原子の発光スペクトル 目的 元素の発光スペクトルを分光法で観察し、光学、量子力学の基礎を理解する 概略 水素、ヘリウム、その他の原子の発光スペクトルを観察、撮影し、リュードベリの公式を用 いて発光波長を求める。 実験器具 分光器(ジョバンイボン社製、HR320) 、回折格子(300 line/mm)、ランプ用光源(水素、 ヘリウム、アルゴンなど) 、デジタルカメラ 実験 ① 下準備(文献調査) 原子の発光メカニズム、その他本実験に必要と思われる事柄について調べ、要点をまとめ る。インターネットを使わずに調べること。実験開始前に質疑応答を行う。予習していると、 即実験開始できる場合もある。原子の発光については、「リュードベリ」(または「リドベルク」) 、 「ボーアの原子モデル」をキーワードに、量子力学の参考書を調べるとよい。例として、図書 館にある参考書を文末に挙げる。 以下、②~⑤は順序が入れ替わってもよい。 ② 戦略の考案 写真撮影した発光スペクトルとリュードベリの公式から導いた発光波長を使って、未知の 発光波長を求める。そのために、どうすれば未知波長を特定できるか、戦略を考える。 ③ スペクトルの撮影 発光スペクトルを撮影する。発光波長を精度よく測定するために、撮影条件をよく考慮し ておくこと。 光源にランプを設置し、カメラの最適撮影条件(ピント、露出時間)を決める。分光器の 出口面に焦点を合わせるとピントが合う。薄紙を出口面に装丁してスペクトルを投影させ、 そこにピントを合わせると容易である。 まず、水素のスペクトルを撮影する。3 本(赤、水色、青)のスペクトルが見えることを 確認する。撮影時は振動防止のため、リモコンでシャッターを切る。続いてヘリウムの発光 スペクトル撮影を行う。発光強度は光源によって異なるため、適宜露出時間を調節すること。 余力があれば、その他の元素についても撮影を行う。 1 ④ 水素の発光波長の算出 リュードベリの公式より、観察できると思われる水素の発光波長を算出する。 ⑤ データ解析 ヘリウム、その他の元素の発光波長を求める。妥当な測定値が得られていれば、実験終了。 レポート作成 一般的な学術論文の形式で作成する。その際、構成、言葉遣い、図表の表し方、参考文献の 示し方など、論文作成の基本事項に注意する。実際の論文や文末の付録を参照しながら作成す ること。2段組みにする必要はない。 データ解釈における付随事項 得られた発光波長を NIST のデータベースにある値と比較し、それぞれどのバンド間遷移の 軌道に相当しているか調べるとよい。 NIST データベース: http://192.104.15.35/cgi-bin/AtData/lines_form 【参照文献】全て 図書館の4F開架 にあります 1.量子力学入門-MIT物理;1/A.P.フレンチ,E.F.テイラ-/共著 421.3/F46/1 2.量子力学/佐川弘幸/清水克多郎/著 421.3/Sa16//A09 3.量子力学;2/清水清孝/著 産業図書 421.3/Ka95/2 4.量子力学;1/原田勲/杉山忠男/著 421.3/R97/1 5.なっとくする演習・量子力学/小暮陽三//著 421.3/Ko26/ 6.今日から使える量子力学/岸野正剛/著 421.3/Ki58/ 7.量子力学-基礎と物性/岸野正剛//著 421.3/Ki58/ 8.量子力学基礎/末光眞希/枝松圭一/著 421.3/Su17/ 9.工学系のための量子力学-量子効果ナノデバイスの基礎/上羽弘/著 421.3/U31//A05 10. 工学系のための量子力学/上羽弘//著 421.3/U31/ 11. 絵でわかる量子力学/都筑卓司//著 421.3/Ts99/ 12. なっとくする量子力学/都筑卓司/著 421.3/Ts99/ 2
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