平成28年度事業計画 - 全国民営職業紹介事業協会

平成28年度事業計画
1 民営職業紹介事業業界を取り巻く環境
労働市場は、求人が増加する一方、求職者が減少し、雇用情勢は改善傾向
が続いています。平成27年の有効求人数は前年に比べ4.3%の増加、有
効求職者数は同5.4%の減少となり、有効求人倍率は、1.20倍となり
ました。これは、前年の1.09倍を0.11ポイント上回り、リーマン・
ショックにより平成21年に0.47倍に急落してから後、6年連続で上昇
し、平成3年記録した1.40倍以来の高水準となっています。
また、平成27年の完全失業率は、3.4%となり、前年の3.6%から0.
2%ポイント低下しました。平成21年及び22年の5.1%から5年連続で
低下し、平成9年以来18年ぶりの低水準となっています。
さらに、政府の平成28年度経済見通しによると、雇用環境が改善する中で
女性や高齢者等を中心とした労働参加の拡大もあり、雇用者数は緩やかに増加
し、完全失業率はやや低下するもの(3.2%程度)と予測されています。
一方、人材ビジネスを取り巻く状況をみると、昨年9月に改正労働者派遣法
が成立、施行されたのをはじめ、若者雇用促進法の成立及び順次施行、ハロー
ワーク求職情報提供サービスの開始等職業紹介事業にも関係が深い制度や施
策が進められています。また、昨年の春以来、厚生労働省においては、職業安
定法の改正を含めた雇用仲介事業の規制の再構築についての検討が進められ
ています。今後、民営職業紹介事業をはじめとして職業安定法の改正を含めた
人材ビジネスの制度、運用の見直しが行われる見通しとなっています。
職業紹介事業者及び関係団体は、これらの動向に注目していく必要がありま
す。
2 民営職業紹介事業の健全な発展・向上に努力(基本方針)
上記 1 を踏まえつつ、公益社団法人全国民営職業紹介事業協会(以下「民
紹協」という。)は、すべての民営職業紹介事業者を対象とした全国唯一の団
体として、民営職業紹介事業特に会員事業者の健全な発展のために努力し、
ひいては労働力の需給調整、労働者の雇用の安定等に寄与していきます。
具体的には、次のことを基本に役職員一丸となって、努めてまいります。
第一に、公益目的事業を的確に運営し、公益の増進を図り、民営職業紹介
事業の活性化に貢献します。
第二に、会員事業者等のニーズを把握し、事業推進に役立つ講習の実施や
事業に役立つ情報を迅速、正確に提供するように努めます。
第三に、行政機関等の動きを的確に把握し、会員事業者等へ情報提供すると
ともに、会員事業者等の意見、要望をまとめ、適宜、厚生労働省等行政機関に
進達するよう努めます。
第四に、引き続き、会員事業者をはじめとする民営職業紹介事業者に対し、
業務運営に関する相談、助言に努め、また、その内容をさまざまな機会に提供
し、事業運営の適正化に資するよう努めます。
3 公益目的事業1
―民営職業紹介事業者が適正かつ円滑な事業運営を確保するとともに、労働
力需給の適正な調整や雇用の安定に資するための相談、指導及び援助等の
事業―
(1)職業紹介優良事業者推奨事業の推進
昨年度に引き続き「職業紹介優良事業者推奨事業」を国から受託します。
平成25年度に本事業を受託して以来、職業紹介優良事業者認定制度運営
要領、認定審査マニュアル、自主点検表等本事業の根幹となる要領等が決
定されてきたことを踏まえ、本年度は、委員会の設置・運営、要領等の必
要に応じた改訂、審査認定機関の募集及び指定、本制度説明会の開催及び
周知・普及促進、委員会の開催による優良事業者の認証等を行います。
なお、昨年度、国から受託した「職業紹介優良事業者認定制度相談支援
事業」は、事業内容が大幅に縮小された上で、上記の「推奨事業」の中に
一部吸収され、個別の事業としての公募はなかったため、事業項目として
削除しました。
(2)職業紹介事業者安定雇用推進事業の推進
昨年度に引き続き「職業紹介事業者安定雇用推進事業」を国から受託し
ます。日々紹介等短期雇用に係る職業紹介が多い職業紹介事業者に対し、
安定的な雇用形態の職業紹介への転換を推進するため、事業者及び求職者
向けセミナーの実施、事業者及び求職者からの相談に対する専門的な助言、
短期雇用に係る職業紹介が多い小規模事業所等の事業者のうち安定雇用実
現を考える事業者間における業務連携のモデル事業等を行います。
4 公益目的事業2
―民営職業紹介事業の健全な発展・向上、職業紹介サービスの高度化、事業
運営の適正化及び職業紹介事業者の資質向上を図るための事業並びに民営
職業紹介事業等に関する調査研究、出版・広報等の事業―
(1)公益目的事業2に係る各事業の充実化
公益目的事業2に係る各事業について、従来以上に利用者の利便性、効
果等に配慮して充実化を図り、引き続き収支相償の原則に則った運営を進
めます。
(2)職業紹介責任者講習の開催
近年、職業紹介責任者講習の受講者数は、新規開業事業者の増加、関係
職業紹介事業者団体及び会員事業者の理解・協力、事業者への周知の努力、
利便性向上のための講習回数の増加等によって、平成24年度から連続し
て増加傾向に転じています。
本年度も、開催日数はおおむね前年度並みとするものの、各講習を新規
講習と継続講習の同時開催とすること等により、広く職業紹介事業者の利
便に供すものとします。
ア 平成 27 イ 平成 27 ウ 平成 28 エ 増減
年度(計画 年度(実績 年度
(ウ-ア)
ベース)
ベース)
①
開催日数
73 日
77 日
77 日
4日
②
新規講習
73 回
74 回
77 回
4回
③
継続講習
64 回
72 回
77 回
13 回
④合計(②+③)
137 回
146 回
154 回
17 回
さらに、継続講習については、上記の他に、職業別職業紹介事業者団体
等からの要望を前提として、随時、共同による開催を行います。
また、平成29年4月から消費税が8%から10%に引き上げられる予
定であることに伴い、受講料の見直しの是非等について検討します。
(3)職業紹介士資格認定事業の実施
職業紹介士資格認定事業は、職業紹介事業の専門家にふさわしい知識と
スキルを体系的に効率よく習得できる学習プログラムであり、引き続き実
施します。
本年度も、昨年度同様、28年2月に受験の募集を開始し、5月から3
か月間かけて通信教育、9月に3日間集合教育を行うこととし、定員50
名で実施します。
また、
「フォローアップ研修」を実施し、これまで資格認定を受けた職業
紹介士に対し、最近の職業紹介事業を取り巻く諸事情についての情報提供
及び交流の機会を提供します。
(4)職業紹介事業者等に対する相談・支援等の実施
会員職業紹介事業者をはじめとする職業紹介事業者、求人者、求職者等
からの職業紹介事業に関する質問・相談等について、専門知識と長い経験
を有する職業紹介事業アドバイザーが応じ、相談・支援を行います。
また、主な相談内容は、相談事例としてまとめ、機関誌「ひと」への掲
載、各種講習会等で紹介し、職業紹介事業者等の利便に供します。
(5)職業紹介事業従事者研修等の開催
時宜に応じたテーマを設定し、職業紹介事業従事者の実践的な知識及び
スキル等能力向上を図ることを目的として、職業紹介事業者従事者研修を
8回(前年度6回)開催します。
また、個別の職業紹介事業所及び団体等から求めがあった場合には、職
業紹介事業制度への理解、コンプライアンス意識の向上、事業運営上の課
題に関する具体的事例等を取り入れた研修を実施します。
(6)職業紹介事業者ブロック交流会の開催
都道府県労働局と連携して職業紹介事業を進めていく上で参考となる講
演会とともに、事業者間及び民紹協との交流を目的とし、会員及び非会員
職業紹介事業者を対象とした職業紹介事業者ブロック交流会を引き続き開
催します。ブロック交流会は、全国を6地域(北海道ブロック(札幌市)、
東北ブロック(仙台市)、関東・甲信越ブロック(2回)
(東京都)、東海ブ
ロック(名古屋市)、西日本ブロック(大阪市)、九州・山口・沖縄ブロッ
ク(福岡市))に分けて合計7回開催します。
(7)職業紹介事業者団体との共同講習会等の開催
行政機関によって制度改正がなされたり、新たな施策又は運営方針等が
示された場合であって、業務運営上、職業紹介事業者が理解しておくべき
事項がある場合、行政機関等の協力を得て、民紹協独自又は職業紹介事業
者団体との共同で講習会等を必要な都度企画し、開催します。
(8)出版事業の実施
職業紹介事業者、職業紹介責任者等を対象にして、適正かつ円滑な職業
紹介事業を実施するために必要な各種図書、マニュアル等の出版物の作成、
刊行を進めます。このうち、「民営職業紹介事業における職業紹介技法」、
「職業紹介事業における個人情報保護・人権・苦情処理」、
「有料職業紹介・
労働者派遣兼業マニュアル」等について、民紹協創立30周年(平成29
年2月)を記念して計画的に改訂を進めます。
(9)職業紹介事業者に役立つ資料の作成及び調査研究等の実施
職業紹介事業者の健全な事業の運営に資するため、民紹協独自の企画又
は職業紹介事業者団体との共同並びに協力を得ながら、実務的に役立つ資
料の作成及び調査研究を実施します。
その成果は、上記の講習会、交流会等において説明する他、適宜、印刷
物にして職業紹介事業者に還元し、事業運営に活用してもらうようにしま
す。
(10)職業紹介事業に関する情報提供・広報の充実化に向けた検討、実施
会員職業紹介事業者をはじめ職業紹介事業者及び従事者にとって有用な
情報の提供、広報を充実化するために検討を進め、可能なものから実施し
ます。
また、民紹協ホームページをより見やすく、必要な情報が検索しやすい
ものとなるよう検討を進め、適宜、改修を行います。
5 公益目的事業3
―国と民間が連携して運営する「しごと情報ネット」に関し、ネット参加機
関や利用者等からの照会・相談及び周知・広報等の事業―
(1)「しごと情報ネット援助事業」の廃止に伴う継続事業の検討
前年度まで厚生労働省から受託していた「しごと情報ネット援助事業」
が廃止されたことに伴い、本事業の実施により得た知見をもとに後継事業
の実施の可否について検討し、その結果を理事会に提出した上で本年度末
までに結論を出します。
6 その他の事業(相互扶助等事業)
(1)事業者の会員への加入促進
民紹協が、民営職業紹介事業の運営の改善向上に向けた各事業を行うこ
とを通し、労働市場における民営職業紹介事業の存在感を高め、職業紹介
事業者の地位向上を図り、社会に貢献していくためには、民紹協を支える
会員の存在が重要です。引き続き、あらゆる機会をとらえて職業紹介事業
者の民紹協への会員入会促進活動を行います。
(2)会員事業者向け表彰事業の実施
民営職業紹介事業の運営に関して模範となる事業者を対象とする叙勲、
事業者、職業紹介責任者及び従事者を対象として表彰される厚生労働大臣
及び職業安定局長表彰、事業者及び求職者を対象とする民紹協会長表彰の
表彰事業を昨年度に引き続き実施します。
(3)機関誌「ひと」の刊行並びに編集体制及び情報提供体制の検討
機関誌「ひと」を各職業紹介事業者団体、会員職業紹介事業者等の協力
を得ながら隔月ごとに刊行します。
また、各職業紹介事業者団体及び会員職業紹介事業者に一層有益な機関
誌となるよう編集体制を充実強化いたします。
さらに、会員職業紹介事業者に対し、迅速な情報提供体制のあり方につ
いて検討し可能なものから実施するとともに、民紹協ホームページをより
見やすく、必要な情報が検索しやすいものとなるよう補修に取り組んでま
いります。特に、ホームページ上に会員事業者専用ページの新設を検討し、
会員事業者への利便の向上に努めます。
(4)新春講演会及び大阪互礼会の開催
職業紹介事業を進めていく上で参考となるテーマを設定した講演会、会
員事業者間並びに民紹協及び関係行政機関・各種団体間の交流を目的とし
て、会員事業者を対象として新春講演会・賀詞交歓会(東京)及び大阪互
礼会(大阪)を開催します。
(5)「民紹協30年史(仮称)」の編纂
民紹協は、平成29年2月に創立30周年を迎えることから、これまで
の民紹協の事業内容を振り返り、整理するとともに、今後の運営方針の検
討に役立てるため、「民紹協30年史(仮称)」を平成29年6月の定時社
員総会に刊行することを目標に、企画、編集を進めます。
(6)職業紹介事業者団体との連携の推進
民紹協と各職業紹介事業者団体との情報交換、行政機関への要望事項等
の整理等のため、前年度同様、適宜、職業紹介事業者団体事務局長会議を
開催します。
(7)規制緩和策検討会議の設置、運営
政府・行政機関において「有料職業紹介事業等の規制の見直し」の検討
がなされていることに伴い、規制緩和策検討会議において、職業紹介事業
者団体及び事業者の立場からの意見、要望をまとめるため、適宜、検討を
行います。
(8)行政機関に対する意見・要望の提出
上記(7)の検討事項を含め、各職業紹介事業者団体及び事業者の意見
をまとめ、必要に応じ、厚生労働省等行政機関に対し、意見・要望を提出
していきます。
(9)他人材ビジネス団体との交流の推進
他の人材ビジネス団体との定期的な情報交換会議の開催をはじめ、適宜、
連絡を取り、交流を進めます。