QuatRx 社との膣萎縮症治療薬「Ospemifene」 に関する

報道機関各位
平成 22 年 3 月 2 日
塩野義製薬株式会社
QuatRx 社との膣萎縮症治療薬「Ospemifene」
に関するライセンス契約締結のお知らせ
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、
このほど米国 QuatRx Pharmaceuticals Company
(本社:米国ミシガン州、
CEO: Robert L. Zerbe M.D.、
以下「QuatRx 社」)との間におきまして、QuatRx 社の選択的エストロゲン受容体モジュレーター
Ospemifene(一般名)について、全世界における独占的な開発、販売に関するライセンス契約を締結
しましたので、お知らせいたします。
今回の契約締結により、
塩野義製薬は Ospemifene を全世界で開発、販売する権利を取得いたします。
QuatRx 社は、その対価として契約一時金 2500 万ドルを受け取るほか、米国における開発の進展に伴
い総額 1 億ドル以上のマイルストーンを受け取る権利を取得いたします。また、QuatRx 社は、米国以
外の国での承認や販売額に応じたロイヤリティーおよび一定のマイルストーンを、さらに受け取る権利
も取得いたします。なお、Ospemifene は米国において QuatRx 社による第 3 相臨床試験を既に終了し
ており、膣萎縮症の治療薬として、FDA に対して製造販売承認申請を 2010 年中に行なう予定です。
米国子会社・シオノギファーマ社の Patrick Fourteau、President and CEO は、
「私達は、Ospemifene
のポテンシャルに大きな期待を持っています。FDA から承認を得ることにより、米国において、多く
の膣萎縮症の患者さまに、米国初の非エストロゲン製剤による治療の選択肢を提供できることを楽しみ
にしています。このたびの Ospemifene の導入により、シオノギファーマ社の婦人科領域のポートフォ
リオと開発パイプラインがさらに充実いたします」と述べています。
Ospemifene は、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)に分類される薬剤で、乳腺その他の組
織には刺激作用を示さずに、膣上皮にエストロゲン様の刺激作用を示します。2009 年 9 月、QuatRx 社は、
Ospemifene の 2 番目の第 3 相ピボタル臨床試験の結果を公表しました。膣スメアの細胞成熟度指数に
おける旁基底細胞比率の増加と表層細胞比率の増加、膣内 pH の低下、ならびに、患者さまにとって最
も煩わしい症状である中等度から重症の性交疼痛の改善という、4 つの主要評価項目で、統計学的に有
意な改善結果を示しました。最初の第 3 相臨床試験では、Ospemifene 60mg 投与により、膣上皮にお
ける旁基底細胞と表層細胞の比率の改善、膣内 pH の低下だけでなく、膣乾燥感、性交疼痛においても
統計学的に有意な改善を示し、すべての主要評価項目を達成しました。また、1 日 60mg を投与した長
期の安全性試験では、Ospemifene の良好な忍容性が確認されています。
QuatRx 社の Robert L. Zerbe M.D., CEO and Co-Founder は、「私達は、Ospemifene のすべての臨
床試験を終えることができて、大変嬉しく思っています。Ospemifene の臨床研究の結果は、今後、非
エストロゲン製剤が膣萎縮症の治療において重要な役割を担っていくことを示しています。塩野義製薬
は、米国や世界各国における Ospemifene の販売を積極的に展開できる理想的な会社であると考えてい
ます」と述べています。
閉経後膣萎縮症について
閉経後膣萎縮症は膣乾燥感や性交疼痛、刺激感をともなう慢性で進行性の疾患です。閉経に伴うエスト
ロゲンレベルの低下により、膣粘膜内層は薄くなり、弾力性を失う、いわゆる萎縮状態になります。ま
た膣分泌物の減少にともなう乾燥感や刺激感は、しばしば、性交時の痛みや出血の原因となります。閉
経後の女性の45~75%は膣の萎縮を慢性的に経験していると推定され、ほとんどの方がとても煩わしい
と感じています。現在、米国で膣萎縮症に対して承認されている処方薬は、経口製剤と膣外用剤があり
ますが、何れもエストロゲンを含有しています。また、米国で骨粗鬆・乳癌などの適応で承認・上市さ
れているSERMには膣組織への有用性が示されておらず、膣萎縮症の適応で承認されたSERMはありま
せん。
QuatRx社について
QuatRx社は内分泌、代謝、循環器領域における創薬・開発・販売・ライセンシングに特化した製薬会
社で、Ospemifeneのほか、前臨床プログラムと3つの開発候補品の臨床開発を進めています。新規選択
的エストロゲン受容体アンタゴニストであるFispemifeneは、男性における続発性性腺機能低下症に対
する経口治療薬として第2相試験の段階にあります。また、新規選択的甲状腺受容体βアゴニスト
Sobetiromeは脂質異常症治療薬として第1相試験を、新規ビタミンDアナログであるBecocalcidiolは
QuatRx社のパートナーであるGalderma社とともに乾癬治療薬としての第2相試験を実施中です。前臨
床プログラムにおいては、性ステロイド依存性疾患に対する17βヒドロキシステロイド水酸化酵素(17
βHSD)の阻害薬の研究を進めています。また、欧州においては、フィンランド・トゥルクにある子会
社のHormos Medical Ltd.を通じた事業活動を行っております。QuatRx社のプレスリリースおよび会社
情報についてはwww.QuatRx.comをご参照ください。
以
[お問合せ先]
塩野義製薬株式会社 広報室
大阪 TEL:06-6209-7885
FAX:06-6229-9596
東京 TEL:03-3406-8164
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