実態調査 - 情報労連

実態調査
政策局リポート Vol.23
●グラフ1 部分在宅勤務の効果
0
20
40
回答比率・%
60
80
定形的業務効率向上
0
10
20
30
40
50
60
70
時間管理が難しい
自己管理能力の向上
ゆとりと健康的な生活
評価が難しい
移動時間の短縮効率化
コミュニケーションに問題
顧客満足度の向上
企業イメージの向上
コストがかさむ
人件費の削減
オフィスコストの削減
セキュリティ確保に不安
優秀な人材の雇用確保
取引先や親会社との関係
仕事と育児介護両立
高齢社員への対応
その他
回答比率・%
100
適した仕事がない
創造的業務効率向上
障がいある社員への対応
●グラフ2 部分在宅勤務を実施しない理由
メリットがわからない
情報産業
JIL調査
情報労連調査
JIL調査
どう進めてよいかわからない
設問を設定した。
テレワークの効果については、すべて
する不安等から、導入に踏み切れない企
テレワークの実施状況は、本調査では
の区分において「移動時間の短縮効率化」
業が多いことが推測される(グラフ2)。
「完全在宅勤務」で6.2%、
「部分在宅勤務」
が高い回答比率となっている。「完全・
で8.5%、
「モバイルワーク」で6.8%、
「セ
部分在宅勤務」に限っては、「仕事と育
カンドオフィス」で4.6%が実施してい
児介護の両立」が高い回答率を占める結
る(注)との回答を得た。これをJILの
果となった。このことから、テレワーク
調査結果と比較すると、「完全在宅勤務」
を導入するにあたって、業務上の効率化
と「部分在宅勤務」ではJILの調査を上
を目的とするよりも、社員の仕事と家庭
今後の課題
回る結果となったが、
「モバイルワーク」
生活の両立支援を目的としていることが
今回のテレワークの調査結果からは、
と「セカンドオフィス」ではJILの調査
わかる(グラフ1)。
企業におけるテレワークに対する考えを
を下回る結果となっている。
では、テレワークを実施していない企
垣間見ることができたと考えられる。ワ
本調査で実施比率の比較的高い、「部
業では、何が理由で導入していないかと
ーク・ライフ・バランスの実現に向けて
分在宅勤務」について企業規模別にみる
の設問では、「セキュリティ確保に不安」
は、テレワークは一定の効果のある施策
と、100人未満規模で4.9%、100~299
「時間管理が難しい」「コミュニケーショ
労働時間の管理や
情報共有などが課題
であることから、クラウドコンピューテ
人規模で10.5%となっており、中小企業
ンに問題がある」が上位となっており、
ィングなどの技術やセキュリティに配意
においても積極的に導入されている状況
とりわけ「セキュリティ確保に不安」は
したシンクライアント端末などが普及す
「完全・部分在宅勤務」において50%を
ることで、テレワークの導入に対するハ
にある。
社内における実施部門についての問い
超える回答となっている。
ードルは今後下がる可能性は大いにある
に対しては、
「すべての部門で実施」と
「一
この反面、「メリットがわからない」
と考えられる。その反面、労働時間管理
部の部門で実施」がほぼ同じ数字となっ
は10%以下の結果となっていることか
や社内コミュニケーションといった、労
ており、
「一部の部門で実施」している
ら、テレワークに対するメリットは企業
務管理等のあり方については、さらに導
場合の実施部門ではソフトウェア開発部
においても感じているものの、事業運営
入を加速させるために検討すべき課題で
門が一番多くなっている。
に影響を与えかねないセキュリティに対
ある。
(注)実施している割合は「会社の制度として認める」「裁量や習慣として実施」の合計割合
REPORT 2011.4 20
ソフトワーカー労働
〈概要〉
34万3000円、2008年 が 約33万8000円、
1993年から行ってきた「ソフトワー
2010年が約32万8000円と減少傾向を示
カー労働実態調査」は、2010年調査で
している。45歳ポイントにおいても35
18回目を数えることとなり、今回の調査
歳ポイントと同様の傾向となっており、
では、組織内外を含めて、これまでで最
2005年と比較すると、2010年では約1
に焦点を当てた設問項目を設
も多い306社の協力を得ることができた。
万2000円低下して約43万5000円となっ
けて企業の導入実態などを探
今回の調査の内容は、賃金や労働時間
ていることがわかった。
った。その概要を報告する。
などの労働条件に関する継続的な調査に
労働時間に関する調査では、年間所定
(才木誠吾・政策局中央執行委員)
加え、「情報労連 情報サービス政策」
内労働時間は1882時間、年間時間外労
18回目の実施となった「ソ
フトワーカー労働実態調査」
では、ワーク・ライフ・バラン
スの実現に向けた一つの施策
と考えられる「テレワーク」
でも提起しているワーク・ライフ・バラ
働時間は234時間、年間年休等取得時間
ンスの実現に向けた一つの施策と考えら
は82時間、年間総実労働時間は2027時
れる「テレワーク」についての設問を多
間であった。
く行った。
2005年調査結果からの傾向を見てみ
なお、今回の報告書において、労働条
ると、まず年間の所定労働時間は年間の
件に関する項目では過去5年間での比較
休日数の違いなどにより若干の増減はあ
を行ってみるとともに、テレワークに関
るものの、1880時間程度で推移してい
しては、一般的な調査である2008年に
る状況にある。年間総実労働時間では、
JIL(労働政策研究会・研修機構)が行
2006年調査結果の2100時間をピークに
った調査結果との比較を行った。
減少傾向を示しており、2010年調査結
果 を 比 較 す る と73時 間 減 少 し て い る。
この要因として、時間外労働が2006年
35歳と45歳で
賃金水準が低下
モデル賃金と労働時間
調査結果をピークに69時間減少してい
ることから、①時間外に関する規制が進
んだこと②景気後退に伴う仕事の減少
─ が考えられる。
まず、労働条件に関する調査では、年
齢ポイント別モデル賃金、労働時間の推
移についての傾向を見てみる。
大卒のモデル賃金は25歳ポイントで
約22万3000円、35歳ポイントで約32万
8000円、45歳ポイントで約43万5000円
21 REPORT
2011.4
WLBの充実が導入目的
不安要素は、セキュリティ
テレワークの導入実態
となった。
次に、テレワークに関する調査結果に
各年齢ポイントにおける過去5年の
ついて見てみる。
推移を見てみると、25歳ポイントでは、
冒頭でも触れたが、今回はJIL調査と
2005年が約22万3000円、2008年が約22
の比較を行うことから、テレワークの区
万8000円、2010年 が 約22万3000円 と
分を「完全在宅勤務」
「部分在宅勤務」
「モ
なっており、ほぼ横ばいの状態であるの
バイルワーク」
「セカンドオフィス」の
に対し、35歳ポイントでは、2005年が約
四つに設定し、それぞれについて同様の