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中国での個人事業(拠点を設立しないビジネス)

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浜銀総合研究所 中国ビジネスサテライト「中国コラム」 2013 年 12 月号 http://www.yokohama-ri.co.jp
中国での個人事業(拠点を設立しないビジネス)
チャイナ・インフォメーション 21
筧武雄
中国では、法人格のない一介の個人商、露天商であっても、すべて正式な商業登記(中国
語で「個体工商戸営業執照」という)が法律で義務付けられている1。この個人商業登記証を
取得した後も、毎年 50 元を納付し登記更新していかなければならない。ちなみに、中国で
は個人事業の従業員数は 7 人以下とされ、8 人以上になると「個人独資企業」として法人成
り登記変更し、法人格を持つことになる。
これら中国の個人事業主も個人独資企業も、ともに設立開業、登記が認められるのは中
国籍あるいは香港・マカオ・台湾籍を持つ自然人個人に限られ、われわれ外国人(日本国籍
に帰化した中国人も含めて)は、個人商、個人企業の開業登記はいっさい認められていない。
逆に中国人個人も、外資企業法人に個人出資することは認められていない2。
1980 年代の改革開放政策開始からすでに 30 年が経過し、2001 年の中国 WTO 正式加盟
を経た現在でも、この「個人事業分野における内外乗り入れ禁止」の原則はなんら変わっ
ていない。とは言うものの、法律に明るくない中国人(企業)も少なくなく、「外国人でも中
国で個人ビジネスができる」、あるいは「中国人個人でも外資企業に出資できる」と誤解し
ている例は多い。事情に疎い外国人も、この点について間違えることが多い3。
中国経済が急速な成長を遂げ、人民元レート高、人件費高、物価高、あるいは労使紛争
の増加など、中国で企業を設立・経営する費用と労務リスクが高まっている現在、中国に
企業設立しないでビジネス展開しようと考えるケースも増え始めている。
その代表的なスタイルが委託加工貿易、技術提携ノックダウン生産、ライセンス・OEM
製造販売、代理商販売などで、なかにはみずから商店、レストラン、各種コンサルタント
など個人事業を展開しようと考える例もある。もちろん配偶者など親族に中国籍、香港・
マカオ・台湾籍人がいれば、中国大陸での個人事業も合法的に可能ではあるが、まったく
他人の中国人あるいは企業を「ダミー」として我々が個人事業を経営することは、言うま
でもなくハイリスクと言わざるを得ない。その一方で、中国人個人や中国企業からそのよ
うなオファーを受ける例も少なくない。
1. 中国内での法的効力
中国の民事契約基本法「合同法(契約法)」では、合弁や借入など行政法上の許可、登記が
義務付けられている経済契約で、政府許可、行政登記をしていない契約には、法的効力が
生じないと定められている(第 44 条)。したがって、もともと中国の法律規定で外国人によ
る開業登記が認められていない個人事業の場合、ダミーを利用した開業登記はできても、
違法なダミー契約に法的拘束力は無い。
1
「個体工商戸登記管理規定」2004 年 8 月公布施行。
2 「中外合資経営企業法」2001 年 3 月改正。第一条で中国側出資は法人、その他経済組織に限られている。
3 同様に、外国籍個人は中国内資企業の董事長に就任することも認められないが、正式な就労許可を取得すれば、従業
員として雇用されることは合法的に可能である。逆に中国・香港マカオ台湾籍人が外資系企業の董事長に就任するこ
とは以前から認められている。
1
Copyright (c) 2013 Hamagin Research Institute,Ltd. All rights reserved.
たとえば、中国内で中国人個人に出店資金を貸し付け、個人商店を開業させるダミー契
約を結んだとしても、合法的利益回収はおろか、その後の店舗展開、仕入販売、営業経営
全般に対する発言権すら外国人には法的に何も保障されない4。相手が法人で、技術ライセ
ンス、委託生産販売など正式な国際契約を結び、中国政府の許可を得て行政登記する場合5で
も、契約書の中で準拠法、裁判管轄、紛争の解決法等について合意し明記しておく必要が
ある。国際紛争の解決は中国法にもとづき中国内の裁判管轄で、と取り決める例も多いが、
司法権が行政権から独立(分立)していない中国独特の事情(いわゆる「地方保護主義」)を考
慮して、被告側の国で争うことにしたり、すべてアメリカやシンガポールなど第三国の準
拠法、裁判管轄権で紛争解決をはかると取り決める契約例も少なくない。
2. 考えられるリスク対策
このように中国内では合法的に外国人の個人事業をリスクカバーすることが難しいため、
中国外でリスク担保する方法が最善と考えられる。長い華僑の歴史を持つ彼らのなかには、
海外に移住、帰化し、多数の海外親族がいたり、海外に個人資産を蓄財している例も少な
くない。また、中国大陸内では個人財産相続が基本的に認められていないため、中国人富
裕層の中では、あえて海外に投資し、不動産や企業財産など海外に所有する個人財産を海
外で相続しようとする例もある。
そこで、たとえば日本法の下、日本国内において日本語で彼らと契約し、かつ日本国内
に彼らが所有する資産に担保・保証あるいは抵当権を設定することができれば、リスク保
全として、もっとも確実かつ現実的と言えるだろう。もちろん日本では、外国人個人の事
業投資、会社設立、銀行預金、証券投資、不動産所有がすべて合法的に可能で、それらに
担保・保証あるいは抵当権を設定することもできる。そのようなリスク保全策を整えたう
えで、中国内での個人事業に拠出した資金を日本向け投資に振り替えさせることで資金還
流、利益回収あるいは個人貿易の相互乗り入れをはかるというようなアイデアも有効だろ
う。
しかし、いずれの場合も、個人的信用関係が基礎にあることが基本である。
以上
4 外国人が事業主となることは不可能でも、外国人就業許可を取得し従業員として雇用されることは可能。
5 「技術輸出入契約登記管理弁法」2009 年 2 月公布施行。
2
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