(フィリピン) 【Travel Tour Expo 2013】 CLAIR シンガポール事務所では

別紙 1 (フィリピン)
【Travel Tour Expo 2013】
CLAIR シンガポール事務所では、フィリピンにおける日本の地域 PR および訪日旅行の調査
のため、フィリピン・マニラで開催された旅行フェア「Travel and Tour Expo 2013」(以下
「TTE」という。
)に参加した。
今回の TTE では、日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所が設置した Visit Japan パビリ
オン(以下「VJ パビリオン」という。)において、在フィリピン日本国大使館と協力して観
光 PR 等を行ったため、その様子を下記のとおり報告する。
1
開催概要
TTE はフィリピン旅行業協会(PTAA: Philippine
Travel Agencies Association)が主催するフィリピ
ン最大規模の国際旅行博覧会であり、昨年度と同様、
フィリピン富裕層が主な購買層である同国最大のシ
ョッピングモールに隣接した SMX Convention Center
を会場として開催された。
TTE は年1回の開催であり、一般来場者が各旅行会
社・航空会社のブースで販売される旅行商品を購入
することができる。また、各国の政府観光局(以下
会場の SMX Convention Center
「NTO」という。)のブースなども出展し、旅行業者と各国関係者の情報交換の場であると共
に、各国の NTO が一般来場者へ各国の観光情報や文化を PR することができる。
今回の TTE では、日本のほか、アジア、北米、欧州、中近東等の各国 NTO 及び政府関連
機関も多く出展した。
(1)
開催日
2013 年(平成 25 年)2月 15 日(金)~17 日(日)
(2)
場
3日間
所
SMX Convention Center Mall of Asia Complex Hall 1 to 4
(3)
入場料
一般 50 ペソ、高齢者 20 ペソ
(一般約 115 円、高齢者約 46 円:
2013 年2月 15 日現在1ペソ=約 2.29 円。以
下同じ)
(4)
出展団体数
261 団体、536 ブース
(5)
来場者数
76,607 人
(6)
総売上額
1
別紙 1 約 365,000,000 ペソ(約8億 3,585 万円)
2
VJ パビリオン概要
VJ パビリオンは、ショッピングモール側に一番近
い、来場者全員が立ち寄ることの出来る入口正面に
設置され、日本各地の観光パンフレットの配架・配
布、ミニステージにおける様々なイベントが実施さ
れた。また、日本のイメージとして定着している桜
を中心とした装飾で来場者の注目を集めた。
TTE では、主催者がフィリピン国内参加者・国際
参加者の各分野において各種表彰を行っており、VJ
パ ビ リ オ ン は PTAA か ら 高 評 価 を 受 け 、 Best in
桜の装飾を施した VJ パビリオン
Marketing Effort の International Pavilion 部門
で Grand Prize(第1位)を受賞した。
(1)
出展団体
VJ パビリオン内の「Visit Japan ブース」においては、在フィリピン日本国大使館、
JNTO バンコク事務所及び CLAIR シンガポール事務所のほか、株式会社サンリオエンタ
ーテインメント、ホテルユニバーサルポートが参加し、それぞれの団体及び機関の共
同のもと、一体となった観光 PR・集客宣伝に努めた。
この他、VJ パビリオン内においては、同じ「日本」をイメージした統一感を出した
装飾を施し、航空会社(ANA 及び JAL)とフィリピン国内で主に訪日旅行商品を取り扱
う旅行会社2社(ATTIC TOURS 及び UNIVERSAL HOLIDAYS INC)が出展し、日本の観光
案内プラス訪日旅行販売、といったシナジー効果を十分に発揮したプロモーション活
動が展開された。
(2)
ミニステージでのイベント
ANA キャビンクルー及び機内提供ワインの紹介、
折り紙の指導及び過去の特選 CM 集の紹介(JAL)
、
極真空手パフォーマンス、たい焼き・寿司の調理実
演、クイズなど、日本の文化紹介・企業 PR 等の多
数の催しが行われ、多くの来場者の注目を集めた。
また、16 日(土)
・17 日(日)と2日間にわたり
実施された人気キャラクター「ハロー・キティ」の
パフォーマンス及び記念撮影会には、特に多くの親
子連れや女性客が集まり、VJ パビリオンの賑わいに
花を添えた。
フィリピンでもキティちゃんは大人気!
(3)
日本各地に関する観光案内
当事務所は、JNTO バンコク事務所の協力のもと、日本各地のパンフレットや総合情
2
別紙 1 報パンフレットなどをブースにて配布し、来場者の質問に対応した。
また、一般来場者に対する訪日旅行に関するアンケートを実施し、フィリピンの訪
日旅行事情の情報収集に努めた。
なお、各旅行業者によるブースへの訪問が多かったため、旅行業者へも日本の各地
域観光情報を伝えることができた。
3
フェアの様子
(1)
訪日旅行の状況
フェア1日目の2月 16 日(金)朝、会場で
ある SMX Convention Center 前には、開場前を
待つ多くの人々が集まっており、当フェアに関
するマニラ市民の期待と関心を伺うことがで
きた。当フェアにおいては、TTE プロモーショ
ン価格のエアチケット、ツアー等が発売されて
いるとのことであり、特に、航空会社、エアチ
ケットの販売ブースには長蛇の列が開場早々
VJ パビリオンの来場者
できていた。
フェア開催期間の3日間、会場内の通路は多くの来場者とその熱気にあふれ、VJ パ
ビリオンでも客足が絶えることは全くない状況であった。
来場者から寄せられた質問及び会場内の旅行会社からの聞き取りによると、フィリ
ピンからの訪日旅行では、現在も東京~大阪間のいわゆる「ゴールデン・ルート」の
人気が非常に高い。
これはフィリピンでの訪日旅行がそれほど盛
んではなく、東京、大阪及び京都(その他北海
道など)以外の地域名が、未だフィリピン国内
に浸透していないことも要因であると考えられ
る。フィリピンの旅行会社であっても東京、大
阪、京都及び北海道以外の地域をよくわかって
いない会社も多いため、これら以外の地域に関
しては日本の地理情報の解説から情報提供及び
来場者からの質問に答えるスタッフ
PR を実施する必要がある。
現在、旅行商品として販売されているパッケージとしては、東京、大阪、京都など
を含むゴールデン・ルートや北海道がほとんどで、一部九州や中部地方などを扱って
いる旅行会社もあるが、数としては圧倒的に少数である。
一方では、今回のフェアにおいては FIT(Free Individual Travel:個人手配旅行)
による旅行者がだいぶ増えてきたような印象を持った。公共交通機関による移動時間
や各地のおすすめのレストラン等ついての質問が、以前よりも多く寄せられた。
また、フィリピンにおける旅行フェアにおける特色としては、VJ ブース前を通る来
3
別紙 1 場者のほとんどが陳列されている日本各地の観光案内パンフレットを次々に手に取り、
持って帰ることである。他の東南アジア諸国における旅行フェアでは、訪日旅行に興
味のある来場者のみがパンフレットを持っていき、用意したパンフレットすべて無く
なることはないものの、今回のフェアでは、最終日において1種類を残しすべての観
光パンフレットが無くなってしまうといった状況であった。
VJ ブース運営をお手伝いいただいた現地コ
ーディネーターの方のお話によると、フィリ
ピンでは近年国民の所得が上昇し、訪日旅行
に関する関心が高まっているものの、日本各
地に関する情報量が少ないため、前述のよう
な状況になっているのであろう、とのことで
あった。
(2)
日本の観光パンフレットを手に取る来場者
来場者から受けた質問等
○
桜の開花時期及び花見の名所はどこか。
(今回、この質問が一番多かった)
○
東京から大阪までの距離、所要時間及び両都市の観光名所など
○
大阪の観光名所について・大阪のパンフレット提供要望
○
訪日旅行のベストシーズンについて
○
ツアー、パッケージ情報はないか。ホテルリストはないか。ホテルの価格リストは
ないか。
○
JR パスについて詳しく教えて欲しい。
○
フィリピンから日本への就航路線は何があるか。
○
富士山への行き方、どこからよく見えるか。
(3)
○
など
今回のフェアで気づいた点、フィリピンにおける旅行フェアの特徴など
多くの旅行会社の社員が、VJ カウンターを訪れた。エージェント用のパッケージはない
かという質問と、ポスター提供の希望が多かった。
○
持ち運び用の袋が欲しい、という人が多かった。シンガポール及びマレーシアで開催さ
れる旅行博のように入場の際には配布されない。他のブースは紙袋を用意していたところ
もあった。
○
自然を見たいという希望が多かった。
(昨年のフェアで質問の多かった「秋田の涙を流す
マリア像」に関する質問はなし。)
○
桜に関する質問は多かったものの、紅葉に関する質問はまったくなかった。フェアの開
催時期によるものなのか。
○
予想以上に日本の温泉の知名度及び関心が低いようであった。温泉に関する質問はほと
んど見られなかった。
○
訪日目前の人、既に具体的な予定がある人が多かった。
○
日本の観光パンフレットは、他国のブースにあるパンフレット・チラシよりもカラフル
(きれい)で、多くの写真が掲載されており、とりあえず手に取る人が多い。
○
会場内に、旅行鞄等のグッズ、スナック等の販売あり。また、ステージでは歌の披露も
4
別紙 1 あり、フィリピン人は歌と踊りが大好きで陽気な気質であることを再確認した。
4
フィリピン訪日旅行市場の概要
JNTO バンコク事務所によると、フィリピンからの訪日旅行客は、2010 年は 77, 377 人、
2011 年は東日本大震災の影響を受け 63, 099 人に減少したが、2012 年1月~9月は既に
62,665 人が日本に訪れており、増加傾向(特に観光客)にあると考えられる。
2010 年にビジット・ジャパン事業で行った調査によると、これまで訪問した場所、今後
訪問したい場所ともに、東京、大阪、富士山がトップ3となっており、日本についての興
味・関心事項としては、自然景観、買い物、伝統文化、歴史・文化建築物、日本食、桜、
紅葉などが挙げられている。
フィリピン人は親日的であることから、日本への旅行を希望する人は多いが、これまで
は韓国等と比べて高いパッケージツアー価格が一つの障壁となっていた。しかし近年
Jetstar(東京成田・大阪)、Cebu Pacific(大阪)等の格安航空がマニラから運行するよう
になり、 ディスティネーションの多様化や個人旅行の需要も増加するものと思われる。
5
所感
シンガポール、マレーシア及びタイなどの他の東南アジア諸国と比べ、フィリピンの訪
日旅行者数は少なく、また、東京、大阪、京都及び北海道以外の地域についての情報はほ
とんど浸透していないのが現状のようである。
しかしながら、このことは、フィリピンの訪日旅行市場が未成熟段階あり、今後の開拓・
プロモーション次第で発展する可能性を秘めていることも意味していると思われる。
今回の TTE における来場者からの反応及び各旅行会社からの聞き取りによると、フィリ
ピン人の日本及び訪日旅行への関心は高く、実際に行ってみたいという気持ちはあるもの
の、価格・物価の差及び観光ビザ取得の煩雑さから、インセンティブが働かない面もおお
いにあり得るものと考えられる。
なお、フィリピンの国民所得の向上、円安・ペソ高、日本・フィリピン間の LCC 就航な
ど、訪日旅行に関するプラスの外的要因も生じてきており、状況は刻々と変わりつつある。
元々、フィリピン人は英語が堪能で、出稼ぎの文化もあり、海を越えて出かけるという
ことに抵抗が少ないといった国民性、また、日本とフィリピンの移動も飛行機で約4時間
しかかからないといったプラスの要素もあることから、我々日本側としても、フィリピン
人のニーズを汲み取り、それに合った旅行素材・観光地のプロモーションを実施していく
ことで、フィリピンからの観光客を少しずつ増加させることが可能になるのではないかと
感じたところである。
(吉田所長補佐
5
岩手県派遣)