2016年度 法人事業方針

平成 28 年度 社会福祉法人ヘルプ協会 事業活動方針
近年、極端な高温や大雨の頻度が長期的に増加する傾向の背景には、地球温暖化が関わ
っているとみられている。異例な気候変動による人的被害も深刻になっている。また、深
刻な災害、感染症の新たな広がりも懸念される。
多数の難民がヨーロッパに押し寄せ、泥沼化するシリアでは戦争が憎しみの連鎖につな
がり、ますます混乱が広がっている。国内にあっては安全保障法制が成立した。これから
の数年は日本にとって大きな曲がり角になろうとしている。
当法人は、福祉は平和なくしてあり得ないこと、そして法人理念の人間の尊厳を守る立
場からも常に平和を守る姿勢を大切にする。
2018 年度の高齢者福祉は、介護報酬の厳しいマイナス改定から 2 年目に入り、次期の
改定では以下のようなことが明らかにされている。制度の根幹に関わることであり、国民
生活への深刻な影響がもたらされるだけに懸念される。
1、要介護 1・2 の保険外し
(軽度介護者への「生活援助サービス」を保険の対象から外す-2017 年度)
2、利用料を 1 割→2 割
3、自己負担上限の引き上げ
また、昨年の国会では継続審議となった社会福祉法等の一部改正法案は、主に次の 3
点にその目的があるとされている。
1、「公益性」・非営利性の徹底
2、国民に対する説明責任の遂行
3、地域社会への貢献(※新設予定の 24 条 2 項「日常生活・社会生活に支援を要する
人たちへの無料または低額のサービス」は、社会福祉法人の資産と人材を本業以外に流用
させる。)
また、社会福祉職員等退職手当共済法は第 2 条 4 項から「障害者総合支援法に規定する
障害者支援施設」が削除され、社会福祉職員等退職手当共済制度への公的助成(掛金分の
2/3)が見直されて廃止されることが検討されている。
さらに障害者総合支援法の改定に向けた議論も進んでいる。ここでは自己負担を求める
など制度を大きく後退させる意見がめだっていて、障害者が切実に求める負担軽減は反映
されていない。
日常業務を通してでは、ますます広がる格差社会の実態、厳しさを増す高齢者の年金・
医療・福祉に直面する中で、広く深く地域に根差した取り組みが急務であることを実感し
ている。福祉のまちづくりに積極的に寄与する
1
1.理念・方針の堅持
・法人理念の「協同と信頼を基盤に人間の尊厳と人権を
守る」と5つの基本的な運営方針の徹底を図り、さらな
る具現化に努める。
2.法人機能の強化と組織・人事、・法人経営・運営は本部へ機能を集中させると共に
等の見直し
各事業所間の連携を強化する。
今年度は以下の機能強化を行う。
・機能の集中と機構の ・法人事務局体制を再編し、組織・人事、労務・給
一部変更
与、会計財務、営繕等の管理においての必要な機能
の集約と強化を図る。経営全般についてとサービス
の管理、役職員教育等については役割分担を明らか
にして取り組みを強化する。
・本部として各事業所の会議に参加し、質の高いサ
ービス提供がなされるよう支援を行う。
・各事業所会議の再編 ・各事業所の会議は役職者(所長・主任・管理者・
相談員)会議と全体会議とする。各事業の改善会議
の名称は終了し、事業所間の合同会議とする。
・特養の開設日程に合わせて利用者、利用者の家族、
町内会(自治会)役員、民生委員、老人クラブの代
表、市町村の職員、地域包括支援センターの職員で
構成される運営推進会議を 2 か月に 1 回程度開催す
る。
・デイサービスは引き続き、3 事業所合同会議
・訪問介護はぐろ~りあ、ぶる~む、東野合同会議
・東野サービス付き高齢者向け住宅は東野訪問介護
と東野ケアプランセンター、タカさん家の各所長、
各主任の合同会議を行う。
・地域包括支援センターは地域包括ケアシステムを
法人全体の課題として取り組むために法人内の「地
域包括ケアシステム検討会」で取り組みの検討と強
化を図る。
・のっくおんは、緑化、清掃、のっくおん内作業、
豆ばたけ及び農業の事業部ごとの運営を行う。
・理事会機能の強化
・理事会については、効率的かつ健全な法人運営が
可能となるようその機能を活性化し、形式的な存在
にならないよう法人の執行機関としての経営能力の
向上をさせることが求められており、開催頻度を含
めてその機能の向上を図る。
2
3.財政基盤の強化と職員の処遇 ・全事業の量的・質的な強化を図り、すべての事業
改善
においての黒字化を図る。そして、そのうえで職員
の処遇改善を年度途中においても可能であれば行
う。
そのために、以下を重点項目として強化する。
・財政基盤の強化
・月次予算に基づいて事業実績の評価を行い、経営
の適正化を図り、法人全体の財政基盤の強化に努め
る。各施設の事業活動収支差額比率の目標を具体化
し、すべての事業で黒字化する。
・安定した経営基盤の ・安定した経営基盤確立の重点課題は地域密着型特
確立
別養護老人ホームの開設が決まれば、その安定した
運営並びに東野サービス付き高齢者向け住宅の早期
の満室である。
・(仮称)ぐろ ・基本方針は別紙、地域密着型特養 ぐろ~りあ特
~りあ特別養護 別養護老人ホーム基本方針(案)に記載。
老人ホーム
・開設予定は 8 月 1 日とする。8 月の入居計画は前半
で 50%、後半で 50%とし、8 月末の満室を目指す。
平均介護度 3.8 、9 月~翌年 3 月入居率 95%とする。
・東野サービス ・東野サービス付き高齢者向け住宅はかつてのマイ
付き高齢者向け ナスイメージがようやく払しょくされつつある。利
住宅
用者増の取り組みを引き続き強化し、早期の満室を
目指す。
・平均入居者数は、4 月~9 月 38 人
10 月~翌年 3 月 40 人を目標とする。
・ぐろ~りあ ・地域密着型特別養護老人ホームの開設にあたって
ショートステイは、ショートステイが 4 室になることから空き室の
効率的な運用も行い、経営改善を図る。
・年間の予算、
4 月~6 月 15 日 1日平均 22.8 室 95%
6 月 15 日~7 月 15 日1 日平均 12.0 室50%
7 月 15 日~7 月末 1日平均 22.8 室95%
8 月~翌年 3 月 1 日平均4.0 室100%
・通所介護
・アクティビティや機能訓練、入浴などのサービス
見直しを常に行い、利用者数増加に努める。また、
平成 29 年度に向けて小規模デイサービスのあり方を
検討する。
3
ぐろ~りあ
・アクティビティや入浴等の改善に引き続き取り組
デイサービ むことで利用者 35 人の安定的な利用に努める。
ス
・予算4 月~9 月 平均利用者数 32 人 10 月~翌年 3 月 平均利用者数34 人
平均介護度については昨年 4 月~12 月の実績
・地域包括支援センターが担っていた介護予防デイ
サービス及び自主事業を担当する。
ぶる~む ・訪問看護と契約を行うことで定数を 15 人にして
通所介護
利用者増を図る。
・予算 4 月~9 月 平均利用者数 10 人
10 月~翌年 3 月 平均利用者数 15 人
タカさん家・重度利用者の受け入れを強め、アクティビティに
ついて再検討する。
・予算 年間を通して平均利用者数 9.8 人
・訪問介護
・3 事業所が連携を強めて、コンプライアンスと自立的
ぐろ~りあな内部牽制をいっそう確立・維持した状態で事業を遂行
ぶる~む し、運営の質的・量的な強化を図る。
東野
・ヘルパーの確保は今後とも重要な課題である。さ
まざまな創意や工夫を凝らして確保に努める。
・予算について (1 カ月平均)
ぐろ~りあ
介護保険 100 件 1300 時間
自立支援 ・市町村・自費
80 件 1200 時間
ぶる~む
介護保険 70 件 700 時間
55 件 600 時間
東野 介護保険
4~9 月 25 件 300 時間
10 月~翌年 3 月 28 件 350 時間
・居宅介護支援 ・厳しさを増す高齢者の暮らしに直面する部署であり、
事業所
広く深く地域に根差した取り組みが新規利用者の増加
にもつながることは言うまでもない。
ぐろ~りあ・ケアマネジャー個々の目標を定め、目標に沿って
取り組みを行う。
4
東野ケアプ・東野ケアプランセンターは地域のケアプランを増
ランセンタやす取り組みを強める。
ー
・予算 東野ケアプランセンターと併せて、
介護 220 件、予防 100 件
・相談支援セン ・障害者ケアマネジメントの理念に基づいた包括的な支
ター
援を充実させるために複数体制をめざす。また、伊丹市
の生活困窮者自立相談支援事業及び職場適応訓練推進
事業も引き続き取り組む。
・センターの体制は、常勤職員の採用を行い、所長を 含め 1.5 人体制にする。
・地域包括支援 ・法人内の地域包括ケアシステムに取り組む連携の強
センター
化を図るとともに、担当地域の地域包括ケアシステム
と地域支援事業の取り組みを強める。
・地域支援事業は本年度中に伊丹市の計画に基づいて基
本的な再編と取り組みを始める。
・介護予防プラン 3 職種作成数の合計は 60 件を目標と
する。
・ホーム友紀 ・職員体制を見直し、経営改善を図る。
・伊丹市と協議し利用者増のための新たな住まいの
確保に努める。
・のっくおん ・人権についての教育を強め、支援のあり方につい
て毎週のミーティングのたびに深める。
・法人全体の支援でとうふ等の販路を広げる。
予算について
のっくおん:定数 25 名 利用者数23 名
・事務センター・主要な物品発注については事務センターが法人全
体の一括集約を行うことで経費の節減に努める。
4.中・長期的な展望に立った取 ・中.長期的には、すべての事業で安定した経営を行
り組み
い、新規事業にも積極的に取り組む。
・今年度の新規事業はショートステイ 20 室の転用に
よる地域密着型特別養護老人ホームの開設を行う。
のっくおんにおいては、新たに農業の事業を始める。
5
・地域密着型特別養護 ・地域密着型特別養護老人ホームの開設に向けては
老人ホームの開設
準備とそのために改修工事を行い、8 月 1 日に開設す
る。
・地域密着型特別養護老人ホームの基本運営方針は、
別紙、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
(仮称)ぐろ~りあ特別養護老人ホーム 基本運営方針
(案)」に記載。
・のっくおんとグルー ・障害者と農業の関係については、豊かな自然の中
プホーム開設について で農業を中心とした作業で優しさや思いやり等の人
間性を育み、育てる喜びや達成感、根気、体力等の
基礎的な作業能力を養うことができると言われてい
る。障害者の就労機会を増やすために将来的には就
労支援 B 型事業所の 2 か所目、(仮称)第 2 のっく
おんの開設を目指す。定員は 10 名。主たる事業は農
業と農産物の加工及び販売とする。
・今回の借地 300 ㎡(無料の借地を含め約 362 ㎡)
による農産物の売上額の予測は少額になると予測さ
れることもあり、直売及び収穫した農産物及び購入
によって食品加工・販売の検討を行う。
・グループホームの建設は引き続き検討課題とする。
5.教育・研修の強化
・教育は、法人理念の「人間の尊厳と人権を守るケ
ア」の徹底を図ることが基本的課題である。
・管理職研修
・管理職研修は、自らを健全に統治するセルフガバナン
中堅層職員の教育研修 ス能力を高めるため及び管理職としての力量の向上を
体制の強化
図るための教育・研修を行う。また、リスクマネジメ
ントの研修を協同の苑、ジェイエイ兵庫六甲福祉会
の三法人連携で行う。
・法人内部の研修は、人権についての教育をセレク
ト研修においても取り組み、初任者向けには「介護・
認知症と医療の研修」を継続して行う。
・深刻な事故には至っていないものの職員の交通事
故が相次いでいることから、安全運転講習を本年度
も開催する。
・資格取得の研修
・資格取得の支援は協同の苑、ジェイエイ兵庫六甲
外部研修
福祉会の三法人連携による講座に重点をおいて取り
組む。
6
・外部研修は目的と目標を明らかにして積極的に取
り組む。
6.地域福祉に寄与する
・地域との連携
・地域との連携は引き続き、北園地区をはじめ地域包括
支援センターの担当地区、緑丘・瑞穂の地域で連携した
取り組みを強める。
・三法人の取り組み強 ・協同の苑、ジェイエイ兵庫六甲福祉会との三法人連
化
携では伊丹市が取り組む生活困窮の取組み、三法人責任
者会議の取組み等での連携を強化するとともに、27 年
度にチャレンジした三法人による「定期巡回・随時対応
型訪問介護看護」などの事業連携についても引き続き検
討する。
・社会貢献事業
・伊丹市の生活困窮者自立相談支援事業及び職場適応訓
練推進事業に協力して引き続き取り組む。
・伊丹市が開催する「父がつながり集まる子育てひろば
“ととりば”」に協力して今年度も取り組む。
7.職員の採用
・職員の採用は今後も困難が予測される。特に訪問介護
においては登録ヘルパーの採用が難しくなっている。ハ
ローワーク等に求人を行うだけでなく、機関紙「みんな
の便り」やホームページの活用などの工夫も行う。
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