アートギャラリー空間における展示テーブルの設計及び

アートギャラリー空間における展示テーブルの設計及び制作
00512211
1.はじめに
大島研究室で携わってきた NPO 法人ひこうせんの
熊谷事務所が8月に完成することができた。アート
ギャラリーの正式オープンは 2009 年 4 月であり、ア
ートギャラリーの設計に本格的に取り組むこととな
った。障害者の支援ということと共に具体的な設計
に取り組みたいと考え担当した。特に展示空間の中
心となる家具の製作を行ってみたいと考えた。
2.展示空間
2-1、展示空間についてのスタディ
1期工事に完成した展示空間の中で、ひこうせん
の方々と絵画を展示し、展示家具を置きながら、車
いすで活動して貰いスタディを重ねた。
2-2、要望された展示空間
図-1 設計図
ひこうせんとしては、絵画を展示の中心としてい
るが、ギャラリーショップとしてアートマテリアル
の展示もできるようにしたいということや、ギャラ
リーの一般開放を考えていることがわかった。
また、展示空間の中でお茶を飲むスペースや、休憩
するスペースも要求され、限られた空間の中での多
機能化が必要となった。
3.設計方針
設計方針
テーブルの図面・模型を用意し、数回に亘り、ひ
こうせんの方々と打合せをおこなった。展示スペー
スに固定的なものを置くのでなく、オープンな展示
空間を維持しながら、様々な展示バリエーションが
可能な計画で合意した。
展示テーブルと展示イスをユニット化し、分散型の
展示や一体型の展示が可能なものとした。展示テー
ブルはティースペースになり、アートマテリアルの
展示ができる計画である。また展示テーブルの下に
展示イスをコンパクト収納できるよう、フレキシブ
ルな設計を意図した。
Table for display
図-2 モデリング図
大島研究室
渡邉 拓朗
ものつくり大学
建設技能工芸学科
卒業研究・制作・設計梗概集 2008 年 1 月
4.展示テーブル
展示テーブルの
テーブルの設計
強度を得るため天板を強化ガラスにし、テーブル
としての利用とアートマテリアル展示が可能となっ
た。これにより、スペースを有効的に活用する機能
を組み込む意図である。
テーブルのサイズは、車椅子の移動に支障をきたさ
ないスペースを確保するため、スタディを重ね97
0×970(mm)の 3 ブロックに分割するスタイ
ルとなった。これは、用途や空間に合わせて自由に
配置を変更できる機能を持たせる意図である。さら
に、展示テーブルの下には展示イスが4つ収納でき
るスペースを確保した。
展示作品に応じてテーブルの配置を変え、ギャラリ
写真1
テーブルのみ
ー内の動線をレイアウトすることができるため、ギ
ャラリーとしてのアート空間を演出するこが可能と
なった。展示ケースとしての利便性も考え、展示品
が見やすいよう高さを950mmにし、色々な物の
展示もできる様250mmの展示幅を設けた。
また、作品と対立しないよう、全体的に直線を基調
としたシンプルなフォルムで仕上げた。
5.展示テーブル
展示テーブルの
テーブルの製作
アートギャラリー実現のため予算を押さえること
を考慮して、使用する材料の加工などは最少減にな
るよう何度も図面を書き直した。しかし実際に使用
する場合、丈夫であることも必須なので、天板には
写真2
8mmの強化ガラスを、その他の材料にはパインの
テーブル+イス
集成材を使用した。組み立てるにあたって、比較的
簡単な工法が求められたので、接合部にダボを用い
て製作した。
【謝辞】
ものづくりの実際を体験することができ、NPO
法人ひこうせんの皆様にたいへん感謝しております。
【参考文献】
DA 建築図集 美術館 Ⅱ 地域の小美術館
建築設計資料 高齢者・障害者の住宅
建築設計資料 美術館1,2,3
建築設計資料集成他
ものつくり大学
建設技能工芸学科
写真 3
テーブル+イス(収納時)
Institute of Technologists.