みどり精密の 棒鋼員数計数装置 (1)移動中の結束鋼材員数測定 (2)99.9%以上の員数計数精度 (3)ロジックチューニングによる高信頼性管理方式 平成18年2月 光学機器、測定器のパイオニア 株式会社 〒226-0024 みどり精密 神奈川県横浜市緑区西八朔町37-15 TEL 045(929)5527、FAX:045(929)5528 e-mail:kf9m-oon@asahi-net/or/jp 1.はじめに みどり精密の「鋼材員数計数装置」は、コンベア上を搬送されている番線で結束された 等辺山形鋼、H 形鋼、棒鋼等の鋼材員数を正確に測定して、全結束鋼材の員数管理を可能 にいたします。 本装置では、搬送されている番線結束鋼材の端面映像を CCD カメラで測定し、画像解析 によって員数を計数しております。これまでに、本装置で採用している画像処理方式で員 数計数を行う試みは多数なされてきましたが成功しておりません。これに対して、みどり 精密では、照明方式とカメラ視野を最適化して鮮明な鋼材端面映像を得て、新たに開発し た画像解析ソフトによって員数を正確に測定しております。更に、本装置の導入期間を設 けて多数の画像データを測定し、導入ラインに適応した管理が可能となるロジックチュー ニングを行い、画像処理方式では避けられない欠損画像を補う処理ロジックを作成して信 頼性の高い管理装置に仕上げて納入しております。 (1) 等辺山形鋼 (2) 異形棒鋼 (3) 丸棒 (4) 太径棒鋼 図1-1 様々な結束形鋼 1 2.装置構成と計数鋼材の仕様例 (2-1)装置構成 本装置の標準構成は、CCD カメラ、照明ユニット、画像処理用パソコン内蔵の防塵型制 御盤、大型ディスプレイ、鋼材員数計数ソフトウエアから成り立っております。図2-1 に員数計数装置の基本構成を示します。 図2-1 装置構成 同図において、ランプハウスの前方にあるコンベア上を搬送される番線結束鋼材が所定 位置に達すると、検知センサで無電圧接点信号をパソコンに送り、員数計数ソフトは待機 モードになります。引き続き、鋼材束がカメラの真正面に到達した瞬間に映像をパソコン に取り込みます。オプションとして映像を取り込む瞬間だけ開くシャッタをランプハウス の窓に取り付けてランプ光が外に漏れることを防ぐことも可能です。取込み画像は 20sec 以内に解析して鋼材員数を計数します。計数値は、予め入力してある鋼材管理員数と比較 し、鋼材数に差を生じた場合には差数を CRT と大型ディスプレイに表示します。また、計 数結果その他必要な情報はシーケンサや DCS へイーサネットで伝送します。また、必要に 応じて所定時間毎に計数結果を印字出力します。 (2-2)測定対象となる結束形鋼の例 (1) 結束員数 :最小;50 本、最大 600 本 (2) 山形鋼断面サイズ例 :最小;20×20×2.5、最大;50×50×8.0 (3) 棒鋼断面サイズ例 :φ10mm~φ50mm 2 (4) 型鋼結束サイズ :最小;200(W)×100(H)、最大;400(W)×300(H) (5) 移動速度 :通常搬送速度 (6) 隣接山形鋼鋼材凹み :+0~-10mm 以内 (7) 結束型鋼端面位置変動 :+0~-10mm 以内 (8) 結束型鋼端部性状 :汚れ、バリが無く計測に差支え無い通常の切断面 (2-3)設置及び周囲環境 (1) 鋼材端面前方約 2m にカメラ設置 (2) 鋼材端面前方約 1m に遮光フード付照明設置 (3) カメラ視野内の明るい外光、照明の遮光 3.システムの操作 (3-1)監視画面 図3-1に、監視画面の例を示します。 図3-1 監視画面例 3 監視画面の上欄は現在処理している鋼材束のサイズ、結束鋼材数の目標値と計数結果が 表示されています。結束鋼材数の目標値と計数結果の差は大型表示器にも表示されます。 左側のフレームに表示されている画像は解析画像です。鋼材がカメラ前面に達した瞬間に 画像シャッタを切り、映像を取り込みます。このフレームの中央に鋼材映像があれば画像 が正常に取り込まれたことになります。中央のウインドウには照明の状態を示す輝度ヒス トグラムが表示されており、ここにリアルタイムの動画を表示させることも出来ます。右 側のフレームは画像解析した細かい全データが表示され、解析上の問題点がチェックでき ます。下欄は員数管理表の表示などに利用し、最下欄は解析経過のコメント欄です。上欄 のツールバーやボタンを用いると、ファイルアクセスや測定パラメータ変更、測定画像再 表示等が可能です。 (3-2) 鋼材員数一覧表の作成 測定に先立って表3-1に示すような鋼材員数一覧表を作成します。 表3-1 サイズ(mm) 長さ (m) 鋼材員数一覧表 20×3 25×3 30×3 30×5 5.0 40×3 40×5 210 160 50×4 50×8 5.5 230 340 290 150 200 135 120 80 6.0 224 315 243 134 188 117 110 70 鋼材員数一覧表はファイルに複数枚保存し、必要に応じて呼び出して計数に使用します。 又一覧表は、随時作成と修正が可能です。この一覧表を画面に表示させ、処理される鋼材 束の欄をマウスでクリックするとその員数が管理値となってパソコンにとりこまれます。 4 (3-3)測定手順 測定手順を以下に示します。 プログラム開始 ファイルより鋼材員数一覧表の指定 鋼材員数一覧表の CRT 表示 画像取込と員数計数 ① 一覧表の比較用員数欄をマウスクリック:その欄が赤色に変化 スタートボタンクリック ② 測定開始:画像取込信号待受け 解析終了と結果の表示 (1) 計数員数(サイズ、厚みと共に) (2) 予定員数との比較(Y/N) (3) 処理時間オーバ、処理不可能等の不正常処理結果出力 (4) PC 異常 結果の出力 (1) CRT 画面 (2) 大型ディスプレイへの測定差表示 (3) シーケンサへのイーサネット伝送 (4) 日報等作業経過の作成印刷 (5) パソコンハードディスクへのデータ保存 連続測定①、②へ:鋼材員数一覧表クリック/画像取込信号待機 5 4.ソフトウエアの特徴 (4-1)員数計数処理 解析する画面は、鋼材端部が汚れていたり、鋼材同志の重なり合いで鋼材の一部が見え ないことなどで、鋼材が完全に見えている画像にはなりません。本装置の中核をなす員数 計数処理方法は、測定した白黒画像から二値化画像に変換し、この画像から単一鋼材の基 本形状パラメータを決定し、積み重なっている鋼材束の鋼材数をこの基本形状に照合しな がら計数してゆき、これらの欠陥画像に対しても計数値が求まる方式となっています。 (4-2)画像取込み 結束鋼材がカメラに近づくと、コンベアから接点信号を発し、ソフトが待機状態になり ます。引き続き鋼材端面がカメラ視野の中央に到達すると画像シャッタで鋼材映像を解析 用画像として取込みます。常に山形鋼画像を視野中央でパソコンに取り込むことで、山形 鋼の凹みによる画像の重なりが抑制され、視野一杯の均一な明るさの画像が得られます。 (4-3)二値化画像処理 二値化画像の質は処理時間と精度に大きい影響を与えます。本装置では、照明とカメラ 位置を最適化することに加えて新たに開発した二値化画像処理を行い、解析に耐える二値 化画像を得ております。 5.ロジックのチューニング 測定画像は欠陥画像である例が少なくありません。欠陥画像となる原因は、鋼材束の一 部分が、大きくずれて全く見えなかったり、他の鋼材に覆い被さっている例、大きく荷崩 れを起こしている例、端面の一部が汚れていて二値化の際に欠落してしまう例等です。こ れらの中には、ソフトでは救済できない画像もあります。この問題に対しては、綺麗な映 像が得られるように鋼材端面を揃えることが必要です。しかしながら、この措置は限界が あります。そこで、みどり精密ではこの問題に対して次のように対応しております。 本装置をラインに据付けて、統計処理が可能となるまでの多数のデータを測定し、員数 欠陥となっている画像を全て解析します。この結果から、管理方式に適合する計数ロジッ クを作ります。一例として、実際の員数より多くミスカウントすることが発生しにくいプ ログラムを構成します。そして、マイナスカウントの際には、必ず鋼材を追加します。こ のような措置で員数欠損束発生はほぼ完全に無くなります。但し、僅かですが、過剰鋼材 員数束が発生します。他の例として、発生確率は少ないが、欠損画像の計数値をそのまま 6 表示し、欠損束が発生した際には必ずオペレータが目視で計数します。このような措置に よって、ほぼ正確に計画通りの員数束が出荷できます。 このロジックチューニングは、本装置を管理用として使用するためには必要不可欠の工 程と考えております。みどり精密では、ユーザのご要求があれば、このチューニングまで 含めて十分に機能する状態にして納入をいたします。ロジックチューニングには膨大な画 像データの処理が必要となります。そこで、パソコンには、一定期間中の画像データを全 てファイルできる容量を持たせ、適宜ユーザ殿で画像データを大型ハードディスクにコピ ーして当社に送付いただき、そのデータを解析してユーザ殿の考える管理方式に合致した チューニングを行います。 6.装置基本仕様 (1) 画像処理時間 :20 秒以内 (2) 鋼材計数量 :最高 600 鋼材/束 (3) 計数精度 :正常画像に対して 99.9%以上 (4) 計数ミス :画像不良自動判定で計数ミス信号補正 (5) 処理時間オーバ :処理時間が 20 秒以上で計数ミスの判定信号発信 (6) 機能異常 :パソコンの機能異常を通信信号から判定 7.おわりに 本書でご紹介した装置は据置型員数計数装置です。本装置は、可搬型にして野積みの材 料員数を計数可能とする方式や、複数画面を組み合わせて全視野内の員数を計数する方式 など、様々な用途に対応した方式への展開も可能です。本資料の問い合わせや員数計数で 問題がございましたら、当社までご相談くださるようお願いいたします。 7
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