平成24年度計画書 - 島根大学研究機構戦略的研究推進センター

平成24年度 島根大学「萌芽研究部門」研究プロジェクト 計画書
栄養と有酸素運動による認知症予防・改善効果の検証-ヒト介入試験
1.プロジェクト名称
(英訳名)
2.プロジェクトリーダー
3.プロジェクトの概要
所属
現在の専門
Protective and ameliorative effects of nutrition and anaerobic
exercise against dementia
職名 准教授
氏名 橋本道男
医学部環境生理学
脂質栄養学、神経化学、環境生理学
医博
学位
①本研究プロジェクトで何をどこまで明らかにするか、②当該分野の国内外の研究と比較して本プロジェクトの
ユニーク性・重要性・先見性、③島根大学で行う意義・大学の発展にとって期待される効果、について簡潔に記入してください。
①何をどこまで明らかにするか
高齢者向けの居住系施設入居者を対象として、生活習慣、特に食事栄養と運動との併用による認知症への予
防・改善効果の有無を明らかにする。
②当該分野の国内外の研究と比較してのユニーク性・重要性・先見性
認知症研究の先駆的な欧米では認知症予防・改善法を確立するために様々な角度から検討されているが、未だ
途上であり、わが国でも同様である。本研究は、代表者と 20 年以上の長期にわたり共同研究を行っている医療
機関が関わる高齢者向けの居住系施設等で集中的に行うパイロット試験であり、当該研究の達成度と成果の信
憑性は高いと思われる。島根県は高齢化率が日本一であり、10 年先の我が国の超高齢化社会のモデルとして
重要視されていることから、得られた成果は、我が国の近未来像とその解決策を探る上で意義ある情報として扱
われることを確信している。
③島根大学で行う意義・大学の発展にとって期待される効果
地域医療の充実を目指す医学部にとって、地域住民とのきめ細やかな連携により認知症の予防・改善法を確立
することは、県民の QOL を向上させることに直結し、さらには島根大学から全世界に発信する認知症対策のモデ
ル事業として発展させることが期待できる。
また将来的には、島根県産の認知症予防・治療効果食材あるいは食品の開発につながるテーマであり、島根県
の地域振興への直接貢献が期待できる。
4.本学の大学憲章・中期目標・計画またはアクションプランとの関係
高齢化率日本一の島根県から発信する本研究テーマは、認知症患者が急増する超高齢化社会の前夜である我が
国や先進国が早急に解決しなければならないテーマであり、このテーマから得られる成果は、医学部の中期目標で
ある「地域に根ざし、地域社会から世界に発信する個性輝く大学」とは、良く合致している。
5.各年度の計画の概要 年度ごとに何をどこまで明らかにするのかを簡潔に書いてください。
治験高齢者は川本町の社会医療法人仁寿会関連の養護老人ホームやグループホームの入居者を対象とする。
H24年度
栄養と有酸素運動による認知症予防・改善効果の検証を行う。
1)治験者のスクリーニング:老人介護施設入居者のうち軽度~中等度の認知障害者(ミニメンタルステート試験によるスコアが 5
~23 点) 80 名を治験者とする。社会医療法人仁寿会と島根大学との倫理委員会の承認を得た後、治験者への説明と同意
書の交換を行う。その後、認知機能測定と血液検査を実施して、結果を精査した後に 80 名のスクリーニングを行う。
2)施設担当者への説明会:介護士、管理栄養士、作業・理学療法士への説明会を行う。
3)介入試験の実施:6~7月の開始を目標とする。
実験群:コントロール群、栄養介入群、運動介入群、(栄養+運動)介入群、の 4 群(各群 20 名)
介入試験法:栄養介入群は施設食に加えて、DHA・EPA 強化食品(2g/日)を摂食、運動群は 15 分/日、2~3 回/週の歩行
実施期間: 18~21 カ月間を介入試験期間とする。
検査項目:当初は 1 カ月毎に検討会を行う。効果を解析するための検診は6カ月ごとに認知機能評価と血液の各種分析を行う。
i) 認知機能評価法:改訂長谷川式(HDR-S)、ミニメンタルステート試験(MMSE)、iPad での評価、
ii) 意欲障害評価法:やる気スコア、うつスコア(SDS 法)、 iii) 血液成分測定:生化学一般検査項目、脂肪酸
iv) 食事摂取量と運動量のチェック:食事摂取量は 1~2 回/週、食前と食後の配膳をデジカメで撮影し、市販の解析ソフトにより
摂取した栄養成分量の分析を行う。運動量は日誌に記録した時間を集計して解析する。
H25年度
18~21 カ月後に最終検診を実施し、全データ解析を行う。
6.配分経費 (単位:千円)25年度は24年度と同額をカッコ内に記入して下さい。
平成(年度)
配分予定額(千円)
25
24
1,900
(
1,900
合計
)
(
3,800
)
7.平成24年度の研究計画および達成目標
【研究項目】 研究項目には①,②,…の様に番号をつ
【達成目標】 対応する研究項目に対して第三者が本年度に達成できたと判断できる
けて箇条書きしてください。
具体的な目標を記入してください。
① 倫理委員会での承認
仁寿会加藤病院と島根大学の倫理員会による承認書
② 治験予定者の確保
40~80 名、予定者名簿
③ DHA・EPA 強化ソーセージとプラセボ
無償提供
用魚肉ソーセージの確保
④ スクリーニングのための第一回検診
治験予定者の血液検査・認知機能評価指数のデータ
⑤ 治験者のスクリーニング
参加者名簿と ID
⑥ 介入試験の開始
⑦ 検討会(1 カ月後、2カ月後)
写真、食事量と運動量のデータ
⑧ 6 カ月検診
治験者の血液検査・認知機能評価指数等、各種データ
⑨ 外部との情報交換・学会発表
発表抄録、情報収集記録
8.プロジェクト推進担当者 平成24年度に限って記入してください。
(ローマ字)
氏
所属部局(専攻など)・職名
名
計
現在の専門
5名
役割分担
学位
(プロジェクトリーダー)
Hashimoto Michio
医学部・准教授
脂質栄養学・医
研究の統括と基礎研究
医学部・臨床教授
地域医療学・医
認知機能評価と老人介護施設の統括
医学部・准教授
体力医学・医
運動機能評価
医学部・講師
神経内科学・医
認知機能評価
環境生理学・医
研究の統括
橋本 道男
Kato Setsushi
加藤 節司
Kihara Isao
木原 勇夫
Koguro Hiroaki
小黒 浩明
Shido Osam
紫藤 治
医学部・教授
9.平成24年度経費明細 研究項目と達成目標ごとに使用する経費を記入してください。(単位:千円)
・経費は本研究プロジェクトの遂行に必要な経費です。
・経費は政策的配分経費(a)(今回配分された金額)とそれ以外の資金(学内経費、外部資金)とし、それ以外の資金で充当させる場合は「配分経
費以外(b)」の欄に金額を記入してください。
・研究計画の項目番号ごとに設備備品、旅費、謝金、消耗品費などに分けて、それぞれの明細を出来るだけ具体的に記入してください。
・単品の設備備品は配分経費(a)と配分経費以外(b)を合算して購入することはできませんのでご注意願います。
事項(品名)
(対応する研
究項目番号)
配分経費(a)
配分経費以外(b)
合計(a+b)
1)検査料
④、⑧
342.0
0
342.0
④、⑧
432.0
0
432.0
④、⑧
316.0
400.0
716.0
④、⑧
210.0
210.0
420.0
⑥、⑦
120.0
0
120.0
④、⑦、⑧
480.0
200.0
680.0
1,900
810
2,710
血液生化学一般項目・HbA1C
1900 円x延人数 180 名=342.0
2)検診のための人件費
医師1人 40,000 円/回 40x1=40
看護師1人 12,000 円/回 12x2x8=192
検査技師1人 12,000 円/回 12X2=24
管理栄養士1人 12,000 円/回 12x8=96
技官1人 10,000 円/回 10x8=80
3)脂肪酸測定(血清・赤血球膜)
カラム、He ガス、試薬など 116
人件費 100,000 円/月 100x2=200
4)データ打ち込み・データ解析
人件費 700 円/時間 0.7x300=210
5)栄養摂取量評価
デジタルカメラとメモリ 15,000 円/台 15x8=120
6)旅費
出雲市―川本・旭 10.000 円x2 人x10 回=200
出雲市―東京(2 泊 3 日) 2 人 70000x2x2=280
合
⑨
計
10.研究の概念図 研究の目的,計画,効果,研究期間終了後の成果の活用,展望などをわかりやすく示す図を貼り付けて
下さい。
平成24年度 島根大学「萌芽研究部門」研究プロジェクト
栄養と有酸素運動による認知症予防・改善効果の検証-ヒト介入試験
研究目的
高齢者向けの居住系施設入居者を対象として、生活習慣、特に食事栄養と運動との併用に
よる認知症への予防・改善効果の有無を明らかにする。
研究計画
①被検者のスクリーニング
介護施設入居者のうち、
1.軽度-中程度 (MMSE23以下)
2.意欲障害評価 (やる気、うつスコア)
3.運動機能の程度
②介入試験の実施
実験群 (実施期間:18-21ヶ月)
1.コントロール群
2.栄養介入群 (DHA・EPA強化食品)
3.運動群
4.栄養+運動介入群
検査項目(6ヶ月毎)
・認知機能評価 (MMSE、iPad)
・意欲障害評価
・生化学一般検査
・赤血球膜、血清中脂肪酸
研究成果の活用、展望
・地域住民とのきめ細やかな連携により認知症の予
防・改善法を確立する。
・島根県産の高齢者向け食材を開発する。
・10年先の日本の近未来像とその解決策を探る。
介護施設
介護施設
介護施設
実施
介護施設
介護施設
医療機関
連携
島
島根県産高齢者向け
食材の開発
島根県内生産者・企業
根
認知症予防・改善策提案
実施策の検証・改善
大
学
学術論文・学会発表
マスコミ報道
認知症対策モデルを
全世界へ発信
高齢化率日本一の島根県から全世界に発信する認知症対策のモ
デル事業として発展させる。