平成 28 年度 犬山市小中学校長会 犬山市教育委員会 Ⅰ はじめに 計画策定の趣旨 犬山の各学校では、子ども同士、子どもと教師の温かなふれあいの中で「学び」を深め、子どもたちに豊かな人 間性と確かな学力を育むよう創意工夫に努めています。少人数学級による学級編制や少人数授業・TT授業などの 学習環境を活かした教育課程の創造などを学校の創意工夫に委ね、教育委員会が学校を支援するシステムを充実す るように努めています。そして、学びや育ちの連続性・継続性を保障するために、乳幼児期から小学校入学までの 幼児教育や家庭教育の充実を図り、義務教育との円滑な接続を図ります。 また、市民の学習意欲を高め、生きがいのある充実した生活が営めるよう、社会教育・社会体育の領域にわたっ て、学びの機会の提供、指導者の育成、施設の拡充に努めています。 さらに、 「まちづくり」は「ひとづくり」の基本理念のもと、 「犬山」固有の歴史的・文化的資源を再発見・再認 識することにより、地域を愛し、郷土に誇りがもてる人材の育成を推進・促進し、 地域とともに成熟した「市民社会」の構築を図っています。 この「犬山きらめきプラン」は、これらの施策を整理し、次を展望した総合的 な計画としてまとめるものです。教育改革や学校を支援してきた学校教育の施策 をはじめ、社会教育・社会体育の観点や犬山の歴史・文化をふまえた人づくりな どについて、創造する教育の方向性や目標を明らかにするものでありたいと思い ます。 Ⅱ 社会の変化を見据えて 「人口減少・少子高齢社会」 犬山市においては、出生数の減少が進み、年少人口(0~14 歳)は平成 26 年の 10,138 人から平成 32 年には、 約 7,900 人となり、教育を受ける人口の減少が見込まれています。将来の発展を担うのは子どもたちであり、地域 社会が手を携えて、一人一人の子どもたちの教育に関わることが重要です。また、豊富な経験や知識・技能をもつ 高齢者層が地域の教育力として学校の教育活動を支える担い手となっていくことが期待されます。 「グローバル化と地球の環境問題」 地球規模で、情報や資源、人や技術などが交流するグローバル化が進んでいます。こうした社会の変化に柔軟に 対応する力や異なった文化を理解し認め合う力、道徳的な判断力、規範意識などを養うことが大切です。 一方、環境の保全に役立とうとする意識や知識をもった子どもの育成に努めることが求められます。子どもたち が、生涯にわたって地球の環境を護り、グローバル化の社会を持続発展させるため、教育の果たす役割は大きいと 考えます。 「家庭・地域社会の変化」 人々の生活スタイルの変化に伴って、家庭や地域のあり方やその機能も大きく変わってきています。こうした中、 犬山では、地域の人々が積極的に学校の活動に協力しようとする動きも高まってきています。犬山市の各学校や地 域では、この流れを引き継ぎ、子どもたちに関わる人々や諸機関が一体となって教育に取り組む、新たな枠組みを 構築する創意工夫も望まれます。 「学習指導要領の改訂 求められる学力」 現行の指導要領では、教育基本法等に規定する教育の理念を踏まえ「生きる力」を育成すること、知識・技能の 習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視すること、道徳教育や体育などの充実により豊かな心や 健やかな体を育成することなどが盛り込まれています。今後は、道徳の教科化や新たな英語教育の実施など、新し く改訂される学習指導要領の内容を研究し、教育内容や授業づくりを充実させることが大切です。 Ⅲ 基本理念 犬山市教育委員会は、生涯にわたって自ら学び続ける人づくりのため、 「子ども未来課」 「学校教育課」 「文化 スポーツ課」 「歴史まちづくり課」で、 「学びの芽を育む」 「学びの心を育む」 「学びを深める」 「学びを広げる」 をテーマにして、 「犬山の子は犬山で育てる」という基本理念を掲げています。 「学びの芽を育む」 安定した生活の中で周囲からの刺激を受け止め、自分から興味を持って周りと関わり、 様々な活動を展開する中で、 充実感や満足感を感じることで学びの芽が育まれるものと とらえています。 「学びの心を育む」 自ら興味と関心をもって探究しようという意欲であり、 学びの場や機会を通じて育むも のととらえています。 「学びを深める」 継続性や専門性に基づき、外部からの刺激を受けたり、豊かな生活を送ったりすること で深めるものととらえています。 「学びを広げる」 自らの学びに終わらず、仲間や他の学習者・家族・地域住民にまで波及させたり、他の 分野で生かされたり、逆に他の分野のことが相互に生かされたりすることで広げるもの ととらえています。 Ⅳ 8つの方策 1 質の高い学びをつくります。 少人数学級編制と少人数・TTによる授業づくり ❑少人数学級編制 市費負担教員を採用するとともに、校内の努力によ り30人程度の学級編制に努めます。 ❑少人数・TT授業(市・県) 市費と県費の非常勤講師を配置し、きめ細かな授業 を行います。 2学期制の活用・カリキュラムの工夫 ❑2学期制の活用 長期的なスパンで子どもを見取り、授業時数を確保 するなど、一人一人がじっくり学べる授業を展開し ます。 ❑カリキュラムの工夫 犬山市独自の副教本や副教材を活用するなど、2学 期制に合ったカリキュラムづくりを行います。 教職員の資質向上 ❑少経験者研修 若手の教師が経験豊富な教師から授業づくりや学級づくりなどを学ぶ研修会を企画します。 ❑子ども未来園1日体験研修 小学校の1年担任や若手の教師が保育活動を体験し、学校での指導に生かします。 ❑現職教育研究 各学校では、教職員が成果と課題を共有し,よりよい授業や特色ある学校を目指して研究します。 ❑授業改善推進委員会 国語、社会、算数・数学、理科、外国語(英語)の各教科でよりよい授業づくりを進めます。 授業の指導法を工夫改善 ❑授業創造交流会 市内の教職員が集まり、各校における授業の工夫改善の成果を共有します。 ❑学校公開日相互研修 他校の研究授業や研究協議等に参加し、広い視野から授業力の向上を目指します。 ❑授業づくりコーディネーター 実績のある教員経験者が、各小中学校の学級づくりや授業づくりのアドバイスをします。 ❑研究指定(城東中学校) 「自ら探究し、仲間と共に高め合う学びづくり」をテーマに研究を進めます。 2 学ぶ子どもたちを支えます。 未来園・幼稚園・小学校・中学校との連携 ❑幼保小連携推進・子ども未来センターとの連携 幼稚園・未来園(保育園)から小学校への円滑な接続を図ります。 ❑小中連携研究委託 小中学校の連携を深め、系統的な指導や学習を進めます。 特別支援教育の充実 ❑犬山市特別支援教育連絡協議会 特別支援教育に関わる諸機関や代表者で組織し、連 携を深めます。 ❑犬山市教育研究会特別支援教育研究委員会 特別支援教育について、学校間の連携を図ります。 ❑犬山市小中学校特別支援学級連絡協議会 特別支援学級担当者が、交流活動等の充実を図ります。 ❑特別支援教育支援員・介助員などの派遣 学習や生活で困難さのある子どもたちの支援を行い ます。 3 自ら学び続ける気持ちを育みます。 図書館機能の向上、関係機関の連携・強化 ❑図書館司書配置 司書の配置などにより、学校図書館と連携しながら、 子どもたちの読書活動を促します。 ❑生涯学習活動の拠点となる図書館づくり 図書館を生涯学習のニーズに応える中心的な拠点と して位置づけます。 日本語学習等支援の充実、国際理解教育の充実 ❑日本語適応指導教室(県) 羽黒小学校 楽田小学校 南部中学校 母語が異なる子どもたちの日本語理解と学校生活 への適応を図ります。 ❑語学指導員派遣(市) 羽黒小学校 楽田小学校 南部中学校 母語が異なり、日本語を学ぶ子どもたちや保護者 を支援します。 生涯にわたり学ぶ機会の提供 ❑犬山市子ども大学 小学生を対象として、お茶、美術、実験工作、自然 教室などの講座(20 講座)を設けています。 ❑犬山市民総合大学 一般を対象として、いつでも、どこでも、誰でも学 べる魅力的な講座(6学部35講座)を提供します。 ❑市民の生涯学習活動の支援 市民講師や職員を派遣する事業を行い、市民の学び を支援します。 4 心を育みます。 文化芸術の振興・伝統文化の保存・活用 道徳性・社会性の向上 ❑命を大切にする教育 犬山市教育研究会健康教育委員会(性の指導研究部 会)が中心となって、命を大切にする授業の実践や研 究を行います。 ❑道徳教育の充実 学び合いの授業や道徳の時間を中心に、豊かな人間 性の育成に努めるとともに、道徳の教科化に向けて 研究を進めます。 ❑市音楽会 市民文化会館で、市内の小学生が器楽合奏や合唱を 発表します。 (12月3日) ❑児童生徒作品展 小中学生の絵画や立体作品などを展示し、鑑賞しま す。 (12月2日~8日午前) ❑中学校部活指導者派遣 中学校の吹奏楽部に専門的な指導者を派遣します。 ❑歴史文化施設 犬山城、文化史料館、どんでん館や青塚古墳ガイダ ンス施設などの歴史文化施設を犬山の歴史文化につ いての学習拠点とし、小中学生の見学や教職員の研 修の場として活用します。 ボランティア活動の推進 心を育むプロジェクト ❑福祉実践教室 福祉協議会の支援で、手話、点字、車椅子などの体 験学習を行います。 ❑中学生の福祉体験 子育てや保育を体験し、成果を発表します。 ❑犬山こころの歌「未来に向かって」 【小学校】 犬山こども人権宣言「笑顔への誓い」 【中学校】 26年度に制作・策定した趣旨を引き継ぎ、健全な 心を育みます。 5 夢を育みます。 外国語教育・国際理解教育の充実、広く活躍できる知性や技術・技能の育成、キャリア教育の推進 ❑外国語活動・英語教育 NET(英語講師)と連携して、犬山市独自の小学校指導事例集や中学校副教材を活用し、外国語活動・英語学 習の充実と小中連携を生かした学習活動の工夫を図ります。また、平成30年度からの小学校英語の先行実施に 向けて研究を進めます。 ❑ユネスコスクールの理念の共有 ユネスコスクール加盟校(東小学校)を拠点として、持続可能な発展のための教育(ESD)の視点に立った学 習指導を推進し、その輪を広げます。 ❑キャリアスクールプロジェクト(県) 学校と地域が連携し、中学生が職場体験などを通して前向きに自己の将来を設計するとともに、働くことの意 義、責任感などの社会性を身につけます。 ❑地域に学ぶ・語り継ぐキャリア教育推進事業(県) 【池野小】 地域の方々の協力を得て、子どもたちが働くことや自分の生き方について学ぶ場を設定します。 ❑キャリア教育の推進 小中学校それぞれの発達段階に応じ、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現するため の力を養います。 理数教育への興味・関心や知的探究心を高める取組と理数教育にかかわる教員の資質向上 ❑算数・数学少人数授業 きめ細やかな指導・支援により、思考力や応用力・活用力の育成を図ります。 ❑理科TT授業 複数の教師で役割を分担して指導し、実験や観察などの学習を充実します。 ❑算数・理科の教材・副教本を活用した授業づくり 教師の手作り教材や地域素材を取り入れ、魅力ある授業づくりを進めます。 ❑地域の力や素材の活用 モンキーセンターや京大霊長研と連携し、子どもたちの科学への興味関心を高めます。 ❑地域の宝(人・自然・文化・歴史伝統・産業)に学ぶ 多様な知識や経験をお持ちの人材や特色ある地域性を生かした学習を進め、地域への関心や愛着を育みます。 ❑犬山市霊長研・JMC小中連携プロジェクト【犬山北小・城東中】 世界的研究機関である京大霊長研と日本モンキーセンターの協力で、最先端の科学に触れる学習を展開します。 6 身体を育みます。 スポーツの振興 ❑羽黒中央公園(ハグスポ) 体育館や多目的スポーツ広場の有効活用など、様々なスポーツを通じた市民の健康増進を図ります。 ❑スポーツ教室・スポーツ大会 体育協会等と協働して、特色あるスポーツ事業を展開します。 ❑中学校部活指導者派遣 地域の意欲あるスポーツ指導者が各中学校の運動系の部活動をサポートします。 ❑マラソン大会 市内最大のスポーツイベントを通して、スポーツへの関心を高め、市民の健康づくりに寄与します。 食に関する指導の充実、規則正しい食生活の啓発 ❑自校で給食調理 各学校の給食室で調理し、安心・安全な給食を提供します。 ❑栄養職員配置 県費栄養教諭、栄養職員が配置されていない小中学校に市費で配置しま す。 ❑食に関する調査研究 栄養教諭、栄養職員が中心となって研究を進め、食生活の向上を図り ます。 心身の健康づくり 安全教育 ❑学校安全研究校(県) 南部中学校 安全教育を推進し、心も体も 健やかな生徒を育てます。 ❑全国健康づくり推進校(国) 東部中学校 健康教育を推進し、健康づく りに進んで取り組む生徒を育 てます。 7 子どもたちの安心・安全に努めます。 子育て支援の促進、児童虐待・ネグレクトの防止・対応 ❑関係諸機関との連携 健全な子どもの成長の観点から福祉・医療などの諸機関との連携を密にします。 日常の安心・安全 ❑安心・安全な給食の提供 生産者の顔が見える安心・安全で新鮮な地元の食材を使った給食の提供に努めます。 ❑犬山市通学路安全対策連絡協議会 交通安全・防犯・災害など、通学路での安心・安全について連携を深めます。 いじめ・不登校等への対応の充実、相談体制の充実 ❑スクールカウンセラー派遣事業(県) 専門家を学校へ派遣し、教職員・保護者へカウンセリングを行います。 ❑いじめ問題対策連絡協議会(市) 学校や教育委員会、関係諸機関で組織して連携を深め、いじめの防止や早期解決に努めます。 ❑適応指導教室「ゆうゆう」 不登校の子どもたちが学校に復帰できるよう、一人一人のニーズに合った支援を行います。 ❑青少年センターの機能強化 青少年を地域ぐるみで支援できるよう、ネットワーク形成を図り、支援や相談活動を行います。また、情報モラル やマナーの啓発に努めます。 8 学ぶ環境を整えます。 教育環境の整備、学校施設・設備の整備 ❑教育環境の整備 子どもたちが安心して学べる学校の生活環境を整えます。平成28年度については、中学校のトイレ改修を進め ます。 ❑校舎改修計画 楽田小学校の体育館や北舎の改築に向け、基本設計の策定を進めます。 ❑学校間ネットワーク 学校間ネットワークを通して、ICTの効果的な利活用に取り組みます。 ❑図書館ネットワーク 市立図書館と学校図書館のネットワークを活用し、図書利用の利便性を高めます。 Ⅴ 犬山の学校(学校区、学級数、児童生徒数) 犬山中(21+①学級) 680 名 犬山北小(19+②学級)535 名 H28.4.7 現在 城東中(18 学級) 601 名 図の例: 犬山南小(18+②学級)495 名 犬山北小は、犬 犬山西小(21 学級)622 名 山中と城東中に 栗栖小(3 複式学級)19 名 進学することを 城東小(28+④学級)867 名 東部中(11 学級) 307 名 凡例 表します。 今井小(2+2 複式学級)30 名 ①学級: 東小(15+②学級)392 名 少人数学級編制 池野小(6 学級)123 名 南部中(16+①学級) 503 名 羽黒小(17+③学級)486 名 のために増やし た学級数。 楽田小(21+③学級)658 名 犬山幼稚園 120 名 小学校(10 校)児童 4227 名 中学校(4校)生徒 2091 名 子ども未来園(13 園) 1089 名 幼稚園(1園)120 名 子ども未来園(13 園)1089 名 ※幼稚園・子ども未来園については公立のみ記載 Ⅵ 犬山の人的支援 子どもたちの支援ができるよう、また少人数の学級編成、少人数授業やTT充実のため、人的な支援 を中心に学習環境の整備に努めます。 ❑小学校(10 校)に関するもの 少人数の学級編制や教師が授業に専念するために ❑中学校(4校)に関するもの ◇学級担任ができる市費負担教員を配置 少人数学級編制が実現します。 少人数やTTの授業の充実、指導力向上のために ◇小中学校に非常勤講師を配置 小学校の算数、中学校の数学・英語については少人数授業やTT、小中学校理科についてはTTの授業を充実させるこ とができます。 ◇授業づくりコーディネーターの巡回 実績のある教員経験者が各小中学校の要請で訪問し、学級づくりや授業づくりのアドバイスをします。 ◇経営調整室長 市費負担教員、市費非常勤講師、NETをはじめとする市費採用の教職員について、資質や指導力の向上のため研修の 機会を設けたり助言を行ったりします。 子ども個々の支援や相談活動のために ◇小中学校に特別支援教育支援員・介助員などを配置 通常の学校生活や学習で困難さを感じている子どもを支援します。 ◇適応指導教室「ゆうゆう」 (犬山福祉会館内) 不登校児童生徒の学校復帰に向けた指導・支援を行っています。 時代の要請に応えるために ◇14の小中学校を5グループに分け、5名のネイティブの英語指導講師(NET)が各グループを担当して巡回 小中連続して子どもたちが外国語活動や英語に慣れ親しむよう、NETが授業を支援します。 ◇市費負担栄養職員 自校での調理による安心・全な給食と食育のため、県費栄養職員・栄養教諭が配置されていない小中学校に配置します。 ◇語学指導員の配置 母語が異なり、日本語を学ぶ子どもや保護者のために語学指導員を派遣しています。 ◇市費負担事務職員を全小中学校に配置 市費負担の常勤・非常勤講師などの事務手続きをしたり、県費事務職員とともに学校の事務処理を行ったりします。 その他の支援 ◇図書館司書5名が各小学校を巡回、2名が各中学校を巡回 図書館の書籍選定、子どもたちの図書館利用や読書活動を支援します。 ◇部活動指導者の配置 4中学校の運動部、吹奏楽部を支援します。 ◇全小中学校の環境整備(校務支援員)を委託 1学級の児童数を減らすために、 本来学級担任をもたない教師を学級担任とし、 その教師が授業に専念できるよう除草、 清掃、樹木剪定、施設の修繕などを委託します。 犬山市教育委員会 〒 484-8501 愛知県犬山市大字犬山字東畑36 TEL 0568-44-0350 FAX 0568-44-0372
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