CEO レター 持続的な成長と 中長期的な企業価値の向上を目指して 代表取締役会長 兼 CEO 企業価値向上経営 への転換 私は2010 年にアサヒビール (株) の社長に就き、 最優先としつつ株主還元の充実など資本効率の 2011 年の純粋持株会社に移行後は、アサヒグルー 向上に取り組むことで 、より企業価値を重視し プホールディングス (株)の初代社長として、企 た経営に転換してきました 。 業価値を重視した経営に舵を切ってきました。 戦略の転換やその進 を受けて、当社の株価は 就 任 当 時 のア サ ヒ グ ル ー プ は 、どちらかと 2013 年4 月には上場来最高値を更新するなど市 言えば事業規模を重視した戦略を掲げ 、長期ビ 場平均を上回るパフォーマンスで推移し、上場す ジョ ンや中期経営計画では 、売上高など P/L を るビール会社の株式価値(時価総額)としてはグ 中心とした目標を設定していました 。その後、 ローバルで4 位グループにまで高まりました。事 株主や投資家の皆様をはじめとするステ ー ク 業規模としては、未だグローバルな存在感は高く ホルダーとの対話を踏まえ、2013 年からスター ありませんが、当社の時価総額やバリュエーショ トした『中期経営計画 2015』では 、重要業績評 ンの向上は、今後のさらなる成長につながる財務 価指標に ROE と EPS の向上を掲げ 、事業成長を 資本のひとつであると認識しています。 今後の経営課題 今後は財務資本だけでなく 、あらゆる資本の 16 強化していく必要があります。 高度化により全てのステークホルダー の満足を 私が社長時代に最も力を入れてきたのは 、人 追求していくことが、企業価値の向上には必要 材育成を中心とした「人的資本の高度化」であり、 不可欠な課題となります。当社の資本における 今後の成長戦略の柱であるイノベーションとグ 主な強みは 、 「ブランド力」 「 コスト競争力」 「人 ローバル化を推進するには 、 「人材(組織)力」を 材(組織)力」 「 社会共創力」にあると考えており 、 いかに高めることができるかに帰結すると考え 培っ てきた強みに磨きをかけていくことで 、人 ています。短期的な業績だけでなく 、すぐには 的資本や自然資本など「見えない資本」をさらに 成果が見えづらい「見えない資本」に対して継続 会社紹介 リーダーシップ ︵マネジメント︶ 版スチュワードシップ・コードや「コーポレー ていくことが 、社会や企業のサステナビリティ トガバナンス・コード」の策定などに伴い、日本 の向上につながるものと認識しています。 企業の経営スタイルや投資家の皆様をはじめと さらに今後の外部環境としては、世界的な景 するステークホルダー の視点は 、より持続的な 気動向が不透明感を増す中、消費の多様化や世界 成長や中長期的な企業価値の向上に増々シフト 的な業界再編など、当社にとっ て多様な「機会と していくものと思われます。 企 業 価 値 創 造 プロセス 的な投資を行い 、将来の財務的な成果に結び付け リスク」が顕在化してきています。加えて 、日本 そこで、当社のありたい姿を示した 『長期ビジョ した環境下では 、過度に数値目標に縛られない ン』については、これまでの基本方針を踏襲しつ 経営戦略の柔軟性を確保するとともに、 『長期ビ つ、10 年程度先を見据えた 事業の将来像 を付加 ジョン』や『中期経営方針』をエンゲージメント・ して更新しました。また従来の 「中期経営計画」 は アジェンダ (建設的な対話の議題)として 、より 『中期経営方針』として改め、これまでどちらか 中長期的な視点で対話を深めていきたいと考え と言えばアクションプラン型であっ た内容から、 経営基盤 企業価値向上経営 のさらなる深化 ています。 私は今後も会長兼 CEO として引き続きグルー に重点を置いた形式に移行しています。 『中期経 プ全体の経営責任を担うことになりますが、後 営方針』では、期限を区切っ た固定的な定量目標 任の社長である小路明善と役割分担をしつつ迅 は設定せず、3 年程度先を想定した主要指標のガ 速に意思決定していく「攻めのガバナンス」体制 イドラインを示しつつ、事業環境の変化などに応 のもとで、 企業価値向上経営 のさらなる深化 じてローリングしていく方針です。 に取り組んでまいります。 今後数年間を見通すと 、国内外ともに不確実 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を 性が高まる中、あらゆる「機会とリスク」が急速 目指すアサヒグループに 、引き続きご期待をい に顕在化してくるものと想定しています。こう ただければと存じます。 財務・会社情報 ESG への取り組みを含め、中期的な経営の方向性 17
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