2-1.環境の現状

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環境の現状
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環境汚染
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2-1.環境の現状
1.環境の現状
フランスは非常に変化に富んだ国土に恵まれているが、土地利用については国土の大半が
農地として利用されている。国土面積 5,500 万ヘクタールの半分は耕作地か牧草地で、42%
が自然地(岩地、水面、荒地、森林、生垣、野道、ポプラ木立など)、8%が建物や舗装に
被われた人工地表である。建築面積は 1994 年から 2004 年の間に+14.7%と増え、また道
路・駐車場は+10.2%、非建築人工地表は+18.7%と、人工地表の範囲が急速に広がってい
る。
2006 年現在、フランスには国立公園7カ所があり(うち 1 カ所はグアドループ)、毎年約
700 万人のビジターを受け入れている。国立自然保護区はコルシカを含め 157 カ所で(うち
海外県 13 カ所)、55 万 2,546 ヘクタール(地表 43 万 244 ha、海洋 12 万 2,301 ha)の自然を
保護するとともに、年間 500 万人以上のビジターを受け入れている。
この数年来、フランスでは地域レベルでの大気汚染監視システムを推進してきた。このシ
ステムは、Atmo 指数1を用いて住民に地域の大気汚染情報を毎日知らせるものである。2006
年の汚染状況は、対象市街地 59 カ所のうち大気の質が不良とされる日(指数 8 以上)が全
くなかったのが 10 カ所、1 日が 11 カ所で、最多不良日数は 19 日だった。フランス南東部と
東部の市街地において、夏季に Atmo 指数が最も悪化している。
2005 年には、全国 3,222 カ所の管理遊泳区域のうち水質優良区域は 57.7%、遊泳可が
37.6%、一時的汚染発生区域が 4.5%、水質が悪く遊泳不適とされた区域は 0.2%だった。
2005 年のフランスの環境対策費は 352 億ユーロだった。1990 年以降、環境対策費は年平
均 6%の割合で増えている。2005 年には、環境投資が増額されたために環境対策費が大幅に
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Atmo 指数:人口 10 万人以上の市街地において、大気の状況を1(非常に良い)から 10(非常に悪
い)で表して住民に知らせるもの。
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伸びた。環境関連の雇用は 2005 年には推定約 37 万 4,000 人で、前年に比べ 9,000 人分(+
2.5%)の雇用が創設されている。雇用創設が最も多かったのは、廃棄物(+6,400 人)と生
物多様性・景観(+2,000 人)、水(+1,200 人)の分野だった。
EU諸国の水源量と摂取量
(単位:100 万㎥、年間)
*長期の年間平均
ブルガリア
水源量
総摂取量(2003 年)
㎥/人
19,433
6,918
882
-
215
300
16,340
668
124
111,133
37,221
909
21,114
1,413
1,038
-
120,000
33,163
559
21,033
2,067
254
109
リトアニア
-
24,500
3,327
961
ポーランド
63,100
11,728
307
チェコ
15,977
1,908
187
ルーマニア
42,293
6,500
299
スロヴァキア
80,326
1,041
194
スロヴェニア
32,092
899
451
スウェーデン
179,000
2,676
300
キプロス
デンマーク
スペイン
エストニア
フランス
ハンガリー
ラトヴィア
10 万人以上の都市圏の大気汚染状況*
(2006 年)
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2.環境汚染
フランスの廃棄物年間排出量(農業廃棄物を含む)は、推定約 8 億 4,900 万トンである。
一般産業廃棄物は 2004 年推定値で 2,100 万トン、建設・公共事業の廃棄物は 3 億 4,000 万ト
ン、危険廃棄物は 900 万トンだった。市町村の責任で収集・処理される家庭ゴミ等の廃棄物
の量は 2004 年には 3,340 万トンで、そのうち 2,900 万トンが家庭から出されている。数年前
から家庭ゴミが減ってきており、住民 1 人当たり年間排出量は 2005 年には 350kg だった。
資源ゴミの推定回収率は、ガラス 60%、紙類 81%である。容器・包装材全体の 2005 年の回
収率は 53%だった。
1995 年以来、処分場蓄積を廃棄物の最終処理とする割合が EU 加盟国全体で減ってきてい
る(1995 年 65%から 2005 年 45%)。しかしながら、ポーランドとリトアニアでは主に処
分場蓄積に頼っている(92%と 90%)。処分場蓄積への依存度が非常に低いのは、オラン
ダ(1.5%)とデンマーク、スウェーデン(5%)である。廃棄物の焼却処理は、EU27 カ国
で 1995 年から 2005 年の間に 14%から 18%へと増えている。これは、焼却処理を全くやっ
ていなかったポルトガルとチェコがそれぞれ 22%と 13%とし、スウェーデンも 39%から
50%に増やしていることなどのためである。また、東欧を主とする約 10 カ国では焼却処理
は皆無である。ドイツ、オランダ、スウェーデンでは、廃棄物の半分以上がリサイクルかコ
ンポスト化されている。
京都議定書の枠組みに従い、EU では 2008 年から 2012 年の間に温室効果ガスの排出量を
1990 年のレベルより 8%削減すると決定した。フランスの目標は、排出量を 1990 年のレベ
ルに維持することである。EU27 カ国の温室効果ガス排出量は、2004 年から 2005 年の間に
0.8%減少している。1990 年から 2005 年を通算すると全体で 7.9%減っているが、国別に見
ると、リトアニアの-53%からスペインの+53.3%まで増減の度合いに大きな差が見られる。
フランスの温室効果ガス主要 6 種類の排出量は、2005 年には CO2 換算(LULUCF2除く)
5 億 5,300 万トンで、1990 年から 2005 年の間に 1.9%減少している。CO2 と HFC の増加分を
CH4、N2O、PFC、SF6 の減少分が相殺し、全体ではやや減る結果となった。温室効果ガス
の排出量は、その年の気候条件によっても左右されるものである。
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LULUCF(Land Use, Land-Use Forestry) :土地利用、土地利用変化及び林業
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EU 諸国の市町村のごみ収集量
(単位:kg/人)
1995 年
2000 年
2005 年
ドイツ
533
610
601
オーストリア
438
581
630
ベルギー
456
467
464
キプロス
600
680
739
デンマーク
567
665
737
スペイン
510
662
597
エストニア
368
440
436
フィンランド
414
503
468
フランス
476
516
543
ギリシャ
302
408
438
ハンガリー
460
445
459
アイルランド
514
603
740
イタリア
454
509
542
ラトヴィア
263
270
310
リトアニア
424
363
378
ルクセンブルグ
592
658
705
マルタ
338
547
611
オランダ
549
616
624
ポーランド
285
316
245
ポルトガル
385
472
446
チェコ
302
334
289
イギリス
499
578
584
スロヴァキア
295
254
289
スロヴェニア
596
513
423
スウェーデン
386
428
482
EU25 ヶ国
459
525
526
ブルガリア
693
516
463
ルーマニア
350
363
382
EU27 ヶ国
458
518
518
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