キンタ・ノルマル公園の敷地から外れて Portales と
いう道路一本隔てた処にチョット目を引く建物がありま
す。チリにこんなお洒落な建物があるのね、と感動し
ますがこれは1937年のパリ万博に出展された建物を
其の侭移築したとの事で、その万博のテーマである
「近代生活における技巧と技術」というお題にふさわし
い、中々素敵な建物でございます。
中に入ると 沢山の絵画が飾られています。みると
ミレーの落穂拾い、ゴッホ・ピカソ・ラファエロ etc… そりゃぁもう有名どころの絵画が沢山!とうとう
見つけた、チリの国立美術館では望むべくもない絵画の至宝が此処にあるじゃないか、という感動
も一瞬の事。おやおやモナリザもあるぞ、ピカソのゲルニカがむっちゃ小さいぞ、そういえば油絵な
のに全く立体感がないぞ…。そうです。全て写真パネルが飾られているだけだったのです。
遅まきながらこの Museo の趣旨を見てみると 子供達に美術に親しんで学んでもらう為に作られ
た様子。確かに美術の教科書に載ってるのは小さい絵。同じ写真なら実物大に近い方がまだ実感
しやすいというもの。各絵の説明文もちゃんと用意してあり、2階の実験コーナーでは陰影の描き方
なぞも説明してくれてて、近くの小学校等がここで美術の授業をすれば学び甲斐もあるというもので
す。
ただ、惜しむらくは写真パネルにしてももうチョット高画質を望みたかったし、折角の素晴らしい
建物のメンテも今ひとつ。サンチャゴ区とエル・メルクリオや CMPC 等の企業協賛にて運営されてい
るとの事ですが、折角の建物を生かしきってないところがなんとも勿体無いところです。
とはいえ、建物を見るだけでも中々ですし、絵だけでなく2万年前の土偶のレプリカや、何故か
兵馬俑の兵士らしきレプリカが飾られてあったりと、突込みどころも満載の Museo なので一度はどう
ぞ。
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【鉄道博物館(Parque Museo Ferroviario)】
開館時間 : 火曜~金曜
土・日・祝日
10:00~18:00
11:00~18:00
(開館曜日・時間はウェブ情報と違う場合があるので要確認)
入館料
電話
: 大人 800 ペソ、子供 500 ペソ
: 681-4627
URL
:http://www.museoferroviario.cl/homeferroviario.htm
地下鉄キンタ・ノルマル側の入り口から一番遠くに位置する場所に、14台の蒸気機関車が陳列
する、「鉄男(『おいチ-坊!』の石立鉄男にあらず)」や「鉄子(たまねぎおばさんにあらず)」にとっ
ては垂涎のスポットです。コレクションの貴重さと陳列の規模から見ても南米で最も充実していると
の触書ですが、ペンキが剥げた小屋の入り口を通り、幼児がクレヨンで書いたと思われる、お手製
の園内図を参考に、見学していきます。
日本などで見る鉄道博物館のように、磨きあげて大事に保存している機関車や廃電車のイメージ
とはほど遠く、無造作に置かれているだけで、その案内板も色が剥げたりして読みづらく、(一応、
英語と併記だが)、余程、機関車マニアでないと、敷地だけは十分広いだけに、どれもこれもが同じ
ような機関車に見えてきて、飽きやすいのが残念なところ。見所は、
① チリ独立100周年を記念してアルゼンチン政府より寄贈された59型機関車 (写真1)
② 米国のデザインを元に三菱重工が53年に製造し、た「Mitsubishi 80型」
(写真2)
③ 奇抜なデザインと緑色のペインティングが目を引く英国製 Kitson Mayer 3349 型 (写真3)
ですが、小さく掛かれた説明版を熟読しないと全く気がつきません。
「駅舎」と書かれた場所には、鉄道に関する陳列物が無造作に置かれています。鉄道切手が数
枚陳列されており、日本の鉄道100年記念切手も色あせて飾られています。
人は少なく、ノンビリできますので、子供連れでお弁当でも持ってゆっくりと汽車でも見ながら時
間を過ごすのはいいのですが、もう少し気合の入った博物館であってほしいと思います。
(写真1)
(写真2)
(写真3)
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【投稿のお願い】
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日帰りで行ったサンチアゴ市
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投稿先:日智商工会議所
事務局
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《この記事は日智商工会議所会報 2008 年 2 月号に掲載されました》