コーヒーを1日4杯で死亡率が12%低くなった。 長い間、コーヒーの飲み過ぎは体に悪い、と言われてきたが、今やコーヒーは体に良い という研究結果が続々、報告されている。大腸ガンのリスクが減る、糖尿病に効果があ る、1 日4杯飲めば死亡率は12%低下する……。過ぎたるは及ばざるが如し、どころ か、コーヒーの過ぎたるは体にいい、ということらしい。 「1980年代には、コーヒーを飲むとコレステロール値が上がるというデータが盛ん に出ており、事実、コーヒーを飲むのをやめていた科学者までいたんです」と言うのは、 お茶の水女子大学大学院教授で医学博士の近藤和雄氏である。 「ところが、80年代の後半から、コーヒーは淹れ方次第でその内容が全然違ってくる ことがわかった。北欧などではコーヒー豆を直接、煮沸して入れることが多い。 そうやって淹れたコーヒーには豆の油も含まれているのでコレステロール値が上がる のでは、ということになり、実際に油成分だけを飲むという実験を行なったところ、見 事に値が上がった。それでフイルターで淹れたコーヒーやインスタントは、何の問題も ないということで専門家の間では落ち着いたんです」。それ以後、内外でコーヒーに関 する研究レポートが次々に発表される。 まず、米ミネソタ大学の研究者らが、閉経後の女性約2万9000人を11年間にわた り調査したデータを基に分析。コーヒーを1日6杯以上摂取する女性の方が、摂取しな い女性に比べて、2型糖尿病(生活習慣などによるもの)の発症リスクが22%低いと発 表した。 大腸ガンになるリスクも低下 米国立癌研究所の研究者らの研究は約40万人の50∼71歳の成人が対象。14年間 のデータを検討した結果、コーヒーを飲まない男性と比較して、死亡率が、毎日1杯飲 む男性は6%、2∼3杯の男性は10%、4∼5杯の男性は12%低下したと発表した。 近藤教授の研究ではコーヒーを飲む女性はシミが少ないという結論に達した。 「30歳から60歳の女性 131 入に対して、シミの数とコーヒーの摂取量との関係調査 しました。すると、飲む人の方がシミが少なく、特に1日2杯以上飲む人は極めてシミ が少ないという結果が出ました」(近藤教授)岐阜県高山市民の男女約3万人を対象に研 究を行ったのは、岐阜大医学部の永田知里教授だ。 「コーヒーを1日1杯以上飲む人、1杯未満の人、全く飲まない人の3種類に分け、8 年間追跡したところ、1杯以上飲む人は、全く飲まない人に比べ、大腸ガンになるリス クが低下しているというデータが得られました」なぜ、コーヒーは病気のリスクを減少 させることができるのだろうか。 「メカニズムはよく分かっていませんが、恐らくコーヒーに含まれるポリフェノールが、 活性酸素を除去することによって、老化や病気を予防しているのではないか」(近藤教 授) コーヒーが健康に良いことだけは間違いないようである。
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